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「お前の戦果だ。もっと楽しそうな顔をしろ」
「わたしだけの戦果ではありません」
シンシアを見たハウザーは、辺りを見廻した。
山のようにグラスやフルーツが積み上げられたテーブルの向こうで、岸田博士が会場に到着したエリアルのパイロット三人を迎えていた。
「姉やデモノバ、我が艦の乗組員たちと、それから何人もの協力者の戦果です」
「お前の戦果だ」
スタッフォードは繰り返した。
「結果に責任を持つのも艦長の仕事だぜ」(page 39)
たまに良い台詞が飛び出すので迂闊に読み飛ばせない ARIEL 19 巻です。ソノラマ文庫版で読了。
隠れてた stealth 船団もばれてしまいトム坊は開きなおる。オープンフリートを無事に収めたアバルトはとりあえず一安心。いざ地球へ帰還しようとした岸田博士ら一行だが、地べたの政治家たちは岸田の情報を一人占めしようと罠を張っていた……の巻。
オープンフリート篇は結構面白かったんですが、これって今まで打つ手が尽く後手に回っていた岸田戦術が一気に逆転し、岸田の舌先三寸が状況変化に大きく貢献しておるという点が好印象に繋がっておったのかも知れぬ。この巻では国連事務総長も岸田に劣らず爆走してくれます。この爆走を英断と取るか愚挙と取るかは後の歴史が証明してくれることでしょう……って、もう 19 巻だから正篇で残るは最終巻だけなのです。思えば遠くへ来たものじゃのう。
ムトウユージ監督作品、2005 年。
cup noodle の香りに誘われてミライマンが野原家にやってくる。ミライマンは謎の怪獣が現れる 3 分後の未来から現在にやってきた時間調整員で、3 分後の未来で 3 分以内に怪獣を倒さないと怪獣が現在に現れることになると説明し、野原一家に協力を要請する。ミライマンの力で hero に変身できると知った野原一家の面々は喜び勇んでミライマンに付いて出動を繰り返し、何匹もの怪獣を倒す。だが次第に敵は強くなり、またひろしとみさえは家庭を顧みず怪獣の出現を心待ちにするようになる。そしてしんのすけは正義とは何かを自問するようになるのだった……。
泣かせ系の話も書けぬ、slapstick も調子悪い、となればキャラで売るしかねーだろと製作側が思ったかどうかはともかく、みさえさん萌え萌え大作戦な一作なのであります。heroine 役のお姉さんは今作では登場しません、何故ならそこにみさえさんがいるからです。ロリ系セクシー系メイド系 (魚の方だが) と各種取り揃えております。ひろしやしんのすけも変身しますが君たちは邪魔だから下がっていたまへ。という感じで最強主婦みさえ伝説ここに極まれりな力作。
お話の方は出来の悪い RPG みたいで萎えますな。
今敏監督作品、2003 年。
中年のギン、おかまのハナ、家出娘ミユキの三人は、東京で共同生活している homeless 仲間。Christmas の夜、ミユキへの present を捜してゴミ山を漁っていたハナは、捨てられている赤ん坊を拾ってしまう。ギンは警察に届けようとするが、ハナは赤ん坊に清子と名前を付けて面倒を見始める。赤ん坊と共に残されていた手掛かりから彼らは親捜しを始め、次々と trouble に見舞われることになる……。
期待してませんでしたがそこそこ楽しめる作品でありました。
homeless による親捜しの話をわざわざ animation で観せることはないんじゃないの、と思っていて、それはまぁ半分ぐらいは今でも思ってるんですが、実写でやると必要以上にわざとらしくなってしまうかも知れませんな。この作品、homeless 組の描写はかなり表情豊かで面白いです。昨今の萌へ萎へな作画は記号化がひたすら無害な方向へ突き進んでいて不気味に思ったりもするですが、ギンにしろハナにしろ、我欲や悪態が表情に現れておって非常によろしい。こういう毒のある作画を見るのも久々だのぅ。鼻を啜る場面がやたら多くて笑えます。
story も結構凝ってます。homeless 三人組の会話には各々の過去の蟠りが滲みでており、清子の親捜しに伴う trouble によって過去の因縁も解ってくる仕組みになってます。んで終盤に二転三転して、最終的には家族回帰の theme で綺麗に収めると。どたばたに振り回されて主張が届いてこない、特に幸子本人の描写が殆んど無い状態で終盤に大役振るのは強引すぎて泣きに入れないという点は大きな減点対象でありますが、主役三人は存分に走っておるのでそれでちゃらになりますかね。その分奇跡も山盛りでありえんだろうと思いつつ映画だし anime だし問題ないのです。という感じで地味ながら良作。
Robert Barto (baroque lute) による Sylvius Leopold Weiss の lute sonata 集の 1 巻め。1996 年録音。
Weiss (1687 - 1750) は独逸の作曲家にして lutenist。J.S. Bach の同時代人で、実際に交流もあったようです。鍵盤楽器華やかなりし baroque 時代にありつつも lute の可能性を追い続け、沢山の lute sonata を残した人であります。この album では sonata no.36、49、42 を収録。
まぁ小生は、ぼーっとしながら聴くだけなのですよ。試験勉強中だし。それにしても良い音色ですなぁ。
「おお」
また、ヴァレリウスはいった。
そして、こんどは、何かをかみしめるようにじっと目をとじていた。
ややあって、そっと目を開くと、彼は、つと手をさしのべた。
「こんなことを申し上げては何ですけれども……グイン陛下。あなたのお手を……握らせていただいてもよろしいでしょうか?」(page 243)
早川文庫版で読了。
マリウスはグラチウスの手下に捕まりかけたところをイェライシャに救われる。イシュトヴァーンはタルーの軍を蹴散らすものの、タルーの背後に何者かの影があることに気付き苛つく。パロ国境へ近付きつつあるグインの軍はナリスの使者とレムスの使者を迎えるが、グインはまだ様子見な塩梅、の巻。
グインてまだ 7 歳なんですな。若いのぅ。中身はおっさんですが。
ヴァレリウス君はグインと再会して感激して帰っていきましたとさ。ナリスは人様だから言うことを信じきれず、グインは神様だから言うこと鵜呑みにする、ってのは魔術師ながら単純すぎやしないかねヴァレリウス君。と思いつつもグインはそういう役割の男なので何だか納得してしまうのであります。
"We're going to get him," I said to Raleigh. "We can't let him kill another bride and groom." (page 237)
Warner Vision 版の paperback で先日読了。
San Francisco で新婚夫婦殺害事件が発生。殺人課の Lindsay Boxer 警部は調査に乗り出すが、調査が進まないうちに第二、第三の新婚夫婦殺害が発生する。Lindsay は友人で監察医の Claire、雑誌記者の Cindy、地方検事補の Jill の三人と共に The Women's Murder Club を結成し、彼女らの助力を得ながら事件を追う。やがて捜査線上に有名作家の Nicholas Jenks の名が挙がってくるが……。
短い章立てでさくさく読ませるってのが Patterson 節ですかな。462 頁ありますが、story の展開が早くて軽快に読める作品でした。中身は普通の thriller ですが。
主人公の Lindsay は病気持ちの 30 代婦警で、捜査の途中で partner の Raleigh と良い仲になるというお約束な展開も。とはいえ character としてはいまひとつ深みがなくて、皆さんお仕事してますねな感じであります。
受験勉強のため元気に現実逃避中です。逃避した先にも現実があるので結局逃避になりません。
それにしても新番組多すぎですな。大半は 5 分観てからごみ箱行きです。音的に小生の antenna に引っかからんものばかりですし。あーそりゃ小生の antenna が錆びてるからやろという外野の声も解らなくはないですというか自分でも最近自分の嗜好が解らなくなりつつあって困っておったりしますがそれはさておきやることやらねばならんのでそろそろ非現実と同期取ります。おおっ誤り検出。
ところで桜は何故春に咲くのであろう。冬があるから? いやそういうことではなくて、桜は春に咲いて何か自分に得することがあるのかってことです。
まさか我々に風雅の何たるかを教えんがために咲いておるわけではなかろう。やっぱあれですか、libido 発現で虫呼んで明るい家族計画ですか。じゃあ花見とか行くと虫だらけでむしろ虫見なんでしょうか。うーむ。