Noisy Days in September, 2005

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2005.09.01 (Thu)

笹本 祐一 『ARIEL (12)』
「巨大ロボットのくせして、ビーム兵器やミサイルはおろかカタナの一本も持ってないっていうの、こいつ!?」
「すすすすいませえん。なんか、そういうタイプのロボットじゃないみたいで、固定装備とか内部兵装とか、そういうのないみたいなんですうう」
「自分だけじゃ何にもできないってこと?」
 由貴は憮然とした顔で身のまわりのコントロールパネルを見回した。
「巨大ロボットの風上にも置けないわねぇ、使えないったらありゃしない」(page 151)

 ソノラマ文庫版で読了。
 相変わらずの経済的困窮に苦しむゲドー社の戦艦オルクス。金を使わず地球侵略の戦果を挙げる必要に迫られたハウザーらは、自軍と地球との文明格差を利用した情報戦に活路を見出す。折しも地球では、オルクスの通信情報を傍受し解析するための設備を整えつつあり、ハウザーに作戦指揮を委任されたデモノバはその設備を逆に利用しようとする。地上工作員のインド人留学生ことナミ・ファランドールは地上撹乱の命を受け、学友一座と共にエリアル強奪を図る……。

 ドタバタした展開ながらもしっかり SF してますなぁ。侵略側が地球の文明 level に合わせて攻撃してくるなら、地球側から virus 送り込んでもその level に応じて引っかかってくれるに違いない、という発想はお気楽千万で大いに結構。また、侵略側の virus が地球側の computer を逆に進化させてしまうってのも豪快だのぅ。岸田博士、今回も先に仕掛けて後手に回るって pattern ですが、何かこういう展開の方が生き生きしてますな。

log modified: 2005/09/03 11:42:24 JST

2005.09.02 (Fri)

栗本 薫 『地上最大の魔道師 (グイン・サーガ 73)』
(あ……ああっ……!)
 ナリスは、絶叫をかろうじてかみころした。
 のろのろと這い上がってこようとする、黒いもの。
 いまや、しだいに目が馴れてきたのかどうか、それのかすかな輪郭がナリスの目にうつる。それはぶきみな、定形のないアメーバー状のもので、犬のように見えていたのは、まんなかがうず高くなっていたからだった。それがそのままぬらりと前にずれるようにして、それはナリスのベッドにむかって這い上がってくる。(page 203)

 早川文庫版で読了。
 ヤンダル・ゾッグの連れてきた竜頭騎士にボコボコにされたナリス軍はランズベール塔でひたすら籠城。捕われの身のヴァレリウスは牢獄の中から淫魔ユリウスに助けられ、闇の司祭ことグラチウスの隠れ家に連れてこられる。グラチウスはヤンダルの力が強大になることを恐れ、自ら首領を務める暗黒魔道師連合と白魔道師連盟との共闘を申し出る。また、ナリスをヤンダルの力の及ばぬカレニアに逃がして体勢を整えるために手を貸すとも。その見返りとして、グラチウスは大導師アグリッパに会いに行くようヴァレリウスに要請する。グラチウスの読みでは、今まで中原の動向に無関心だったアグリッパが手を出しつつあるらしい。申し出を受けたヴァレリウスは、グラチウスと共に危機にあるナリスの救出に赴く……。

 パレスに程近いランズベール塔で挙兵したり、旗色悪いとおたおたしたりと、ここんとこのナリスさまは知名度だけで選挙に勝とうとする阿呆な政治家みたいで格好悪いんですが、今回は動けないところを軟体生物に迫られて困ってしまうという展開。作者にしても苛め甲斐のある人物なんでしょうなぁ。今回は淫魔ユリウスやグラチウスも出てきて賑やかですが、グラチウス饒舌すぎです。時間がないない言いながら長広舌振るわんでくれい。ランズベール候はあっさり見捨てられましたとさ。んでリンダの姉さんもこのまま置き去りか?

log modified: 2005/09/04 17:47:01 JST

2005.09.03 (Sat)

get
  • Captain Beefheart & His Magic Band / Trout Mask Replica
  • Cream / Live Cream
  • Cream / Live Cream Volume II
  • Virtua Fighter 4 Final Tuned 全国大会 格闘新世紀 III (DVD)
  • 笹本 祐一 『ARIEL (14)』
  • 笹本 祐一 『ARIEL (15)』
  • 笹本 祐一 『ARIEL (16)』
[movie] Angela's Ashes

 Alan Parker 監督作品、1999 年。邦題「アンジェラの灰」。
 1930 年代、Ireland から米国へ移住した Angela McCourt (Emily Watson) と Malachy (Robert Carlyle) に 5 番めの子供が生まれるが、折しも世は大不況、金もなく職もない McCourt 一家は、不衛生な生活の中で生まれたばかりの子供を失ってしまう。親戚の進めに従い一家は故郷 Ireland の Limerick に出戻るが、Malachy は相変わらず失業中で、手当も酒に注ぎ込んで手元に残らない。Limerick の湿気にやられて下の双子も相次いで死ぬ。残った子供の兄 Frank (Joe Breen、Ciaran Owens、Michael Legge) と弟 Malachy Jr (Shane Murray-Corcoran、Devon Murray、Peter Halpin) は貧困や階級差別や学校の苛めにもめげずに逞しく生きていこうとする……。

 "The Commitments" と同じく Alan Parker 監督作品だったんですなぁ。下層市民の生活臭が生々しく伝わってくるのも納得です。
 Frank McCourt の自伝を原作とした映画で、story 的にはのっぺりした印象。とにかく貧乏で金が無い McCourt 一家。Malachy は元 IRA の闘士だったらしいけれど誰もその言を信じない、しかし Malachy 自身は未だにその頃の愛国心を忘れず誇り高く生きようとするが、そのせいで職に就いてもすぐ解雇される。Angela は生活をなんとかするため、道端の石炭を拾ったり、教会へ物乞いに行ったり、お古の家具を譲ってもらったりと四苦八苦。そんな両親を見て育った Frank は、悪友とつるんで映画を観たり姉ちゃんの裸を覗きに行ったりと悪ガキ振りを発揮しつつも、信心深い人物に育っていく。貧乏でも子供は元気だのぅ。
 やがて Frank も金を稼げるようになり、一人前に恋とその喪失も経験し、母親を売女呼ばわりして後悔したりもする。あの Frank 君もこうなりましたか。正に思春期まっただ中ですな。そして夢を掴むため再び船に乗る、と。振り返ってみれば真っ当な少年成長物語。貧乏に埋もれて死ぬ話より、こういう希望の持てる締め括りの方がええですな。地味な佳作でした。

log modified: 2005/09/05 02:16:36 JST

2005.09.04 (Sun)

get
  • Taito Memories 下巻 (PS2)
  • 藤木 稟 『黄泉津比良坂、血祭りの館』
  • Lewis Carroll 『Alice's Adventures in Wonderland』
[movie] One Hour Photo

 Mark Romanek 監督作品、2002 年。邦題「ストーカー」。
 写真の現像職一筋で 20 年働いてきた Sy Parrish (Robin Williams) は、今は大手 department store の写真屋に職を得ていた。家庭も友人も居ない孤独な Sy は、常連客の Nina Yorkin (Connie Nielsen) が息子の Jake (Dylan Smith) や夫の Will (Michael Vartan) らと撮った家族写真に慰めを見出しており、彼らの築いている家庭の一部になることを密かに夢見ていた。だが Nina と Will は上手くいっておらず、家庭は崩壊寸前だった。Will が情婦と写っている写真を見た Sy は悲しみにくれる。上司に不正が露見した Sy は解雇されるが、Sy は Will の不倫写真を Nina の現像写真に紛れ込ませ、Yorkin 一家の動向を人知れず窺う……。

 笑わない Robin Williams ほど恐いものはない。いやすまん冗談。
 心の平安の求め方は人それぞれ、Sy にとっては理想の家庭を体現している Yorkin 一家が信仰の対象だった、ということか。その家庭を愛する反動で、理想を踏みにじった Will に裁きを下そうとする Sy の気持ちも解らんではない。家庭と写真という身近な素材が選ばれているとはいえ、偶像崇拝とその崩壊を描いた作品であり、神々に愛されたいと思いつつそれを果たし得ない男の悲しい物語なのでありました。
 それにしても Robin Williams、良い演技してますなぁ。

log modified: 2005/09/10 17:36:06 JST

2005.09.05 (Mon)

Led Zeppelin / Coda

 Led Zeppelin の 9th album、1982 年発表。The Complete Studio Recordings 版。CSR 版は未発表曲が 4 曲追加されてます。
 1980 年の John Bonham の死を経て、1982 年に Led Zeppelin は解散表明。その最後の手向けがこの未発表曲集。1970 年から 1978 年までの録音になってます。
 んむ、こうして聴いてると Zeppelin て成長しとるのかしとらんのか解らんなぁと。out take 集ということで灰汁の強い曲が揃っておるわけですが、決して曲の出来が悪かったから外したってわけでもないんだろうなぁ、album の流れに沿わなかったから外したりもしたんだろうなぁと思わせる楽曲が多いです。既に過ぎ去った黄金色の時間の中から、はみだしたものだけすくいとってもこの完成度、やはりすげぇ band だったんだのぅと思うわけです。
 tr.1 "We're Gonna Groove" は何処となく Jimi Hendrix 的な荒削りさがある number。tr.2 "Poor Tom" は acoustic guitar と simple な drumming が Zeppelin 風 tribal sound を形成する曲で、地味ですが普通じゃない。tr.3 "I Can't Quit You" は 1st の studio take とは別物ですがどろどろした blues には違いない。初期 Zeppelin らしい重量感がたまらんです。tr.4 "Walter's Walk" は riff 師 Jimmy Page の面目躍如な一曲。speedy な展開も良好。tr.5 "Ozone Baby" は pop な 8th album の余り曲。絶妙とは言えない chorus work、微妙にプログレな solo の展開、そして全体の弾むような pop 感覚に、10 年遅れて Beatles な Zeppelin を感じます。わはは、似合ってない(爆)。tr.6 "Darlene" も脱力 funk な 1978 年録音。こういう曲にはどう反応していいか解らんがとりあえず笑っとけ、と。tr.7 "Bonzo's Montreux" は title 通り John Bonham の drums が重戦車よろしく突き進む number。重さで聴かせる drum solo てのも珍しいですが、John Bonham らしい音です。tr.8 "Wearing & Tearing" は speedy な number。勢い重視の良い曲ですが、8th album に入れるには serious 過ぎたか。何はともあれこうして日の目を浴びることができて良かったですなぁ。と、ここまでが original track。
 残りは未発表だった未発表曲。tr.9 "Baby Come On Home" は 1968 年録音の soulful な number。サビの chorus が Zeppelin らしからぬ真っ当さに溢れてますが、こういう方向で進んでも面白かったんじゃないですかね。tr.10 "Travelling Riverside Blues" は真っ当な blues。Zeppelin にしては平凡? Page の指はよく動いてます。tr.11 "White Summer / Black Mountain Side" は 1st にも入っていたアレの別録音。tr.12 "Hey Hey What Can I Do" は元々 B 面曲だったらしく地味な曲ですが、soft な耳当たりで締め括りには最適ですな。

 そんなこんなでここんとこ月曜恒例だった Zeppelin 特集もこれでお終いです。次は live 盤に手を出すかのぅ。

log modified: 2005/09/06 03:01:26 JST

2005.09.06 (Tue)

Kuniaki Haishima / Macross Zero Original Soundtrack II

 配島邦明が音楽を担当した OVA の soundtrack 二枚め、2004 年発表。
 tr.1 "yanyan - japanese version" は gamelan ちっくな伴奏と high tone な姉ちゃん声によるまったり熱帯温泉風楽曲ですが、これ聴いてると speaker からの音に noise が混じっとるような気がしてきて思わず調整。大分調子よくなったかのぅと思ってしばらく聴いてましたが tr.15 "yanyan - mayan version" で再び noise が気になりはじめる。もしやと思い headphone で聴いてみたらば、やはり原音に noise が入っておるのでした。vocal だけやけにつるつるしておると思ったらそういうことかよ。
 opera 的な chorus と壮大な orchestration が圧巻の tr.2 "Horobi no Uta" は 10 分に及ぶ大作。他はまぁ小曲ばかりで状況音楽です。配島さんらしいオケヒもどかどか投入。Macross 的なのかどうかはともかく配島さんぽい音ではありますなぁ。とりあえず mania 向けの一枚。

diary

 台風接近中だそうですが降らんかったような。

log modified: 2005/09/07 02:22:26 JST

2005.09.07 (Wed)

Peter Gabriel / Us

 Peter Gabriel の 1992 年作。
 Peter Gabriel といえば、pop field から world music を伝道する信念の人なわけですが、自身の solo 作では world music 的な rhythm を採り入れつつ、根っこは AOR 風味の pops だったりするんですな。つまり TOTO の "Africa" みたいなのがずらりと並ぶと。
 馬鹿みたいに売れたらしい前作 "So" と比して地味渋路線に進んでいて、売れそうな曲が殆どなかったりもしますが、和める album です。tr.4 "Steam" のようなケバい似非 funk な曲もありますが、全体的には middle tempo で simple な beat の曲が多いです。tr.1 "Come Talk To Me"、tr.10 "Secret World" 辺りでは、開放的な音と胸を打つ melody とで爽やか泣き pops を聴かせてくれます。なかなか良質な album でありました。

log modified: 2005/09/08 01:21:41 JST

2005.09.08 (Thu)

Music Inc. / Live At Slugs' 1 & 2

 Charles Tolliver (tp)、Stanley Cowell (p)、Cecil McBee (b)、Jimmy Hopps (ds) による Music Inc. の live 盤、1970 年録音。
 うっわー、Stanley Cowell ってこんなに弾ける人やったんや。もっと理論派で端正な弾き方を好む人やと思っていたんですが、この album での Cowell は熱血体育会系の激しい音で責め立ててます。まぁ、Charles Tolliver の熱血に煽られた結果なのかも知れませんが。
 とにかく暑苦しくて濃い演奏の連続であります。free jazz の時代を経た後、古典的な form に新たな手法で命を注ぎこまんと燃えた当時の若人達、その試みは後に loft jazz と呼ばれるわけですが、結局のところその試みは John Coltrane や Ornette Coleman といった先達の偉業に及ぶことなく衰退していく。しかしこの album で聴かれる音は、先読みの難しい時代故のがむしゃらな冒険と、手持ちの駒を惜しげもなくぶちまける思い切りの良さに満ちております。そして温故知新ながら何処となく歪で濃厚な闇の気配が漂う 70 年代 jazz の空気がはっきりくっきり刻印されている、と。
 Charles Tolliver と Stanley Cowell という二人の天才による play は thrilling で speedy、でもって Cecil McBee の重い bass と Jimmy Hopps の変幻自在 drums も一筋縄では行かない粘着性と緊迫感に彩られていて、この 4 人の化学反応の強烈さはなかなか他では味わえぬ魅力があります。疲れたときに聴くと余計疲れますが、生々しい jazz がこの時代にも生きていたということを証明するような album、と言うことはできるでしょう。名盤。

diary

 "THE SECOND APOCALYPSE ケツイ 〜絆地獄たち〜" 予約してまいました。それにしても未だに 2 周目に到達できぬ小生であります。このまま退役かのぅ。

log modified: 2005/09/09 02:05:35 JST

2005.09.09 (Fri)

[movie] The Score

 Frank Oz 監督作品、2001 年。
 凄腕の金庫破りである Nick Wells (Robert De Niro) は、そろそろ足を洗って jazz club の owner に収まり、愛人の Diane (Angela Bassett) と静かに暮らそうと考えていた。そこに長年の付き合いがある盗品商人の Max (Marlon Brando) が、報酬 400 万ドルの大仕事、即ち Montreal 税関に納められた France 王家の笏についての話を持ちかけてくる。一度は断った Nick だが、税関への手引をする計画立案者 Jack Teller (Edward Norton) の熱心さと Max の経済的苦境を知り、最後の仕事と心得て申し出を受けるが……。

 いつの時代もこういう映画は出てくるもんですな。泥棒が厳重な監視下にあるお宝を盗むお話。
 派手な仕掛けはあまりなく、設定も奇抜とは言い難く、加えて色気もない。生意気青年 Edward Norton の頑張りは光っているものの、Robert De Niro は寡黙な professional、Marlon Brando は仕事をけしかけるだけで筋に積極的に絡む役回りでは無い。というわけで、この配役故の化学反応も予想範囲内。平凡な映画としか言いようがないのぅ。
 Marlon Brando の最後の出演作ですが、この映画では結構矍鑠としております。お疲れさまでした。

log modified: 2005/09/10 15:56:13 JST

2005.09.10 (Sat)

[movie] From Hell

 Albert Hughes & Allen Hughes 監督作品、2001 年。
 1888 年の London。貧民街で娼婦の惨殺死体が発見され、麻薬中毒にして予知夢能力を持つ Fred Abberline 警部 (Johnny Depp) がその捜査担当となる。助手の Peter Godley 巡査部長 (Robbie Coltrane) と共に捜査を進める Abberline だったが、その間にも次々と娼婦殺しが続き、London 市民の間に恐怖が広がる。Abberline は捜査を進める内に、犯人が死体の解剖に長けていること、そして狙われているのが Mary Kelly (Heather Graham) の属する娼婦仲間であることに気付く。王室付きの主治医 Sir William Gull (Ian Holm) の助言を受けながら Abberline は事件の真相に近付いていくが、事件の裏には王室の醜聞が絡んでおり、Abberline の捜査は難航する……。

 Jack the Ripper を題材にとった猟奇殺人 mystery。まぁ意外な犯人像で驚かせようって趣向です。しかしお話としては盛り上がらんのだよなぁ。秘密結社の儀式とか麻薬による予知だとかの道具立てや、Psycho 的な Jack the Ripper の演出、19 世紀末 London の暗くおどろおどろしい雰囲気は楽しめるものの、事件の回りをうろちょろしているが目立った活躍を見せない Abberline 警部や、Abberline と Mary Kelly の romance とかが見事に足を引っ張ります。雰囲気と役者に流されすぎて中身スカスカな印象の映画でした。

log modified: 2005/09/13 00:28:44 JST

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