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John Tejada (ds, etc) と Takeshi Nishimoto (g, etc) の unit、I'm Not A Gun の 2010 年作。
相変わらずの侘び寂び guitar inst album であります。今回は drums の打ち込み色が強めで guitar も reverb 深めだったりアルペの effect がきつめだったりで、若干 electro 厚化粧な路線に行ってるようにも思いますが、従来の世界観から大きく逸脱するものでもありませんので、こういう世界が好きな方にはいつも通り受け入れられる音かと思います。まぁ小生は例によって tr.5 "In Sepia" みたいな、drums 生撮りで guitar が多重録音で一人 jam な展開の曲が好きなのですが。
tr.7 "Runners" ではこの人達らしからぬ humorous な酔いどれ提灯的 riff でほんわかさせてくれます。こういう緩いのも入れられるようになっているとは、この unit の懐も奥深くなっているように感じられて興味深いです。
木村大作監督作品、2009 年。
明治39年、陸軍参謀本部陸地測量部の測量官・柴崎芳太郎 (浅野忠信) に、日本地図最後の空白地と言われる飛騨山脈・立川連峰の剱岳への登頂と測量の命が下る。日本の測量をほぼ一手に握って行ってきた陸地測量部にとって、それは最後の難所であった。一方では西欧の登山技術を習得し台東してきた日本山岳会の小島烏水 (仲村トオル) らが剱岳の初登頂を狙っているという話もあり、先を越されるのは陸軍の沽券に関わるという上層部の思惑もあった。柴崎は先輩の測量官である古田 (役所広司) から紹介された案内人の宇治長次郎 (香川照之) と共に剱岳の下見を行うが、その威容に圧倒される……。
このご時世に現地ロケで山岳もの、と聞いただけで古臭い映画になることは解りきってるようなもんで、あえてそういう趣向に挑んだ心意気をこそ汲み取らねばならんのでしょう。言うまでもなく映像は素晴らしい。しかし山の苛烈さ、登頂の困難さを描いているかと言われるとそういう印象はあまり無い。遠景で取りすぎてるんですかね。山岳会との張り合いも端から言われるほど切迫しているでもなし、陸軍上層部がせっつく割には柴崎は測量官らしく地道に足場固めて行ってる感じですのでどうにも盛り上がらないのは確か。名声に拘らず職務を全うする男を描く、というにしても、その掘り下げが充分とは思えませんし。まぁ、山のことは山に語らせよ、という映画と思って見れば良い映画ではあります。