|
90 年代に Crimson が再結成し、"Vroom" を発表した頃、この "Red" が良く引き合いに出されていた。つまり、最も Heavy だった頃の Crimson の結晶がこの album だったという事。それでも小生にはなかなか手が出せなかった album なのである。理由は、さぁ、何でかな(笑)。多分この頃の Crimson に得体の知れなさを感じていたからではなかろうか。故に "Larks' Tongues in Aspic" と "Starless and Bible Black" を先に聴いて先入観を克服せねば手が出せなかった、と自分なりに解釈してみたりする。
さて "Red" だ。冒頭の title number "Red" からして重い重い riff にやられる。"Starless and Bible Black" も激しい音から始まるけれど、この "Red" はより simple な構造で、音の波状攻撃を仕掛けてくる。Crimson で guitar の音を意識するのは久しぶりのような気がするし、それにこんなに metallic な鳴らし方をする Fripp にも驚きである。その後の "Fallen Angel" は変わって静かで幻想的な曲。この形式は Crimson 定番の叙情的な展開だな。その後の "One More Red Nightmare" は Wetton の vocal が耳に残る、これまた重い曲。"Providence" は David Cross の violin が印象的な静かな曲。そして最後の "Starless" では、dramatic な展開と adlib で、まさにプログレバンドとしての Crimson を総決算するかのような曲になっている。
と、全曲通して聴くと実は非常に馴染みやすい曲ばかりである。まぁ馴染みやすいというのは小生の場合、metal 魂を揺さぶってくれるというのと紙一重なところがあるのだが。この album を "Larks' Tongues in Aspic" や "Starless and Bible Black" より先に聴いていたら、多分他の album には失望することになっていただろうなぁと思ったり。実際にはこの 3 枚、もつれ合った糸のように相互に影響し合うような位置関係にあるのだけれど。
さてさて、これで小生の Crimson 遍歴も、ついに初期の作品へと向かわざるを得なくなってしまったぞ。何せ小生は「宮殿」を持ってないのだからね。
何度聴き直しても、この音数の少なさには驚嘆しきりな作品。音数が少ないということはそれだけ音の一つ一つに説得力と強度が無ければ駄作の烙印を押されるわけだが、流石に Mr. Silent Poets な、隙のない緻密な作りである。それにしてもこの hotel id+、こんな sound の似合う hotel ってどんな hotel だろうな。深閑とした山奥の古風な山荘、大都会の真ん中に位置しながらも時代に忘れ去られたような静けさを湛えた西洋館、波頭が遠くに木霊する白磁の旧館……、といった image が浮かんでは消えて行くけれど、どれにも共通するのは、きっと寒いところだろうな、ということ。安直な drama を要求しない、枯れた音ですよ、ホントに。
ぶっきらぼうで力強い blow には定評がある、Dexter Gordon の 1963 年吹き込み盤。ここでは旧友 Bud Powell、Kenny Clarke と共に、異邦の地 Paris での再会 session となっている。いやぁ Gordon、太いね痺れるね。adlib も滑らかで自然。落ち着いた drumming が持ち味の Clarke も心なしか up tempo。Bass の Pierre Michelot は慎ましやかで前に出てこないけれど、安定した刻みを入れてる。Bud Powell はこの頃はもうへろへろな筈だが、Gordon に負けじと流麗で生きのいい touch を披露。そして要所要所でズシッと響く Gordon の tenor がやっぱり格好良くて。
こういう album は飛び抜けた名盤という訳ではないのだけれど、おいしい jazz の一典型であるとは思う。久々に聴いて心洗われました。ありがとう Gordon。
Funky、minimal、refrain。Fabulous beat manifesto。
Riow Arai とゆー人は色々な game music を手掛けている人という印象で、こないだ購入した "Sega Touring Car Championship" にも 1 曲参加していた。まぁ game music で有名な人というのは器用貧乏な性癖があるので、この Riow Arai さんもそうかな、と軽々しく思っていたわけだ。そんな先入観を軽くぶち破ってくれるよ、この album は。
恐ろしい程に匿名的な音の数々。しかしそこに刻印されたどす黒い groove は、紛れもなく Riow Arai という名を刻んでいる。下手に音を飾るよりも、その音の一つ一つで雄弁に物語り、その響きによって目の前の風景をうち砕くこと。彫刻家が岩を削るように、ここで打ち響く音も冷たい硬度を感じさせ、知らず息苦しくさせる。これもまた electronica の究極形態なのか。顔が見えないのに、その存在を強烈に感じさせ、その音に触れる者を威圧せずにはいられないような。新しい感覚を呼び覚ます音ではないけれど、思わず身が引き締まる album だ。
Bobo の piano は捕らえどころがなくて、霧の中をふらふらと彷徨っている気分にさせる。一つ一つの phrase が長く、明確な form を意識させない弾き方をする。かといって完全な free form でもなくて、そこはかとない lyricism が漂うところが Bobo の個性と言っていい。Free の奥底へと潜り込んでしまった Paul Bley を視界に捕らえつつ、敢えて romanticism の世界に留まり続けている、といったところだろうか。
前作の "Reflections" に比べると、今回は Bobo の自作は 1 曲のみで、他は bass の Anders Jormin の曲が 3 曲、Ornette Coleman の曲が 2 曲、そして Silvio Rodriguez と Duke Ellington の曲が 1 曲ずつ。しかし Bobo の filter を通すと、これらの曲が全て Bobo の自作のように聞こえてしまう。Bass の Anders Jormin、Drum の Jon Christensen は "Reflections" の布陣と同じで、Bobo との相性は相変わらず良好。じっくりゆっくり耳を傾けましょう。
DJ Force が compile した "Style 3" で Adam F の "Metropolis" を耳にして以来、密かに欲しかった album である。中古屋の餌箱の隅にこっそり入っていたので思わず購入。
Urban な track が多いという感じ。音がキレイキレイしていて、80 年代 fusion の影響が色濃いような。"Metropolis" や MC Conrad 参加の "F-Jam" は暗い雰囲気の中での疾走感が気持ち良い。かと思えば Tracy Thorn (EBTG) 参加の "The Tree Knows Everything" とか、本編末尾を飾る "Colours" は D'n'B と言うよりは fusion の趣で、CCEB や Dimension から繋いでも違和感は全くないはず。全編通して聴いてみれば、独特の cool な音像にやられっぱなし。嗚呼、やっぱり良いですね Drum 'n' Bass は。
ただし、毒気が無いので優等生的な作りに見えるのも確か。Adam F ならではの個性とか D'n'B 一筋な気概というのも余り伝わってこないので、灰汁の強いのがお好みな方にはお勧めしません。そう言えば Adam F の 2nd album って、Hip Hop に転んじゃったんだよな(笑)。