兄 北海道百名山118座登頂おめでとう

  • 2020年思い出の釣行記 番外編
  • 北海道百名山118座全山登頂おめでとう
  •  72歳になる兄が北海道百名山118座全山登頂を果たした。その時の模様が10月21日(水)、道新夕刊水曜コラム欄で紹介された。私がくどくど話すよりもその記事を引用させてもらう。
  • Ganさんの地図なき人生に乾杯!
    【沢屋のプライド】
  •  生き方は当然として、仕事や趣味においても、誰もが自分なりの誇り、プライドを持っている。見栄といってもいい。弱さや実力不足を自覚しながらも、他人に意見されると、ついむきになって否定や反論をしてしまうのは、その一例だろうか。
     話は「北海道百名山」に飛ぶ。山と渓谷社発行の「新版 北海道百名山」で選定されている山は118座。イドンナップ岳や1839峰など、日高山脈を中心に手ごわい山も多く、道内岳人なら夢とも言える。
     善雄さんは私より七つ上の72歳だ。2000年1月8日、登山愛好者のインターネットの集まり、北海道の山メーリングリスト(略称HYML)の第1回親睦会で初めて会った。以来、一緒に沢を登り、「山のトイレを考える会」の活動も共に続けてきた。趣味の仲間というよりも同志に近い存在だ。善雄さんのように夏道登山しか関心がなかった多くの仲間に沢の楽しさを伝えられたのが、私の唯一の自慢かもしれない。
     これまで、沢登りは私が一方的に企画し、沢仲間が応募するというスタイルでやってきた。「Ganさん、日高山脈の札内岳(1895m)に連れて行ってほしい」。8月5日、初めて善雄さんの方からリクエストされた。その言葉は切迫感に満ちている。彼は北海道百名山117座に登頂済み。年齢と残存体力から考えると、今年118座目を逃したら全山制覇は夢に終わる。札内岳に登山道はない。札内川支流戸蔦別川、その支流のピリカペタヌ沢を延々と歩き、多くの滝を越えるルートは、ベテラン抜きでは踏破不可能だ。
     8月末、異常な暑さの中、3日間かけて札内岳に挑んだ。初日は標高676m地点にキャンプを張り、翌朝5時過ぎに出発。善雄さんの歩みは牛歩のごとくゆっくりだ。午前10時、標高1500mに達した頃にはナメクジ並になっていた。このままのペースだと明るい内にキャンプ地まで戻れず、登頂を諦めざるを得ない。なんとしても善雄さんを頂に立たせたい。身軽になれば速度は上がる。「善雄さん、このままでは山頂まで行くのは無理です。沢屋としてのプライドはありますか?」「ありません」「ではザックを渡して下さい」。午前11時55分、善雄さんは倒れこみながら山頂の三角点にタッチし、118座目をやり遂げた。
     あの時、善雄さんに変なプライドが残っていたら、どうなっていたかと思う。最近、私の周囲では「よしおる」という動詞が頻繁に飛び交う。不要なプライドを捨て、素直に生きる、という意味だ。また一つ、人生の良薬を見つけた思いだ。
  • (沢登りライター 岩村和彦)
  •  その詳細が「YOSHIOの北海道山情報」 http://yoshio49.web.fc2.com/satunai1.htm
    に記録されているのでご覧いただけたら幸いである。
     最近、登山者の遭難事故や釣り人の転落事故などの記事を目にすることが多くなった。私も釣行の時などは、今後兄に倣って「よしお」っていきたい。
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