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めりけんの blues 野郎、Paul Butterfield の band による 1st album。1965 年発表。
既にこの 1st から Mike Bloomfield と Elvin Bishop という二大 blues guitarist が入っておるというだけでも聴き所は充分なわけですが、それにも増して御大 Paul Butterfield の blues 魂が炸裂しておる album なのでありました。結構 speedy な number も多く、white blues という括りを外しても充分 rock な album になっております。rock が rock らしかった時代、てのを感じさせる album です。年取るとこういう album が身にしみて感じられるようになりますなぁ。
めりけんの techno 屋、Dan Curtin の 2010 年作。
90 年代には detroit techno follower だった Dan Curtin ですが、00 年代には jazzy で house な作風に shift し、この新作では beat 抑え目の地味渋 minimal とか、hip hop 調やら down tempo 調やらの大人向け electro を展開しております。elegant と言えば聞こえは良いが、何つーか侘び寂び通り越して諦念の域に達しておるような雰囲気。そりゃまぁかつての hard で dramatic でわざわざオチも付けるという従来の Dan Curtin 節を今更期待はしないのですが、にしてもここまで地味渋で覇気のない album で来られると、techno も今や古い酒を古い袋で飲み回すという時代になったかと感慨しきりであります。
modern jazz も SF も、かつて新しいと言われていた term が nostalgic な感慨無しには語れないこのご時世、A Guy Called Gerald も Dan Curtin も枯れた新作を出してくるあたり、techno も retro 潮流に飲まれつつ細々と生き延びていくのかも知れませんなぁ。
大阪で career を積んだ三人が東京で再会し結成されたという electro trio band の 2010 年作。WNDU001。
人力 minimal 変拍子、という音楽感は結構昔からぽつりぽつりと現れては消えていく印象がありまして、近年では Battles や sim 辺りが強い impact を残したものでありますが、band 名が野暮ったいこの band もまたその系譜に連ならんとする人たちのようです。しかし音的にはとろにか的な密室感よりも trance 的な開放感の方が強く、快楽志向の変拍子 minimal phrase が水紋のように減衰と点描をうにょんうにょんと polyrhythmic に展開していく様は positive 転換した Rei Harakami を連想させます。でもって guitar と synth のまろやかな中音域は 70 年代の Pat Metheny Group 的でもあったり。そして全編に漂う上昇気流の多幸感には "Pyramid" 期の Rovo だったり Terry Riley の "The Harp of New Albion" を想起させられたりもします。つまりは小生のツボにうまくはまり込む音なのですね。ありがとうございます。
未だ発展中な寸止め感もありますが、むしろ手を広げすぎずにこの路線で進んでいただければと思います。
めりけんの singer songwriter、Elliott Smith の 1995 年作。
仕事が忙しくて気分が滅入る今日この頃、派手な音より鬱な音に手が伸びるのも道理か。この 2nd album では後期の band sound に比べて acoustic guitar での弾き語り比率が高く、private な触感に溢れる album になっております。サビで下手に盛り上げない点は 90 年代なざらついた肌触りにも繋がりますが、やはり特筆すべきは掠れ声で monologue をぼやき続けるこの人の声の磁力でありましょう。鬱々としているようでいて、しかしそういう自分に陶酔せず突き放したような端正さも併せ持つ、その声。良い歌い手だったと思うんですけどねぇ。亡くなってもう 7 年か……。