11月17日落部 稲葉監督とジイジの嗚咽

  • 2019年思い出の釣行記No.25
  • 稲葉監督の嗚咽
  • 竿道会第8回大会 13位
    11月17日
    落部(栄浜)漁港
    カジカ、アブラコ本日の釣果
  •  爆弾低気圧が発生して、開催場所が平田内~上浦漁港から内浦湾へと変更になった。ちらほら頼りの聞こえだしてきたホッケの大物を想定した仕掛けから、アブラコ・カジカ狙いにシフトせざるを得なかった。茂無部鉄桟橋に着いてみると今まさに最干潮で磯は大きく後退し、波は穏やかに打ち寄せていた。その代わりといっては何だが、北西混じりの強い風が横殴りに吹いており、乾いた雪がその風に乗って吹き付けていた。
     鉄桟橋に乗って道具を出し始めた。手が凍えないようにとあらかじめゴム手をはきながらの準備だ。コマセ団子をたくさん作って、ゴム手でゴロやカツオをハリに付けるため時間がかかってしまった。まずは、近投を中心にゴロネット天秤仕掛けを打ち込んだ。しかし、正面にある鉄製棒杭を避けて打ち込んだつもりが、風に煽られて鉄杭の方向に飛んでいった。その仕掛けは例のごとく鉄杭の構造物に引っかかって失ってしまった。
  • 本日は右から4、5本目の鉄杭がなくなっていた。(2016年撮影の桟橋)
  •  アタリが出ても魚が乗らない状況が続いた。ようやく、小さなアタリの後に竿先が食い込んだ。35㎝ほどのカジカだった。鉄杭の手前に打っていた竿にも微妙なアタリが出てあげてみると30㎝ほどのアブラコがダブルで釣れてきた。しかし、大物はいないようで小カジカや小アブラコが釣れるだけである。潮が徐々に混んできて風に煽られた海面が沸騰するようになり、危険を感じるようになった。強い風に体が吹き飛ばされて桟橋から海中にドボンという状況を避けたいのだ。やむなく撤収することにした。
     その場で釣り道具を片付けることはできず、小分けにして風を避けられる小屋裏に運んでからゆっくりと片付け始めた。向かいの商店の陰から前照灯を点けた車が出てきた。しばらく留まってこちらの様子を観察しているようである。この暗い闇の中でヘッドランプを点けた怪しげな男が彷徨いている。店の者にとっては不審者そのものであろう。それでも構わず片付けていると背後から「何をしている!」と大声がかかった。その声は幾分震えているようでもあり、店の倉庫前を彷徨く不審者に勇気を持って声かけたようでもある。
     栄浜漁港に向かってみた。防波堤の胸壁が風を遮ってくれると思ったのだが、その胸壁は私の背よりも低いものだった。頭に吹き付ける吹雪混じりの強風は避けようがないが、桟橋のように体全体を襲うようなことはなく、温かく感じるほどだった。
     5時だった。そこで三本の竿を出した。しかし、全くアタリのないまま締め切り時間が来てしまった。規定の10匹に1匹足りない9匹だった。
     審査は、おぼこ荘で実施された。この悪天候の中、皆さん素晴らしい釣果だった。
  • 総合優勝:小林茂之氏の魚
  • 総合準優勝:宮野一成氏の魚
  • 総合3位:山田秀敏氏の魚
  • 身長優勝:三浦秀則氏の魚(上部のアカハラが身長優勝。総合でも5位だった)
  •  自宅に帰ってから、「WBCプレミア12」の決勝である韓国戦のテレビ中継を見た。山田哲人内野手が逆転3ランを放って4対3で逆転したシーンまでは見ることができた。しかし、その後は釣り大会の疲れで眠りこけてしまったらしい。結果は5対3で勝利し、悲願の初優勝を果たした。稲葉監督が思わず涙をみせ嗚咽していたのが印象的だった。10月22日に始まった宮崎合宿から実に1ヶ月近い期間、稲葉監督とコーチ、選手は寝食を共にしてきた。コミュニケーションを重ねて結束力を高め、そして悲願の初優勝を掴み取ったのだ。優勝と相まって様々な重圧から一気に解放されたことで稲葉監督の目から止めどもない涙があふれ出てきたのだろう。さあ、稲葉監督には来年の東京五輪に向けた戦い方のイメージを膨らませてこれからも指揮を執っていってほしいと願うばかりだ。これから納竿期を迎え、私も来年に向けて大物と格闘しているイメージを膨らませていきたい。
  • 孫の雄姿、そして孫じいさんの嗚咽
  •  翌日、婿から「みてね」が送られてきた。小学1年になる孫が懸命にボールを追い、ファーストで相手バッターランナーをアウトにする連続写真だ。そのシーンを見て思わず孫じいさんの目から止めどもない涙が溢れ出てきた。数多くの子どもと接してきた私の経験でも、小学1年生でこのようなプレーができる子に触れたことは稀である。このような素敵な少年に育ててきた娘にもその婿にも大いに感謝したい
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