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すっかり毒が抜けて、ゆったりまったり southern rock な band に落ち着いた感のある Gov't Mule、2004 年作。
まぁ、1 作目が音といい選曲といい強烈に渋い出来だったので、近年の作品の方が聴きやすくて受けやすいのは確かでしょう。愛聴しているつもりはないのに延々と聴いてしまう、みたいな。それで酒が飲みたくなって平日だからぎゅっと我慢の日々。小生は基本的に週末しか酒は飲まない主義なのです。じゃあ週末に聴けよという指摘はまことにごもっとも。気を付けます。でもまた聴いちゃうんだろうな。
jam band 的な組ず解れつな展開もありますが、基本は骨太 blues rock なわけで、相変わらず腰の据わった heavy な groove をじんわり聴かせてくれます。こういうのも AOR って言いますか。言いません。でも大人の rock。18 歳以上でメロコア飽きたという方にはお勧めです。
Gus Van Sant 監督作品、2000 年。邦題「小説家を見つけたら」。
NY の下町で貧乏生活を送っている Jamal Wallace (Rob Brown) は、basketball の選手として身を立てるのが夢。しかし彼には並はずれた物書きの才能があった。ある日、basketball の練習場を mansion の一室からいつも眺めている、通称「窓男」のところへ、Jamal は肝試しで忍び込むことになるが、件の窓男に見つかってしまい、Jamal は這々の体で逃げ出す。その際に Jamal は rucksack を窓男の部屋に置き残してしまう。結局 rucksack は窓男が窓から投げ出したので、無事に Jamal の元に戻ってくるのだが、帰宅して rucksack の中を開けた Jamal は、その中に入れていた自分の原稿に激しく朱筆が入れられていることに驚く。窓男に興味を持った Jamal は、それから窓男の元に足繁く通い始める。Jamal は文才が認められ、私学の進学校に転校することになるが、そこで彼は、窓男の正体が処女作を残しただけで文壇を去った伝説の小説家、William Forrester (Sean Connery) であることを知る……。
うーむ、何というか "Good Will Hunting" ですな。つかあの作品も Gus Van Sant 監督作品か。天才の成長物語に拘りがあるんでしょうかね。でも、天才の成長物語として観るなら "Good Will Hunting" の方が出来がいいです。天才の表現としては文章より数学の方が解りやすいし、"Good Will Hunting" の方が友情や大人の思惑といった要素が主人公の生き様と上手く絡み合っていたと思うので。"Finding Forrester" でも、Jamal が盗作疑惑で退学させられそうになるという一波乱がありますが、それだけだとちょっと弱いんだよな。
しかし、この映画は天才の成長物語として観るより、隠遁生活を送って朽ち果てる運命だった老小説家の再生物語として観るべきなんでしょう。小説は 1 冊で充分と言い放ち、朗読なんて女を引っかける役にしか立たないと主張する引きこもりのひねくれ親父であるところの William Forrester。その彼が、最後には友人を救うために朗読を行う。そこに至るまでの process で、William と Jamal は教師と教え子の関係から、互いに欠けているものを埋め合うような友情を育んでいく。大袈裟な仕立てを用いず、地味で丹念な描き込みによってその雰囲気を作っていく、こういう雰囲気作りがこの監督さんの持ち味なのかも知れないな。
堅実的に作りすぎてる感じはしますが、いい映画でした。
篠田正浩監督作品、1999 年。
戦国時代、自らの支配の及ばぬ忍者達を恐れた織田信長は伊賀の里を強襲し、伊賀の忍者達は散り散りとなる。時は流れ 10 年後、山奥に隠遁し仏像作りに精を出す伊賀忍者の生き残り、葛篭重蔵 (中井貴一) の元に、師匠の下柘植次郎左衛門 (山本学) が現れ、堺の豪商、今井宗久 (小沢昭一) から請け負った仕事の依頼をする。その仕事とは、時の天下人、太閤豊臣秀吉 (マコ・イワマツ) の暗殺。一族を権力者に滅ぼされたことへの復讐からその依頼を引き受けた重蔵は、山を下り、堺を経由して秀吉の居る京へと向かう。宗久の養女と称する小萩 (鶴田真由) が重蔵の仕事を密かに手助けする。また、手練れの伊賀忍者である黒阿弥 (火野正平) や、同じく伊賀忍者の生き残りで密かに重蔵に恋い焦がれている木さる (葉月里緒菜) らとも重蔵は再会し、密かに仕事の機会を窺う。しかし、かつて重蔵と共に修行した風間五平 (上川隆也) は、伊賀を裏切り秀吉家臣の前田玄以 (津村鷹志) の元に仕官していた。重蔵を捕らえることが出世に繋がると考えた五平は、重蔵と敵対する。また、京で伊賀忍者の隠れ宿にしていた刀鍛冶の店も何者かに襲われる。それは甲賀忍者の長、摩利支天洞玄 (永澤俊矢) の差し金だった。身の危険を感じた重蔵は好機を待つため京を離れるが、その間に秀吉には跡継ぎが出来、また今井宗久は密殺され、秀吉暗殺の仕事は差し止めとされるが、忍者としての生涯を全うすべく、重蔵は再び秀吉の命を狙い始める……。
中井貴一がニンニンというだけで少し萎えますが、実は良い配役です。影としての生涯を受け入れるにも否定するにも微妙な三十路の男、ってところに注目です。山奥で師匠に「どうせ権力者の首をすげ替えるだけだろ」と言い放ち、隠遁生活を受け入れているようにも見えながら、小萩には「一度情を交えた女を無下には殺せぬ」と甘いところも見せる。五平や洞玄との戦いも、それぞれの立場や生き様を浮かび上がらせるような台詞回しで好調。そういった下積みがあるため、秀吉との「己とは何者か」論争も引き立ちます。そして己の顔を求め続けた五平は別の顔を付けられて葬られ、影として生きようとした重蔵は普通の家庭人になるという皮肉な展開も印象的。木さるの使い方が今一つとは思いましたが、お話としては充分満足できる出来。
でも見せ方としてはいろいろ問題もあって。黒澤時代劇ばりの血飛沫どぱーっとか生首ぴゅーとかは逆に笑ってしまうし、これまた黒澤時代劇を意識したような音楽は時々五月蠅すぎるし。しかし一番イカンかったのは、重蔵が全然強そうに見えんということか。まぁ忍者映画で "Hero" みたくド派手にやられても困りますが、伏見城潜入時の見せ方とか、もう少し何とかならんのか。あれじゃ隣の家に忍び込む程度にしか見えないぞ。活劇の点で面白かったのは洞玄との戦いのときだけですねぇ。あれも、「来ることは解っておったわ」とか言いながら仕込みもなしに一騎打ちしてしまう洞玄の阿呆さに仰け反りますが、そこは自信過剰な男の末路ということで。
まぁ何だ、少し考えさせられる theme を持った entertainment として上手くまとまっていたという感想です。地味だけど。
UK の hardcore band、Therapy? の 2004 年作。
遂にここまで来ました。Andy Cairns (g, vo)、Neil Cooper (ds)、Michael McKeegan (b) の trio 編成となり、solid な爆音 guitar と tight な beat で突き進む Therapy? です。余計な装飾を排し、勢い重視で punkish に疾走するその姿は、あの傑作 album "Troublegum" から 10 年を経て、彼らが再び爆音戦線の最前線に躍り出たことの現れである。勿論 Andy Cairns の泣きメロ & 濡れ絶叫も健在、でもってこの人たちらしい変拍子も時折挟み込みつつ、全体の tone は heavy & speedy な仕上がりで、拗くれつつも痛快という初期 Therapy? の持ち味を思い出させてくれる album です。こうなる予兆は "Shameless" 辺りからあったとはいえ、まさかここまでド直球で放ってくるとは思ってませんでした。うひょーい。"Troublegum" で Therapy? は終わったと思っている方はこれ買って聴いて泣いて下さい。
tr.1 "Rise Up (Make Yourself Well)" から tr.13 "Last One To Heaven's A Loser" まで、Therapy? 節に涙が止まらぬ全 13 曲、約 40 分の愉悦。今のところ国内版は出なさそうですが、アジカンばりに売れてほしいと思う今日この頃であります。
半野喜弘の Radiq 名義作、2004 年。
hip hop と reggae の息吹をそこはかとなく感じさせつつ、やっぱり chop しまくり glitch 入れまくりの耽美系 minimal electronica な album です。とはいえ、"9 modules. +" の頃ほど深みに填り込んでいる感じではなくて、昨年の傑作 "Lido" を踏まえての大人な作り込みに仕上げてます。多作期の試行錯誤を経て、自分の寄って立つ場所を見つけたということでしょうか。
電子音が通奏低音のように常時鳴り響き、見えない情報に囲まれて生きる現代に相応しい bossa nova とは、こういう音を言うのかも知れない。寸断された phrase がいくつも寄り合わされ、それが図太い bass に乗せられて延々と refrain されていくと、その dub 的な風景から、熱くもあり冷たくもある謎めいた情感が立ち上ってくる。明確な形を現さないまま、温度だけが皮膚からじわりと伝わってくる。これもまた音楽。
Technasia の label、Sino から出た album。Joris Voorn の 2004 年作。
音は推して知るべしの Technasia 系 pure techno。いやもうひたすら明るい明るい。朝焼けです涼風です爽やかです、ってこれじゃ一昔前の叙情派 trance みたいな文句ですね。快楽主義的 detroit techno とでも言うべき 1 枚。
欠点は jacket が地味過ぎることですな……。
新居昭乃の 2004 年作。
いや Therapy? の新譜サイコーっす、うきゃあんとか言ってる小生が昭乃さんの album なんて聴いてていいのかと脳味噌の隅の方では思ってたりもしますが最近寒いし鼻水出るし眠いしで疲れてるので良いかなと。balance のとれた生活を心がける年頃なのです。
ここ数年の昭乃さんな音の中では、声がまっすぐに届いてくる album になってます。天然系 dreamer の保刈久明、ふわふわ ambient 職人の細海魚による support も随分板に付いてきた感じで、控えめな昭乃さんの声を back track でやんわり押し出している。曲調も middle tempo で緩やかなものが多いので、"降るプラチナ" 辺りと比べても album total でのまとまりは向上してます。
まぁその分、個々の曲が相互補完しあっているような印象もあって、強烈に印象的な曲が無いように聞こえてしまうのも確か。でもこの人の曲は噛めば噛むほど腑に落ちてくるので、ゆるゆると長く楽しみましょう。
仕事場を見回すと非常口の誘導灯、即ち緑色の人物が走っているアレを見かけるのだけれど、それが右向きに走っているものと左向きに走っているものとがあることに今更気付いた次第。symbol の形状は同じなのに、向きが違うのは何故?
答えは簡単、緑人は逃げ出す方向に走っている。三叉路や十字路の上方に非常口の誘導灯を置く場合、非常時に向かうべき方向へ緑人は向いてないといかんのであります。以上推測。まぁ、誘導灯の両面型てのはそういうもんなんでしょう。松下電工の site に行くとたくさん見られます。つか、結構高いんですね……。
相変わらず仕事が積んでる状態。一服入れるため休憩室に入ろうとして、自販機で「ぽかぽかレモン」を発見したので早速買おうと……って、COLD って書いてるんですが。ぽかぽかレモンはぽかぽかしてなきゃ駄目だろ!
腹立ったので何とかミルクティー購入。これはこれで石鹸の香りがして鬱。
会社同僚で連んで焼き肉会議、ということで 9 時起床。週末にしては早起きなので頭が回らん。Therapy? の新譜聴いてから外出。
鶴橋で llap 氏、K 崎氏と合流。でも tm 氏は訳ありで来られないとのこと。ふむむー。とりあえず焼き肉。まだお昼なので alcohol は抜きで、ゆっくりまったり腹一杯。締めの冷麺が辛くて効いた……。
その後、大阪といえば通天閣てことで、いざいざ新世界へ。天王寺から歩いて行けるんですねぇ……そんなに近かったとは知らなかった。展望券買って地上 90 m からの眺望を楽しみました、と言いたいところですが生憎と外は雨。んで何故か展望場には NEOGEO の筐体が。Sonic Wings 3 が置いてあったので思わず遊んでしまった。ばっちり写真にも撮られてしまったので後々強請られることが予想されます。嗚呼。
通天閣を出た後、手近なゲセンにしけこんだところ、ケツイとばったり出くわす。うわーい。喜び勇んで遊技開始。Type-A で 1 周 all、score は 11000 万くらい。llap 氏からゲーマー認定されました。会社では普通の人ってことにしておいてください……。
それから日本橋をふらついて、Avion で解散。vf4ft はイベントクエスト達成するも気分は負け犬。まぁ、いつも通りってことで。