Noisy Days in September, 2012

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2012.09.02 (Sun)

[movie] Ghosts of Mars

 John Carpenter 監督作品、2001 年発表。
 火星に人類が 60 万人植民した近未来。その火星で近頃幽霊騒動が持ち上がっているという。火星の首都に幽霊列車が到着し、その中には囚人護送の任にあたっていた Melanie Ballard 警部補 (Natasha Henstridge) だけが生存していた。彼女は重犯罪人の Desolation Williams (Ice Cube) の護送を任命されていたが、他の生存者はいなかった。査問にかけられた Melanie は、自身の体験を語り始める。それは、火星の数奇な先住民族が地球人を襲い、その肉体を乗っとって地球人に戦いを挑むという奇妙な物語だった……。

 John Carpenter といえば何はともあれ "The Thing"、邦題「遊星からの物体X」の監督さんであります。あの作品から 20 年以上経過しても基本的な発想が変わってないとか、まさに B 級映画の天然記念物な趣。今回は sound score を John Carpenter 自身と Anthrax の面子でやらかしており、metal で doom な暗黒世界を演出しております。でもって主役は今回まっちょな Kurt Russell ではなく美人さんの Natasha Henstridge ですがやっぱ立ち回りがかっちょよくて惚れ惚れします。権力かぶれでちょっとヤク 中なところは伊藤計劃の『ハーモニー』の主人公にも通じるところがありますな。無表情だけど健気に仕事してる新人景観の Bashira Kincaid (Clea DuVall) さんも好印象ですが最後はくびちょんぱでした残念。あといけめん枠で Jericho Butler (Jason Statham) が出てますが君は邪魔だから居なくてもいいよ。まぁいろいろ chaos な展開で B 級映画には違いないのですが、この cheap さを愛すことができれば立派な John Carpenter 信者と言えるでしょう。まぁ小生は "The Thing" や "Escape from L.A." を先に観ることをお勧めしますけどね。

log modified: 2012/09/04 03:16:59 JST

2012.09.03 (Mon)

The Goo Goo Dolls / Gutterflower

 めりけんの guitar rock band、The Goo Goo Dolls の 2002 年作。
 めりけん alternative rock の良心と言われる band ですが日本での人気は昔から今一つな感じですね。まぁ、めりけんの alternative band で日本受けしたってのは Nirvana くらいしかいないわけで (Linkin Park や Korn はちと alternative って感じじゃないし)、何より Goo の場合はカラッと抜けた青空青春なめりけん rock なところが逆に日本での需要を妨げておるような気がしなくもない。まぁ小生は好きなんですけどねこういうの。おるたなではないが Gin Blossoms もそういうところあるし。やっぱめりけん rock は明るくないといかんです。暗くてじめじめしとるのは UK 勢と Seattle 勢にまかせときゃええんです。って Seattle もめりけんでしたっけ。再結成 Soundgarden の新譜はまだですか。
 それはともかく Goo's の 2002 年作。"A Boy Named Goo" で一躍名を挙げ、"Dizzy Up The Girl" でその立場を確固たるものにした彼らが、9.11 後に発表した album であります。純 punk でも純おるたなでもなく、acoustic と punkish な sound が同居しつつ爽やかな melody に乗せて君と僕の語り合いに終始するこの album は、末法世界においても前向きにいかにゃ駄目だろと我々を鼓舞せざるを得ない positive さに満ちている。それはかつて、Bob Dylan が Bruce Springsteen が示しためりけん rock の王道を、Goo's もまた踏襲しているということでもある。Goo's も逞しくなったものですねぇ。と言ってももう 10 年前の album に言う台詞ではないか。今聴いてもこの album の楽曲はどれも素晴らしい。相変わらず決定打はないがそれでも素晴らしい。
 今の Goo's がどんな感じなのかは全然知らない小生ですが、願わくばこのまま変わらずめりけん alternative rock の bright side で頑張って頂きたいと思う所存であります。

log modified: 2012/09/04 02:27:54 JST

2012.09.04 (Tue)

Captain Beefheart / Strictly Personal

 牛心船長の 1968 年作。"Trout Mask Replica" の前作にあたる 2nd album であります。
 牛心船長も 2010 年にお亡くなりになってしまい、Zappa も Beefheart もいない世の中になってしまいました。blues と前衛音楽との架け橋はこれで絶えてしまったのであろうか。それでも、それでも Jon Spencer なら何とかしてくれる、というか何とかしてくださいほんとに。blues を伝統芸能に収めてよいものか。不安定さが信条の blues codes だからこそ歪な音像と matching するんですよ多分。この血脈を絶やすのはニホンカワウソの絶滅と同じく動物学的損失であります。
 で、牛心船長の 2nd album でありますが、相変わらずの不穏な雰囲気が充満する blues album なのでありました。blues が背負う黒人の黒い歴史には殆ど斟酌せず、それでいてその本質を鷲掴みにしてダミ声で放出するこのおっさんは、その出自はどうあれ真正の blues 野郎なのであります。UK rock 的な教条主義にも陥らず、それでいて blues やらかすこの大胆不敵さ、これぞ Captain Beefheart。"Trout Mask Replica" ほど乱れてはいないにせよ、blues rock ならざる blues rock としての存在感は充分に発揮している album と言えるでしょう。こういう危うい綱渡りな blues は貴重であります。

log modified: 2012/09/05 02:00:23 JST

2012.09.06 (Thu)

Joaquin Joe Claussell / Unofficial Edits and Overdubs Special Advanced Edition

 一曲目が "Radiohead - Everything's In Its Right Place" の remix なアレです。Joe Claussell の 2012 年作。
 Joe Claussell の album、というと小生は "Language" の素晴らしさを連想せずに派いられない小生ですが、あの album も寄せ集めには違いなくて、畢竟 Joe Claussell は original album よりは他人の褌で自身の持ち味を生かした展開の方が向いてるような気がしないでもないのです。その他人の褌で何とやらな series をまとめた "Unofficial Edits" ものの出来が悪かろう筈もなく、現状では rock というより electronica な Radiohead でさえ四つ打ちに吸収してしまう tr.1 "Everything In Its Right Place" はどう聴いても名曲。以降の soul や house ベースの楽曲は言わずもがなの踊ってなんぼの dance music になっております。素材はどうあれ踊らせずに派いられないこの talent。流石の Joe Claussell 節と言うべきか。

log modified: 2012/09/07 02:41:07 JST

2012.09.08 (Sat)

藤木 稟 『バチカン奇跡調査官 黒の学院』

 角川文庫の電子書籍版で先日読了。
 弟の医療費に頭を悩ませるバチカンの科学者平賀の元に奇跡調査の依頼が舞い込む。めりけんの修道院兼学舎で処女解任した女学生がいるとのこと。事件解決の暁には弟の医療費をバチカンが肩代わりしてくれるという条件に平賀は乗り、相棒の暗号解読専門家ロベルトと共に件の修道院に乗り込む。だがそこで彼らが見たのは、聖痕を浮かべる美少年、涙を流すマリア像、そして奇怪な連続殺人事件だった……。

 まぁサービス精神旺盛というか詰め込みすぎてわけわからんというか、いつもの藤木稟節でありました。そういや朱雀しりーずってあまり文庫化されてませんね。わたしゃずっと待ってるんですが。あにめ絵で新装すればそれなりに勘違いした人たちに売れると思うんですけどねぇ。更に言っておくと wikipedia の藤木稟の項目で『イツロペ』シリーズが相変わらず干されているのが謎であります。うかうかと触れちゃいかん世界なのかね。個人的には代表作と思ってるんですが。
 今回はとりあえず怪奇みすてり仕立てなので、序盤で不可解な事象を連発し、平賀とロベルトがそれを一つ一つ解き明かすという趣向になっております。謎解きに余韻を持たせないというのもこの人の特徴で、某陰陽師なら関係各位集めてかくかくしかじかするところを、平賀とロベルトだけで納得しちゃうので読んでいてもああそうなのふーんでしれっと流してしまうわけですが、いやもうちょっとここは見栄えよくしようよと思うことしばしば。話をガンガン先に進めてしまうのはこの人らしいと思いますが、そのズンドコな勢いが氏の作品を B 級ぽく思わせてしまうのもまた然り。今作でも最後はなちすの陰謀論まで持ち出してくる壮大さがありますが、読んでる間はなちネタも絡めるのかふーんで終わってしまうこの悲しさ。やっぱこの人は、普通のみすてりの枠に納めようとしてしまうと物足りなさを内包してしまう類の作家さんなのでしょうかね。

log modified: 2012/09/25 02:05:51 JST

2012.09.09 (Sun)

[movie] Transformers: Revenge of the Fallen

 Michael Bay 監督作品、2009 年。
 大学入学で実家を離れる Sam Witwicky (Shia LaBeouf) だったが、引越しの際に AllSpark の欠片を見つけてしまい、それに触ったことで実家半壊の目に合う。All Spark の欠片を彼女の Mikaela Banes (Megan Fox) に託して大学の寮に入った Sam は、同室の Leo Spitz (Ramon Rodriguez) に Leo の運営する news site への協力を要望されるが断る。一方、世界では Decepticon による災害が相次いでおり、Optimus Prime ら autobots と米軍の特殊部隊 NEST による鎮圧で何とか凌いでいたが、Optimus Prime は Decepticon が "The Fallen" なる存在の復活に望みを託していることに危機感を募らせていた。大学での生活に馴染もうとする Sam だったが、All Spark の欠片に触れてからというもの古代の文字が目の前に顕現してあらぬことを口走ったりしてどうも様子がおかしい。やがて彼の持つ知識を狙って Decepticon の連中が付き纏いだしたりして Sam は再び騒動に巻き込まれる……。

 前作の続き。相変わらず CG の出来は素晴らしく、冒頭の中国繁華街戦とか続く Sam 実家でのちび bot 争乱などで大小からめて正しく Transformers やなぁと実感。しかしお話の吸引力は弱くて、巻き込まれ型の story に Sam が天手古舞な風情。途中で Optimus Prime も退場してしまい、悪の元凶 The Fallen も出てきたは良いが Optimus がいなくなってからしゃしゃり出てくるとかお前はアドニオン諸本かと。この作品は前に観た時も思いましたが (実は二度目視聴)、やっぱ後半を egypt 舞台にしてしまったのが地味な印象に繋がってると思いますね。metallic な machine は metallic な場所で暴れてこそ映えると思うのですよ。初作に比べるといろいろ残念な出来栄えでありました。

log modified: 2012/09/10 02:00:27 JST

2012.09.10 (Mon)

Moritz von Oswald Trio / Fetch

 minimal dub 仙人の Moritz von Oswald と、Max Loderbauer、Sasu Ripatti の三人で trio してる band の 3rd album。2012 年発表。
 今作も bass が居たり sax や pet が鳴ったりで純然な trio 作というわけではないですが、techno だしそのへんは大目に見てよねと。音の方は人力べーちゃんな rhythm 隊に即興の白玉や金管や synth が乗っかるという、従来の MVOT style の延長線上の展開となってますが、track 名が "Jam" とか "Dark" とか "Club" とか "Yangissa" とか (ってこれで全部ですが)、従来のそっけない numbering title に比すればまだ絵が見えやすい名前になっていて、曲調もそれっぽい雰囲気を醸しておるように感じられます。そういや今回は "Fetch" という album title で、日本語だと「引き寄せる」という意味合いらしく、fetishism とは全然関係ない言葉で少々残念ですが、垂直だの水平だのという従来の方法論を経てようやく運動の方向へ舵が切られたという感じなのでしょう。jacket も以前のような simple 系おもちゃ rocket やおもちゃネギ棒ではないですし。
 即興要素が強まったとはいえ相変わらずの山なし落ちなし意味なしな上級者向け minimal sound には違いなく、やおい市場同様に minimal 市場で訓練された人にしか楽しめん系の音とは思いますが、例えば tr.1 "Jam" を聴いて future jazz 的な構造的に熱を奪った上での jazz の在り様を連想する人もいるでしょうし、tr.4 "Yangissa" の四拍子と三連符の tribal beats から土着系 trance との関連を想起する人もいるでしょうし、MVOT でべーちゃん直径という印象の方の目が外の世界との結び目を意識するような、そういう作りにはなっているように思います。とはいえ、強靭な rhythm は techno/house の持ち味でもあり強力な枷でもあり、その枷故に techno/house と jazz との親和性は常々疑問符付きで語られるものでもあります。即興という jazz 要素を前に押し出して展開の vector を示してしまった MVOT が、次にどういう手段で自由を獲得していくのかは大いに注目すべき点でありましょう。まぁ、次の展開があればという話ではありますが。
 それにしても、方向性は全然異なりながらも minimal で tribal な elegant system に達してしまった Susumu Yokota の音楽性と MVOT のそれとは結構似通ったものがあるように思うのは小生だけですかねぇ。尤も、今の Yokota さんには beat へのこだわりはあんまりなさそうではありますが。

log modified: 2012/09/11 03:26:56 JST

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