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UK の singer songwriter、Beth Orton の 1997 年作。
この人は William Orbit や The Chemical Brothers との collaboration で知られるようになり、acoustic guitar と electronica を混ぜ合わせた folktronica なる genre の先鞭を付けた人としても有名だそうな。確かに、acoustic guitar や弦楽を主体とした arrangement でありながら、hip-hop 以降の beat 感覚を持っているような音を聴かせてくれます。ennui な歌唱からか、Portishead を思わせる downer さもあったり。
album としては焦点絞りきれてない印象ですが、こういう album は嫌いではないですよ。
日本版 PS3 では PS2 互換を謳うために乗っけていた Emotion Engine の chip を、Europe 版では搭載せず、PS2 title は software emulation の online update で対応していくとのこと。
まぁ Emotion Engine を乗っけての互換性保持てのも豪快な力業だったと思いますので、今回の対応は想定路線か。とはいえ互換精度の低下は免れず、次世代機競争で劣勢な PS3 にとってはあまり良い news ではないでしょうな。
と言いつつ、PS3 で PS2 の soft を楽しむ利点があまりない現状を鑑みるに、PS2 の soft は PS2 筐体で楽しめば済む話ではありますが。そもそも小生、まだ PS3 買ってないしのぅ。
それにしても article title が秀逸ですな。Emotion Engine に引っ掻けつつ、欧州で売る気あんのかと。目の付け何処がいかにも英国風。
Louis Leterrier 監督作品、2005 年。
英国の Glasgow で、Danny (Jet Li) は取立屋 Bart (Bob Hoskins) の忠実な犬として飼われていた。Danny は普段は首輪を掛けられ地下室に住まわされており、読み書きもろくにできないが、Bart が襲われそうになると首輪を外され、Bart の命令通りに容赦なく敵を打ちのめす。その無類の強さに目を付けられた Danny は、地下闘技場の death match でも初戦で champion を打ち負かし、Bart は Danny を使えばもっと金が手に入ると北叟笑む。だが車で移動中に Bart らは敵対組織に襲われる。生き残った Danny は以前に仕事で入った骨董品倉庫に潜り込み、そこで盲目の piano 調律師 Sam (Morgan Freeman) に助けられる。Sam とその娘 Victoria (Kerry Condon) は Danny を暖かく迎え入れ、心を閉ざしていた Danny も次第に二人を受け入れるようになる。だが Bart はしぶとく生き残っており、Danny を再び手に入れようと動いていた……。
Luc Besson 脚本、Louis Leterrier 監督作品。"Le Transporteur" のコンビですな。とはいえ話の傾向としては、"Nikita" や "Leon" 路線、即ち尋常でない能力を持ちつつ普通の生活に憧れる孤独な戦士と、普通の生活を送り戦士を助けようとする一般人との交流を描いた action 映画であります。Besson もこういう theme が好きですなぁ。
しかしどうにも最近の Besson 脚本は薄味でいかん。今作も見ず知らずの Danny を無条件で受け入れ共に暮らし始める Sam は人良すぎだし、Danny の過去追求も降って湧いたように出てくるし、そもそも Danny の尋常でない身体能力が如何にして形成されたのかという process が全く描かれてないので、どうも上手く作られ過ぎなお話になっておるのですよ。大筋の話も盛り上がらないまま終わっていく感じ。Morgan Freeman は渋い爺さん役ではまっておるし、Jet Li もお馴染みな wire action で見せ場を作ってますが、映画としては小さくまとまってしまった感じ。
Norway 生まれの pianist、Hakon Austbo による Janacek 曲集。2004 年録音。Brilliant Classics 92295。
Janacek は 1854 年から 1928 年まで生きた Czech の作曲家で、Moravia 地方の民族音楽を base にした作曲法で有名な人であります。って演歌かよ、はいその通り。とはいえ独特の節回しで、melody を大事にする romantic な曲調ながら、"In the mist" 辺りでは Debussy の作品を思わせるような取り留めのなさを感じさせたりして面白いです。
Austbo の演奏も強弱緩急をはっきり打ち出しつつ、mellow に流れすぎない自制された弾きっぷりで好感触。Brilliant も良い仕事してますなぁ。
Bon Jovi の frontman、Jon Bon Jovi の solo album。1990 年発売。
西部劇映画 "Young Guns II" に影響されてできた album で、producer は Danny Kortchmar と Jon Bon Jovi の連名。と書くだけで音が読めそうですが全くその通りで、earthy な王道 american rock といった趣です。
Jeff Beck が guitar solo でほぼ全面参加、他にも Elton John や Little Richard も数曲参加、ということで guest は豪華、なれど音は適度に relax していて聴きやすい。acoustic guitar や accordion や organ 等、何気に生音志向なのも良い効果になっとります。おっと、tr.7 "Never Say Die" で acoustic guitar 弾いとる Robbin Crosby って、Ratt の人だよね。もう亡くなってしまったらしいけれど。そういや Bon Jovi も、Ratt の前座をやってた時代があったんでしたっけ……。
Carmine Appice (ds) と Tim Bogert (b) が BB&A 以前に在籍していたことで知られる american hard rock band、Cactus の 3rd album。1971 年発表。
BB&A 前史としてしか語られず、当時の売上げもぱっとせず、歴史の闇に埋もれるべくして埋もれてしまった Cactus ですが、本家が 2006 年に突如復活してしまったおかげで紙ジャケ再発と相成った中の一枚であります。紙ジャケというだけで買い控えたくなる小生ですが、流石にこの機を逃すと聴ける機会は無かろうと思ってついつい購入。昔は初回紙ジャケの再販プラケースという pattern が多かったですが、今では再販さえ無いこともあるし。文庫本なんかもそうですが、商品 cycle がどんどん短くなっとるような感じで、気が休まる暇が無いのぅ。つかそんなに買うなよと。反省。
それにつけても良い album ですよ。70 年代初頭といえば hard な blues rock が花盛りな時期で、Cream やら Led Zeppelin やら Free やら Mountain やら The Allman Brothers Band やら Fleetwood Mac やらの有象無象が鎬を削っておったのですよ。小生はその頃は種も無かったので当時の実状は知るべくもありませんが、blues rock の覇権を得るべく熾烈な競争が続いておったのは想像に難くなく、Cactus がその中で地味な position に甘んじたのも解らんではない。んがしかし、Carmine Appice と Tim Bogert という鉄壁の rhythm section を擁するこの band が普通ののほほん rock を展開するはずもなく、やたらと音量でかい drums と bass に、Rusty Day のでかい声と Jim McCarty のでかい guitar がまざくりあって、男汁ぶりばりな blues rock を展開された日にはもう 70 年代って暑苦しいのぅと思わされること間違いないのです。heavy で粘っこい groove が横溢するこの音作りはやがて BB&A で頂点に達し……って、やっぱり Cactus って踏台だったのかと悲しくもなりますが、Appice も Bogert も Cactus で己の求める音を模索していたというのは充分に伝わってきますな。UK 勢が pop に来るならこっちは重低音だぜ、という american な大味さがたまらんのよ。
Zeppelin に比べればネタ的に苦しいのは否めないとしても、これはこれで名盤。
「よし、出てこい。最初にクキ、次に女だ」
戸口を出ると、真正面から強烈なライトの光が浴びせられた。眩しくて、しばらくはなにも見えない。だが、三方から冷酷な銃口がおれを睨んでいることだけは、膚に感じる空気で解る。
「眩しいな」
「贅沢いうな。あとから『もっと光を』なんていっても無駄だぜ」(page 113)
悪人のわりには洒落たことを言いますな。講談社文庫版で読了。2 巻の続き。
九鬼と蒔絵は斉明天皇の宝玉を持って古牟礼の里目指して逃亡しようとするが、CIA の工作部隊が彼らの行く手を阻む。何とか危機を脱した二人だが、古牟礼の里も様子が変。でもって KGB やら忍者やらも飛び出してきててんやわんやする、の巻。
今度は九鬼の出生の秘密とか妹とか、蒔絵は九鬼の運命の女だとか云々で、巻き込まれて迷惑しとるだけのような九鬼鴻三郎も実は重要人物だわさというお話。最後は鬼が出てきてどないしょーで続く。
解説の笹川吉晴氏は気合い入りまくってますなぁ。
Roman Polanski 監督作品、2005 年。
19 世紀の英国。孤児院に引き取られていた Oliver Twist (Barney Clark) は、お粥の配当に不服申し立てをしたために追放処分となる。葬儀屋に奉公したものの、葬儀屋の息子に産みの親の悪口を言われたために喧嘩して叱られ、納得できぬ Oliver は葬儀屋を飛び出して London 目指して旅立つ。遠路はるばる London に辿り着いた Oliver だったが行く宛はない。行き倒れていた Oliver は、早業 Dodger (Harry Eden) と呼ばれる少年に拾われる。Dodger はスリの達人だった。Dodger に連れられて Oliver は窃盗団のアジトに連れてこられ、そこで窃盗団の首魁 Fagin (Ben Kingsley) と出会う……。
文豪 Charles Dickens の作品を Roman Polanski 監督が映像化したもの。原作未読、というか Dickens の小説読んだことない小生ですので原作と比べてどうこうは解りませぬ。
無垢な少年 Oliver は運命に弄ばれて境遇が二転三転。Oliver に係わる人物も善人あらば悪人もあり、富める者もいれば貧しい者もいる、ということで Oliver を中心として様々な人物が群集劇を繰り広げるという映画であります。そんな人間関係の中で Oliver は逞しく成長……しとらんな (爆)。心優しいが基本的に受身な子で、顔が天使のように可愛いから救われておるのでしょう。きっと Polanski 監督も Oliver 役に Barney Clark 氏を割り当てた時点で、よっしゃいただきじゃうっしっし等と北叟笑んだに違いないのです。とはいえお話としてはすったもんだの連続なので山場らしい山場はなく、全体にのっぺりした印象。
19 世紀の London を顕現せしめたその映像美にはただただ唖然。お話そっちのけで antique な情景にばかり目を奪われておりましたよ。"The Pianist" の時にも感じましたが、最近の Polanski 作品は detail への拘りが尋常ではないですなぁ。今さら映像美の監督などと呼ばれたくはないと思いますが、拘りだしたらきりがないという性分なんでしょう。んむ、相変わらず変なところが面白いね Polanski 作品は。