3月9日浜厚真港 孫という名の宝物

  • 2020年思い出の釣行記No.3
  • 孫という名の宝物
  • 3月9日
    浜厚真港
    クロガシラ35㎝以下6枚
  • 今日は35㎝以下6枚
  •  初釣りから1週間が過ぎた。すると、またぞろ釣り虫が蠢いてきた。前回は、潮が悪いにも関わらず思った以上の釣果を見せた。今日の天気予報は上々だ。曇り空だが風も弱くお昼には8℃と上がり、午後9時になっても4℃と暖かな1日となりそうだ。翌日が満月で、14:44に139㎝と満潮を迎えるので、その満潮に向かう上げ潮時には着きたいと、出発を午前10時前とした。ホーマックで練炭やイソメを購入し、隣のビッグハウスで夜食にするおにぎりやカップ麺を買った。
     厚真町のセイコーマートでお弁当を買って慌ただしく掻っ込み、浜厚真へと向かった。先日よりも駐車場に停めてある車が多いが、前回釣りをした場所が空いている。迷わず釣り場をそこに決めた。釣り道具を運んでいると、ここの釣り場の主となる伊藤氏が現れた。今日は朝からやったが1枚も手にしていないと残念な結果を教えてくれた。伊藤氏が駄目ならみんなが駄目だというように相当厳しい状況であることに間違いはない。
  • 浜厚真港付け根にある岩場でも3名が竿を出していた
  •  前回と同じ場所に荷物を置いた。左隣の若者に話しかけると、若いも若い高校1年生で、今の新型コロナウイルス対策で学校が3月いっぱい休校だという。そして、このまま釣り三昧でも無事に進級できるという。2日前にもここでクロガシラを狙った釣りをしていて、防波堤の胸壁から海を覗くとニシンが群れをなして泳いでいるのが見えた。すぐにサビキ釣りをすると大ニシンが20本ぐらい釣れたとのことだ。家族にもすこぶる好評だったようだ。なるほど4本出していた竿の1本には、ニシンの群れがいつ来ても素早く対応できるようにとサビキ仕掛けがぶら下がっていた。
  • 低く垂れ込めた雲が、夕方からは濃霧となって向かいの火力発電所からの照明は全く見えなくなった
  •  釣りはお父さんに連れられて小1からやっており、今年もここに5回ほど足を運んでいるという。話を聞きながら彼の竿から伸びた道糸の方向を確かめていると、その意図を察したのか「真っ直ぐ投げているので大丈夫ですよ」と安心させてくれた。そしてその言葉通り彼が引き揚げるまで一度の糸絡みもなかった。富川町に住み、朝早くおじいちゃんに車で送ってもらったという。まもなくそのおじいちゃんがやってきた。どうも孫の様子をみがてらお弁当を届けに来たらしい。
     私も25号竿を4本出した。前回は30号竿で打ったロケットカゴ仕掛けでは釣果がなかったのでどれも2本バリで遠投した。しかしアタリは無い。その高校生は、投げ竿3本全てにエサを付け替えてからビシュっと竿を鳴らして振り込んだ。それから、ブラクリ仕掛けを繋いだルアー竿を持って「穴釣りをしてきます」と遠征に出かけた。
     全くアタリは出ない。
     私も、周りの状況を確かめるために防波堤先端まで歩くことにした。テトラ越しに竿を出している人にも釣果はなく、その先で何枚か釣り上げたクロガシラを港内に吊している人を見かけたが、その数は少なかった。ほとんどは朝から○坊主ということだ。向かいから30㎝ほどのアブラコをぶら下げた先ほどの高校生がやってきた。思うようなテトラの穴はなく、ヘチ釣りであげたもので、まだしばらくヘチ釣りを続けるつもりらしい。
     私は、釣り場に戻ってエサを付け替えて振り込んだ。高校生も戻ってきて、「この私の竿にクロが付いていますよ」と竿を煽った。なるほど35㎝ほどのクロガシラが胸壁から姿を見せた。そして、また、全てにエサを付け替えて振り込んだ後、もう一度遠征に出かけてしまった。そして、次に戻ってきた時にはルアー竿の他に1本の投げ竿をもって現れた。他の場所でもクロガシラを狙って竿を出していたらしい。
     アタリは全く出ない。
     夕闇が迫る頃、おじいちゃんが迎えに来た。「お孫さんのおかげで魚の心配はいらないでしょ。」と問うと、「自分たちが食べる分は孫が釣って来てくれるので間に合うが、ニシンは知り合いに送った。」と、まだまだお孫さんの釣果に期待しているようだった。そして、お孫さんが可愛くてたまらないという素振りで片付けを手伝いだした。お孫さんの方は、おじいちゃんの手を借りることもないが、おじいちゃんに寂しい思いをさせたくないという気遣いで、おじいちゃんの好きにさせているようだ。朝方釣った40㎝ほどのカレイと、先ほどのカレイのエラにナイフを入れて、再びフラシを海水につけて揺らしてから引き上げた。その姿は本当に手慣れたものであった。なぜだかこのとき「孫という名の宝物」という曲が私の心のヘチで流れていた。
     全くアタリは出ない。
     周辺は私一人だ。見つめる竿先にも変化がないので、PE0.8号を巻いた2本の竿を追加した。そこへ、新たな釣り人がやってきた。【への字】方向に釣り人が入っていないのをみて、左隣で竿を出していいですかと断ってきた。若者が入っていたところで、この周辺では一番のポイントとされているところだ。茶褐色の迷彩防寒着を身にまとったここの常連である。パジェロに乗った恵庭市からの釣り人で、私も何回か見かけたことがあった。勇払マリーナの様子を見てきたが、釣り人も引き揚げて2、3人しかおらず、釣果もぱっとしない様子だったので、通い慣れたここに来た。釣りは農閑期の冬期間だけで、餌代やガソリン代ぐらいは稼がないととアルバイトをやっているので休みの日に出かけている。12月はホッケ釣りに西積丹の港に通っていた。今シーズンは絶好調だったので、毎回クーラー2杯分ぐらいは釣ってきていた。その後はチカ釣りをしながらクロガシラのシーズンを待っていた。ここには今シーズン5回目だということだ。
     全くアタリは出ない。
     練炭コンロでお湯を沸かしコーヒーを入れた。気温が氷点下になることはなく手が凍えることもないのだが間が持たないのだ。午後7時頃、チョンチョンとアタリが出た。今日初めてのアタリだ。慎重に合わせると乗ったが非常に軽い。20㎝に満たないクロガシラだった。もちろん再度海にお帰り願った。
     午後10時を回ったあたりからポツンポツンとアタリが出始めた。食い込みが悪くアタリが出てもそのまま途切れてしまうことが多かった。魚が掛かっても飲み込んでいることはなく口先にチョコンと掛かっているという渋い状況だ。隣も35㎝ほどをあげた。交互に釣れるのだが、私より一回り大きい。結局、6枚となったところでエサ切れである。丁度日を跨いだ時間だった。練炭は完全に火が消えていた。
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