Noisy Days in June, 2006

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2006.06.01 (Thu)

Van Morrison, Georgie Fame, Mose Allison, Ben Sidran / Tell Me Something - The Song of Mose Allison

 めりけんの singer songwriter である Mose Allison の楽曲を、Van Morrison、Georgie Fame、Ben Sidran、そして Mose Allison 本人が cover した、tribute album。1996 年発表。
 小生は Mose Allison については詳しく知らんのですが、blues と jazz を基調とした軽妙で大人な歌を書く人なのでしょう。Van Morrison や Georgie Fame が敬愛するのも納得。Verve 産らしい洒脱な jazz album に仕上ってます。まぁ、この頃の Van Morrison の趣味を反映した作品とも言えるんでしょうが。
 Mose Allison の声はぼそぼそしていて地味渋ですが、大将 Van Morrison もあまり声を張り上げずに主役に合わせてる感じ。こういう歌い方でもやっぱ浸みます。

栗本 薫 『アウラの選択 (グイン・サーガ 82)』
 リンダは、おのれの首にあてた剣をつよくにぎりしめた。
「お前たちが邪魔立てすれば私はこの場でみずからのいのちをたち、魂魄となっておのれの王国に帰る。どけ、下郎ども。――偽りのパロ王レムス」
 リンダのスミレ色の――だがいまは激しい紫の炎となって燃え上がっている瞳がまっすぐにレムスをとらえた。
「もはやお前は弟でもない、わが国王でもない。二度とお前を弟とは呼ばぬ」(page 187)

 姉ちゃんにも見捨てられてレムス君ますます孤立無援の図。早川文庫版で読了。
 レムスに導かれて魔宮と化したクリスタルにグインが乗り込む。動物化した宮廷の面々やレムスの息子アモンや古代機械を見て回り、リンダも寝とるしもう帰るかとグインが身を翻すと何故かリンダが覚醒、リンダ同様に囚われていたカラヴィア子爵アドリアンも一緒になり、グイン一行はクリスタルを脱出しようとてんてこまいする、の巻。

 レムスとグインの長広舌合戦やリンダのプチ切れ、でもってグインと古代機械の関係が少しだけ明らかになったりしてそこそこ面白い。それにしてもヤンダル氏はキタイが忙しくてパロが等閑になっとるようですが、クリスタル入りしたグインをほったらかす程忙しいものなのかねぇ。折角の好機をみすみす逃しておるような気がしないでもない。

log modified: 2006/06/02 02:19:51 JST

2006.06.02 (Fri)

小野 不由美 『屍鬼 (三)』
「祝福された土地と、されない土地。楽園と流刑地――世界がそうやって二分されると、流刑地の外は楽園だってことにならない?」
 沙子は遠くから微笑む。
「面白いでしょ? カインは罪によって流刑地を追われ、楽園に放逐されたことになるの。神は罪を犯したカインを狂気と見なして、楽園で保護することにしたのかもしれないわね? そうでなければ、流刑地の罪人を殺して裁くことで、罪を許されて楽園に呼び戻されたのかも」(page 274)

 これでまた静信君が悩む羽目になるのです。新潮文庫版で読了。二巻の続き。
 静信と敏夫は村の死者増加を死者の起き上がり、即ち屍鬼の所業であると目星を付け、その対策を練り始める。同じ頃、高校生の結城夏野も自らの懸念から同じ結論に達し、田中かおり・昭の姉弟と共に墓を掘り返して真偽を確かめようとする。だが彼らの行動を屍鬼は見逃していなかった……。

 屍鬼側からの語りが初めて現れる第三巻であります。ちゃんと意識のある、死者側の人間て感じの存在なんですな。食事もちゃんと計画に則って行われるらしい。あまり自由でないのぅ。
 静信と敏夫の吸血鬼談義は勉強になりましたとです。

log modified: 2006/06/05 01:40:49 JST

2006.06.03 (Sat)

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  • Johannes Heil / Freaks R Us
  • Akino Arai / Kimie Mukau Hikari (single)
  • Taverner Choir & Players (directed by Andrew Parrott) / Handel: Messiah
  • Emma Kirkby & Anthony Rooley / Dowland, Jones: Lute Songs
diary

 へこみ中。

 昼寝しておったら電話がかかってくる。受けると知らない相手からの電話らしい。間違い電話じゃよと伝えようとするが回線がぷちぷち言ってるのでどうも伝わってない。相手は一方的にこちらに報告しておるらしく、話の内容は terminator の張り方が云々とのことで、どうも仕様決めの判断をこちらにしてほしいらしい。そんなん急に言われても困るがなつかあんた誰? ってところで目が醒める。なんだ夢か。
 よほどへこんでおるらしいよ小生。

 久々にケツイ。1-5 の悪夢まで。
 がる II の調子で画面下端でちょこちょこ動いておったら当社比 1.5 倍の弾幕が襲いかかってきてかなり面白い。ケツイつーたら突撃だよなぁ、と今更ながら思ったり。

[movie] A Clockwork Orange

 Stanley Kubrick 監督作品、1971 年。邦題「時計じかけのオレンジ」。
 衣食住に不自由無くなった近未来。破壊衝動を持て余す若者 Alex de Large (Malcolm McDowell) は、夜な夜な仲間とつるんで老人狩りしたり他の gang と喧嘩したり郊外の家に押し入って狼藉を働いたりして暴力的な日々を送っており、その衝動の伴奏は常に Beethoven の交響曲だった。だがある日、Alex は仲間の裏切りにより警察に捕まってしまう。刑務所で Alex は模範囚を演じて刑期を短くしようと画策していたが、政府が悪人を洗脳して即座に社会復帰させる program を開発中との噂を聞き、その実験台に自ら志願する。やがて Alex は政府の研究所に送られその実験を受けることになるが……。

 そういえば Kubrick って英国人だったっけ。悪趣味ですね Dr. Strangelove ですね、ということで微妙に捻くれた味のある映画です。どの登場人物もどこか捻くれておって一筋縄では行かんのです。
 映画前半で悪業を尽くす Alex ですが、後半では暴力衝動が嘔吐感によって抑制されるため、昔の悪業に対して成す術なく復讐される……という展開も皮肉っぽくて良いですな。終盤にはもう一捻りあって、政治家が Alex の欲するものを与えてくれます。末恐ろしや Alex。
 Malcolm McDowell が良い演技してます。眼光で生気を表現できるってのは凄いもんです。

 この映画でも使われている "Singin' in the Rain" って、"Lulu on the Bridge" でも使われてたなぁ。映画受けする曲ってことですかね。

log modified: 2006/06/05 01:05:04 JST

2006.06.04 (Sun)

[movie] On the Beach

 Russell Mulcahy 監督作品、2000 年。TV movie。邦題「エンド・オブ・ザ・ワールド」。原作は Nevil Shute の『渚にて』。
 米中の関係悪化が元で核戦争が勃発し、北半球は壊滅し放射能に汚染される。南半球の Australia はまだ健在だが、北から放射能が流れ込んでくるのは時間の問題だった。そんな中、米海軍の潜水艦が Australia に到着する。既に祖国を失っている艦長の Dwight Towers (Armand Assante) は豪軍への編入を申請し受理されるが、新たな任務として北へ赴き放射能濃度を調査することを命令される。科学者の一説には北半球でも放射能の濃度が低い地域があるらしく、そこへ選ばれた人間を送って、人類の存続を計ろうという計画が立案されていたのだ。ひねくれ科学者の Julian Osborne (Bryan Brown) はその説に懐疑的だったが、Dwight は豪軍士官の Peter Holmes (Grant Bowler) を連れて北へ赴くことを承諾する。つかのまの休暇を得た Dwight は、Peter の勧めで彼の家を訪れ、Peter の妻 Mary (Jacqueline McKenzie) と、Mary の姉 Moira Davidson (Rachel Ward) に出会う。Moira は昔 Julian と深い仲だったが、堅物の Dwight に惹かれるようになる。出航間近になって、北半球から定期的に mail が投げられているとの情報を軍首脳部が入手する。一縷の希望を持って Dwight らは北を目指すが……。

 終末映画。核戦争後の世界を、Dwight と Moira、Peter と Mary の二組の couple を軸に描いた drama であります。
 まぁこういう映画は如何に上手く死なせるかってところで成否が決まるわけですが、195 分かけて登場人物をじっくり描いておるので終盤の悲壮感は充分です。人物描写が多い分、派手さはなくて地味。
 所々で無理のある展開もありますが、まずまずの泣かせ系映画。

diary

 今更ながら「ARIA」1st season を早回しで鑑賞。
 栗拾いだの温泉だので遊んでばかりのように見えるが、ちゃんと仕事はしとるのかね娘さんたち。

log modified: 2006/06/05 01:47:12 JST

2006.06.05 (Mon)

Gov't Mule / Life Before Insanity

 6 月といえば暦の上ではもう夏ですな。暑い時には暑苦しい blues rock をば、ということで Gov't Mule の 2000 年作。
 Gov't Mule は album を重ねる毎に mild な音になっておるのですが、この album は Allen Woody (b) 在籍中の最後の album ということで、初期 Mule が持っていた激しい interplay の感触がまだ感じられるのです。まぁ、それでも heavy blues から AOR に傾きつつある風情ですが。Warren Haynes (g) も acoustic guitar 弾きを数曲で披露してたり。
 tr.6 "World Gone Wild" のような rock な曲もありますが全体的にゆったりまったりな southern blues rock。beer 片手にどうぞな趣であります。

log modified: 2006/06/06 02:01:16 JST

2006.06.06 (Tue)

Yoshihiro Hanno / Angelus

 孤高の音響詩人、半野喜弘の 2005 年作。
 2003 年の "Lido" に続く歌もの pops 路線の urban electronica であります。年々引き算の美学を突き詰めつつある半野喜弘、この album でも彼らしい微泣きな旋律と jazzy な arrange で廃墟的 ambient を展開しております。
 Susumu Yokota の "Wonder Waltz" も歌ものを意識した album でしたが、Yokota の作品が歌を音響の一部として組み入れている風情だったのに対し、半野の approach はむしろ歌を他の音響によって押し上げているような趣です。歌に張りつくような arrange ではなく、時に歌を突き放すような音響を被せてくる。しかしそれがかえって歌への集中を促し、いつしか息を飲んで歌に聴き入ってしまう、と。こうした反則すれすれの手法でも破綻せずに純度の高い pops を展開してしまうあたり、やっぱこの人は只者ではないですな。良作。

log modified: 2006/06/07 02:28:31 JST

2006.06.07 (Wed)

Various Artists (mixed by Susumu Yokota) / Lo Compilation

 Susumu Yokota による Lo Recordings 音源の mix album、2006 年発表。listening 向けの黒盤と floor 向けの赤盤の CD 2 枚組。
 compilation は大抵避けて通る小生ですが、Susumu Yokota 選曲ともなると俄然興味が沸くわけで。どういう飛び道具が出てくるか予測不能ですからねぇ。"Leaf Compilation" も一時期よーけ聴きましたし。
 黒盤は全 23 曲、electronica やら post rock やら down tempo やらのまったりな音が並んでおります。Susumu Yokota & Rothko 名義作での狙い所を mix 仕立てで展開した感じ。
 赤盤は全 22 曲、breakbeats やら house やらの音が並んでますが機械的な dance beat と言うよりは土着的というか人肌風味というか、ほわほわですかすかですが一応 floor 向けな雰囲気。何処となく woodman 領域に踏み込んだかのような展開となってますが Susumu Yokota らしい端正さは失われておりませぬ。
 とまぁ全体的には辺境貴人な mix で、寒すぎず暑すぎずのまろやかな音楽です。人様の土俵でも Susumu Yokota な音として聴ける変な album。Lo 音源が Susumu Yokota 的なのかはたまたその逆かというのはさておき、mix ものとしては統一感のある album と言えるでしょう。

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  • 明神 真琴 『式神の城 III 石神迷路の解』
  • 新城 カズマ 『ライトノベル「超」入門』
log modified: 2006/06/08 02:03:21 JST

2006.06.08 (Thu)

Henry Threadgill & Make A Move / Everybodys Mouth's A Book

 Henry Threadgill (as, fl) を中心とした jazz band の 2001 年作。
 まーあれだ、70 年代の suspense drama のような不穏な雰囲気を醸し出しておる album です。free jazz ぽいですが緻密な構成美も聴かせるあたり、この人も Ornette Coleman 派といえるんでしょう。Bryan Carrott (vib, marimba) の vibraphone が大活躍な一枚。

diary

 眠い。

log modified: 2006/06/09 02:03:59 JST

2006.06.09 (Fri)

小野 不由美 『屍鬼 (四)』
 郁美は大きく足を踏み鳴らした。
「まさか、本当に村で何が起こってるか、分かってないなんて言う気じゃないでしょうね」
「あの……失礼ですが」
「起き上がりでしょう、簡単なことじゃないの!」
 静信は、はっと息を呑んだ。
「あんたたちが死人を葬ってるんでしょ。そんなことだから、仏さんが起き上がってくるのよ。あんたたちがろくでなしで、そもそも能なしだから。金儲けのことしか頭になくて、だから、みんな成仏できないんだ。分かってるの」(page 11)

 新潮文庫版で読了。三巻の続き。
 直観で村の不安の源を喝破した郁美婆さんは方々で起き上がり排斥の激を飛ばし、悪の巣窟たる兼正に向かう。敏夫は患者の一人を缶詰にして屍鬼の弱点を探るが、その行為が元で静信と仲違いする。村には夜しか開業しない病院や葬儀屋ができ、役場も昼間は開店休業な状態になる。夏野を失った田中かおりと昭は、大人に頼らず自らの身を守るための戦いを始める……。

 屍鬼の外場村乗っ取り計画は着々と進行し、敏夫は弧軍奮闘に倦み、静信は屍鬼を憎めない自分に悶々とするの図。四巻に至っても田舎の群像劇が延々続いておる印象です。

log modified: 2006/06/10 13:55:10 JST

2006.06.10 (Sat)

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  • David Grubbs / A Guess At The Riddle
  • Van Morrison / Pay The Devil
小野 不由美 『屍鬼 (五)』
「どちらのほうが生存に対して有利かを考えると、それは明らかでしょう。屍鬼というのは人狼のなりそこないです。ぼくたちを生み出した何かは、人狼を作ろうとしている。屍鬼はそれに失敗した結果として生まれる副産物ですよ、たぶんね」
「だが、君は沙子に仕える。なぜだ?」
「個人的な感情の問題ですよ、単に」
 静信は辰巳をじっと見つめる。辰巳は軽く苦笑した。
「沙子は、愚かだから」
「――愚か?」(page 372)

 新潮文庫版で読了。四巻の続きにして最終巻。
 失踪した父を追って兼正へ赴いた静信は、屍鬼の首魁に捕えられ、食糧として命を削られつつ生かされる。敏夫の元にも兼正から桐敷千鶴がやってきて敏夫の血を吸う。村は丁度霜月神楽の最中、人恋しさにその神事を千鶴が見に行ったことで、屍鬼らの計画は大きく狂い始める……。

 読み終わってみればお話自体はかなり直線的で、人間社会の爪弾きである屍鬼が自らの理想郷建設の夢を抱き、それが志半ばで潰えていく様が描かれておるのですな。というか沙子の家族ごっこに付き合わされて皆迷惑するという話……って、そういうまとめかただと何か迫力に欠けるのぅ。
 外部からの侵略者による住民乗っ取りもののお話は古来からいろいろ書かれているのでその意味での目新しさはないのですが、屍鬼が非常に弱々に描かれておるのが面白いですな。屍鬼を夜に生きる人間と定めることで、村人と屍鬼との戦いは現代の魔女狩り的な様相を呈しておりました。
 狩る者狩られる者の争いではなく、死者が起き上がり自分と別の世界に行ってしまうという状況を前にして、ある者は人間の掟を守ろうと抵抗し、ある者は新たな力に酔い、ある者は愛する者の起き上がりを期待し、ある者は村の秩序を守るという名目の元に残虐な嗜好を露にする……。そうした諸々の群像劇を貫くように、静信の書く Cain と Abel の物語と、神の慈愛を求めつつ未来永劫にそれを得られぬ沙子の孤独が描かれます。死んでなお自分の世界に固執せざるを得ないってのも哀れなことであります。
 まぁ冗長な部分もあったり展開が丁寧すぎる嫌いもありますが、生きることの意味を問い直す力作でありました。

[movie] The Life and Times of Judge Roy Bean

 John Huston 監督作品、1972 年。邦題「ロイ・ビーン」。
 19 世紀の終わり頃。西部の無法地帯へ Roy Bean (Paul Newman) が落ち延びてくる。酒場で Bean が銀行を襲った武勇談をかますと、酒場の面々は Bean を痛めつけ身ぐるみ剥がして酒場を追い出した。現地の少女に救われた Bean は彼女から拳銃を借り、酒場に舞い戻ると銃をぶっ放して瞬く間に復讐を果たす。無法者の増長にうんざりした Bean は自ら判事を名乗り、酒場に居座って正義を成すべく行動することになる。けちな悪党も凶悪な挑戦者も Bean は容赦せず取り締まり、死人から奪った金を元手に権力者にのしあがり、町は平和になる。Bean は大女優 Lily Langtry (Ava Gardner) を崇拝していたが、かつて自分を救った天使 Maria (Victoria Principal) と良い仲になり、また成行きで養う羽目になった熊との共同生活を楽しんでいた。だがそんなある日、弁護士の Frank Gass (Roddy McDowall) が Bean の前に現れ、Bean の土地は自分の物だと主張する……。

 悪徳判事 Roy Bean が主役の西部劇であります。何処となく humorous な雰囲気漂う作品で、どてっ腹に風穴な演出とか、熊と Bean と Maria で seesaw したりとか、西部劇にしては微妙に不真面目でよろしいです。しかし Bean は一度町を去り、20 年後に舞い戻ってくるものの、既に古き良き西部はそこに無い。そこで見せる Bean 生涯最後の大立回りには昔気質の男の意地を垣間見る思いであります。娘の Rose (Jacqueline Bisset) も親譲りの強情さでかっちょええとこ見せておりました。
 それにしても Paul Newman、この頃から既に枯れておるのぅ。

log modified: 2006/06/12 00:42:46 JST

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