5月8日野郎会ホッケ釣り

  • 2017年思い出の釣行記PART.9
  • 野郎会、旧交を温める
  • 【5月8(月)・9日(火)】 政泊平盤 須築新港 久遠漁港
  • 【釣果】 全員で ホッケ400㎜以下30本程、タナゴ、クロガシラ、ハゼ
  • 参加した全員の釣果
  •  平成29年5月8日(月)・9日(火)、貝取澗温泉国民宿舎アワビ山荘を宿泊地にして野郎会が開催された。今回は私が幹事となり瀬棚方面でのホッケ釣りをメインとした計画を立てた。
     総勢6名。猪狩は介護で家を空けられなく、橋場は体調がすぐれないということで参加できなかったのが残念。5時に寿都弁慶岬に集合ということだったが旭川組は3時前に早々と着いており、札幌・岩見沢組が着いたときには首を長くして待っていた。
     天気予報では波が4mということで政泊平盤での釣りは出来そうもないと考えていたが、平盤で波が治まるのを待っている釣り人がチラホラ見えたので、私達は安全を考えて湾洞の奥で釣りを開始した。趣味で命を落としたという例はあまり聞いたことがない。登山での遭難事故以外では釣り人の事故が多いのではないだろうか。テトラから落ちた、防波堤に波が乗ってきて海中に振り落とされた、釣り船が海上自衛艦船に衝突した、急流に足を掬われて流された、と新聞記事で見かけることが多い。最近は特に多いような気がする。命がけでやる遊びというものは、そう滅多にないのではなかろうか。私は命がけでする遊びはしないのが主義で、安全の確認には怠らない。よって、皆さんの命は保障しているつもりだ。
     最近、ホッケは高級魚の仲間入りを果たしてきた。私が釣りをするようになった時はホッケがいくらでも釣れた。今回は、ホッケの群れは少なかったが、ホッケが大量発生したかと思えるぐらいに縦横無尽に真っ黒に海を染めていたものだ。動物には繁殖周期があり、たとえばノルウェーレミングは10年から11年周期で爆発的に増えており、天敵の狐も同じ周期だといわれている。それに太陽の黒点の活動期も影響しているというのだ。黒点の活動が盛んになると生物は多量のビタミンを得て成長が促進され、樹木の年輪の幅は広くなる。小動物もそれに連れて増えるのは理の当然であるということだ。黒点の活動周期は11年であり、昨年は黒点が0になる日が多かったという。それでホッケが姿を消すようになったのではなかろうか。
     中川はサビキ、堀田はウキサビキ、田中、蔵田、釣狂はウキ釣りでホッケに挑んだ。最初に獲物を釣り上げたのは堀田だった。しかし、その獲物はウグイでガックリンコ。次に釣り上げたのは田中だった。そしてその獲物はまさしく深紅の輝きを放った真鯛だ。しかし、鯛のように見えた魚は、実はウミタナゴだった。田中の奮闘に敬意をはらって、旨い魚だと祝福する。私は調理の仕方が分からず不味い魚だと思っているのでリリース対象魚だ。味の方は実際に持ち帰って食した田中に確認して欲しい。
     私達より先端寄りに釣りをしていた人がホッケをあげた。釣狂は早速その付近に展開してホッケを何本か釣り上げた。アタリは鮮明でこれならホッケ釣り初心者にも釣り上げることが出来るだろうと仲間を呼んだ。中川が先にやってきたが、サビキではなかなか釣果が上がらない。二人が限度のところなので釣狂の代わりに田中に入ってもらった。
     隣に見事な連携でホッケを釣り上げている夫婦が居た。旦那が釣り上げた魚を奥さんが外し、旦那はエサを付けて振り込む。奥さんは旦那のウキ目がけてコマセを打つ。奥さんの方に「素晴らしい連携ですね。奥さんは釣らないのですか?」と聞くと、「私が釣りをすると釣りすぎてしまい後片付けが大変なので・・・」と宣った。その先客が満足したのか早々に撤退したので、3人が入れるスペースが出来た。そこへ蔵田に入ってもらった。堀田は釣り師としてのプライドが許さないのか自分の釣りを続けている。
     雨がポツポツと降り出した。その内に突風となり、叩き付けるような横殴りの雨が私達を襲った。幸い釣り場の後ろに岩棚がオーバーハングしたような洞窟があったのでそこに一時避難した。私は、広げてしまった釣り道具類を片付けていた。
     田中が竿を大きく曲げた。素晴らしい引き込みでグングンと竿を伸される。しかし、取り込みの最中に岩壁に魚を当ててしまい、惜しくも取り逃がしてしまったらしい。田中はものすごーい大物だったというが、取り逃がした魚というものは得てしてそういうものだ。
     先に堀田が戦意喪失。そして蔵田も引き上げた。そもそも蔵田は長靴を持ってきていない。磯釣りに長靴は必需品だが、そんな常識は持ち合わせていないようだ。尺八を吹くように簡単ではないことをあえて言わしてもらおう。うねりを伴った波が岩盤上を洗う。蔵田は少し高い岩の上で釣りをしていたのだが、その波が来る度にタイミング良くジャンプして躱していたが、そういつまでも猿飛佐助の真似は出来るはずもなく、運動靴が海水に浸かった。
     雨は小降りになったのだが、釣狂がやめてしまったと勘違いした田中がクーラーや撒き餌を持って上がってしまった。撒き餌がないと釣りになるはずもなく、ここで引き上げることにした。田中や蔵田、中川、堀田がホッケを釣り上げたかどうかは確かな記憶がない。
     次は須築新港に立ち寄った。外防波堤で10名ほどの釣り人が並びホッケを釣り上げているのが見える。そこまで歩いて行く元気があるかどうかが心配だったが、堀田が行こうという。堀田が行こうということになれば全員がその意志を尊重するしかない。
     岸壁の縁にはホッケが群れている。中川がサビキ釣りからウキ釣りに変更してすぐにホッケを釣りあげた。「お前の仕掛はやっぱりすごい。」と中川らしい自分よりも他人を讃えるコメントだ。チカやワカサギ、ブリやソウハチでは味わえない釣りを楽しんでくれたのなら良いのだけれど・・・。蔵田がホッケを掛けた。しかし、へっぴり腰で大物を持ち上げることが出来なくてその魚を岸壁に当てて釣り落としてしまった。そして、まもなく同じような大物を掛けた。今度はリールを巻いてから慎重にやりとりして釣り上げてしまった。これが蔵田の勘の良いところだろう。何でも器用にやりこなしてしまう蔵田なので釣りを趣味とすると名人の域に達してしまうと思うのだが・・。エサを付けて振り込む姿も様になってきた。
     ホッケを釣り上げていないのは堀田だけになった。堀田はウキサビキで拘りの釣りを続けている。港の中は、ホッケの姿が見えるのだが撒き餌を吸い込むだけで、ハリの付いたエサは吸い込まないのだ。他のメンバーの仕掛は既にハリスを細くして小さなハリを付けた繊細なものに替えてある。本当にコツコツとした小さなアタリを見逃さずに合わせないとハリ掛かりしないのだ。私もその仕掛に替えてから何匹かのホッケを手にすることが出来た。だが、堀田にウキ釣りを勧めても頑として譲らない。そして、とうとう執念で型のいいホッケを釣り上げてしまった。そしてそのホッケをリュックにしまおうとした。奥さんに自分の釣ったホッケを持ち帰って食べさせたかったらしい。これも愛妻家である堀田一流の拘りがあるのだろう。
  • 須築漁港でのウキ釣り。ホッケは見えているのだが口を使ってエサに食い付かない。
  • 中華麺レストラン「紅天楼」。中川がスマホに「せたな町ラーメン」と呼びかけると案内してくれた。便利だね
  •  一応全員がホッケを釣ったので引き上げることにした。お昼を過ぎてお腹もすいてきたので、せたな町の中華麺レストラン「紅天楼」でラーメンを食べた。そこで明朝の釣りの打ち合わせをした。投げ釣りよりもホッケ釣りがしたいということだったので事前に調べておいた「久遠漁港」に入ることにした。釣り新聞ではホッケの☆マークが3つも付いており、その釣り場の隣には中防波堤が突き出ているので投げ釣りを嗜む堀田にも納得がいったことだろう。
     3時にはアワビ山荘に着いて早速温泉に浸かって、冷えた体を温めた。露天風呂は苔生しており、いかにも古宿の佇まいを醸し出している。鉄分多めの茶褐色のお湯は、湯冷めしにくく、身体の芯から温まるということだ。
     ビールをグビッとのど元に流し込んでいると上野が部屋を覗いた。なんでも平田内にあわびの里「ひらたない荘」という案内があり間違えて入っていたのだそうだ。1時間も過ぎても駐車している車はなくて、その宿に確かめると、よく「あわび山荘」と間違えるお客がいるということだそうだ。上野にも意外な一面があるのだと・・・。
     予定していた午後6時に懇親会が始まり旧交を温めた。最長老の中川からいつにも増して流暢な挨拶をもらい、堀田の木訥な乾杯の音頭で懇親会が始まったが、近況報告というより、本日の釣りの話題で盛り上がった。私は、家から持ってきた日本酒で疲れをとる。そして、次の日の釣りに備えて堀田と共に早めに床に就いた。他の部屋では歓談が続いていたらしい。
  • さすがに「あわび山荘」という名が付くだけあって地場産のあわび料理には堪能させられた。あわび釜飯、活あわびお作り、あわび踊り焼きをメインとして季節の鍋物、焼き物、天ぷらなど旬の素材と一緒に楽しむフルコースだった
  • 野郎会の仲間たち
  •  3時に合わせた目覚ましが鳴った。隣では堀田がグウスカ眠っていて起きる気配はない。他はどうかと見回ると、みんな戦闘モードを整えていた。釣りはしないといっていた上野までジャンパーを着こんでいる。堀田を叩き起こした。そして、暗闇に乗じて宿を抜け出し、下見をしていた久遠漁港に向かった。
     釣り人は誰もいない。そして、釣りの形跡も全くないのだ。ホッケが居るのかどうか心配になったがまずはマキエを撒いた。しばらくするとホッケが寄ってきた。だが、昨日の須築漁港と全く同じだ。魚は見えるのだが撒き餌には食い付いても、ハリの付いたエサには見向きもしないのだ。
     堀田が突堤で4本の竿を出して投げ釣りを始めた。そして、腰を溜めてリールを巻いている。何か上がったようだ。近づいて確かめてみると手の平大のクロガシラだった。クーラーには、上手そうなハゼとクロガシラ、そして、岸壁には釣り上げたツブが転がっていた。
     上野は車の中から竿を出している。いわゆる殿様釣りを洒落込んでいるのだ。ホッケが掛かったときはどうするのだろう。理論派の上野のことだから気が付かないはずはないと思うのだが・・・。まさか手に持った竿をそのままにしてドアを開けようと考えているのだろうか。まあ、アタリの気分だけでも味わおうというつもりなのだろう。
     たかが1本の竿で魚を釣るということは、漁獲量を第一とする他の漁法にくらべると、獲れる数が知れている。釣り人はみんなそれを承知でやっている。というのは、ほどほどの数で満足することを知って、一番楽しめる方法をとっているからである。この趣旨に立つ以上、私達の求める釣果は、職漁者における漁果とは根本的に違ったものであるはずだ。釣果が必ずしも数量だけでなく、それに伴う内的な情趣をも加味するものであってみれば、目的にためにこそ手段を選ぶことが、釣りの大切な条件でなければなるまいと思う。そう考えると、上野の釣りもまた彼にとっては最良の釣りということになろう。
     地元の漁師がやってきた。そして、みんなにホッケ釣りの講釈をしている。エサを小さくして、コマセの中に紛らわせるようにしたら喰って来るのだそうだ。それを忠実に再現した田中がホッケをかけた。彼の素直さがこのホッケを呼び込んだのだろう。竿が弓なりになっている。そして、竿をためてヒョイと煽ると見事に岸壁の上に躍り上がった。今回一番の大物だ。メジャーを当ててみると40㎝をはるかに超えていた。その田中の1本に満足して引き上げることにした。みんなで今回の獲物30本余りを分け合ったので、なんとか家族で食べる分ぐらいにはなっただろう。田中が釣った3匹のウミタナゴも誰かに引き取られていった。釣るのは難しいといわれているウミタナゴを3匹も釣ったのだから、釣りの勘は良いということだろう。
  • 「今回一番の大物です。これは私が釣りました。」誰が釣ったんだっけ?それは竿を持っている者でしょ
  • 拘りもこんなものでいいでしょうか?
  • 皆さんそれぞれホッケを釣り上げてご満悦
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  • 自然治癒力の限界
     私の唯一の趣味は魚釣りだ。しかし、この釣りにはいつも悩むことがある。自然との狭間の中で自分のしていることに納得がいかないことがあるのだ。自分の釣りが自然を壊すことに繋がっているのではないかということだ。今回も沢山の撒き餌を海に撒いた。それが自然の摂理を無視しているのではないかと思うのだ。しかし、考えても見よう。一個の人間がどれだけのものを破壊するというのだ。そうして次のように合理化してみる。
     世の中には、お金に換えてはいけないものがあると思う。日本という経済大国が、経済の論理で動いているのは分かる。しかし、それにしても、その原理で扱ってしまってはいけないものが、間違いなくあると思う。誰かが、どれだけ金を儲けようとかまわないし、たくさん税金をよこせというのならくれてやろうとも思う。しかし、その金を使って、かけがえのないものが破壊されてゆく。今、日本中で行われている自然を破壊する工事は、目を覆うばかりである。素人がみても、必要のない工事が、いま、日本中の山や川に対して行われている。
     巨大化した恐竜がある量以上の食物を摂らねば生きてゆけなくなってしまったように、日本という国の経済もまた、そのようになってしまったといってもいい。土建会社を例にあげると、現在、存在する土建会社が生き残ってゆくためには、単純に考えても、現在行われている工事と同量か、あるいはそれ以上の工事を、半永久的にやってゆかねばならないということである。これはつまり、半永久的に、自然が破壊され続けてゆくということである。河川や自然に加えられる工事の中には、必要な工事が存在するのを、むろん、私も知っている。
     人間というものは、結局、自然を食いつぶしてゆくしか、生きてゆけないものだろうか。自然が持っている回復可能な弾力の中で、人間が生きてゆく方法はないものであろうか。そして、個人が趣味でする釣りぐらいは許されていいと思うのだ。
     朝食をとったあと、上野は函館に戻り、私達5人は来た道を引き返した。途中、漁師の小屋を覗き、お土産に牡蠣とホタテ、シラスを買い足し、茸王国で蕎麦を食べてから解散した。この次はどこで野郎会が開催されるのだろうか。日本ハムファイターズの観戦を楽しみにしていて良いのだろうか。昨日は4-2でロッテに勝った。その前の日も15-1で大勝している。でも現在は5位である。大谷の復活が楽しみなところである。
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