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「住めば住むほどわからなくなる、龍ノ島ってところが。あたしはオカルトなんか信じたことはないけど、ときどき気色が悪くなります。この島は遣唐使の時代は仏教の中継地になった。空海や最澄も中国大陸との往き帰りにここに立ち寄ってるんです。倭冦が盛んだったころには龍神伝説が上陸して来たし、江戸時代には隠れキリシタンの本場になった。いろんなことで血がいっぱい流れただけじゃない、いくつもの神がこの島で鎬を削って来たんです。わけのわからないことが起こるのもそのせいかも知れない」
「考えすぎだよ、理恵さん」
「しかし……」(page 177)
徳間文庫版で読了。hard cover 版も昔読みましたが、改めて。
元刑事の梅沢信介は、少女誘拐殺人犯を銃殺した罪で服役し、出所後は飲んだくれる日々を送っていた。そこに高校時代の同級生、新谷富次が現れる。富次は今では長崎県五島列島の一島、龍ノ島で町長をしていた。富次は梅沢に、龍ノ島に来てほしいと依頼する。それを受けて龍ノ島にやってきた梅沢は、様々な人間が織りなす欲望の渦に翻弄される……といったお話。
現代日本を舞台にした船戸小説、ということで当時は目新しい感じがしたんですが、バブル期に公共事業で栄えた島のその後を焙り出している点から、船戸らしい辺境物語の系譜に連なっていることが窺えます。15 年も同じ地区の警察所長に収まっているパンジーや、はみ出し刑事の郡家徳雄など、癖のある脇役も充分。そして連続して起こる殺人事件や様々な陰謀が、話をぐいぐいと前進させる。大藪春彦の小説を連想させるような目まぐるしい展開と、横溝正史的な因習 mystery の面白さを兼ね備えた entertainment 作品に仕上がってます。まぁ、段々と秘密が明らかになって大団円てな風情ではなく、うねうねした道を全速力で突っ走ってるような感じなので、盛り上がり所が掴めないという難点もあったりします。そういうところで、大作を連発していた頃の船戸に比べると power down している感は否めませんねぇ。
で、この作品は船戸小説にしては珍しくロリ娘の出てくる作品でもあるわけで(爆)。小学校教師でありながら一見中学生にしか見えない朝倉理恵、龍ノ島の欲望の渦から程遠い存在のこの人を守るために梅沢は走るわけです。船戸にしてこの展開はどーよ? まぁ、主人公の梅沢は近年の船戸作品では馴染みの、生き甲斐喪失な抜け殻人間なので、happy end とは行かないんですが。ともあれ、今後船戸小説を女性観の視点から検証する際には取り上げられること必至な作品と言えるでしょう……。
大友良英 (g, effect)、Bill Laswell (b, effects, samples)、芳垣安洋 (ds & perc, tp) の三人による unit、Soup。2003 年の album release を記念して、同年 12/14 & 15 に新宿 pitinn で行われた live を CD 化したのがこの album です。勝井祐二 (electric violin)、菊地成孔 (ts, organ)、坂田明 (as) も guest で参加。CD 二枚組で 2004 年発表。
ONJQ で熱い熱い jazz を展開した大友良英、しかし Soup という集合体ではかつての強靱な jazz 節を一旦融解させ、全く別の視点から別の熱を引き込もうとしているように思える。ONJQ が熱した鋼をがっこんがっこん打ち据える錬成音楽とするならば、Soup はそこに漂う暑苦しい熱気を表象していくようだ。中心点を欠いたまま円を描き続けるようなとりとめの無さと、それ故に生まれる隙間の拡散と収斂。ambient な音像がゆるゆると広がる中、絶えず動き続ける幻影は、時に荒々しく踊り狂い、時に沈黙より静寂な世界を形作る。これを手頃な言葉で表現すると、「doom metal に目覚めた Nils Petter Molvaer みたいな音」となるだろう……と冗談ぽく書いてしまいましたが半分は本当にそう思ってたりします。
この面子で鳴らす音なので手の内が見えそうですが実は全然見えません(爆)。なんだかんだ言って bassist としての Bill Laswell は強烈な磁場を持ってます。大友も芳垣も奔放にやらかしているように見えつつ、Bill の bass がまとわりつくと、うにゃうにゃとまとまってしまうという……。軟体生物的 bass なのだなぁ。この調子で次も是非。
日中の眠気、どうしていますか? と言われても小生は 13 - 18 時はねむーねむー状態です。ビョーキか、ビョーキなのか?
昼寝時間下さい。ついでに遊ぶ時間も。
前作 "The Machineries of Joy" から 2 年を経て release された、一ノ瀬響の 2nd album。2004 年発表。
前作に引き続き electronica で ambient な音風景なわけですが、やはり芯の強い美観を持ってる人だなぁと。弦楽器や voice といった生音と electronic な電子音が違和感なく同居し、柔らかく暖かくそしてどことなく懐かしい風景を描写する。秩序化されない世界を vivid に感受し、その美しさにただ呆然とするような。大人視点で胎児の夢を表現すると、こういう感じになるのかも知れない。
noise であれ美旋律であれ、それらは音という位相では等しい。けれど、どこかで我々は音を選別してしまい、自分の聴きたい音だけを選び取ってしまう。そうやって自ら音の間口を狭めていけば、聞こえてくる音は自然と貧弱になっていく。一ノ瀬響の音は、そうやって凝り固まった個々人の音楽感覚の隙間へと忍び込み、それを緩やかに解きほぐしていく。ここにある音は全て等位で、故に瑞々しく響いている。遠くから響く木霊が、閉ざされた感覚を音へ向かわせる。その process の自然さが見事。
今日のお勉強、UniPhier。system LSI と OS や middleware といった software を統合した、デジタル家電用の platform らしいです。開発は松下電器。
松下の 900 series には NEC 同様にあの OS が乗ってるわけですが、その流れで行けば UniPhier にも乗っけてるんでしょうねぇ。で、下回りを共通化することで DTV や携帯電話といった各種デジタル家電での開発 cost を減らそう、という目論見ですか。
資料見る限りでは、乗っける家電向けの LSI を作って売ろうとしている様子なので、performance 的に問題ない level のものは出てくると思って良さそうです。尤も、maker 独自の機能を乗せようとするといろいろ手間取るかも。まぁ、実際にモノが出てくるまでは解りませんが……。
Michael Moore 監督作品、2002 年。
1999 年 4 月 10 日の Columbine 高校縦乱射事件を契機として、米国の銃問題に Michael Moore が突撃アポなし取材で切り込んでいく documentary movie。事件直後の公演を差し止められた Marilyn Manson や、全米ライフル協会 (National Rifle Association) 会長の Charlton Heston も登場。
documentary ですが、どことなく humor の感じられる作りになってます。Michael Moore の丸々太って髭面という風貌や、anime による米国歴史概観とかアポなし取材でハラハラな展開だったりするところが、お楽しみ要素の強い作品と思える所以かも知れません。とはいえ、やはり扱っている theme は重い。
許可証さえあれば誰でも銃を手に入れられる米国。だが、単純に銃保有率の割合だけで見れば Canada の方が上。なのに、銃による事件は米国の方が圧倒的に多い。何故、米国だけがかくも銃による事件が多いのか。Moore はそこに、政治家や mass media による恐怖の押しつけを見る。恐怖でさえ売りネタにして自己の武装を正当化する米国の歪な実体を、Moore は執拗に追いかける。
Moore 自身も NRA の会員であり、この映画も声高に銃規制を訴えているわけではない。しかし彼の視点は、銃と銃弾を簡単に手に入れられる世界と、引き金を簡単に引いてしまえる世界に対して、その理由を突き止めることに向けられている。そして、銃による悲劇を阻止するために行動を起こす。documentary な作りでありながら、客観性をかなぐり捨てて突進する Moore の姿が素晴らしい。見て解る旺盛な行動力に脱帽の一作であります。
自転車購入後 2 日目、ということで今日もふらふらと。久々に走る喜びに浸ってる感じです。で、日本橋まで爆走。30 分以上走ることになりますが、地下鉄使うのとどっちが早いかと言われると微妙……。まぁ、自転車乗ってる間は本が読めないという難点はありますが、それを差し引いても自転車は走って楽しいから自分的には OK です。時と場合に応じて交通手段を切り替えるとしましょう。
今日の虫姫さま、maniac mode で 4 面越せませんでした。1 面や 2 面での凡 miss 多すぎ。気を取り直してケツイしたらば 1-4 で全滅。うわあぁこっちもか(爆)。
今日の vf4ft、勝ったり負けたりで微妙に勝率 up。Brad 相手だと連携読みやすくていいなぁ。読み負けると天地してるとこを投げられますが。そこで天地 cancel 投げ抜けまで入れられれば……という感じで command は入れたが結局投げられてるし。つか Brad の投げなんて知らんわいというそこが問題の核心。他のキャラも勉強しないとねぇ。
NY の hardcore band、Helmet の 2004 年作。
前作 "Aftertaste" から 7 年振りの new album で、首謀者 Page Hamilton (g, vo) と前作参加の Chris Traynor (g) は残っているものの、rhythm 隊は一新。ということで、"Meantime" の頃の強烈な結合感は流石に再現できない模様。つか John Stanier が叩かない Helmet なんて……と思わなくもない。ざくざくした riff に just で切り込んでくる John Stanier の drums が、Helmet らしさの一翼を担っていたことは間違いないわけで。でもまぁ、新加入の John Tempesta (ds) と Frank Bello (b) は予想以上に Helmet な音に貢献してますよ。tr.2 "Crashing Foreign Cars" とか、知らずに聴いたら全盛期 Helmet の out track と間違えそうになるかも。
それにしても Page Hamilton、久々の Helmet 始動なのに変わってませんねぇ。楽曲的には過去の sound の延長線上にあるもので、特に新機軸は打ち出してませんが、その分 Helmet らしい音作りに聞こえます。まぁ、幾分歌心を見せて emotional な曲展開を見せるところが新生 Helmet の特徴か。しかし Helmet な曲つーのは、riff、vocal、rhythm のどれかが何処か噛み合わないままそれぞれ並列的に直進し続けるかと思えば、展開の節目で一気にそれを噛み合わせて爆走するという、不安定と安定とが切り替わる際の強烈な dynamism が個性なわけで、その点はしっかり踏まえて曲作りしてる様です。まぁ一言でいえば格好ええということですな。この調子で頑張ってほしいっす。