Noisy Days in July, 2005

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2005.07.01 (Fri)

[movie] K-19: The Widowmaker

 Kathryn Bigelow 監督作品、2002 年。
 1961 年、冷戦時代の USSR。米原潜の射程距離内に Moscow を捉えられた USSR は、対抗手段として自国原潜を米首都圏に張りつかせようと画策し、最新鋭の自国原子力潜水艦 K-19 をその任に当たらせる。艦長は生粋の軍人 Alexei Vostrikov (Harrison Ford)、副艦長は前艦長の Mikhail Polenin (Liam Neeson)。最新鋭と言いながら予算不十分のため安普請な K-19、相継ぐ事故や故障に乗組員の不安も広がるが、祖国の為ならあらゆる犠牲を惜しまない Vostrikov は連日苛酷な訓練を K-19 と乗組員に課す。部下思いの Polenin の進言は Vostrikov に尽く却下され、乗組員の中にも艦長への不満が募る中、核原子炉の冷却装置が故障するという trouble が発生する……。

 メリケンがその手でくるならこっちもお返しや、と乗り出したはいいが作りが安すぎて自滅するという潜水艦もの。戦闘場面は一切なし。見せ場は Vostrikov と Polenin の心理的な戦い、そして極限状態で原子炉の修理に赴かねばならない男たちの drama となるでしょうか。ちなみに実話が元になっているらしい。
 それにしても核防護服まで raincoat 並の安物しか支給されていなかった、ってのは凄いですな。危機管理に使う予算はない、まずは運用、事故らなきゃ問題ない、ということでしょうか。当時の USSR の切迫した状況がそうさせたのか、国家利益の為なら人命は二の次という時代性の現れか。その事情を解った上で下される艦長 Vostrikov の決断は重い。そして、前艦長故にその重さを理解している Polenin も、自分の職務を全うしようとする。昔の男たちの物語ですな。自分の立場だったらこういう仕事は受けたくありませんが。
 story の面白さはありませんが documentary touch の重みは感じられる作品でありました。というか Liam Neeson 格好ええのぅと。Harrison Ford で熱血艦長てのはどうも上手くいってないというか重みがないような気もします。

log modified: 2005/07/03 15:25:02 JST

2005.07.02 (Sat)

[movie] Patch Adams

 Tom Shadyac 監督作品、1998 年。
 1969 年、自殺傾向があることで精神病院に入院した Hunter 'Patch' Adams (Robin Williams) は、そこで医者の冷たい応対に抵抗を感じ、また同室の患者と仲良くなることで治療を施せると気付いたことから、病院を退院して大学医学部に入学、医者を志す。3 年生にならないと患者と接することはできない規則だが、Patch はそれを無視して病院に潜入、患者を笑わせて痛みを和らげるという自身の治療法を実践しつづける。周囲はそんな Patch を遊び人と片付けていたが、Patch の成績は常に学部上位だった。Patch の理念に共感する人々は次第に彼の周囲に集まり、Patch の夢である無料病院も次第に軌道に乗り始めるが、学部長の Walcott (Bob Gunton) は Patch を異端者と断じ、彼を退学させようとする……。

 Robin Williams 主演の human comedy drama。この人の human drama 路線は数多いわけですが、本作は "Dead Poets Society" と似た感触ですね。
 権威主義に捕われ患者との親交を否定する医学界に、それとはまったく逆の approach で治療を施す Patch Adams。でもって最後に対決する、というお約束な展開。
 まぁ安心して感動できる作品です。意気消沈した Patch の元に蝶が寄り添う場面はあざとくて上手すぎて泣ける。また、只のお気楽医者物語で終わらせず、ちゃんと人の死とそれに直面する医者という構図を描いている点も評価したい。良作。

diary

 ICO 中。やっと東の闘技場抜けました。久々にやると逆走してるのか進んでるのか解らんわ。

log modified: 2005/07/03 16:08:17 JST

2005.07.03 (Sun)

[movie] The Big Sleep

 Michael Winner 監督作品、1978 年。邦題「大いなる眠り」。
 London に住む米国人私立探偵 Philip Marlowe (Robert Mitchum) が、富豪の Sternwood 将軍 (James Stewart) の元を訪れる。将軍の娘が何者かに脅されているため、その処理をするのが今回の依頼内容だった。脅迫状の差出人は porno 業者の Arthur Geiger (John Justin) で、彼の家を張り込んだ Marlowe は、その家から 2 発の銃声が響いたのを聴いて家の中に飛び込む。そこで見たのは、裸で虚ろに笑う将軍の娘 Camilla (Candy Clark) と、頭に銃痕を残して死んでいる Geiger の姿だった。Marlowe は Camilla を屋敷に送り届ける。翌朝、Scotland Yard の Jim Carson (John Mills) の電話で叩き起こされた Marlowe は、Sternwood 将軍の運転手が車で海に突っ込んで死んだことを知る。Marlowe は Camilla の姉 Charlotte (Sarah Miles) から、Camilla の裸身写真と新たな脅迫状を見せられる。そうやって Sternwood 家の trouble を処理してまわるうち、Marlowe は Charlotte の夫で失踪中の Rusty Regan なる男が気になり始める……。

 Raymond Chandler 原作の hardboiled です。一時期は Chandler もよく読んでた小生ですがこれは未読。とはいえ Chandler の作品は細かい事件を芋蔓式に繋いで行くという展開が多いので読み難いという印象があって、この映画もその Chandler らしさを的確に表現しているように思います。いやそういう点は忠実に受け継がない方がいいんじゃねぇかという気がしないでもない。
 脅迫事件は片が付いても Sternwood 家の事情に首を突っ込んでまわる Marlowe の行動には疑問が残るし、実は老将軍もそれを望んでいたとか言われても都合良すぎるなぁと思うだけである。まぁ、前半の眠くなる展開を我慢すれば、後半はとっ捕まって監禁とか銃撃戦とか意外な犯人とか解って、それなりに楽しめますが。
 しかし如何せん Robert Mitchum である。眠そうな目をしてるから見ているこっちも眠くなる。死にかけ将軍役 James Stewart も老人なら Robert Mitchum も 60 過ぎで、これで Camilla や Charlotte に色目使われるんだから何ですかこれわと言いたくもなるってもんです。でもそういうのも男の夢なんですかねぇ。
 とりあえず古色蒼然とした hardboiled を味わいたい方向けの映画でした。

get
  • Steve Reich / Sextet - Six Marimbas
  • Atomic / Boom, Boom
diary

 鋳薔薇、相変わらず 3 面越せんのぅ。

 実家から夏の恒例物が届く。今年もありがたく飲ませていただきます。

 RD-X4 の DVD 焼きが上手くいかんので、電話で修理依頼。詳しい事情は訊かれず、予約日に係の人が派遣されるってことで了解。日曜日は早起きするかのぅ。

log modified: 2005/07/04 02:24:14 JST

2005.07.04 (Mon)

Led Zeppelin / I

 Led Zeppelin、1969 年発表の 1st album。The Complete Studio Recordings 版。
 実は CSR 版買うまで、1st 聴いたこと無かったんですわ。つか album としては "III" と "IV" しか通して聴いたことが無かった。んで初めて聴いて tr.1 が "Good Times Bad Times" で吃驚。てっきり "Communication Breakdown" が 1 曲めだとばかり思ってましたよ。これは Remasters 病と言われる症状で、青春時代に Remasters ばかり聴いていた一般聴衆が陥りやすい病気とされております。
 それにしても Led Zeppelin である。この 1st からして既に Zep 汁が溢れかえってます。普通、新人 band だと 1st や 2nd は手探りながら勢いで爆走、軌道に乗れば 3rd 以降で地力を発揮……という進みかたをするのが多いと思いますが、Zep は出てきたときから Zep のまんま、1st からして完成形の趣で、新人臭さなぞこれっぽっちもありません。tr.2 "Babe I'm Gonna Leave You" での John Bonham の爆音 drums、Robert Plant の shout も堂々たるもので、これを realtime で聴いた少年はきっとちびって世界の変革に身震いしたことでしょう。この album では tr."Good Times Bad Times"、tr.2 "Babe I'm Gonna Leave You"、tr.4 "Dazed And Confused"、tr.6 "Black Mountain Side"、tr.7 "Communication Breakdown" 辺りが有名でしょうか。って、全 9 曲なのに半数以上が有名てのも変な話か。tr.4 "Dazed And Confused" は一歩間違うと Black Sabbath やし。いやこれはこれで重厚でよろしい。1 曲だけ挙げるとなると tr.7 "Communication Breakdown" ですなぁ。2 分 30 秒に満たない短い曲ながら爆発力充分、60 年代にも hard rock ってあったんやなぁと。
 1st album だからか、真っ当な blues も tr.3 "You Shook Me" や tr.8 "I Can't Quit You Baby" で収録。Zep にしては真っ当すぎてかえって浸みます。

ウィリアム・バロウズ 『裸のランチ』
「裸のランチ」は青写真で、方法解説書だ…… 黒い昆虫の欲情は広大な他の惑星の眺望に通じている…… 代数のようにむきだしの抽象概念は次第にせばまって黒い糞か、老いぼれた睾丸になる……
 方法解説は長い廊下の突当たりのドアを開いて経験の領域を拡大する…… ただ沈黙に通じているにすぎないドア…… 「裸のランチ」は読者に沈黙を要求する。この要求に応じないなら、自殺行為をすることになる…… (page 306)

 河出文庫版で読了。鮎川信夫訳。
 なんじゃこりゃ、なんじゃあこりゃあ、なああんんじゃあああこりぁりゃああああ……と頭の中で理解不能警報が鳴り響く中、断片的な映像や意味不明の会話や先の展開が読めないというか読むつもりもない story に翻弄されている内に脳の一部が溶けて記憶を一部無くしその喪失を悲しむ間もなく畳み掛ける image の波に押し流されへろへろになり降りる駅を間違える、といった感じの本です。麻薬中毒者の妄想を文章化するとこうなりますか。読むだけ時間の無駄。しかし読まなきゃ体験できん。ここには身近で別の世界がある。
 ケルアックの『路上』に比べれば格段に面白い。比較対象が悪すぎるか。

diary

 "Into The Nature"、"Acperience 1" と Hardfloor で繋いで、次は Derrick 五月さんですか。この調子で懐古趣味に浸らせてください。

log modified: 2005/07/05 02:46:43 JST

2005.07.05 (Tue)

The Soft Machine / Volumes One & Two

 Burroughs 繋がりで Soft Machine、1968 年の 1st と 1969 年の 2nd の coupling CD。
 小生のソフま遍歴は 3rd から始まっているので、Soft Machine 即ち脱力 jazz rock band という印象があるんですが、初期はまた違う魅力がありますな。
 全体的に pop で psychedelic。vocal 入りの曲が殆どで、どうにも脱力を誘う牧歌的な melody やテキトー感溢れる organ のぽやぽやした音があちこちに散らばってます。その傾向は 1st で顕著に現れていて、tr.10 "We Did It Again" なんて、Kinks の "You Really Got Me" の riff を minimal に反復しとるだけという何とも笑える dance number に仕上っております。2nd の曲は jazz rock に開眼しつつある時期の曲らしく、変拍子多用だったり noisy な improvisation を展開したりして、後の大作路線を暗示するような雰囲気もありますが、それでも compact にまとまっているだけ rhythm 的に面白い曲が多いです。tr.27 "Pig" から last track の tr.30 "Returns To The Bedroom" に至るまでの rhythmical に emotional に広がる psychedelic minimal jazz rock な音響空間は、ソフま史上最高に rock してる瞬間でしょう。かっちょええ。ソフまのくせにかっちょええなんて反則ですがきっとこの頃には神が降りてたんでしょう。
 ソフまの中でも最も肉感的な album ではないですかね。名作。

diary

 落ち着いてます。つまりこれ以上下がりようがないということです。ちなみに課内の残業ぶっちぎり計測では小生だけ桁が違うそうです。嫌な過去はすぐ忘れますのできっと今月も嫌な過去の仲間入りになってやっぱり忘れて過去は繰り返して繰り返していることも自覚できなくなるでしょう。学習能力の有効期間はとうに過ぎ去ってしまったのであります。合掌。明日もがんばろう。

log modified: 2005/07/06 02:46:44 JST

2005.07.06 (Wed)

Yes / Time And A Word

 また古くてすいません。Yes の 1970 年発表 2nd album。
 2nd album にして orchestra とべったり融合。とはいえ後に乱造される progressive rock の classic version みたいな薄気味悪さは皆無で、Jon Anderson の「風呂敷はでかけりゃでかいほどいいのじゃ」主義が classical な arrange を求めたものと思われます。Peter Banks の荒っぽい guitar が何気に Yes らしからぬ若々しさを醸し出してますが、Bill Bruford (ds)、Tony Kaye (key)、Chris Squire (b) といった Yes な面々による sound texture は後の Yes 黄金期に繋がる強力な音像として立ち現れてます。曲調も progressive かつ pop で楽しめるし。いや、なかなかに良い作品。大作化した挙げ句にのっぺりした音展開に堕していった時期の album より、この時期の Yes の方が気持ちよく聴けてるかも。
 しかし何やね、昨日のソフまの後に聴いてるからってのもあるんでしょうが、この人たちは演奏上手いし曲は解りやすいし Jon Anderson は能天気だし、progressive rock の王道ひた走っておりますな。Yes もまた minimal な phrase の積み重ねを表現手法として多用する band ではあるのですが、それは dramatic な転回に奉仕するための機能として使われていて、明らかに Soft Machine や Tangerine Dream の minimal 指向とは一線を画する性質のものとなってます。でもってサビにあからさまな pop 指向の melody を持ってくるもんだから、余計に強烈な印象を残す。まぁ、それも度が過ぎればもぉええわ、ということになるんでしょうが、この時期の Yes は程よく実験、程よく pops なので、嫌味なく聴けてしまう、と。
 tr.8 "Time And A Word" の後半で、次第に strings が重層化していくところがたまらんです。

diary

 珍しく日が昇っているうちに帰宅。何と平日に cleaning に行けましたよ。平日に本屋覗けましたよ。こういう生活が続くとええのんですが。

log modified: 2005/07/07 00:59:43 JST

2005.07.07 (Thu)

栗本 薫 『嵐のルノリア (グイン・サーガ 71)』
「いうな、ヤンダル・ゾッグ」
 ヴァレリウスはあえぎながら言い返した。
「われらの世界はわれらだけのものだ! われらの歴史は――侵略者には決して屈することなどない。われらはお前たちを追い払ってみせる――パロからも、中原からも! いや、キタイからも! この世界はわれらのものだ!」(page 202)

 早川文庫版で読了。
 ナリス謀反が迫る中、王姉リンダは国王レムスにとっ捕まり、クリスタル・パレスは豪雨に見舞われる。ナリスは計画を決行し、仲間と共にランズベール塔に籠る。リンダを救うため単身白亜の塔へ潜入したヴァレリウスは、そこでレムスと、彼を操る魔人に行く手を阻まれる……。
 パロ篇は会話が長いから嫌なのじゃよ。あ、もはやグインもイシュトも饒舌極まりないので何処でも変わらんか。しかしここにきて宇宙船の話が再燃。忘れてなかったんか。弄られ魔道師ヴァレリウス君は今回大活躍で、天災対応で飛び回ったり恩人リーナスの毒殺を目の当りにして取り乱したり、ヤンダル・ゾッグに手も足もでなかったりリーナス復活にいやーんと叫んだりで貧乏籤引きっぱなしです。こういう人がおると面白いのぅ。
 という感じで当分はパロのごたごたが続く様子。

log modified: 2005/07/10 01:23:57 JST

2005.07.08 (Fri)

[movie] The War of the Worlds

 Byron Haskin 監督作品、1953 年。邦題「宇宙戦争」。
 ある日彗星が地球に落ちてくる。彗星の中からは火星人の船が湧いて出てきて近付く者を熱光線で焼き払う。軍隊が出動して火星人の船を潰そうと攻撃を仕掛けるが、人類の武器はまったく歯が立たない。Clayton Forrester 教授 (Gene Barry) は成行きで引っかけた科学娘 Sylvia (Ann Robinson) と共に火星人の弱点を探ろうとするが……。

 宇宙戦争つーと Orson Welles の radio 放送が有名……って、そりゃいくらなんでも古すぎですかそうですか。でも映像で見せるより radio の方が騙されやすいだろうなぁ、嘘か真か解かりにくいだろうし。
 ということで 1953 年版宇宙戦争。これはこれで lovely な作品であります。彗星落下だ見に行こうぜ。でっけえ隕石だなぁとりあえず scoop で殴っとくか。Geiger Counter が凄い数値示してるぜ放射能ぶりばりだぜ (でも誰も逃げ出さない)、うわー熱線浴びちゃったよ人型の砂山になっちゃったよ。逃げまくって何とか無人の小屋に逃げ込めたぞ、とりあえず目玉焼き 4 枚焼いとくか。世界各地で火星人に攻めたてられて人類やべえよ、んじゃ核兵器落として潰してしまおう、上手くいきゃ起死回生の一打になるぜ、ってそれで世界各地でキノコ雲立てたら人が住めなくなるじゃないか馬鹿野郎。という感じでこいつらは一体何をやっとるんだという謎映画に仕上ってました。微妙に笑えるところがミソ。
 しかし名作です。映画の冒頭では第一次世界大戦と第二次世界大戦にちらりと言及、そして我々は War Of The Worlds を迎えるのであーると言ってくれます。火星から来た宇宙人は殆ど生身を晒さず、宇宙船の不気味な form と花火じみた熱光線の圧倒的な power に人類はわーきゃー言って逃げまくるのみ。軍事力は相手より優勢に立つために備えられるものですが、それが尽く打ち破られてしまったら人間はどう行動するか。後に残る者に希望を託して果敢に戦いを挑む者、教会で神の奇跡に縋る者、暴徒と化して街を荒し人を押し退け逃げ出そうとする者……。結果的にああいう落ちがつくものの、この映画が指し出す映像は敗戦国の姿そのものであり、勝者は不在である。世界大戦を経てなお戦火を方々に撒き散らし、自らの優位性を誇示しようとしていた国の、隠れた恐怖を炙り出す……という目論見があったかどうかは知りませんが、この映画の theme は未だに有効でしょう。
 Spielberg 版はどうですかねぇ。笑える要素はありますかねぇ。

log modified: 2005/07/10 02:27:37 JST

2005.07.09 (Sat)

get
  • Henry Threadgill / Too Much Sugar For A Dime
  • John Coltrane / Meditations
  • Miroslav Vitous / Universal Syncopations
  • Kuniaki Haishima / Macross Zero Original Soundtrack II
  • Tsuneo Imahori / First KO - Hajime no Ippo Original Soundtrack
  • Tsuneo Imahori / Final Round - Hajime no Ippo Original Soundtrack II
  • 高里 椎奈 『銀の檻を溶かして』
  • 遠藤 周作 『男の一生 (上)』
  • 遠藤 周作 『男の一生 (下)』
diary

 mattress を外に干してたら雨に降られて台無しに。週末に降らんでください。

[movie] Pale Rider

 Clint Eastwood 監督作品、1985 年。
 gold rush 時代のメリケン。谷間で細々と金塊取りに精を出している村人達は、その谷を乗っ取ろうとしている起業家 Coy LaHood (Richard A. Dysart) の嫌がらせに苦しんでいた。だが村人達も自由を求めてその地に根を下ろした身、おいそれと土地を離れるわけにはいかない。買い出しのために町を訪れた村人 Hull Barret (Michael Moriarty) は、LaHood の一味に喧嘩をふっかけられタコ殴りにされるが、そこを通りがかった一人の牧師 (Clint Eastwood) が逆に LaHood 一味を叩きのめす。加勢に感謝した Hull は牧師を村に連れ帰り、自宅を宿として提供する。Hull と同居中の婚約者 Sarah Wheeler (Carrie Snodgress) は牧師を素性の解らぬならず者と断言するが、Sarah の娘 Megan (Sydney Penny) は彼を神の使いと考え羨望の眼差しを向ける。牧師の活躍もあって LaHood 一味の嫌がらせが次々返り討ちにされる中、業を煮やした LaHood は、極悪保安官 Stockburn (John Russell) を味方に引き入れ、牧師を始末しようとする……。

 Eastwood の西部劇もの、と言うだけで内容はあらかた予想が付いてしまいますが、ついつい観てしまうんですなこれが。今回はどことなく浮き世離れした牧師役、細身ながら腕っ節が強く銃の腕前も一流で、少女 Megan に迫られておじさん困っちゃうよ、という役回り。少女の心まで虜にするとは老骨侮りがたし、って、この頃の Eastwood はまだ若いんですが。ちょっと余所見した隙に姿を消したり、少女の危機を通りがかりに救ったりと、神出鬼没なところも死神的演出ってことになるんでしょうね。
 終盤、鳴り物入りで登場した Stockburn 一行が雑魚扱いで次々殺られていくところはあっさり作りすぎな気もしますが、丁寧な作りに好感が持てる一作でありました。

log modified: 2005/07/24 15:35:31 JST

2005.07.10 (Sun)

[movie] Dogville

 Lars von Trier 監督作品、2003 年。
 Rocky 山脈の麓にある寒村 Dogville。23 人の村人が貧しいながらも慎ましく暮らすその村に、若く美しい女性 Grace (Nicole Kidman) がやってくる。村の若き哲学者 Tom Edison (Paul Bettany) は彼女が mafia から命を狙われていると知り、彼女を匿う決心をする。追手の車を追い払った Tom は、村の集会で彼女の扱いについて議論を持ちかける。その結論は、彼女を 2 週間村に滞在させてその人柄を計り、善人であれば村に置くとのことだった。Grace は村人に気に入られようと進んで村人の手伝いをし、2 週間後の集会では村人の総意で村での居住を許される。奉仕の喜びに目覚めた Grace は充実した日々を送るが、彼女に懸賞金が掛けられ、また彼女の美貌と博愛精神の故に、Dogville の住人たちはその本性を露にしていく……。

 醜悪な映画を撮らせたら天下一品の Lars von Trier 監督による作品です。まぁ観るのは気が進まないわけです。"Dancer in the Dark""Europa" も後味悪かったしなぁ。とはいえ恐いもの観たがりにとっては避けて通れぬ道なのじゃよ。
 "Dogville" は 9 章の episode と、prologue から成る物語。各章の冒頭にはその章の概略が短文で語られ、また劇中で多弁な narration が登場人物の心理を説明してくれます。建物を示す白線が舞台上に描かれ、役者は pantomime で door や壁の存在を表すが、効果音はちゃんと聞こえる。家具や小道具は必要最小限に配置され、岩場や廃鉱は張りぼて同然。camera が村を俯瞰で捉えると、何処で誰が何をしているかは一目瞭然。映画でこういう舞台劇やっちゃいますかと突っ込みたくもなりますが、むしろこういう筒抜け丸見えの状態だからこそ、この映画は怖いとも言えます。
 この筒抜け丸見え状態は観客にとってそうであるというだけで、劇中で演じている役者にとってはそうではない、という前提がまずはある。あるとは解っているがそれでも Grace が rape される scene の描き片はやはり衝撃的で、遠くで押し倒されている Grace を視界に納めつつ、前景では他の村人たちが何事もないかのようにお茶してたりする。そしてそれは、自分に都合の良いものだけを見ようとする村人たちの姿をひやりと連想させたりもする。
 始めは Grace を友人と認め便宜を計っていた村人たち、しかし彼らは次第に Grace を自分本位に利用しようとする。Grace が mafia に追われる身であることをいいことに、彼女を弄び、自分に都合が悪くなると嘘で自己正当化する。もちろん、他の村人はそれを信用し、Grace に一方的に罪を擦り付ける。観客にはそれが筒抜け丸見えである。壁は劇中人物にしか機能しない。
 この映画で観客が目にするものには何らかの意味がある。小道具の一つとして提示される陶器の人形、それは彼女にとっては村人との心理的な繋がりを具象化した存在だった。そしてその繋がりが破壊される様も具体的に描かれる。終盤、Grace は bed の sheets を交換しながら、こんな bed で眠る人など居ないのに、と呟く。確かに、あの bed で眠る人を映した場面は無いように思う。こういう世界では、果実に囲まれた場所で Grace が犯されるのも、村人に服従するしかない Grace に首輪が掛けられるのも道理か。
 話の展開は Trier 節全開で、善人 Grace が良かれと思って為したことが尽く裏目に出て窮地に追い込まれる。しかし善人であるところの被害者は自分が被害者であるという意識を遠ざけ、捕われの身ではあるが最悪の事態を免れているとの認識で、犬のように服従しながらひたすら前向きに生きる。村人も極端なら善人も極端。このまま善人が潰れてしまえば Trier 版聖人伝説が一つ増えることになったんでしょうが、この映画の最後では、善人は自らの傲慢さに気づき、本能のみで生きる犬たちへ苛烈な調教を行います。この反応も極端。ここで Grace が父の車から逃れ、再び善人顔で村を眺めた際の描写を思い返してみると、始めは植え込みが美しいとか言っていたのが、月の光の加減で目が醒めた後は、刺だらけの茨にしか見えない、みたいなことを言っていたくだりがある。しかし、観客の目に映るのは白線のみ。まぁ当然といえば当然、この映画では意味のあるものしか具象化されないのだから。
 だが最後の最後、Grace は犬だけ見逃して去る。白線で描かれた犬に camera が近接するうちに犬は具象化する。その意味するところは、観客の視線もまた Dogwille の住人と同じ level に入り込んだということ、見えるものだけを見ようとする世界、偽善と本能の世界、犬たちの世界に入り込んだということ、ではないだろうか。reality は我々の側にある、もちろん偽善も本能も。

 3 時間、緊迫感溢れる展開で楽しめましたが、救いのない方向にどんどん向かっていくので観ていて疲れますなぁ。とはいえ、暗い照明の中を疲れきった顔で彷徨う Nicole Kidman がやたらと美人に思える映画であります。夜中に観てくだされ。

get
  • The Music of Ornette Coleman / Something Else!
  • John Coltrane with The Red Garland Trio / Traneing In
diary

 RD-X4 の DVD drive 修理で修理人来たる。蓋開けて入れ換えて蓋閉じて media 認識確認して終了。30 分もかからんかった。
 内部は初めて観ましたが、HDD は WD、DVD drive は東芝製ぽいな。
 修理人の方曰く、「DVD drive の交換は楽でええのぅ。HDD だったら悲惨じゃよ。液晶 TV の修理は面倒じゃよ基板替えるのが。最近の若い修理人は 1 つの種類なら対応できるが複数種任せるのは不安じゃ。でもって修理人の数は増えんので儂もなかなか引退できんのじゃよわはは」とのこと。お疲れさまでした。
 順調に焼けるようになったので HD diet に勤しんでおります。

 外出して散髪。

log modified: 2005/07/11 02:34:41 JST

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