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UK の techno artist、Kirk Degiorgio の As One 名義作、2004 年発表。Ubiquity から。
近年では生音主体で club jazz 色の強い album を作り続けていた Kirk Degiorgio ですが、今作では初期の detroit techno 風味が若干復活。基本的な作りは大人な雰囲気のまろやか broken beats ですが、どことなく古めかしい synth と、soulful な vocal が良い味出してます。70 年代 fusion フェチらしく、心の赴くまま作ったという感じでしょうか。
"Planetary Folklore" では結構強引に soul へ持っていった As One ですが、それから数年を経て、ここまで自然に自己表現できるようになったんですねぇ。ある意味、こなれすぎていて憎らしいというか、もう少し冒険してほしいと思わなくもないけれど、Ian O'brien が spiritual に攻めるなら俺は urban に決めるぜ、と言わんばかりの職人振りには脱帽なのであります。寒い日向けの暖房 techno として重宝しそう。
romantic な雰囲気がたまらん tr.9 "The Daisy Picker" が best track かな。
仕事場で "Freejack" 〜 Emilio Estevez 〜 "Young Guns" な話をしていて、同僚氏から「Emilio Estevez と Charlie Sheen って兄弟なんですよ」と知らされて吃驚。それで二人ともムカつく面構えなのか! 今ではどちらも中年太りのおっさんですなぁ。
同僚氏は Kiefer Sutherland がお気に入りのようですが、小生はあまり引っ掛からないんだよな、あの人。
Peter Weir 監督作品、1985 年。邦題「刑事ジョン・ブック 目撃者」。
Pennsylvania の片田舎で、文明社会を拒み、昔ながらの生活を頑なに守っている Amish の人々。その一員で、未亡人の Rachel Lapp (Kelly McGillis) は、息子の Samuel (Lukas Haas) を連れて、baltimore に住む姉を訪ねようと旅に出る。その途中、列車を待っているうちに、Samuel が便所で人殺しの場面を目撃してしまい、親子は殺人課の刑事 John Book (Harrison Ford) の取り調べを受ける。Samuel の助力で犯人が同じ警官の James McFee (Danny Glover) であることを知った John は、事件の裏に警察が押収した麻薬の密売が絡んでいることを突き止め、それを上司の Paul Schaeffer (Josef Sommer) に報告する。しかし、帰宅しようとした John は駐車場で McFee に撃ち殺されそうになる。事件に Schaeffer も絡んでいることを察した John は、Rachel と Samuel を Amish の村へ送り届け、自らも雲隠れしようとするが、McFee に撃たれた傷が元で John は気を失ってしまう。傷を癒すため、John は暫く Amish の村に留まることになるが、そこで Amish の素朴な生き方、そして Rachel たちとの暮らしに馴染んでいく……。
これは凄い映画ですよ。何せ納屋建てちゃいますから、映画の中で(笑)。つか前にも観たことのある映画なんですが、覚えているのがその納屋建てと Kelly McGillis のお色気場面ですからねぇ。Harrison Ford は何やったんだっけ、と気になったので再鑑賞。
刑事もの、としては押しの弱い方か。冒頭と終盤に活劇場面を持ってきて、中盤は John が Amish の生活に馴染んでいったり、Rachel との恋愛に悩んだり、Samuel と遊んだり、納屋建てたり観光客殴ったり。John Book が異文化の中での生活に戸惑い、村人からも奇異の目で見られつつ、それでも次第に村人の中に溶け込んでいくところを丁寧に描いてます。その一方で、銃を持ち radio を楽しむ John は、Amish の厳格な戒律に揺さぶりを掛ける存在でもあるわけで、John に惹かれていく Rachel は、Amish の内側に居ながらも次第に村人たちから悪い噂を囁かれるようになる。今時珍しい古典的な素材ですが、それでも真面目に観てしまうのは Amish の存在感ゆえか。
そういえば、witness は邦題通り「目撃者」の意味ですが、これって Samuel くんだけを指しているのではなくんですな。終盤に John が Schaeffer に追い詰められる場面でも、John を救うのは目撃者だし。ただ、そこに至るまでの伏線が甘くて、たまたまそうなりました的な印象があるのは少し勿体ない気がする。まぁ、わざとらしい仕立てにするよりは良いか。
若かりし頃の Danny Glover が拝める映画でもあります。Harrison Ford は……まぁ、この人は変わりませんな。
「悪い」草薙は無表情でそう言った。
「何が?」僕はきく。
彼女は膝を折り、シャッタの下から格納庫の中を覗き込んだ。もう溶接の閃光は光っていない。その代わり、少女の話し声が聞こえた。笹倉が相談員を引き受けているようだけれど、彼の声は聞こえなかった。草薙が戻ってくる。
「あの子を見ていると、ときどき、自分が嫌になる」珍しく、冗談っぽい口ぶりだった。さらに珍しいことに、草薙は少し笑った。話した内容もよくよく考えてみれば、とんでもなく珍しかった。草薙博物館があったら最重要品目になるだろう。(page 154)
中公文庫版で読了。
戦闘機乗りのカンナミは、新たに配属された部隊で、同僚の土岐野と空を飛び、整備士の笹倉に新装置の実験体にされ、上司の草薙水素と微妙な距離を保ちながら、死なない毎日を消化している。大人にならないカンナミは、周囲から変な目で見られつつ、日常を楽しむでもなく儚みもせず、成すがままに戦い食事し生き続ける。カンナミと草薙は同類で、草薙はカンナミに殺して貰いたがっているけれど、カンナミは延々とそれを先延ばしにする。別の基地から合流した pilot の三ツ矢碧は、カンナミを永遠の時を生きるキルドレだと言って恐れる……。
と、plot 書いても何の事やらさっぱりな話ですが、まぁ戦闘機乗りの私小説と思っていただければ。森博嗣の小説によく現れる、少し cynical で理知的な人物を前面に押し出した作品。mystery ではないから感性丸出しの文体がするする出てきて微熱的赤面に襲われたりもしますが、こういう雰囲気は嫌いではないです。ということは即ち昔の片岡義男の小説も嫌いではないということに繋がってしまうわけですが、片岡義男の恋愛小説は全然再評価されませんね。
過去を忘れることに拘らない、成長しないことも気にとめない。それは自分の存在の稀薄さを受け入れて、死なない内は生きているという、その状態を維持することだけで充足することでもある。軽くもあり空しくもある生き方。理由もなく生きることは、自然なのか不自然なのか。カンナミと草薙は、生き方の vector が少し違うだけで、やがて互いに銃を向け合うことになる。しかし、それも些細なこと。カンナミはそうやって生きてきて、草薙はそうやって死に向かっていった。
というわけで、戦闘機乗りの話なのに全然いつも通りの森博嗣本なのでした。爽やか清涼剤系。
飲み会の集金が来たので札渡したら、新札でした。出した小生も吃驚。そういうことは先に言え、心臓に悪い。ちなみに英世はん。
その流れで新札談議。
「新札つーても新しくなった気分になりませんな」
「諭吉続投だし、一葉も英世も古い人だからねぇ」
「古い人ばかりだと若い人が付いてきませんよ」
「政党かよ(笑)」
「お札は国の顔、とか何とかで古い人の方が安心感あるんじゃないの」
「別に人である必然性なんてこれっぽっちも感じないんですが」
「万札マリ○、五千は井上ト○、千はソ○ックで日本代表てのもアリなのか?」
「特定企業に利権が出そうなお札というのも如何なものかと」
国策として anime や game に力入れるなら、お札に character 入れるという appeal も有効ではなかろーか。諸外国から面白い反応が得られることでしょう。
ところで弐千円札は元気にやっておられるのでしょうか……?
John McTiernan 監督作品、1993 年。
映画好きの少年 Danny Madigan (Austin O'Brien) は、action 映画 "Jack Slater" series に入れ込んでいた。ある日 Danny は、馴染みの映写屋 Nick (Robert Prosky) の誘いで "Jack Slater" ものの最新作を劇場公開前に観せてもらえることになった。その際、Nick は Danny に入場券として黄金色の ticket を渡す。それは Nick が幼い頃、魔法使いの Houdini から貰った魔法の ticket だという。誰もいない映画館で映画を楽しむ Danny だったが、screen から悪役の放った dynamite が飛び出してきて吃驚。さらに Danny 自身も映画の中に飛び込んでしまってまた吃驚。突然車の中に少年が現れて、映画の中の Jack Slater (Arnold Schwarzenegger) も吃驚。どうやら Danny の持っている ticket が、現実と映画とを結ぶ門の役割を果たしているらしい。映画の粗筋を知っている Danny の協力で、Jack は次々と事件を解決していくが、敵の殺し屋 Benedict (Charles Dance) もまた ticket の力に気付き、現実と映画世界とを行き来して世界を意のままに操ろうと画策し始める……。
ムネムネ氏大推薦 の post modern entertainment movie (笑)。映画の中には映画の中でのみ通用する rule があって、そこに現実世界の住人である Danny 君をぶち込むことで「現実視点から見た映画の不自然さ」をまず笑い、次に映画世界の住人である Jack Slater や Benedict を現実に放り込むことで「映画の登場人物が現実に存在した場合の不自然さ」を笑う、という趣向です。Danny 君が図らずも出演してしまった作中映画 "Jack Slater 4" は一体どうなったんだよ、という突っ込みは無視無視無視。
映画や、それに類する架空世界と、現実との距離を素材にした映画……というと、代表格は "The Neverending Story" ですかねぇ。他にも "Unbreakable" や "Nurse Betty"、"The Truman Show" 等々、色々浮かんではきますが、その中でも映画と現実の距離感に最も自覚的な作品と言えるでしょう。映画の中に入った Danny は自分も映画の登場人物なんだから英雄的な行動を行っても大丈夫、と思いつつ、脇役だったら捨てキャラにされるじゃんと思い付いてあたふたしてるし。現実世界に現れた Jack は映画気分で車の度胸試し game をやって見事に正面衝突してるし。映画的には馬鹿丸出しですが、作中人物は真面目にそういうことを考えているわけで、その gap が何とも楽しい。本人役で出演した Arnold Schwarzenegger は、自身の経営する restaurant の宣伝もしてます。このときの目がまた真剣で笑えるんだわさ。でもって悪役のニコちゃん義眼男 Benedict、この人の悪企みも、現実と映画の間を越境できるという設定を生かしたネタになってて良好。
そんなこんなで着眼点は良いし過去映画の parody も幾つか仕込んでるし action も豊富だし、何より映画世界へ飛び込むという少年少女の夢を解りやすく呈示してくれたという点で、この映画は良作認定されるに値すると思うんですが……まぁいかん点もいくつか。まず悪役 Benedict ですが、この人の悪役振りが今一つ冴えないので大幅減点。映画の中で Jack に殺された Ripper (Tom Noonan) は、Benedict の計らいで現実世界に甦り Jack に復讐しようとする、ってところで結構印象的なんですが、Benedict にはそういった背景の縛りがないので、物語との結びつきがちと弱いんだよな。最後もあっけないし。次に、action 大判振る舞いなので所謂 90 年代 Schwarzenegger 映画的な action 金太郎飴状態に陥っていて、展開に緩急がないのも減点。John McTiernan 監督作品なので action は真面目だろうなんて思ってはいけません。この映画では、映画内世界は「映画的に誇張されねばならない」んですから。最後っ屁阻止の場面も、そういう視点を意識して観ると面白いです。尤も、90 年代シワ映画は誇張されまくりで金太郎飴なので、その手の仕掛けも「あぁ普通のシワ映画だよねー」と片付けられてしまうに違いない。嗚呼。
見終わった後、"The Seven Seal" を TV で流してくれへんかのぅと思った次第。
Richard Brooks 監督作品、1958 年。邦題「熱いトタン屋根の猫」。
資産家の Harvey Pollitt (Burl Ives) は 65 歳の誕生日を家族から祝われる。長男 Gooper (Jack Carson) とその妻 Mae (Madeleine Sherwood) は、Harvey が病魔に冒されていると知っており、遺産を頂こうと Harvey に阿る。Gooper に良い印象を持たない Harvey は、次男の Brick (Paul Newman) とその妻 Margaret (Elizabeth Taylor) を目にかけていたが、父を憎んでいる Brick は今や酒浸りで Margaret とも上手く行っていなかった。Margaret は Brick を愛していたが、過去の事件が元で Brick は心を閉ざしていたのだ……。
家主は社長飲み会で飲み過ぎたため、現在 down 中です。
横で身悶えしながら「マツケンさんの臑毛が臑毛が」と呻いています。
何か見てはならないものを目撃してしまったのでしょう。Cthulhu を見た人も同じ様な症状に陥るそうです。
皆さんも酒宴で羽目を外しすぎないよう、お気をつけ下さい。
家主はへろへろになりながらもゲセンで遊んでいたそうです。vf4ft、酔ってる方が勝率が高いというのは今のところ本当らしいです。リアル舜帝みたいですが本人は人生当て身とか言ってます。馬鹿ですね(笑)。
家主は先日、翼神とかいう STG を初めて遊んだそうです。
「キャラゲじゃないからステ」と言ってました。そういう類の game なんでしょうか。
Type X な game ということで一抹の不安はあったようですが、遊技感は良さそうとのことでした。結構なことです。でも近場のゲセンには入らない様子です。
家主曰く「明日は明日の風が吹くかどうかなんて知ったことかケッどうせ小生は UK rock なんて詳しくねーよ K さん嘘ついて御免なさい」とのことですので、明日は普通に戻ると思います。でわ。
electronica で ambient な album 買ったのも何だか久しぶりな気がしますな。Plop からの debut album だそうです。2004 年発表。
小生も電子音楽好きの端くれですので electronica もたまにゃー聴きますが、この世界は有象無象魑魅魍魎が跋扈している音楽番外地なわけで、jacket 買いなんて止めときな坊やという風情であります。この album もおっかなびっくりで試聴していつの間にか買ってた(爆)。聴いてみるもんですねぇ、はい。
attack 弱めで輪郭の不明確なふわふわ synth が延々と loop して、時折高周波な noise が耳の端に滑り込んでくる。それがひたすら心地よく続いていく。Oval ほどあざとくもなく、霞みがかった冷たい風景の中から、自然と音が沸き上がっているような、そういう音。melody 志向を排した rei harakami といった印象も。
ふわふわな美学に貫かれた album なので全体的に解りやすくて聴きやすい。怖くない electronica ということで、二日酔いと過労でへろへろな脳味噌に優しく沁み入ってきます。良作。