Noisy Days in May, 2003

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2003.05.01 (Thu)

Suburban Knight / My Sol Dark Direction

 去年あたりから噂には聞いてましたが、ようやく店頭に並びました。しかも日本流通盤。detroit techno の日本盤なんて凄く久しぶりな気がします。あ、Jeff Mills や Ken Ishii は別ですが。
 Suburban Knight、2003 年発表の 1st album。既出の tr.3 "Midnight Sunshine"、tr.6 "The Art of Stalking"、tr.8 "Nocturbulous Behaviour" を含む全 8 曲。で、肝心の曲調は…… dark で electro で四つ打ち! わお、detroit techno 保守本流一直線です。colorful な melody? 知るかボケ! とばかりに寡黙に爆走。2003 年の音と言うにはあまりに cheap でへろへろで 10 年前の音と言われても頷いてしまうかもしれないが、そもそも detroit techno に革新性なんて求めてはいかんのです。音楽は soul を伝えなきゃならんもの。そう信じるなら、機材の善し悪しをとやかく言ったり時代の流れを追っかけたりしなくても、音は listener の心を貫くだろう。Suburban Knight は暗闇の中から密かに忍び寄り心臓を一突きします。うぎゃ。
 tr.8 "Nocturbulous Behaviour" のビュルビュル言ってる synth が最高。名曲。また聴くぞぉ。

get
  • Suburban Knight / My Sol Dark Direction
  • Carl Cox / At the End of the Cliche
  • Carl Cox / Phuture 2000
  • Suzukiski / Thought
  • Suzukiski / Helix
  • Harmonia / Harmonia
  • Yoshihide Otomo / Blue
  • The RZA / Ghost Dog - music from the motion picture
[movie] Alice in den Staedten

 Wim Wenders 監督作品、1974 年。
 おいおい音楽が Can だってよ。へええ。全然意識しませんでしたねぇ。guitar の arpeggio とか柔らかな synth strings の曲とか、気持ちいい音楽が続いてて。小生、Can って album 単位で聴いたことないからなぁ。いや前々から興味はあるんスけど。
 ええと、本題。邦題は「都会のアリス」。これは Wenders の road movie 三部作の第一作らしい。ちなみに他二作は "Falsche Bewegung"(邦題「まわり道」)、"Im Lauf Der Zeit"(邦題「さすらい」)。「さすらい」は見たことないな。
 冒頭から「書けない病」にかかった青年がアメリカでうじうじといじけまくっていて、何だよこれじゃ「まわり道」と同じじゃんかよと思いつつ見ていると、彼がドイツに帰ろうとして、アリスとその母ちゃんに出会ってからは微妙に映画の tone が変わります。ドイツの空港ストのため行き先をアムスに変え、一日宿を取る青年とアリス達。しかし翌朝、アリスの母ちゃんは男の所に出向きそのまま帰ってこない。伝言では後で追い掛けるとのこと。仕方為しに青年はアリスと共にアムスへ向かうが、やっぱり母ちゃんはやってこない。青年はアリスと共に彼女の祖母を捜す旅に出る。
 青年は写真を撮る。書けない病だから、せめて写真で、というわけだ。だが、写真も彼を満足させない。それは風景を捕らえた瞬間に、今の世界から断絶されたものとなってしまう。そして独り言を呟く。自分への言い訳のようなそれは、側に知り合いが居てもお構いなしに自分の世界を構築する壁となる。そりゃあ apart を追い出されもするでしょうよ。
 しかし、アリスと旅を続けることで青年は世界との繋がりを回復し始める。一緒に旅をしていても暫くは写真を撮り続けていたが、次第に写真を撮らなくなる。終いにはアリスに指摘されてようやく camera を向ける有り様だ。写真を撮らなくなったのと反比例するように、落書きを記すようになる。アリスと旅を続けることによって、自分の世界に張っていた壁をようやく壊すことができるようになったのだろう。旅の間、互いの悪口ばかり言っているような青年とアリスだが、壁の崩壊は確かに進んでいたのだ。
 無論、アリスの方も旅の途中で変化していく。青年と行動を共にしていても、最初の頃はわがまま千万、生意気なガキんちょなわけだ。だが次第に成長し、青年と共に笑ったり体操したりするようになる。青年が風呂に入っているところに入ってきて、「不安の不安」について話し合う scene なんて、オトナの会話ですよ。ガキんちょなのに妙な色気があったりして。その後のマッチの話もぐー。
 とまぁ、いろいろ読み解くのは可能なわけだけれど、流れる風景に心委ねながらのんびり見るのが一番であります。白黒映画にしてあるのも、夢の中の世界を表現しているようで絶妙。旅の終わりで列車から空撮での遠景に移っていく scene も美しい。こういうさりげない味わいをもたらしてくれるのも映画ならでは。Wenders らしい佳作でした。

log modified: 2003/05/02 02:59:10 JST

2003.05.02 (Fri)

Yoko Kanno / Wolf's Rain

 菅野よう子による animation sound track、2003 年発表。ちゃんと本編も追い掛けてますってば。話がどう転がっていくのか未だによく解らないんだけど、よく解らないなりに楽しんで見られます。作画も安定してるし。
 今回の O.S.T. の目玉になるのは Joyce の参加なのでしょうね。雪山走る狼たちの話なのに何故 bossa nova? いやいや、これが良い感じなのですよ。何せ目指すのは楽園なので。やっぱ暖かい曲も必要、でしょ? 菅野さんの melody にも仄かに哀愁が漂っているようで。お手芸の strings arrange も冴え渡ってます。
 sleeve 見てみると、この album の session は日本、brazil、italy、u.s.a、それに poland と、まさに世界各地で行われた様子。うへ。それでいてこの統一感は何としたことか。日本の session には最近の菅野作品にはお馴染みの今堀恒雄も名を連ねてますが、今回はあの noisy な distotion guitar は鳴ってません。まぁ、静かな曲調のものが多いので。strings の響きがやけに印象的。やっぱ弦楽器で行こう! って方向性があったんですかね。それ言っちゃ guitar だって弦楽器ですが。細かいことは気にせずに。あ、tr.15 "hot dog wolf" の guitar と cello って気持ちいいな。とにかく、攻殻 O.S.T. に比べれば格段に柔らかい音色が特徴的な album です。癒されたい方向け。

[movie] The King of Comedy

 Martin Scorsese 監督作品、1983 年。
 こういう映画は苦手です。哀しいというか呆れるというか自業自得というか。主人公のパプキン (Robert De Niro) の所行に同情の余地はないが、妄想の中でしか生きられないってのは悲劇に違いないわけで。こういうわざとらしい役柄、De Niro にぴったりだ。
 コメディアン志望のルパード・パプキンが、大物コメディアンのジェリー (Jerry Lewis) に取り入って TV に出ようと画策するが、電話掛けても自作の tape 渡しても冷たい返事ばかり。しかしパプキンは自分がジェリーと親密な仲にあると思いこみ、ジェリーの事務所に押し入ったり別荘に恋人と二人で無断進入したりとやりたい放題。しかしジェリーに叱られて現実を思い知らされると、今度はジェリーを誘拐して、TV に自分を出演させるよう工作する……。
 いかん、story を思い出しただけでも嫌な気分になる。こんな自己中野郎が側にいたら張り倒したくなるぜ。しかし、こういう嫌な話を嫌らしく伝えるってのも優れた映画ゆえなんだろうな。Scorsese の上手いところは、現実と妄想を繋げて表現するところ。始めの頃は訳わかんなくなってたが、次第にパプキンに都合の良い展開だと妄想なのだと思って見るようになっていく。TV 出演するところは流石に現実だろうけど、彼の漫談は笑えないし、観客の笑い声も取って付けたような印象(多分やらせだろう)。恋人に自分の出演した TV を見せた後で誇らしげに微笑むパプキンの笑い顔は、恐ろしく虚ろに見える。勿論パプキンは自信満々な笑顔なわけだけれど、今まで彼の所行を見てきた者にしてみれば、そりゃもう妄想に憑かれた狂人の笑みにしか見えないわけで。だから、最後にパプキンが芸能界復帰するって展開も彼の妄想と解釈するのが自然だと思う。仮に現実だったとしても、彼の才能では直ぐに化けの皮剥がされて、より一層酷い現実を見せつけられることになるだろうから。夢の為に戦うのはいいけれど、手法を間違ってしまえばただの悲劇だ。
 椅子に拘束されたジェリーに向かって、パプキンの妹がこれまた手前勝手な妄想を繰り広げる scene も不気味。自分の世界を延々と晒して終いには脱いじゃいますよ。こらこら、外に出るなら上着ぐらい着ていきなさい……。
 そんなこんなで嫌な映画。嫌な映画だけれど、De Niro らしい演技の見られる映画でもありました。
 あ、stuff roll で流れるのは Van Morrison の曲でした。だから何?って言われると困るんですがとりあえず。声、若かったなぁ。

diary

 やんなきゃやんなきゃと思っていたことの 1 つ、風呂場の掃除をようやくやり遂げました。かなり手こずりましたが終わって何より。普段取らないような姿勢で磨きいれてたので、腰が痛いです。いて。いてて。いてててて。ついでに筋肉痛も。ふくらはぎなんて引きつり気味だし。一晩眠って直っていると嬉しいが、歳だからね。

 うわ、ゴミ箱けっ飛ばしたぁ! 死ねオレ!(爆)

log modified: 2003/05/03 01:45:24 JST

2003.05.03 (Sat)

Suzukiski / Thought

 Suzukiski、1993 年発表の 1st。小生は 2003 年に出た remaster 盤を買いました。つか、再盤されるなんて。信じられません。いや事実だし。うひょお。神は実在した。舞い上がりすぎやって自分。
 で、泣いても笑ってもこれが 1st album らしいです。四つ打ちです。detroit techno ぽいです。でも派手派手じゃなくて、今の Suzukiski に通じる ambient でのほほんとした雰囲気はやっぱり今作でも感じられるところで。やっぱ Suzukiski、日常の中にも detroit techno。つか、このワビサビ加減は "Aphex Twin / Ambient Works" に通じるものがあります。こういうさりげない音、好きだな。十年後にも再盤されてるといいね。

[movie] Crimes of Passion

 Ken Russell 監督作品、1984 年。
 配管工の Bobby (John Laughlin) が企業スパイの調査として、有能な服飾デザイナーである Joanna (Kathleen Turner) の身元を洗うのだけれど、Joanna は夜になると China Blue と名乗る娼婦と化して男を誑し込んでいた。実際の所、企業の情報を流していたのは別人だったのだけれど、自分の妻と上手く行っていなかった Bobby は Joanna に心引かれるようになる。一方、China Blue の後を執拗に追い掛ける Shayne 神父 (Anthony Perkins) は、彼女を自分の分身と思い込んで、彼女に贖罪を受けさせようと企てる。
 B 級でエロエロな映画。あまり面白い話ではない。Bobby の孤独を描き切れてなくて、悩んでるように見えない点は致命的である。Joanna が昼と夜の二つの顔を持つようになった経緯についても詳しく語られないので、この二人が適当にくっついたような印象しか残らない。まぁ、エロエロな scene を撮りたかっただけなのかもしれないけど。それよか偏執狂の Shayne 神父がかなり怖い。この映画での Anthony Perkins は、"Psycho" のときよりマジ入ってて怖いです。Joanna 縛り付けてから piano 伴奏しつつ賛美歌歌ってる scene とか、眼がイッちゃってますよ。まさに怪演。こんな映画でなければもっと評価されたでしょうに……。
 音楽は Rick Wakeman が担当。あはは、映画音楽向きじゃないね。

高見 広春 『バトル・ロワイアル (下)』
「俺は貴子をよく知っている。貴子は、進んで人を殺すような女でもないし、錯乱して誰にでも銃をぶっぱなすような女でもない。たとえこのクソゲームの最中だろうと」
 弘樹がそう言うと、光子はちょっとあごを引き、それから、顔を傾けた。弘樹の顔を見上げ――そして、その唇がすっと笑みを形づくった。それはぞっとさせるような笑みだったにもかかわらず、その瞬間にこそよりいっそう、光子の美しさを引き出したと言っていい。
 ふふ、とかすかに光子が笑った。
「即死だと思ってたわ、貴子は」と言った。
 弘樹は何も言わず、じっとガバメントを光子にポイントしていた。(page 151)

 読了。下巻でも死にます死にます。中学生の 1 クラスとはいえ、弱肉強食は世の常ですからね。生き残り候補も大分絞られてきました。夢のカードが目白押し。三村信史 vs 桐山和雄、杉村弘樹 vs 相馬光子などなど。おっと、伏兵の旗上忠勝・滝口優一郎ペアや、委員長の内海幸枝を中心とした灯台籠城組も頑張ってる。勿論、川田章吾・中川典子・七原秋也の trio も未だ健在。はいはい、死んだ方は即退場です。あぁ死体はそのままそのまま。鳥にでも食わせときゃいいです。殺した相手から武器巻き上げるのも忘れずに。水も弾も温存しておかないと後で泣きをみるぞ。それから、仲間になったとしても油断しちゃ駄目だよ。いつ何時、銃を向けられるか解らないんだからね、この game では。
 文庫の解説でも触れられているけれど、この話はキングの "The Long Walk" を連想させますね。"The Long Walk" はひたすら歩き続けて、脱落者は撃ち殺されるという rule だったので、同級生同士で殺し合う『バトル・ロワイヤル』の方が描写がエグいけど。でも単純にエグくしただけで終わっていない。
 この小説では、生徒が次々と死んでいく。それも同じ級友の手によって死んでいくのが殆どだ。勿論、そこに葛藤がないはずがない。古来より、殺人というのは drama の一要素として格好の素材となってきた。殺人を禁忌と考える人々にとって、殺人は許されざる罪と写る。また、仮に殺人が起こった場合でも、その原因を追求し犯人を突き止めることによる秩序の回復が求められる。だが、『バトル・ロワイヤル』の中で行われる殺人は、秩序を破壊するものではない。それは単なる game 上の敗北しか意味しない。相手を殺し、自分が生き残る……これが、秩序に則った行為、rule に従った行為なのである。これを「戦争」と形容した坂持先生は正しい。だが、戦争に赴く兵士は戦う相手を敵としが考えない。それが、『バトル・ロワイヤル』では級友同士で戦うことになっている。級友とは、敵であり味方でありただの他人であり友人であり嫌いな奴であり恋人であり片思いの相手である。しかも、大半の生徒は殺人を禁忌と考える制度に縛られた状態で、いきなり級友同士殺し合いの状況に叩き込まれる。この状況を作り上げた時点で、この作品の成功は半ば約束されたと言っても過言ではないだろう。
 そして、作者の筆力はこの悲劇的状況で足掻き苦しみそれでも生き残ろうとする生徒達の心情を充分に伝えてくれる。いや、生き残るというのは勿論だが、この小説を裏でしっかりと支えているのは愛だ。愛ですよ奥さん。いや真面目な話で。山本和彦と小川さくらのように、誰も傷つけずに二人でひっそりと舞台から下りる者達。身を挺して相馬光子を守った滝口優一郎。思いを伝えるために危険な戦場を駆け抜ける杉村弘樹。傷つき死にかけていた七原が意識を取り戻したとき、思わず涙ぐむ内海幸枝。自分の愚かさに涙し、自分を好きだと言ってくれた者の側で心中を誓う琴引加奈子。そして究極の鈍感野郎七原秋也と、か弱い成りだが七原と共に生き延びる道を選んだ中川典子。どいつもこいつも青臭い奴らだな! と思いつつ、小生はこういう青臭い話は大好きなのだよまったく。灰と青春は隣り合わせだぜこんちくしょう。この手の dramatic な展開を、多少皮肉っぽく、しかし臆することなく描ききった作者に乾杯。
 終盤、game が終わった後でも thrilling な展開で楽しませてくれました。坂持と川田の論争 scene は、思わず船戸与一『猛き箱船』の last を思い出してしまったほど。message 性も充分で、実は骨太の小説でした。世間の風評はどうあれ、読書子は読んでおいて損はしないはずですぞ。

 個人的な hilight は、内海幸枝一派が崩壊していく scene。崩壊直前までは女の子達が長閑にシチュー作ってたり七原が元気になったという知らせで舞い上がってたりしてたので、一気に総崩れに陥ることで余計に悲劇的な印象が残る。衝撃的だったなぁ。堅い結束も、崩れ去るときは脆く儚い。榊祐子のその後も哀れ。うぅ、こういう展開、大好きだ(爆)。小生も病んでるな……。

log modified: 2003/05/04 03:33:42 JST

2003.05.04 (Sun)

Deepart / Snapshots Compilation

 別に Delsin の追っかけやってるつもりはないのだけれど、というか LP player 持ってないし買う気もないし single までは面倒見切れませんが、でも気になる label ではあるわけで、発売されて久しいこの Deepart の album も HMV で見かけて思わず買ってしまったという次第。まぁ Delsin といえば detroit techno follower として有名だし、とはいえ Amsterdam に本拠を置くだけあって europa の electro らしい知的で奥床しい雰囲気があるので、あまり高揚はしないんですが何気に ambient で変竹林な音が良いのです。
 で、Deepart の 2002 年発表作。何故に Compilation かと言うと、どうやら先行 release の LP "Snapshots I" と、次に出した LP "Snapshot II" とを coupling させて CD 化した模様。
 曲調は minimal な electro 多し。んでもって音が安っぽい。でもまぁ、Delsin で出しそうな音には違いないです。"Future Beat Alliance / Disconnected" もこんな感じだし。控えめでちと勘違い気味な funky 加減。人によって好き嫌いは別れそうですが、最近低血圧気味の小生は、この程度が丁度良い。時折 humorous な SE が鳴り響き、何とも言えぬ脱力感に襲われるのも宿命と思えば快いものです。未来版 Tom & Jerry の伴奏曲にでも使ってください。

get
  • Deepart / Snapshots Compilation
  • Suzukiski / Big Tomorrow
  • H_Foundation / Environments
diary

 所用あって渋谷へ。暑い。jacket なんか着て行くんじゃなかった。

 式神II、一回だけ play。3-2 のむさいオッサン二人組にぶつかって即死。ふみこさんも浮かばれますまい……合掌。ってオレのせいですか。すいません。次、頑張ります。

[movie] The Ninth Gate

 Roman Polanski 監督作品、1999 年。
 ぽらんすき? 何か聞き覚えがあるよなぁ……と思って調べてみたら、"Macbeth" の監督さんでした。ありゃ、すっかり忘れてた……ごめん。
 物語の主役は古書鑑定士の Corso (Johnny Depp)。彼は金持ちの蒐集家 Boris Balkan (Frank Langella) から、"The Nine Gates to the Kingdom of Shadows" という古書の調査を依頼される。Balkan の所有しているその本は、世界に三冊しかないとされており、その何れもが本物と言われている。しかし Balkan はわざわざ Corso に、その本の真贋を調査させるのである。べらぼうな金を積まれてその依頼を受けた Corso は、Spain、そして French へと渡り、他二冊と Balkan の本を比較することで、それぞれの本に微妙な違いがあることを発見する。だが Corso の周囲には不可解な事件が続出。本の元持ち主は色仕掛けで Corso を籠絡しようとするし、旅行先では何者かが Corso を殺そうとするし、謎の美女が Corso を助けようとするし、本の持ち主は次々と怪死を遂げていくし……。Corso は調査を続けていくうちに、自らも "The Nine Gates to the Kingdom of Shadows" の謎に深入りしてしまう。
 ふーむ、お話としてはそれなりに面白かったです。同業者が本の版画通りに殺されてたり、Corso が本の秘密に迫っていくところとか、mystery 仕立ての展開で飽きなかったし。あの同業者殺しと、本の持ち主二人が殺される点は結局種明かしされることは無いのだけれど、見終わってみると当たりが付けられるような仕組みになっている(*1)。Spain では危うく建築機材の下敷きになるところだったけど、あれもあの人が本を取り戻そうと工作したんだろうなぁと推測できるし。目に見えないところでお話を繋ごうとするのは楽しい見せ方だと思うな。まぁ、単に原作を端折って表現した結果かも知れないが。
 素材立ても、古書、悪魔崇拝、秘密結社の妖しい儀式、全てお見通し(?)な美女、血、入れ墨、殺人、古城……と、Gothic 趣味丸出しです。で、如何にも超常現象が起こりそうな雰囲気を醸し出しつつ、それを気配だけに止めて表現しているのも良い。あの謎の姉ちゃん (Emmanuelle Seigner) が何か宙を滑ってるように見える点を除けば、という条件が付くけど(笑)。謎の姉ちゃん、Corso と瞬きせずに見つめ合ってる scene だけでも充分 mysterious だったから、宙を滑らなくても妖しさは伝わってましたよ。謎の姉ちゃんも結局何者だったのか良く解らないまま映画は終わってしまうのだけれど、順当に考えれば彼女は鍵でしょうね。で、最後の光は Corso が門を開いた scene になってる、と。でもどうなんだろ。はっきりと表現されないからうじうじと考え込んでしまうけれど、その辺りを面白がらないと「何じゃそりゃあ! 金返せ!」な映画で終わってしまうような気もする。小生はそれなりに楽しめました。こういう胡散臭くて実は底の浅そうな映画は、波長が合えば面白いです。

 Jonny Depp、口髭生やして眼鏡掛けただけでペテン師ぽく見える点は point 高し。「俺はプロだから依頼人の事は話さないぜ」と嘯きながら、本の元持ち主だった Liana Telfer (Lena Olin) とはよろしくやっちゃったり。もっとも、それで Liana に噛みつかれてしまうんだから自業自得。それでも危ない橋を渡る古書鑑定士として、同業者や蒐集家相手に学のあるところを見せつける scene なんかは様になってました。こういう役もできるんですねぇ。感心。
 脇役陣も面白いです。金持ち蒐集家の Balkan 役、Frank Langella。始めは正気の大学教授(でも悪魔マニア)と思っていたのに、黒ミサ会場に堂々と乗り込んで周囲をバカ呼ばわりした挙げ句、衆人環視の中で殺しをやってのけます。この時のフツーな表情がたまらんですよ。犬でも殺したみたいな顔で、罪悪感の欠片もない。名演技。だからその後の悪魔召還 scene も、このオッサンがやるってんで違和感が無いわけだ。Liana Telfer 役の Lena Olin は、Corso 籠絡 scene 以外はパッとしないな。まぁ、vamp 役を Emmanuelle Seigner 扮する謎の美女と食い合ってしまってる(*2)ので、仕方ないのかも。Emmanuelle Seigner は目が怖いです。Depp のイカサマ師的な風貌と妙に似合ってしまう妖しさ。何でも Polanski 監督の奥さんらしい。こりゃ horror ですね。Polanski 監督も毎晩光を見てるんでしょうか。
 あ、何かいろいろ書きすぎた気が。そんなに言葉を費やす作品ではないと思ってたんですが。まぁいいや。名作とは言えないけれど雰囲気は良い、ということで。

*1: と思うが、小生の見方は間違っているかも。あの同業者殺し、Corso の本を奪い返すという目的で、彼と接触のあった同業者を殺したと考えると、その殺し方が版画の見立てになっていたという点が説明できないし。すると小悪魔の仕業かなぁ。Corso の旅が門に至る試練の過程であるという暗示になっているとか。うぅ、原作読めば解るのかなぁ。
*2: 歳も同じくらいですか? おっと、女性に年齢を訊くのは野暮ですかね……。
log modified: 2004/10/04 02:15:01 JST

2003.05.05 (Mon)

Miles Davis / Filles de Kilimanjaro

 Miles Davis の leader 作で、1968 年吹き込み。
 この時期の Miles については詳しく知らないな。Chick Corea (p) が弾いてる track が 2 曲あるので買ったような気が。とはいえあまり目立ってません。例のチロリロリンな phrase も控えめだし。
 しかし全曲 Miles の original で、怪しげな曲調ばかり。electric piano や electric bass を使っている曲も何曲か混じっていて、今の耳で聴くとあからさまに古臭い。というか、この elp を古いと感じるのは小生が 70 年代生まれだから、なのか? 今の若い人が聴いたら寧ろ新鮮なのか? いやぁ解らん。実は奥が深い album なんだろうか。
 Miles は例によって吹いてるのか吹いてないのかさっぱり解らない演奏。あ、たまに爆裂します。Wayne Shorter は tenor sax で Miles の真似しぃ。やっぱ Miles のギョロ目で睨まれながら吹いてたんでしょうか。一人涼しげに rhythm を保つ Tony Williams が何か良い感じです。

[comp] bash による file 名の置換 (with nkf)

 ある directory の中にある text file (sjis) を、「拡張子が .txt だったら nkf で euc に変換して .euc という拡張子で保存する」という処理がしたかったのですよ。
 以下、nkf.sh の内容。


#!/bin/bash
 
for file in $*; do
  if [ "${file##*.}" = "txt" ]
  then
    target=${file%txt}euc
    nkf --unix $file > $target
    echo "$file: -> $target"
  else
    echo "$file: not converted."
  fi
done

 あとは terminal 上で


$ sh ./nkf.sh /home/metham/hoge/*

 のようにするだけ。

[movie] Willow

 Ron Howard 監督作品、1988 年。
 異世界 fantasy な世界です。ええと、悪い女王が治めている国に、世界を救う女の子が産まれるという予言が流れる。で、女王は刻印のある赤ん坊を殺そうとするのだが、赤ん坊は乳母によって逃がされる。追っ手の追求を逃れるため赤ん坊は川に流され、小人族の Willow (Warwick Davis) に発見される。小人族の長老は、人間の赤ん坊が村にいると女王の軍団に襲われると考え、村外れまで赤ん坊を連れていき人間の手に渡すよう Willow に命じる。村外れでは野晒しの牢に閉じ込められた Madmartigan (Val Kilmer) が居て、Willow は胡散臭い Madmartigan をなかなか信用できないが、結局彼を助けて赤ん坊を渡す。だが赤ん坊は鳥に奪われてしまい、それを見かけた Willow は赤ん坊を追い掛ける。そこで Willow は、妖精の女王様から赤ん坊を守るよう直々に仰せつかり、冒険の中に引きずり込まれてしまうのであった……とゆー話。
 娯楽大作です。王道 fantasy です。剣振り回しての活劇もあれば、悪い女王の娘である Sorsha (Joanne Whalley) と、流れ剣士 Madmartigan との romance もあり。魔法の杖、巨大 monster、ちび妖精に小人族と、道具立ても揃っている。で、所々に humorous な仕掛けも施してあって。Val Kilmer の女装が見たい人は必見の映画と言えるでしょう(笑)。まぁ、こういう映画は何も考えず話の流れに沿って楽しむのが一番ですよ。例えば「主役が Willow なのか Madmartigan なのか解りにくくてのめり込めん」とか、「Sorsha が実の母親裏切って Madmartigan とくっつくところに葛藤がなくて御都合主義的。その後、しれっと Willow の一味に加わってるのも、今まで敵だった相手に対して不用心すぎ」とか、「troll があんな猿みたいなのでいいのか」とか、「Raziel の婆ちゃん、Willow の下手な魔法で散々な目に遭わされたのに『あんたにゃ魔法の才能がある!』とか言って魔法の本渡しちゃうのはどういうことよ」とか、素人目にもツッコミ所は満載なわけですが、細かいこと言ってちゃいかんのです。ついでに "The Load of the Rings" と比較するのもナシね。とても比較にならないから……というのは冗談で、"The Load of the Rings" を大河ドラマとするなら "Willow" は冒険活劇なわけで、見る方もそれを承知して楽しむのがスジってもんですよ旦那。だから、人物描写が薄いのも実は狙い通り、と。
 ええと、本当の娯楽映画は後に何の印象も残らないもの……という意味では良くできた映画だと思いました。見たのは今回で多分二回目ですが、story はまったく覚えてなかったからなぁ。それも良くできていたがゆえ、ということで。少なくとも、見てる間は楽しかったので良かったのではないでしょうか。一応誉め言葉、ということで。
 それにしてもこの映画での Val Kilmer は良い配役です。軽薄なにやけ面で敵か味方か解らないような姿勢を保ちつつ、それでも戦いの場になると剣振り回して敵をばったばったと薙ぎ倒す。これが Schwarzenegger だと強すぎるところだが、一見ひょろっとした二枚目の Val Kilmer がやるから、しなやかな味わいが出る。Willow とたった二人で、大軍相手に籠城しようとする scene で、いろいろ罠を張って敵の意表を突くところなんかも、戦い慣れしている様子を俄に醸し出してました。とはいえ、Sorsha といい仲になってからはすっかり王子様 mode に入ってしまうので少し point 下がりますが。
 世界を救うと言われる赤ちゃんの視線にも注目。この赤ん坊、最後に何かするのかと思いきや何にもしなくてすごく拍子抜けするんだけれど、登場人物達が何か選択を迫られたときに、赤ん坊と目を合わせた結果、彼女と一緒に行くことを決心したりする。一種の魔法というか磁力というか、そういったものを彼らは赤ん坊の円らな瞳に感じたんですかね。赤ん坊にして既に男の心を虜にするとは末恐ろしい(違う)。
 物語終盤の、魔女二人で魔法合戦する scene も印象深い。何が凄いって、最初は真っ当に魔法同士で戦いあっていたのに、最後は二人して取っ組み合ってあちこち転げ回ってるという有り様で。婆さん二人で何やってんだか。醜悪で笑えました。

diary

 今日の式神II、3-1 で玉砕。壁が壁です。動く壁なんて適当に無視しちゃえ! って言われても、なかなかしーぽんのようにはいかんのです。

 今日は連休最終日。で、連休中にやりたかったことは幾つかあったわけだけど、結局、風呂掃除くらいしかできなかった。あうあう。
 ちなみに、他にやりたかったことは……、

  • 部屋の片付け
  • 段ボール箱の廃棄
  • 古雑誌の廃棄
  • HDD 入れ換え
  • Kondara から Mandrake に環境移行
  • linux で i アプリ作成
  • 洋書読み

 などなどなど。とほほ。まぁ地道にやっていきますです。

log modified: 2003/05/06 02:59:29 JST

2003.05.06 (Tue)

Carl Cox / At the End of the Cliche

 hard minimal 界の大御所、Carl Cox の original album。1996 年発表。
 minimal というと 3k、即ち「暗い怖い気味悪い」と呼ばれるかどうかは不明だが少なくとも小生はそういう印象がある。例えば初期の Jeff Mills から始めて、Cari Lekebusch、Surgion、The Advent と続けて、Steve Stoll 聴きながら寝たりするときっと悪夢にうなされるでしょう。んが、そこに Carl Cox のこの album が挟まってたりすると、砂漠の中で oasis 見つけたような気分になることでせう。
 基本は確かに minimal techno 調なんですが、でも煌びやかです華やかです。聴いて楽し踊って嬉し。速攻ズンドコでも step 軽やか、ウワモノも多彩で豪華てんこ盛り。Derrick May が素っ裸で曲作るなら、Carl Cox はヒカリモノじゃらじゃら言わせながら金粉付きの卓で曲作ったという趣き。でもって trance っぽい dramatic な展開も見せつけるし。tr.8 "Siberian Snowstorm" の四つ打ちが入ってくるとこなんて思わず失禁ものです。かっこよすぎ。反則。
 ひたすら踊れる快楽音響。すごい。だがしかし! CD jacket はセンス悪いっす(笑)。

diary

 今日の式神II、4-1 道中であっさり終了。ま、初めて 4 面到達できたので良しとしてくだされ。

[comp] apt

 Mandrake Linux 用の apt を入れて色々試してみたのだが、うまく行かないです。「shadow-util がアレなので依存関係を調整でけへんよ」みたいな error を吐いて、パケジを入れてくれないのである。"-f" オプションを噛ませても同様なので、どうにも厄介そう。相変わらず茨道だな、Mandrake は。素直に vine あたりに乗り換えるべきか。

 んむ? urpmi というモノがある様子。ういうい、使ってみるか。

log modified: 2003/05/07 02:16:10 JST

2003.05.07 (Wed)

[comp] linux で TV 録画

 ええと、録画予定の民放の映画と GAD GUARD が放送時間重なってしまったので、潔く Gad を諦めることにしましたというのは嘘で、linux で TV 録画すればええやんという話です。

 まず小生の PC 環境ですが、TV tuner card ぶっ差してる新型クン(相変わらず名前はない)を使います。

  • CPU: Pentium 4 (2.53GHz)
  • Mem: 512M
  • Graphic card: G550
  • TV tuner: BT878A-STVPCI2
  • OS: Momonga Linux (kernel 2.4.20-12m)

 最初に情報収集。ここがすごく参考になりそうなので熟読。
 そして戦闘開始なのですが、最初に引っかかったのは録画した avi を再生しても音が出なかったってこと。何でかいな〜と暫く悩んでましたが、aumix で MIC に赤い R を付けたら音が鳴るようになりました。初歩的な miss ですな(爆)。

 いろいろ試してみました。

★ streamer

$ streamer -t 0:30 -s 352x240 -r 29.97 -o movie.avi -f mjpeg -F stereo

 で、録画可能。でも再生すると重い。音ももたつく。

★ avirec

$ avirec -n ntsc -F 29.97 -x 320 -y 240 -L 8 -R 4 -q 100 -c "FFMPEG DivX5" \
-a rc_bitrate=2000000 -b 128 movie.avi

 録画不可でした。しかも audio driver を rock する様子。危険。

★ mencoder

$ mencoder -tv on:driver=v4l:width=352:height=240:norm=NTSC -tv forceaudio: \
chanlist=japan-bcast:channel=8 -ovc xvid -xvidencopts bitrate=2500 -fps 29.97 \
-oac mp3lame -lameopts cbr:br=64 -o output.avi -endpos 10

 録画は可能。しかし音声が何だか回転速度を落とした LP みたいになってしまう。実用には耐えません。

★ ffmpeg

$ ffmpeg -vd /dev/video0 -t 30 -s 320x240 -r 29.97 -b 2000 -ab 224 -ac 2 \
-f  avi -vcodec mpeg4  movie.avi

 録画可能。これが一番良かったな。音声ももたつかないし。
 というわけで、今回は ffmpeg を使うことにします。

 次に cron で録画予約。


$ export EDITOR=/usr/bin/jed
$ crontab -e

 で、crontab の内容を以下のように編集。


26 14 07 05 wed /usr/bin/ffmpeg -vd /dev/video0 -t 2000 -s 320x240 -r 29.97
-b 1000 -ab 128 -ac 2 -f avi -vcodec mpeg4
/mnt/jfs/GAD-`date +\%Y\%m\%d-\%H\%M`.avi
 
# (実際は改行入ってなくて、一行表示です)

 あとは寝て待ちます。録画できてるといいな。

get
  • Richard M. Stallman 『フリーソフトウェアと自由な社会』
log modified: 2003/05/08 23:29:49 JST

2003.05.08 (Thu)

[comp] linux で TV 録画 (2)

 昨日の GAD GUARD、ちゃんと録画できてました。ちと音声が大きすぎなのを除けば、特に問題なく見られます。この調子でがんばろ。

speedometer. / ...or not.

 暑すぎず冷たすぎず、の微妙な温度感が素敵な speedometer. の 2nd album。1998 年発表。
 2nd にして既に自分の世界を作り上げている。今のところの最新 album "sense of wander" を聴いた直後にこの album 聴いても、違和感は殆どナシ。頑ななまでに自分流。世間の流行なんて何処吹く風。そして何気に私小説風。
 inner sleeve には、電波塔やら鴉やら鉄格子やらの風景写真がいくつか。ごくありふれた日常的な風景と、speedometer. の生み出す sound は妙に似合っている。見慣れた世界であるが故に見過ごされてしまう微細な美を、丁寧にすくい上げ音響として結晶化させる。piano や電子音による、さりげない音の装飾。延々と loop する phrase に物語は介在しない。音は風景写真のように、その空間の雰囲気を伝えるだけ。それは構造的で、どことなく悲しい気分を誘う音。
 beat はあるけど ambient。こうして無為な一日が過ぎていく。

diary

 今日の式神II、4-1 道中まで。なかなか越えられないな。

 仕事場でセクハラ研修を受けた。我が身を省みて思い当たる点はあまり無かったのだけれど、とりあえず気を付けます。

log modified: 2003/05/09 03:18:52 JST

2003.05.09 (Fri)

Jim Hall & Ron Carter / Alone Together

 いきなり tr.1 から Sonny Rollins の "St. Thomas" で開幕。しかし、である。Rollins の名作 "Saxophone Colossus" では Rollins らしい humorous な melody と、彼の豪快な吹きっぷりが match して強烈な印象を残したこの曲が、Jim Hall (g) と Ron Carter (b) の二人だけで演奏されると、おっそろしく地味渋で枯淡な曲になってしまうのはどういうことよ。既にこの時点で album の方向性も定まってる様子。即ち、老後は日向ぼっこしてのほほんのほほん。って、この album の録音は 1972 年、Hall は 42 歳、Carter は 35 歳。あんた達、まだ枯れる歳じゃないでしょうが!
 とはいえ jazz guitar と wood bass の二重奏である。どう足掻いても若くは見せられません。しかもどちらも弦楽器でハッタリ効きません。それならば、と二人して開き直り路線。tr.5 "Softly, as in a Morning Sunrise" や tr.8 "Autumn Leeves" と言った jazz standards を 6 曲、それに Hall と Carter の original を 1 曲ずつ収録。でもって脱線なしの、ちょー安定かつ予定調和な世界を延々と繰り広げる。jazz なのに classical な味わい。ぼーっと聴いていたら安手の easy listening jazz と紙一重ですな。まぁ、Jim Hall も Ron Carter も名脇役でありすぎるために自己主張が薄くて、この duo での演奏もお互いへの配慮に終始してしまい、結果として地味渋になるのも納得なわけです。
 こういう毒のない album も、たまに聴く分にはいいかもね。のんびりしてて落ち着いてて。年寄りくさいけどね。

diary

 帰宅したら 24 時でした。うーむ、忙しい。

[anime] ムリョウと数と時間

 「学園戦記ムリョウ」がまた放送されてるので毎週見てるわけですが、今頃になって「ムリョウの登場人物名って『数』とか『時間』に関わるものが多いよなぁ」と気付いた次第。
 無量、那由多、阿僧祇は、べらぼうに多い数のこと。双葉、八葉、京一、百恵ばあちゃんは名前の中に数がある。そういや京は、兆のもひとつ上の位ですな。
 時間で言えば、瀬津名は刹那の当て字で、瞬は文字通りの瞬く間。さらに村田クンのお母さんは今日子。
 で、村田クンは始。ついでに村田クンの父ちゃんは和夫。数ぉ? なんか出来過ぎ。

 晴美はこれに当てはまらないような気がするな。それが彼女の特殊な立場と関係あるかどうかは謎ですが。

 う、こことか見てたら、ますます数と時間に囲われてるような気がするなぁ。

log modified: 2003/05/10 05:03:47 JST

2003.05.10 (Sat)

H_Foundation / Environments

 H_Foundation の 1st(多分)。2003 年発表。SOMA CD32。
 Soma という label も detroit techno からの影響を隠さないところなので、小生好みの音が多いです。この H_Foundation の album では、tr.2 "Sol Searchin'" での housy な beat と情緒的な synths の音がひじょーに美味。前半の展開は detroit ちっくな house で快楽に溺れます。後半は四つ打ちに捕らわれない自由な音作り。何だか尻窄みな印象が。でも初作だし。いろいろやってみたかったんでしょうかね。
 強烈な印象は残らないのだけど、最近よく聴いてます。派手すぎないので聴いてて疲れないし。血圧低めの内向的 house。音楽性は異なるけれど、"Jori Hulkkonen / Different" を少し連想させるような空気感があります。今年の隠れた佳作、ということで。

get
  • The Necks / Sex
  • Norma Jean Bell / Come into My Room
[movie] The Lord of the Rings: The Two Towers

 やっと見に行きました。第二部 "The Two Towers" です。Peter Jackson 監督作品、2002 年。
 前作で散り散りになってしまった旅の仲間達のその後が描かれる。フロドとサムは指輪廃棄の旅の途上。そこに以前の指輪所持者だったゴラムが現れ、指輪を奪い返そうと二人を襲うが、逆に捕まえられる。ゴラムを危険視するサム。しかしフロドはゴラムにモルドールへの道案内を頼み、かくして三人での旅が始まる。
 一方、メリーとピピンはオーク達に捕まってサルマンの元に移送されている途中だった。腹を空かせたオーク達が「足の一本でも食わせろや」と二人に迫ったその時、武装した騎士達がオークに襲いかかった。そのどさくさに紛れて二人はファンゴルンの森へと逃げ込み、口を利く樹木のエントに出会う。
 そして、メリー達を救出すべく後を追うアラゴルンとレゴラスとギムリ。ギムリが「ドワーフは短距離向きなんじゃい」と悪態を付きながら人間とエルフの後を追う姿が何とも微笑ましいです。三人もファンゴルンの森に入るが、そこで死んだと思われていたガンダルフと再会を果たす。ガンダルフは三人をローハンの国へ導く。そしてローハンを手中に収めようと魔術師サルマンが暗躍し、遂に魔族の軍団をローハンへと差し向ける。
 戦争の scene は見応え充分! 次から次へと沸いて出てくるオーク達を、アラゴルン達がばったばったと薙ぎ倒していく様は痛快そのもの。戦士としての腕は一流だが短躯故に humorous な役回りで笑いを誘うギムリも良い。普段は冷静なエルフのレゴラス、今回は勝ち目の無い戦いを前にして激高する場面があったりして、意外に熱い一面も見せます。
 メリーとピピン、今回はあまり目立たず。それでも人間と悪魔の戦いを静観しようとするエントに対して「それでいいのかっ! 共に戦え!」と檄を飛ばす場面もあったり。無力感に囚われても、諦めずに自分達のできることをやっていこうとする姿勢が印象的。
 しかし一番の見所はやっぱりフロドの一行でしょう。ゴラムの内に巣くう悪の人格は、彼にフロドを害し指輪を取り戻せと唆す。ゴラムの善なる人格はそれを否定しフロドを信用しようと躍起になる。これもまた指輪がもたらした戦いの一つなんだろうな。指輪所持者のフロドも、指輪に魅入られ我を失いかけている。臆病者だったサム、ここで主人を救うべく勇気を奮います。フロドの重荷を共に分かち合おうとするその姿、感動ものです。あんたも戦っとるんやなぁ。
 そんなこんなで、あっという間の三時間。映画館でも時計を気にする小生ですが、この映画は staff roll が流れるまで遂に時計を見ることはありませんでした。そこまでミドルアースに没入していたとは。見終わって冷静になってみれば、映画としては冗長な割に story は端折りすぎで踏み込みが浅い気もするのだけれど、それでも見ている間はそういうことが気にならなかったな。衣装や舞台装置へのこだわり、地味だが映画の中では説得力のある特撮、そして役者達の迫真の演技。それらが高純度で混じり合った結果、我々は映画を観ることでミドルアースの歴史の証人になれるわけだ。ここまで徹底されると、もはや原作との比較だけで評価してしまうのは nonsense だろう。映画で世界を作り上げるってのは凄いことです。
 ではまた来年に。

diary

 散髪したけどあまり髪が短くならなかったな。

 Border Down、初 play。うわ、Metal Black meets G-Darius ですか。Border って、そういうことだったのか。横シューは相変わらず苦手です……。

log modified: 2003/05/11 03:38:38 JST

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