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Paul Bley (p)、Jimmy Giuffre (ss, cl)、Steve Swallow (b) による、drumless な trio。free jazz 的な演奏が主だが、そこはかとなく見せる叙情性が美しい。Bley の touch は流麗にして繊細。1989 年の録音なのに 70 年代の叙情が甦ったかのような弾きっぷりだ。そして北欧の冷たい風を思わせる Jimmy Giuffre の clarinet。Steve Swallow の bass は音域広くて、うっかりすると jazz guitar みたいに聞こえる瞬間も。
drumless な編成が不気味さ怪しさを漂わせる、不思議な演奏。しかしこの三人、相性がいいのか free jazz なのに窮屈な感じはしない。自由な演奏だが拡散の方向に向かわず結晶化していく。演奏がそのまま作曲に結びつく、ということか。Giuffre の音がはっきりとした輪郭を描いているからかも知れないが。Bley の演奏の中では聞き易い部類に入る作品でしょう。
同一人物四人の便利なところは、意見が一致しやすいことだった。(page 18)
『コズミック』や『ジョーカー』の作者さんによる中編が 2 つ入っている。
しかし……何だか同人小説でも読んでるような気分にさせられる作品だったなぁ。
「木村さん殺人実験 W」は、木村彰一が分裂して増えていくというドタバタなネタ。妄想が広がって日本人の数を木村さんが上回ったりするのは楽しい展開だが、結論を延々先延ばしにしていくのが鬱陶しい。
「W カウントダウン 50」は、『幸福の MEMO』なる紙切れが学院内で人から人へと渡っていく話。その紙切れを手にした者は、紙切れに書かれた制限時間が刻一刻と少なくなっていくことに恐怖し、それを real なものとして怯える。只の悪戯 mail な発想を文庫で 200 頁ほどの分量まで拡張するのはどうもなぁ。読みきるとほっとしました。
話の内容が大げさでないだけに、清涼院流水な語り口を楽しめる作品には違いないです。言葉遊びに拘り、章番号も story に組み込んでしまう巫山戯た態度も、ここまで過剰だと面白がるしかないだろ。へいへい、どんどんやっちゃってください。
mistery 色が薄いので、期待していた内容ではなかったな……というのが本音。やはり大作に期待するしかないか。
小生は「世紀」のコース(正規の読み方)で読んだのだけれど、時系列順だと「院」のコースになるので注意。ちゃんと繋がります。見直すまで気付かなかったのは迂闊だったな……。
所謂 Disco sound には抵抗がある小生である。卓球の album でも一番良く聴いてるのは "Berlin Trax" である。Metro Area の album は試聴したけど買ってないし。どうにも乗れないんですよ。多分体質です。
で、この Gary Martin 氏。Detroit のベテラン producer とのこと。詳しくは知りません。この album は今年に入って店頭に並んでいたもので、exceptional から。Wave の売り文句読んだ限りでは、disco で tribal な最近の detroit の風潮に乗った感じの音らしい、との印象。あまり期待はしてませんでした。
が、これは良い! いかにも detroit な synthe の phrase がたまらんです。tr.1 "Escape To A Dream" の、微睡みから覚めるときに見る悪夢のような情景。tr.2 "Casa Cugat (Prime Time Mix)" の、早い tempo の disco sound に catcy な phrase を乗せる絶妙さ。美味です。その後も、techno とも house とも disco とも付かぬ不思議な質感でドンツクドンツク鳴らしてます。tr.5 "Pimping People In High Places" みたいなモロ disco も嫌みはないし。tr.9 "Mambo Elektro" は pop な勢いで思わず目が覚める number。sax が良い味出してます。
確かに tribal な雰囲気はあるけれど、Oliver Ho のようにそれで押しまくる感じではなくて、あくまで上品に取り入れている点が Gary Martin 風なんだろうな。これもまた匙加減を心得た職人の技。じっくり味わいましょう。
若き Aphex Twin が作り上げた世界は内向的で、美しい静けさに満ちている。bedroom で sampler と戯れ、着実に自分の世界を築きあげる。精緻で脆い世界。拠り所とするにはあまりに危うく、しかし他の逃げ場はない。"Ambient Works" と言いつつ、微妙な緊張感を内包する beat が listener をも追い詰め、引きつける。
怯えて震える音。暖かさを求めて果てしなく彷徨う synthe の phrase。音と真っ直ぐ向き合うしかない少年は、自分に歯止めをかける術を知らない。その reverb は、その echo は、誰に向けて放たれているのだろう。
Jeff Mills の音と同様に、心の深淵を覗き見るような気分にさせられる。しかし Mills と決定的に異なるのは、Mills の音が mechanical な構造を絶えず意識させるのに対し、Aphex Twin は心情が「投げ出されている」ように感じてしまう点か。
計算の上に成り立つ texture ではなく、無闇に生き急ぐ少年の心象風景。それが否応なしに孕む pureness には、多少の気恥ずかしさと、孤独な内面とが照射されている。
tr.5 "Manchmal" 聴いてると、高校野球の放送で学校紹介してる時の bgm を思い出して脱力してしまうのであった。Cluster って、こんなんだっけ?
ええと、1979 年発表の 5th album らしい。オビには「彼らの最高傑作と称される」って書いてあるけど、おいおいホントかよ。tr.1 "Avanti" なんて、Cluster つーより Tangeline Dream ですぜ。と思ったら、producer には Peter Baumann の名が入っていて納得。
まぁ、Cluster らしい浮遊音と怪しさ満点な melody に満ちた、愛情一杯の album であるのは違いないわけです、が…… jacket の cool な質感から受ける印象に音が負けてるような。この jacket は素晴らしいです。地平線みたいに見える直線が、実は緩い curve を描いてたりして、変なところで芸が細かいし。
あ、tr.6 "Grosses Wasser" は何となく凄いです。ambient に始まって、piano が描く点描に水滴が被さって、いつの間にか drums も入って、Cluster ちっくな音響世界に突入して(笑)、またまた ambient な深みに填り込んで。そうだよこれが Cluster だよ理解不能だよ笑うしかないよあははあははあは。
しっとりした piano の melody で締めるのも死にかけてる時の花畑のような不気味な美しさが感じられて、やっぱり Cluster な album だったと思えるわけです。わお。
club jazz の idiom で生 jazz やってます。前衛の中村雅人 (sax) と、吉澤はじめ (p) は強力です。吉澤さん、piano 上手すぎ。中村さんは one horn とは思えぬ分厚い音で鳴らしまくるし。杉本智和 (b) と藤井伸昭 (dr) は latin で躍動感に満ちた rhythm で突進突進。四人が一体になって演奏しているときの結合力は素晴らしいです。Coltrane から宗教性を抜いて、熱気と疾走感だけを抽出したような感触。まぁ、目新しさは無いんですが、jazz でこれだけ真っ正面から熱い energy をぶち当ててくる album は最近体験してなかったので、良い感じに聴けました。club jazz の棚に置かれるよりも、jazz の棚に置かれる方が自然な作品です。
一時期は狂ったように聞き込んでいた album。今聴いても燃えるなぁ。
収録されている artist には小生には馴染みのない名前がずらり。Toktok、Sven Vaeth、Supercruizer、Mike Ink、Pascal F.E.O.S.、Zombie Nation 等は名前しか知りません。しかしと言うかだからと言うか、妙に統一感はあるわけです。trance & techno で派手目で硬派。そこはかとなく香る story 性も良い。あまり mix album 聴かない小生でも、この展開にはしてやられたって感じです。tr.12 "Cosmic Baby / Fantasia (Celestial Harmonies)" ってば名曲ですよ。piano の loop が印象的で。tr.14 "K-jim & Y-bot / Summer and You (Mijk van Dijk remix)" も美味。ちょっと甘酸っぱい synthe が胸を締め付ける好 track。そうそう、前半の stoic な姿勢から、終盤の mellow な展開への持っていき方が見事なのですよ。
Tony Scott 監督作品、1998 年。
むー、今ひとつ。主演 Will Smith が、やり手の弁護士らしく見えなくて、敵に追い立てられても緊迫感が出ないんだよな。Gene Hackman は悪者ヅラなんで(失礼)、Will Smith を助けてても悪の片棒担いでるようにしか見えないし。
一市民が政治家の秘密を握ってしまったばかりに人生狂わされるという展開はそれなりにコワイものがあって、特に前半の、個人情報を身ぐるみ剥がされて情報操作されて職を失い信用を失いカードも使えなくなり妻にも不倫の疑いを突き付けられ何処に逃げても探知機で居場所を知られてしまうという状況に追い込まれる……というのは非常に嫌らしい。後半は隠れ盗聴屋を巻き込んで反撃に出るのだけれど、この辺はちと雑な展開になったような。最後は NSA の高官と mafia を鉢合わせさせ共倒れさせるが、そーゆー解決では物足りないなぁ。真実は結局闇の中かよ、って。まぁ、娯楽映画に theme 性を求めてはいけないか。まぁ、それなりに楽しめました。
Andrei Tarkovsky 監督作品、1983 年。
Tarkovsky の映画を見たのは初めてだが、何というか、映像で語る映画だなぁと。言葉は少なくて哲学的で意味不明気味。story もあってないようなもの。なので退屈です。
しかし、はっとさせられる瞬間も少なくない。立ちこめる霧の中に浮かび上がる教会。hotel の暗い部屋。ドメニコの塒に響き渡る水の滴る音。sepia 色に染め抜かれた情景の中で、太陽を拝む女達。澄んだ水の敷かれた浅瀬に立ち竦みながら、少女に小話を披露するアンドレイ。ローマで自ら火に包まれ絶命するドメニコ。そして、湯の引けた温泉を、蝋燭の火を絶やさずに横断し、ドメニコとの約束を果たすアンドレイ。
世界への絶望、故郷への郷愁。それを、声高な主張ではなく、静謐な映像から滲み出る感情で表現する。夢と現の狭間で孤独に苦悩するアンドレイの姿が印象的な映画。こういう映画だとは思わなかったな。良い意味で裏切られた一作。
駅近くに東急百貨店があるのだけれど、今日行ってみたら店内の放送で tr.1 "Owner of a Lonely Heart" が流れてました。80 年代の音ってば、百貨店の騒然とした雰囲気に馴染みますねぇ。ちなみに駅近くには西友もあって、そっちでは今日 stevie wonder の曲が流れてました。そういや、西友は soul 系の店内放送が多いような。これも企業文化ってやつですか。
で、80 年代 Yes です。遂に手を出してしまいました。この album は 1983 年発表。夢と希望に満ちあふれた positive な楽曲が、これでもかこれでもかと繰り出されます。面子は Jon Anderson、Chris Squire、Trevor Rabin、Alan White、Tony Kaye。そういえば、Trevor Rabin は映画 "Enemy of the State" の音楽を担当してたなぁ。ここによれば、Trevor Rabin は "The Sixth Day" やら "Armageddon" やら "Con Air" やら "The Glimmer Man" やらの音楽もやってたらしい。何だか胡散臭い映画ばかりだな(笑)。あ、また脱線。
tr.1 "Owner of a Lonely Heart" は、orchestra hit という楽器の名を広めた(笑)名曲。確かに pop で、Yes らしくないといえばらしくない。
とりあえず tr.2 と tr.3 は忘れて、tr.4 "Changes"。これはええ曲です。小生はこの曲のためにこの album 買ったと言っても過言ではないので。思えば小生が中学生の頃に初めて Yes の live を NHK-FM で聴いたのだけれど、その live の最後の曲がこれでした。Yes らしい静と動の contrast が見事。プログレは美しいと当時の少年は思ったものです。どろどろした内実なんて知らないからそう思えたんだろうなぁ。今となってはもうあの頃の純粋な思いでは聴けませんが、こうして CD で聴いても良い曲は良いです。80 年代ぽいキラキラした音も、そんなに悪くはない。まぁ、70 年代の音の方がぶっとい印象はあるし、その方が Yes らしい音になるとは思うのだけれど。
tr.6 "Leave It" のトゥートゥー言ってる voice melody、地元 FM のジングルに使われてたような。妙に耳に残る phrase です。
tr.7 "Our Song"。何だこの爽やかさは! "Music is Magic!" と歌う Jon。明るいなぁ。synth と guitar の疾走する unizon がまた爽やかさを煽る。またまた Yes らしくない直球な pop song だけど、まぁ 80 年代とゆーことで。
tr.8 "City of Love"、medium tempo で theatrical な雰囲気。ふーん。どうってことない曲(失礼)。
tr.9 "Hearts" は album の last track。これは Jon の世界ですね。"Union" の last track もそうだったけれど、こういう album の締め方には小生弱いです。泣ける。
ええと、全体的に思っていたより悪くないです。音が痩せて聞こえるのは頂けないですが、楽曲的にはそれなりに佳曲が揃ってると思います。小生は "Changes" 聴けただけで幸せです。生きててよかった。
C1001SA になりました。
最新の機種には目もくれず、某社製品には深入りしてるので視野に入れず、カメラ付きは各所で疑われる(笑)ので除外し、残ったのがこれだけだったのですよ。au の point も溜まってたので、出費も少なかったし。
しっかし 1 年以上も前に発売された端末だったんですねぇ。目立つところに展示してあったということは、それだけ需要があるってことだろうか。そうは見えないんだけど。
ざっと使ってみた感じでは、まぁ良くも悪くもない普通の端末。Global Passport 以外に特筆すべき機能もないように思える。まぁ、小生は通話さえ出来れば文句はないので、当分はこれで困らないはず。
それにようやく ezweb に繋げられるようになったし。これでやっとこさ携帯でも e-mail を受けられるようになりました。めでたしめでたし。
Michael Apted 監督作品、1999 年。
Pierce Brosnan の 007 な一作。話はそれなりに複雑で、ボンドガールは二人?いて、派手な演出は相変わらず。なのにいまいち焦点が絞り切れてない印象。"Tomorrow Never Dies" はメディア王の陰謀という切り口が斬新で、ドリルメカ(笑)を使った発想もボンドの小道具を圧倒する印象で楽しかったのだけれど、今回は石油パイプラインにプルトニウムに原子力潜水艦と、出てくるものは娯楽映画的には手垢の付いた道具ばかりだったので impact に欠けるし。Brosnan の顔つきが疲れてるように見えるのは悲劇的な展開だから、だけではあるまい……。
Goldie みたいな人が出てきてるなぁ……と思ってたら Goldie だった(爆)。ちんけな悪役で、ボンドに金歯をからかわれたり。はは、なんか笑ってしまうなぁ。
Neu! の 2nd。ハンマービートと呼ばれるズンドコな四つ打ちでひたすら突き進む。ひたすらひたすら突き進む。ひたすらひたすらひたすらひたすら突き進む。tr.1 "Fur Immer (forever)" で 11 分もあるよ。さっすが german rock。てゆか System 7。あ、そういうことか。"System 7 / Power of Seven" の tr.1 はこれだったんだ。今頃になって繋がってきたよ、techno と german rock が。
それにしてもドイツな奴らって、こういう永続快楽音楽って好きだねぇ。そりゃ小生も好きですよこの手の音楽は。あまり考え込まなくていいので。でも環境音楽としては騒がしいし、techno と言うには揺らぎがありすぎる。だから何だか祭り太鼓。この音楽には先がない。先がないけど叩き続ける。終着点のない永久音楽劇場。そこに歪んだ tape の逆回転やら風の音やらをへこへこ足して、鐘の音がぐわんと鳴り響き世界はねばねばした泥沼に沈み込む。奇声飛び交う tr.4 以降は開き直りだか lo-fi だかで初期 Sonic Youth を聴き直したくなるな。
まぁそんな感じで多方面に多大な影響を与えた罪深い album なのだそうな。「属性:悪」と認定します。
なにこの tr.5 "Neuschnee 78" てば tape 早回し? 音は途端に cheap で軽くなって、昔の game music ばりのアホさ加減が可愛らしいというか不気味というかしかも妙に pop で良い感じに盛り上がる。逆に tr.6 "Super 16" はやたらと重い。doom metal かよ。牛の断末魔の悲鳴みたいな音が、ぐももぉ、ぐもももぉって唸りまくってます。うへ、怖い。