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Taito の PSP 用 STG、Darius Burst の Original Soundtrack。2010 年発売、ZTTL-0063。
横しゅー苦手で Taito しゅー苦手な小生でありますが Darius の外伝と G は比較的よく遊んでた部類に入りますなぁ。まぁ、何度やっても上手くはならんかったわけですが。PSP も持ってないから Burst はぷれい動画でしかお目にかかったことがありませぬ。見た目楽しそうなので良いんじゃないでしょうか。って、すげーいい加減な評価ですいません。
Burst の main composer は現在の Zuntata staff である土屋昇平、sub で小塩広和、そして歴代 Darius を手掛けた小倉久佳は 1 曲のみ参加となっております。OGR が 1 曲だけってことで Darius らしさが無くなってしまうんでないの、と心配する諸氏も居られたようですが、今までの series だって作品毎に sound direction は大きく変わっていたのですから何も心配することはないのです。その OGR が手掛けた tr.36 "Hello 31337" を聴く限りでは、この人の Darius 観は G の頃と同じ方を向いているようなので、新しい血を入れて正解だったようにも思いますな。まぁ、狙ってそういう曲を書いたのかも知れませんが。
Darius らしさというとアッチの世界に飛ばしてナンボの、avant で洗脳でほえほえな prog electro sound に特色があるというのが歴代通しての個性なわけですが、その意味では今回の作品も結構な異色作となっております。G では beat という異物と真っ向対峙しての異種格闘技音響が展開されておりましたが、今作は d'n'b や trance、chill out といった club 寄りの method が自然な感じで取り込まれており、そこにハッタリ感溢れる上物がどかどか乗っかるという風情。Boss 戦曲の Hinder ほにゃらら series はその傾向が顕著で面白いです。他にも Syvalion の arrange や歴代 Darius 曲の medley になっている tr.36 "I LED NU-RED-GAS" の遊び心も良い感じであります。
個々の曲単位では hook が弱いという感は否めないものの、これはこれで良作かと。ところで Raystorm HD はまだ来ないんですか Taito さん。あれ、今春配信予定になってる……。
突如として門前をどよもす鬨の声、ひょっこり顔をのぞかせた謎の童子 (ホウ徳公の孫) も突進してくる鬼武者三人に、さすがに血の気が引いている。思わず、
「敵襲でございます」
と叫んでしまうところであった。
「なんの騒ぎですか」
と、農衣姿の黄氏も飛んできた。
「あれなるは劉将軍にございます」
「まあ」
運命が土煙をあげながらやって来る、と思ったりして。
「奥様、機械歩兵を出撃させますか」
「それは無用でしょう。いんぎんにお取り次ぎしてさしあげなさい」
わたしも着替えて身支度しなくっちゃ、と黄氏は自宅に入っていった。(page 606)
これから三顧の礼の climax というところでこの描写。斯様に過激な三顧の礼が今までにあったであろうか。文春文庫版で先日読了。
酒見賢一の三国志、ともなれば眉に唾付けて読まねばならんのは言うまでもありませんが、それでも小生の予想の三倍は斜め上を行く怪作に仕上がっておりました。孔明は農業しつつも巷間での自分の評価を上げるべく裏工作しくさる変人、劉備はやくざのおっさんです。弟の面倒見が良い孔明の姉や機械工作で天賦の才を見せる孔明の妻の黄氏、それに襄陽を裏で牛耳るホウ徳公といった、従来の三国志ではあまりお目にかかれない人物が目立ってたりもしてます。そしてその語り口は時代小説らしい物々しさとは無縁の自由闊達振りで、時に western 風になるかと思えば、現代語もぽんぽん飛び出して妙にノリが軽い。とはいえ独特の史観を持つ作者のこと、上辺は軽くとも中身はかなりしっかり考えて作られてますので、異形な見掛けであってもやはり三国志なのでありました。次作も早く文庫化してほしいところであります。
Richard D. James の Aphex Twin 及び AFX 名義作、2006 年発表。CAT173CD。
analog single の Analord series をまとめた compilation という位置づけらしい。でもってどりるんには飽きたのか、例によって cheap な synth と beat でぽよよんぽよよんと electro しております。この人は昔から機材変えませんな。むしろこの cheap さと変態的叙情を耳にすると安心するわ。
Aphex Twin の曲は、どの時代のものであってもある種の切実さというか崖っ淵な感じがあって、その音像の cheap さに笑い出しそうになるのに何時の間にかさめざめと泣いてしまっているという、兎にも角にも変な音なのであります。彼岸で楽園で utopia。Suzukiski に通じるものがあるよなぁ、とふと思う今日この頃。
説明不要のめりけん rock band、Bon Jovi の 2000 年作。邦盤 PHCW-1100。
"These Days" と "Bounce" という、Bon Jovi 史上の二大根暗 album に挟まれる形で release されているこの "Crush" ですが、tr.1 "It's My Life" は heavy 路線に沿っているものの、他の楽曲は意外と軽みのある american rock となっており、2000 年代は明るく行きたいもんだべぇという Bon Jovi 流 positivity の溢れる作品になっております。strings arrange も ballad もお手の物、party rock な解りやすさも内包しつつ、めりけん rock 保守本流の泥臭さも併せ持つという正に王道な作り。この人たちの場合、地の在り方がそのまま王道で通用してしまえるという、ある意味反則すぎる特徴がありますね。安定期の揺るがぬ自信がどの曲からも伺える album となっております。jacket はいまいち冴えませんが名作と思います。
めりけんの rock band、Creedence Clearwater Revival の 1969 年作。2009 年に出た 40th Anniversary Edition の 7CD box set の一枚。
前作 "Bayou Country" と同じ年に release された album ですが、勢いのある時期だとどんな曲書いても傑作になってしまうというのが CCR なわけで、この album も捨て曲無しの傑作になっております。CCR もまた天才肌というよりは庶民派寄りの blues rock band なわけですが、blues という枠にずぶずぶはまっているくせにこんだけ pop で耳に残るメロを書けるってのはやはり尋常ではありませぬ。そして結局のところその blues 趣味が壁になり The Beatles のように時代を超えた名曲を生み出しえず 60's oldies の枠内に止まらざるを得ないという窮屈さを感じさせるところもまた CCR らしい限界であり愛らしいところです。いやほんと、John Fogerty てば器用貧乏ですなぁ。
この album の顔といえば tr.1 "Green River" と tr.5 "Bad Moon Rising" の全米 2 位曲になるでしょうが、tr.2 "Commotion"、tr.3 "Tombstone Shadow"、tr.6 "Lodi" といった曲もまた CCR らしい男汁ぶりばりの blues 臭がたまらん曲で、こんだけ佳曲が揃っていれば album chart で 1 位取得というのも頷けるというもの。やっぱすげー band だわ。