|
TV animation 「南海奇皇」の Original Soundtrack。2007 年に出た DVD-BOX 版に収録されていた 2 枚組 O.S.T. の中の一枚。劇伴は配島邦明が担当。全 26 曲。PCBG-60030-4-S8。
O.S.T. も二枚目ともなればネタ的には出尽くしとるわいなー。まして配島 sound ともなれば言わずもがな。と思っていた時期が小生にもありました。どうせまたオケヒと gamelan だろ、と思ってたらやっぱりそうでした。でもって相変わらず無闇に熱い。Verdi がオケヒと gamelan を持っていたらこんな音になるかいな、と言わんばかりの tr.3 "GARATIYA" とか聴いてるとむしろ安心しますな。synth の多重奏と chorus で静謐な ambience を醸す tr.17 "elan d`amour" 辺りもええ湯加減であります。まぁ第二集ということで能天気な euro beat や牧歌的 pop sound もあったりしますが、そういうのもひっくるめて南海奇皇の chaos な世界観が成り立っておるとも言えるでしょう。それにしても ED 曲はキャラ売り狙いすぎて大いに外してしまった感ありありですな。
めりけんの rock band、Pearl Jam の 2006 年作。BVCP-21476。
去年の新作 "Backspacer" も傑作でしたが、この album も良い感じです。punk な衝動を基調としつつも田舎者流儀のどんくさい groove を失わない、てのが PJ の個性でありますが、初期 2 作が同時代的にも傑出しすぎていたせいか、3 作目以降はぱっとしない作品が続いておりました。しかし "Riot Act" で音的には壁を乗り越えて筋の立て方を心得た感があり、それを受けてのこの "Pearl Jam" でも地に足ついたスルメイカな rock album として仕立てております。流石に 10 年以上も同じ band やってれば安定期にも入りますか。
かつての Seattle おるたな四天王の中で一番不安定感を漂わせていたのが PJ だったわけですが、その PJ が一番長く続いているってのも不思議といえば不思議。でもまぁ、周囲にもみくちゃにされながら自分の道を進み続けたその歩みはやはり力強い、ということなのでしょう。
めりけんの hard rock band、Mr. Big の 1st album。1989 年発表。22P2-2789。
いや何か急に聞きたくなってね。そういや Mr. Big もその band 名を Free のあの曲から頂いたことからも察せられる通りの blues rock 志向な band だったわけですが、個人的には blues 色はあまり感じないんですよね。華やかな LA metal や喧しい系の slash metal を経て、めりけん HR/HM 界に roots rock 回帰な雰囲気が湧いてきた頃に現れてきた Mr. Big でありますが、blues の泥臭さよりは、simple で抜けの良い electric sound に pop な曲調での聴きやすい hard rock を目指してたっぽいので、blues つーよりは AOR の hard rock 解釈な位置付けで小生は捉えてたりします。いやまぁ、Paul Gilbert (g) にしろ Billy Sheehan (b) にしろ随所で超絶テクを披露しておるわけですが、どっちかつーと曲調優先の弾き方ですし。
この 1st では tr.1 "Addicted To That Rush" での強烈な掴みが印象的ですが、tr.9 "Anything For You" も ballads で映える Mr. Big らしい名曲と思いますな。とはいえ楽曲にばらつきがあるのは否み難く、tr.4 "Had Enough" のような大仰な楽曲は Def Leppard 辺りにやってもらった方がええんちゃうのと思わなくもない。まぁ、こうして聞きなおしてみても Free とは出自が違いすぎるのぅと感じる次第でありました。
めりけんの hard rock band、Mr. Big の 2nd album。1991 年発表。AMCY-236。
小生の Mr. Big 初体験がこの album でしたね。予備知識もないまま中古屋でジャケ買いしたというのは内緒。
1st もかなり洗練された音でしたが、この 2nd ではその simple な音像はそのままに、より pop で chorus 多用な hard rock を展開しております。上り調子の band らしい勢いが感じられる album で、middle tempo の曲でも飛ばさず聴かせるものが多いってのが album 全体の評価を押し上げているような気がします。まぁ、小生も Mr. Big の album で一番お勧めできるのはこの album と思っておりますよ。
tr.1 "Daddy, Brother, Lover, Little Boy (The Electric Drill Song)" は乗りの良い speed tune、tr.3 "Green-Tinted Sixties Mind" や全米 No.1 になった tr.11 "To Be With You" 辺りがこの album での代表曲になりますが、横乗り riff に humorous な悪ガキ歌唱が楽しい tr.2 "Alive And Kicckin'" や、装飾を排した Chicago の ballad みたいな tr.7 "Just Take My Heart" も個人的には印象深い。
と、褒め褒め路線で繋いできましたが、めりけん rock でありながら泥臭くもなく、simple な rook ではあるものの alternative rock 台頭期にあってはあまりに客層の見えない音であるところの Mr. Big でありましたので、業界における彼らの立ち位置はますますもって微妙になるのでありました。小生も 2nd 以降は追っかけてませんからねぇ。彼らが日本で大ウケしたことと 90's の alternative rock が日本で冷淡だったこととが無関係だったとは思いませんな。
めりけんの hard rock band、Mr. Big の 3rd album。1993 年発表。AMCY-550。
前作収録の "To Be With You" が大ウケしたせいか、一層 commercial な音に舵を切った album となっております。めりけんの人たちではありますが、どうもめりけんぽくないというか、何だかんだで絶妙の chorus work と Eric Martin の中性的な vocal が都会派洗練 AOR な音を連想させてしまうのですな。この album の中では最も heavy な音を聞かせている tr.11 "Mr. Big" にしても、Billy Sheehan の bass がデカいという特色はあれど、とかく耳当たりは良い。Free の original 版での男節や、Gov't Mule 版の重低音這いずる奈落楽曲と比べれば、その聞きやすさ灰汁のなさは歴然であります。まぁ、そういう sotisficate されたところが Mr. Big らしいとも言えるわけですが、にしても元は硬派な blues rook band を目論んで結成された band なのに随分と遠くに来てしまったものであります。
tr.1 "Colorado Bulldog" は恒例の掴みの一発 speed tune、演奏は凄いが楽曲的にはうーむ。tr.5 "Wild World" は Cat Stevens の曲の cover ですが Mr. Big ならではという味わいは今ひとつ感じられません。むしろこの album では tr.3 "Promise Her The Moon"、tr.8 "Nothing But Love"、tr.10 "Ain't Seen Love Like That" といった ballad 調の曲の良さが目を惹きます。つか、やっぱ chorus が上手いのでそれが目立つ曲が良さげに聞こえてしまいますな。
とはいえ、やはり 2nd までの勢いが失速している感は否めず、pop 寄りになったとはいえ hard rook band としての迷いも見える album になっております。どんな曲を演ってもそれなりに聴けてしまうという、ある意味贅沢な面子の揃った band だけに、band ならではの個性を見つけていくのが難しかったのかも知れませんな。