5月26日苫前港 独自の色調へと変化

  • 2020年思い出の釣行記No.7
  • 独自の色調へと変化
  • 唯一の救いはこれだった
  • 5月26日・27日 苫前港・大椴海岸
     クロガシラ42㎝以下6枚、スナガレイ2枚、イシモチ2枚
  • ギターとパークゴルフと読書
     5月7日、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の延長が決まった。特に重点対策が必要な特別警戒区域に指定された北海道が解除されるのはまだまだ先のことになりそうだ。念のため、休館していた私立図書館に連絡してみた。やはり、休館措置が5月31日まで延期されることとなっていた。借りていた本は全て読み切っていたので暇になった。
     それではと言うことで、かねてから課題にしていたギターの練習をすることにした。すぐに、北海教育楽器に連絡すると、店は開いているという。弦6本セットと昭和の名曲60選という教則本を購入した。
     さて、弦を張ろうとすると、弦を締め付けるネジが緩んでいる。木ネジを一旦外してからその穴に爪楊枝を木工ボンドで補強してから、木ネジをはめ込んだ。そんなことをしている内に、今度は共鳴板の中でガタガタと音がする。叩いている内に中を支えている木片が外れてしまっていたのだ。このギターは、30年も前のものだ。職場の先輩から使わなくなったものをいただいていた。青年の頃に掻き鳴らしていた2台はゴミに捨てていた。
     なんとか使えるようにして弾いてみた。すると、すぐに指先が痛くなってコードを押さえることが出来なくなってしまった。ギターをいじっていた50年前頃は、指の先の腹が硬くなっていて、痛さを感じることなどなかったのだが・・・。私の20代の頃はフォークソングが流行っていて、岡林信康や井上陽水の曲をギターで伴奏にして歌っていたのが懐かしい。それでも、せっかくガットや楽譜を購入したのだからと、痛さを我慢して少しずつ練習を積み重ねていった。少しは、指先の肉が盛り上がり硬くなってきた。そうなると毎日いじりたくなる。趣味は、釣りと読書と歌。なんともちぐはぐな取り合わせだが、暇となった今では、貴重なものだと考えている。

     5月20日、混声合唱団の団長である松田氏から電話があった。パークゴルフ場の閉鎖が解かれることになったので、一緒にラウンドすることにした。昨年始めたばかりで少しは上達したと思っていたが、スコアは始めた頃に逆戻りしていた。北海道各地の漁港が閉鎖されている現在、パークゴルフは体を動かすのにもってこいなのでしばらくは続けることになるだろう。

     5月21日、図書館の閉鎖が解かれたことを聞きつけたので、早速、本を10冊借りてきた。これで、しばらくは暇をもてあますことはないだろう。

    そしていよいよ釣り
     5月25日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言解除から一夜明けた26日、釣友の岩本満氏から電話がきた。釣りに出かけないかとのお誘いだった。行く先は未だ釣り自粛要請が続けられていると思われる海岸を除外して留萌管内大椴海岸とした。岩本氏の情報ではホッケがあがっているという。
     現地に着いてみると、予報された以上の波風があり竿を出せそうにもない。やむなく竿を出せそうな場所を探しながら北上し、苫前港に落ち着いた。釣り人は誰もいない。岩本氏は付け根でホッケを狙うというので、私は、一度入釣したことのある防波堤先端へと足を伸ばした。一緒に釣りに来て場所を違えるというのもどうかと思うが、それぞれの釣り趣が違うのだ。
     竿を出そうとして忘れ物をしてきていることに気づいた。三脚や錘を忘れていたのだ。岩本氏から連絡を受けて、エサの購入したまではよかったのだが、三脚を出した竿袋や錘を取り出した道具入れをそのまま持ってきてしまったのだ。
     スマホで岩本氏に連絡すると、万が一のため三脚を2台持ってきているので使ってくれと言う。錘も、仲間と一緒に自分たちで鋳造したものを沢山持ってきているからと言うのでそれを拝借した。
  • 岩本氏から拝借した三脚に竿を立てかけた
  •  ようやく準備が整って4本の竿を出した。近投した竿先が動いた。しかし、魚が掛からない。ようやく1匹目が釣れたのは竿を出してから1時間ほど経過したときだった。手の平級のイシモチガレイだった。チョンチョンと竿を揺らすアタリがあるのだが魚がのらない時間が続いた。ようやく竿先を引き込む大きなアタリが出た。グングンと底に突き刺さる引き込みに似合わず姿を現したのは手の平級のクロガシラだった。いやその下にも大物クロガシラが付いたダブルだった。引き揚げてみると40㎝を超した立派なものだった。
     薄暗くなり始めたので、ソイやアブラコでも来ないかとテトラの際にチョイ投げしてみた。竿を何処に置こうかと迷っている内にガクンガクンと大きなアタリが出て竿を煽ったが、根掛かりしてしまった。魚は付いているらしくなんとか引きずり出すことは出来ないものかと手を尽くしたが、最後には根ズレを起こしてしまってリーダーから切れてしまった。錘は必要な分だけ岩本氏からいただいているが無駄遣いするわけにはいかない。魚がいることが分かってもそのテトラ周辺には打ち込むことは出来なかった。時間も午後8時を回ったので本日の釣りはお仕舞いにすることにした。クロ3枚、イシモチ1、スナガレイ1枚の釣果だった。
     午後9時頃、車に戻ってみると岩本氏が「ようやくホッケが釣れだしたのでもう少し粘ってみる」という。波風が治まってきたので明日は大椴海岸に向かうことにして、私は、明日の運転もあることなので車中で仮眠することにした。

    大椴海岸へ
     起き出してみると岩本氏はまだ竿を振り続けていた。今年初の釣行なので寸暇を惜しんでというところだ。風はない。約束通り大椴海岸へと向かった。昨日は1台もなかった駐車帯には多くの車が停めてあった。海岸に下りていくと、サクラマスを狙ったルアーマンが立ち並んでいる。
  • 右も左もサクラマスを狙ったルアーマンでいっぱいだった
  •  仕掛けを振り込むと、すぐにアタリがあり竿を上げてみるとアカハラだった。そしてまた、アカハラだ。底荒れしているのか海藻が絡んでくる。アカハラとゴミで釣りづらいことこの上ない。それでも、アカハラの下にホッケが釣れてきた。波打ち際でホッケがハリから外れバタンバタンとやっている。せっかくの獲物を波にさらわれては敵わないと慌てて手で掴んで後ろへと放り投げた。それからアカハラをハリから外していると不穏な気配が背後を襲った。ホッケを狙ってカラスが舞い降りてきたのだ。そして、見る間にそのホッケを咥えて飛び去ってしまった。私がリールを巻いている隙を狙って、コマセの入ったネット仕掛けを入れたビニル袋も持ち去られてしまった。
     ビニル袋に大きなヒラメを入れたルアーマンが後ろを通った。サクラマスを狙って竿を振っていたが音沙汰がなく、そのルアーに52㎝のヒラメが掛かった。流れ藻がルアーに絡みついてくるので止めたが満足のいく釣行だったと胸の内を明かしてくれた。
     霧雨模様で道具や荷物に砂が絡みついてくる。まだ、6時過ぎだ。岩本氏も同じような状況なので、苫前港に戻ることにした。大椴では、スナガレイ1、イシモチ1、それにカラスに盗まれたホッケ1本の釣果だった。

    苫枚港に逆戻り
     苫前港の防波堤の付け根に軽乗用車が1台停めてあった。岩本氏とは昨日の同じように2人分かれて釣りをすることになった。防波堤を進んでいくと、旧赤灯台付近に釣り人がいた。1週間前にホッケが6本きたので、もう一度来てみたということだ。私は昨日と同じ場所で竿を出した。
     手の平より少し大きいくらいのクロガシラが3枚釣れた。そして、遠投していた竿に糸ふけが出たので思いっきり竿を煽るとやたらと重たい。海面に姿を現したのは茶褐色の宇宙人の姿をしたヤツだった。こんな時に限ってタモ網を忘れている。隣人に声をかけたが生憎タモの準備はないそうだ。8本足を縦横無尽に振り回し、漏斗から勢いよく海水を吹き出して逃げようとする。なんとか防波堤に上げられないものかと手を尽くしたが無駄だった。
     8本足の宇宙人は、漁業権が設定されているはずである。それを知っていながら、これを釣り上げてしまいたいと思うのは、人間の多面性の故なのかもしれない。8本足を狙って釣りをしているわけではないが掛かってしまえば・・・。
     善と悪が入れ替わるというより、人間の感情は本来、二元的なものではなく、色でいえばグラデーションに近いのかもしれない。その細かな傾斜や配分は、様々な環境や出来事によって色合いを変え、その人ならではの、独自の色調へと変化していくものではなかろうか。誰もが常に善人でもなく、また悪人でもないと思うのだ。
     午前9時に荷物を片付けた。旧赤灯台の釣り人はホッケ2,クロガシラ1の釣果だった。岩本氏のバッカンを覗いてみると新たに赤みを帯びたホッケを追加していた。岩本氏は、昨日から二人の宇宙人と格闘したようだ。彼は根っからの善人なので、悪人の方へとグラデユートすることはなかっただろうと推測する。
  • 昨日から一睡もしないで執念の釣りを見せた岩本氏
  • 岩本氏の今日の釣果
  • 2日間の寂しい釣果。42㎝のクロガシラが唯一の救いか?