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70 年代めりけん西海岸 rock を代表する band の一つ、The Doobie Brothers の 2nd album、1972 年発表。
The Doobie Brothers なんて band 名のくせに members に Doobie なんて名前の人はいません。doobie は slang で marijuana 入りの煙草を指すそうな。わお。西海岸 rock の中でも頭一つ抜けた明るさと latin な軽妙洒脱さを持ち合わせているのはそのせいか。いや別に明るい曲ばかりって訳でもないんですが、同時代の Eagles が次第に deep な世界に沈み、Allmans も失速していく 70 年代という時代の中で、Doobies は阿呆みたいに能天気に 70 年代を乗り切ったという印象があるのですよ。blues rock から始まって AOR に転換して、という流れの変化はあったにせよ、どう転んでも明るく爽やかな driving music、なところが The Doobie Brothers の特徴であります。この 2nd album でも Sonny Boy Williamson II の tr.6 "Don't Start Me Talkin'" や、tr.10 "Snake Man" のような blues をやらかしてますが、とにかく軽い、blues なのに屈折してなくてまるで rock のようです、って rock には違いないか。一見堅苦しい曲でも synth や brass 隊の味付けに square な beat で毒気を抜いて、必殺の chorus work で pops に仕立て上げるという、Doobies の style は既にここで確立してますね。まぁ、その当たり障りない立ち位置が、愛しきれない要因にもなってますが。
この album の顔といえば tr.1 "Listen To The Music" と、tr.7 "Jesus Is Just Alright" でしょう。Doobies の代表曲に数えられること請け合いな曲ですからね。tr.9 "Disciple" の twin guitars を聞いてたりすると、hard rock な振り幅も持ってるなーと思ったり、一方で tr.4 "Toulouse Street" では acoustic guitar と chorus が特徴的な country touch の楽曲になっており、彼らの間口の広さが窺えますが、でも album 全編通しての印象はやっぱり爽やか west coast sound なわけで、嗚呼やっぱめりけんは広いよなぁと思わされることしきりなのであります。
Robert Plant 率いる Sensational Space Shifters の、2012 年 10 月 23 日、Brasil は Sao Paulo での live 音源。CD 2 枚組み。
60 歳越えても精力的に活動している Robert Plant さんです。小生は 21 世紀の Plant の活動には好意的な印象を持っておるわけですが、それにしても元気すぎやないですかねこのおっさんは。自身の solo でも Zepp 再起動でも健在振りを発揮していましたが、この Sensational Space Shifters でも tr.1-3 "Friends" や tr.2-1 "Bron-Y-Aur Stomp"、tr.2-3 "Four Sticks"、tr.2-6 "Whole Lotta Love" 等で往年の Zepp numbers を披露し、その尽きぬ欲望を存分に開示しております。そりゃまぁ昔みたいな high tone な声は出てませんが、Zepp 楽曲は key 落としても名曲なわけで、ほとほとすげぇ band だったんだなぁとの認識を新たにするわけです。でもって Robert Plant は過去曲を思い出のなかに仕舞い込んでにへらっと笑う type の人ではなく、未だ現役で front back に経っております。怒れるおっさんの復讐劇、と言ってもいいのですが、相変わらず現役観がはんぱない。この調子で当分頑張っていただきたいです。
DJ Force による D'n'B mix な album、1997 年発表。TOCP-4065。
どらんべって今でも需要あるんすかね。小生は techno を知るより前に d'n'b を知った世代なので擁護したい気持ちはありますが、当時も今もすげー maniac な印象しかなかったりします。そりゃそうでしょうよ、acid house 顔負けな dark な音像に、踊るに踊れぬ BPM 160 の不安定な breakbeats が絡むわけで、こういう音が AKB ばりの市民権を得られるとは思えんのです。それはともかく tr.5 "Can : Tango Whiskyman (A Guy Called Gerald mix)" とか tr.13 "Everything But The Girl: Before Today (Dillinja remix)" とか入れてる辺りは嗅覚鋭い DJ らしい選曲と思いますね。いかにも d'n'b 黎明期なアングラ臭漂う dark な曲調ガ多いのも好感持てます。
DJ Force はかつて、jungle について「たとえ、160BPMであっても、ベースラインはその2分の1の80BPMで大きく流れている」と語ったそうな。これは結構核心を突いた一言と思います。d'n'b の根っこには dub があり、その先鋭化と伝統遵守の折衷がこういう音を生み出したとの解釈には説得力があると思うのです。小生は dance 不感症なのでその意味では信憑性を欠く意見ではありますが、こういうバタ臭い音楽の出自としては大いにアリかと。やがて 2 step や dub step に飲まれる音像ではあるにせよ、その originator としての立ち位置は充分に知らしめられる、そういう album と思います。