究極の選択
- 2023年思い出の釣行記No.10
- 2023札幌竿道会第4回大会
- 気持ちの問題?究極の選択!!
- 釣 行 日 6月11日(日)
入釣場所 大天狗トンネル覆道
潮(神威岬)干潮 02:56 6㎝
満潮 11:09 21㎝
天 候 晴れ 波風とも穏やか
釣 果 カレイ 225 ㎜ 1
重量 15 0g
点数 240 点
成 績 16 12点
累計点数 24点(④②⑤⑫)
- 今回の大会範囲は、積丹半島一円なので、どのような釣りになるのだろうか。一応、釣り場は大天狗トンネル付近と考えている。ここで一度護岸堤の上から竿を出していた御仁を見かけたことがあったのだ(👆2019年思い出の釣行記No.9👆)。カレイを狙っているということだったが、グーグル航空写真で見ると岸際30m~70m程、浅い根原が広がっており、カレイを狙うには不向きな場所のように思える。
またここは、バスから降りての路側帯なので歩く必要がない。覆道の下で雨宿りも出来る。ちょっと安易だろうか?付近には沼前岬、アキアジ場、ジュウボウ岬がある。まあ、私の体力では無理とおもわれるが・・・?
ちょっと気がかりなことがある。以前、ここを通った時に「西の河原付近で熊が出没しているため、周辺の駐車帯を封鎖しています。当分の間、釣り等はご遠慮下さい。」との看板を見つけたのだ。(👆2021年思い出の釣行記No.8👆)熊に怯えて釣りをするのは御免被りたい。
この時期なので、どんな釣りが出来るのであろう。ホッケやカレイはすでに磯から去ってしまったと思われるので根魚狙いになるのだろう。古い話になるが、岩見沢釣遊会で積丹半島一円にて大会を開催したことがある。この時は下見を兼ねての釣行で、神崎平盤でソイとホッケを釣った。そして次の日、武威トンネル裏でホッケを大漁、アブラコやマガレイも釣れたのだ(👆1995年思い出の釣行記PART1👆)。味をしめて大会では武威岬に入った。幌内府川河口でカジカを捕ってから武威トンネルを抜けて、武威岬に向かうという荒芸をやってのけた。しかし、釣果の方は散々だった。(👆1995年思い出の釣行記PART.3👆)時期によって、釣果の差が歴然と出たのだ。
雨模様の天気の隙間を縫って、大会当日は晴れで波風とも穏やかだった。宮野氏が西の河原駐車場で下りるというので、私は、大天狗トンネルを抜けた所でバスから降ろしてもらった。
護岸堤の上では、8個ほどの竿先ライトが光っていたがその持ち主は皆、車の中で仮眠中のようだ。ここに釣り人が居たことに期待を膨らませ、私はその右端に竿を設置した。早速、ゴロネット仕掛けで近投したが根掛かりばかりを繰り返す。チョコチョコッとしたアタリは出るものの、竿をくい込ませることはない。その内に山の稜線がうっすらと見えるようになってきた。熊が徘徊する時間帯だ。 - アキアジ場方向を望む
- 突然、バーン、バーンと続けざまに破裂音がした。車の中から釣り人が出てきて、爆竹を鳴らしたようだ。これで、しばらくは熊が出てこられなくなるだろう。安心して釣りが出来るというもんだ。
車から出てきた釣り人は、改めて仕掛けにエサを付けて竿を振り込んだ。彼らに様子を聞きに行った。
「昨日から、釣りをしていて夕まずめに、型のいいマガレイが4枚来ました。相棒は2枚です。何度もここに釣りに来ているが、狙いはマガレイとホッケです。この時期なので、ホッケは無理としても、なんとかマガレイの型をみたいとやっています。根モノは釣れたことがありません」と話された。
近投は根掛かりばかり繰り返すので、ロケットカゴ仕掛けの中投と2本バリでの遠投に切り替えた。これにも小さなアタリはあるのだが、魚が乗らない。アタリに合わせて鋭くしゃくると、10㎝ほどのガヤだった。
手稲からやってきたというクボタさんとその相棒のヤンマーさんがやってきて、
「チョコチョコと竿を揺らすアタリの犯人はこいつだったのですね。根モノを狙っているのなら、左方向に見えるアキアジ場に進むとアブラコの獲れる沖根があります。そこに向かってはどうでしょう。」その言葉に元気が出て、様子を見に行ったが、3、4個のテトラを越えなければならなかった。
「釣り会ではテトラに乗ることは禁止されているので、残念ながら向かうことは出来ません。」
「あなたが黙っていればよいことで、何処で釣ったかは分からないでしょう?どうしてですか?」
「それはそうですが、私の気持ちの問題です」
それからもしばらく経っても誰もアタリが出ずに、退屈なのか様子を見に来たクボタさんは何度も話しかけてくれる。私の問いかけにも気取らずに快く対応してくれる。全く気持ちのよい御仁だ。 - 沼前岬方向を望む
- 6時を回った。
「右に見える、沼前岬はどうでしょう。先端で何人かの釣り人が見えます。私は行ったことがありませんが、根モノも出ると聞いています。」その言葉で様子を見に向かってみた。丁度、二人の釣り人が帰ってきたところだったので、話を聞いてみた。
「マガレイを狙ってやってきましたが全く駄目でした。もうマガレイの時期は終わってしまったようです。先々週はよかったのですけどね」。それでも、参考のために向かってみることにした。途中、下り口にあるテトラの山を越えなければならなかったが、釣りをする訳ではないのでいいだろうと先端方向に向かった。2カ所ほど斜めに切り立つ岩壁を進まなければならず、手ぶらでもやっとこさ乗り越えていった。なるほど聞きしに勝る素晴らしい釣り場だった。しかし、荷物を担いでここまで来るとなると、私には到底無理なように思えた。 - 振り返ってみると、テトラを越えなくても草原から磯に出ることは出来た
- 手前の二つの出岬が行く手を阻んでいたが、それを越えると磯は平坦で楽に先へと進むことが出来た。全く素晴らしい釣り場だった。
- 話し込んでいると、久し振りにクボタさんの竿に小気味のいいアタリが出た。その主は残念ながらアカハラだった。「アカハラが釣れた。審査の対象になると思うので持って行ってくれ」
「残念ながら頂くことは出来ません。これも私の気持ちの問題です」
バーン、バーン、とピストル型の爆竹が鳴った。念のため、再度熊が出てくるのを警戒しているようだ。
「万が一大物がかかったときのために柵の外側に竿を設置しました。しかし、これは熊が出てきた場合に逃げ場がないのではと、柵を介して対峙しようと思ったからです。」
「それでも襲ってきてどうしようもないときは、海に飛び込めばよい。熊に喰われてしまうか?浅い海に飛び込んで怪我をしてでも命を守るか?どちらを選ぶ?」
「究極の選択ですか?柵の外側に竿を設置したのは私の気持ちの問題です。柵を乗り越えて熊が襲ってきた場合は咄嗟に海に飛び込むでしょうね。」
随分と早くにバスが迎えに来た。幌武意で釣りをしていた矢根さんが、早めにこちらに向かっていたのだ。私も、竿を片付けることにして最後にあげた竿に、ようやく20㎝を超えるカレイがかかっていた。暗い内に釣り上げていた20㎝に届くかどうかのガヤを伸ばしていると、
「ルールを守るというあなたがガヤを伸ばしているとはねぇ」
「これも、究極の選択です。2匹で20+20で400点です。これで、ドンベは逃れることが出来るでしょう。」審査時にはガヤがさらに縮まって、ポイと弾かれてしまった。 - 「つれづれ」
♥第3位の佐藤勝彦氏(👆2019年思い出の釣行記No18👆)から、魚を頂いた。私の釣果が惨めに思えたのか、審査後に私のバッカンに身長賞になったアブラコ等を入れてくれたのだ。次回大会の太平洋で必要となるだろうアカハラも2本入っていた。刺身にしたクロガシラは脂が乗っていて実に美味かった。
♥釣り場で出会ったクボタ氏から電子メールが届いた。「釣れ釣れなるままに北海道」を訪問して下さった感想だったが、これはこれで大変嬉しいものである。