7月8日東静内漁港お持ち帰り無し

  • 2020年思い出の釣行記No.10
  • お持ち帰り無し!
  • 7月8日 静内入船漁港・7月9日 東静内漁港
     タカノハ33㎝以下5、イシモチ1、ハゴトコ1
  • 7月8日(水) 静内入船漁港
     タカノハが釣れる時期になってきた。今回は、静内入船漁港と東静内漁港に向かうことにした。午前10時出発、途中静内の街のラーメン店で昼食をとり、入船漁港には13時過ぎに到着した。本日は午前から断続的に雨が降っており、午後からは曇りとなっているので釣り人は誰もいなかった。
  • 今にも雨が降り出しそうな空模様だ
  •  早速、低く垂れ込めた曇り空の下で4本の竿にロケットカゴ仕掛けを付けて振り込んだ。アタリは出ない。そのうちにポツポツと雨が降ってきた。そんなこともあろうかとカッパを持ってきていたので、それを着込んだ。かなり強い雨が背後から打ち付けるようになった。しかし、灯台の陰に隠れると雨をしのぐことが出来た。
     カンカイやアカハラがイタズラしているような小さなアタリは出るのだが、魚が乗ることはなかった。根がある右斜めに打っていた竿に少し大きめのアタリが出た。しかし、その獲物はハゴトコだった。陽が落ちるまで粘ったが結局獲物はなかった。
     明日に備えて、東静内漁港に向かった。明日の天気予報は晴れである。竿袋だけを担いで先端に向かった。釣り人は誰もいないので、右角に竿を三脚に立てかけてから車に戻って眠ることにした。蒸し暑くて眠れない。何度かクーラーを入れて体を冷やして横になっているうちに眠り込んだようだ。

    7月9日(木) 東静内漁港
     目覚ましをかけた4時前に目が覚めた。キャップライトを点け車の横を歩いて行く人がいた。おそらく釣り人だろうと思われるが手ぶらである。ルアーマンだろうか。慌てて荷物を担いで先端へと向かった。左角にサーフリーダーを4本出した若い釣り人がいた。朝の挨拶を交わしてから、エサを付けて振り込んだ。
     漁船がひっきりなしに防波堤際を通る。全てに道糸沈めを付けていたので漁船に道糸を引っかけられることは無かったが、アタリが分かりづらく、竿を上げたときには小魚にカツオの身が食いつかれてボロボロになっていた。大ぶりに切ったカツオを飲み込むだけの大物はいないようだ。
     隣から声が掛かったので振り向くと、規定を超えるタカノハをぶら下げていた。他人の釣果でも不思議なことに元気が出る。彼と少し話し込んだ。よくよく話をしてみると「へたのヨコ釣り北海道日誌」のブログを開設している若者だった。失礼だったがお歳を伺うと40代だった。どう見ても雰囲気の柔らかな20代にしか見えなかった。しかし、その話しぶりからはベテランの域を思わせる釣り師だった。ブリ、ヒラメ、サクラマス等のルアーフィッシング、カレイやアブラコ、カジカの投げ釣り、エギによるイカ釣り、サケ釣り、アナゴ釣り、そして一番好きな釣りはハチガラだという。
     彼の友達が、他の釣り場で竿を出しているらしく、頻繁に連絡を取っていた。そのうちに竿を片付けだした。「勉強のために浦河町幌別で竿を出してみる」ということだ。行動力にもあふれた釣り師だった。
     彼が竿を出していた方は、漁船が近くを通ることはなく、煩わしさがないのでそちらに竿を移動した。道糸沈めを使っていないのではっきりとしたアタリが出るようになり、そのアタリに合わせるとウグイが3匹掛かった。カツオのエサが少なくなってきたこともあって、それをエサにした。生きが良いので身が花のように開きいかにも旨そうだ。しかし、そのエサにも反応がない。
     陽が高くなってきたので、その日差しが体を焦がし、汗が噴き出てきた。灯台の陰に折畳み椅子を据えると爽やかなそよ風も回り込んできて、快適になった。しかも、竿先が見えるので釣りに支障がでることはない。しかし、午後になると日差しが灯台を回りこんできて、そこにはいられなくなった。陽の陰に隠れるてしまうと竿先が灯台に遮られて見えなくなるので、また日差しの中に体を晒すことになった。
  • 日陰に置いた折畳み椅子の上でのんびりと竿先を見つめた。午後になるとその場所も日差しに晒された。灯台の陰に入ってしまうと竿先が見えない。
  •  11時半の最干潮に近づいてきて、周辺の海上にはゴミが溜まるようになった。一旦竿を上げて、昼食のおにぎりとお茶をとりに車へと戻った。その帰りに港内にある離れ旧防波堤に近づいていくとカモメが私を威嚇するようにしきりに鳴いた。すると、すぐにその仲間と思われるカモメがその防波堤に舞い降りた。よくよく見ると、防波堤に蔓延った草原の中から2羽のヒナ鳥がヒョコヒョコと出てきたのだ。母鳥と思われるカモメが盛んにヒナ鳥を草原に追い込もうとするのだが、ヒナ鳥の方は我関せずと動き回る。写真だけ撮らしてもらってその場から離れた。私にとってはカモメの雛と遭遇するのは初体験である。カモメの方は迷惑千万なのだろうが、なんだか得をした気分になった。
  • 防波堤上のカモメ「お父さん、早く来て!変なおじいさんが雛を狙っているみたい。」
    飛んでいるカモメ「おう、まっとれ、今すぐ行くからな。」
  • 雛を見守る夫婦カモメ。矢印の先に雛が2羽いるのが分かるだろうか? 
    下の雌カモメ「あなたが来てくれたので安心だわ。」
    上の雄カモメ「毛繕いをしてからおまえと交代するよ」
  •  のんびりと折畳み椅子に座り込んでいると、ズッドーンという発射音と共に戦闘機のジェット噴射のような轟音が響き渡った。そして、その軌道を描くように飛行機雲が残った。何だったのだろう。発射された方を見ると、陸上自衛隊静内駐屯地がありそこに併設された静内対空射撃場があるのだ。その飛行機雲の行方を眺めていると、今度は2発の発射音が轟いた。グゥオォォォォォーとジェットエンジン音が響き、2筋の飛行機雲が軌道を描いた。
     自宅に戻ってからネットで調べてみると、【例年、7月中旬に記念行事が行われています。静内駐屯地の場合は、国道を挟んだこの静内対空射撃場にて式典等が行われ、その後の訓練展示では87式AWと81式短SAMの実弾射撃が行われます。駐屯地創立記念行事等で実弾射撃が行われるのは、おそらく唯一ではないでしょうか】とあった。
  • 目の前でロケット弾が発射された
  • 自衛隊員が漁船に乗って着地点方向に向かって出て行った
  • 87式自走高射機関砲「スカイシューター」
  • 81式短距離短地対空誘導弾「ショートアロー」
  •  そういえば、朝からしきりにスピーカ音が聞こえたのだ。年老いると共に耳が遠のいためになんと言っているのか分からなかったが、おそらくその射撃訓練を実施するというものだったのだろう。
     実弾射撃という戦争兵器やその轟音の響きは気味が悪いが、飛行機雲にはスピリチュアルな意味が隠されていると言われている。飛行機雲を見つけた時というのは、願い事が叶いやすい時だそうだ。幸運の前触れだと受け止めて叶えたいことを願ってみてもいいのかもしれない。
     その飛行機雲をみた所為であろうか。タカノハと分かるそれらしきアタリが出た。大きく竿を煽ると、確かにカレイ類独特の下へ下へと潜り込んでいく泳ぎだ。願ったとおりのタカノハだった。しかし、35㎝にはわずかに届いていない。しばらくすると、また、竿先を大きく押さえ込むようなアタリが出た。これは先ほどのものより更に小型のものだった。
  • 最初タカノハは、35㎝に届いていない
  • 2枚目のタカノハも30㎝に届いているのかどうかという大きさだった
  •  「つりしん」記者が訪れた。3ヶ月前に入社したばかりの「渋谷」と名乗った。門別港、富浜港、入船港などを廻ってきたが、タカノハの釣果はなかった。「どうですか」と聞かれたが、「まだ、規定の35㎝を超えるタカノハは1枚もあがっていない」と言うと、残念そうに引き揚げていった。これから、襟裳方面に向かい、釧路、根室と取材して歩くのだそうだ。好きな「釣り」を職業にしたが、取材にはなかなか厳しいものがあるだろうと予想される。私自身は社会的に背負うもが全くなく、気楽な身分であることに感謝している。