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めりけんの southern blues rock band、Gov't Mule の 2009 年作。
密林でポチとなして予約購入したのですが、その時のお値段が 1,343 yen。危うく配送料別口で取られるところでありました。輸入盤とはいえ新譜でこの値段はやばいっすよ。まぁ消費者としては有難いですが。そういや今年出た Clutch の新譜も安かったなぁ……。
お値段のことはさておき、音の方は Gov't Mule らしい重心低めのむさ苦しい blues rock になっております。"Mighty High" で dub っちゃったときはどうなることかと思いましたが、やっぱ根っこが blues な人達ですので、studio album では真面目にやってくれるようです。まぁ、tr.7 "Frozen Fear" 辺りにはまだ reggae な beat への愛着が感じられますが、基本は Warren Haynes (g, vo) が guitar ばりんばりんと弾いてダミ声 blues を聴かせるという style のままですので、往年の Mule 愛好家は安心して聴けることでしょう。
tr.1 "Broke Down On The Brazos" には ZZ Top の Billy Gibbons (g) が guest 参加。tr.6 "Any Open Window" はじみへんばりの wah guitar と 7 拍子 riff が炸裂する rock な曲、tr.9 "Inside Outside Woman Blues #3" は B.B. 王の好きそうな言い捨て調の soulful なド blues ぶりが格好いい。last track の tr.11 "World Wake Up" は静謐で psychedelic な雰囲気がたまらんです。
まぁあれですね、今の Gov't Mule を称するなら Allmans より Mountain ぽいと言えるでしょう。骨太な blues rock が聴きたい人向けの逸品であります。
UK 生まれの detroit techno 病人にして 70 年代 jazz おたな人、Ian O'brien の 2009 年作品。新曲や過去作や remix を詰めた compilation 番。OTLCD-1245。
前作 "A History Things To Come" からもう何年待たせとるですかと言いたいところですが、compilation とはいえこういう形で新譜が出て有難く思っております。detroit techno と electric jazz を消化しつつ original な自分の音も色濃く打ち出せる才人である Ian O'brien さん、この album でもその独特の風味が存分に味わえる仕上がりになっております。cosmic flavour の効いた白玉 synth に、ぷりんぷりんした funky な bass line が絡み、えれぴが 70's fusion よろしく自由闊達な solo で飛び回る……。これぞ cosmic soul、これぞ Ian O'brien。70's jazz に抵抗があり、また tecchno 全般に殆ど手を出してなかった頃の小生を虜にしたその音は、やはりここでも健在なのであります。出オチ屋の多い techno 界隈において、かくも展開の妙を聴かせられる track を作れる人はそう多くはありますまい。この人は別格ですね。
近年は地味に地道に活動中な様子ですが、できれば完全新作 album 出してほしいところ。気長に待ってます。
どりるん bassist、Squarepusher の 2008 年作。
ありゃ、こんなにのどかな音を作る人だったっけ。何というか、Canterbury sound 的なのどかさに包まれた音であります。vocoder や guitar を使って melody 強調な track もあり、analog synth のぽややんとした音も feature されて、ele-pop な風景も垣間見える。まぁ、この人らしい人力どらんべや一人 metal な chaos 音像も含まれてはいますが、全体の tone はのほほん路線。bass もぶりばり弾いてますが緊張感は高まらず、むしろ relax してしまうという罠。
何を聴いても何かを思い出すとは Squarepusher の存在それ自体に内在する言葉であり、この人の音は新譜でも既視感ばりばりなのですが、今作はそれを和み音で包んで統一感を持たせたという感じでしょうか。最高傑作とは言わないが良く出来てるとは思います。でもそろそろ外の世界と交わっても良い頃合だと思うのです。
日本のひっそりとろにか職人、Pola の 2007 年作。3 inch CD-R。全 4 曲で total 19 分ほど。FISH6CM08。
都会を離れて久しいので release されてることにも気付いてなかった小生涙目ですが、ひょっこり入手できて有難や有難やであります。今でも睡眠前のお供に "Meme" や "Pola meets Lyrica" を聴いてる小生ですので。でも 4 曲かぁ。すくなーい。
まぁ駄々をこねても始まらん。音の方は emotional 期の Pola らしい、柔らかな analog synth と四つ打ちを基調とした、minimal で ambient な音世界となっております。electronica な音ではありますが、自閉症時代の John Beltran を連想させるような箱庭耽美 techno の趣もあり。束の間の桃源郷を味わえます。それにしても良い音だ……。