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Dennis DeSantis の 2005 年作。Third-Ear の XECD-1036。
塔盤屋で昔試聴したときにはピンと来なかった album でありますが、ちゃんと聴いてみると結構良い作品だったんやなぁとしみじみ。この人も detroit techno follower で、大分前に Kanzleramt から Alexander Kowalski や Diego との連名 album 出したりもしてた人です。
kick も bass も太めで西欧受けしそうな techno ですが、上物の synth が結構繊細で気持ち良く聴けます。あまり emotional な展開は見せず、あくまで端正な響きに収めているところが知性派と呼ばれる所以か。まぁ、小生のように家でしか techno 聴かない人にはこれくらいが丁度良い。突出した個性は感じませんが良くまとまった album と思います。
Denmark の shoegazer な人、Manual aka Jonas Munk Jensen の 1st album。2001 年作ですが小生保有は国内再発盤の ZNR-053。
"lost days, open skies and streaming tides" が compilation とはいえ秀作揃いだった Manual、この 1st でもそのとろにかで emo で shoegazer な世界観はそのままであります。この人の曲は electric guitar が main ではありますが、下手に盛り上げようとはしないで、淡々と情景描写していくような作りになってるのが好印象。ぼーっとしながら聴けます。
James Cameron 監督作品、1981 年。邦題「殺人魚フライングキラー」。
南国の resort 島で、観光客が何物かに襲われるという事件が起こる。海洋生命学者にして diving school の教師である Anne Kimbrough (Tricia O'Neil) はその事件が空飛ぶ piranha のような生物によるものと推測し、観光客の避難を市長に進言するが、市長は聞く耳持たない。やがてその殺人魚が大挙して観光客を遅い始める……。
先日仕事場でこの映画の話になったのですが、小生はこの映画の結末がどうにも思い出せなかったので、改めて観た次第。いやぁ、これは勿体無い落とし方だなぁ。作り方次第では "The Birds"(file:///home/metham/public_html/ndiary/200305c.html#24_t3) ばりの名作になったかも知れないのに、何であんなみみっちい終わらせ方なんだよ。殺人魚もわざわざ塒に戻ってこなくてもよかろうに。
まぁ、さすがに今の目で観ると B 級臭さは否めず。殺人魚が映る場面は大抵 camera 寄せてるので、奴等が群をなしてどわーっと襲ってくるという感触が乏しいのですよ。とはいえ、horror もののお約束ともいうべきエロ描画、fake 演出、Alien のパクリ (笑) といった演出もあり、それなりに楽しめる作品になっております。
個人的に吃驚だったのは、Anne の旦那で警官の Steve 役が Lance Henriksen だったこと。Alien series の Bishop 役の人ですね。出番は多いが役に立たんという変な役回りでしたが、いつ見ても渋くてかっちょええですなこの人は。
Guy Sigsworth と Imogen Heap の unit、Frou Frou の 1st album。2002 年発表。
shoutcast でへろへろとろにかな radio を聞いておると、この album の tr.1 "Let Go" が流れてきて興味を持ったわけですが、歌っているのが Imogen Heap ということで納得であります。"Speak for Yourself" は傑作でしたなぁ。
Guy Sigsworth という人については良く知りませんが、Talvin Singh や Bjork との協業歴もある producer だそうな。有名な人なのですかね。
さてこの Frou Frou ですが、Imogen Heap お得意の pop とろにかな album となっております。solo 名義作よりは pop 寄りにまとめた印象ですが、一人多重声部で colorful な万華鏡を描く Imogen Heap 節が例によって楽しめます。近年 polyphony ふぇちであることに気づいた小生には、こういう音はツボですなぁ。何度聴いても新鮮な気分で聴ける良作であります。
ちなみに Frou Frou としての活動は 2003 年に一旦終了しているそうであります。
元電気の砂原良徳による、映画「No Boys, No Cry」の劇伴作品。2009 年発表、KSCL1420。
どんな映画なのかさっぱり解ってない小生ですが、まりん久々の solo 作ということで聴いている次第。この人の 90 年代の諸作は、お洒落でばぶりーでごーじゃすな音響 wonderland な作風だったように思いますが、2001 年の "Lovebeat" では侘び寂び techno に開眼、その後は長い裏方業専念時代となっておったようです。音の飽和から一転して、逆に音を引くことで見える世界を広げた、という点では Cornelius と同じような立ち位置にいる人ですので、その Cornelius が映像とのこらぼで可能性を広げたように、砂原良徳が映画音楽を手がけるのもまた不自然な話ではありますまい。
さて実際の音の方は、electronic な音もあれば生楽器もあり、しかし全体的には ambient な風景描画系の soundtrack になっております。聴いていると意識が研ぎ澄まされていくような techno。やたらと bass の音が目立つのが冷静に聴くと笑えてくるところではありますが、それもこの人なりの減音 process による残り物強調なのかも知れません。しかし映画劇伴ということで遠慮したのか、かなり匿名性の高い音響になっています。まぁ、映画音楽で記名性ぶりばりてのも功罪ありますから、これはこれで無難な approach かも。tr.7 "Green Pattern" の Reich 風 minimal が良い感じに聴けますが、これが未使用 take とは世の中解らんもんです。
Seattle grunge 組の前夜祭的な album。1991 年発表。
当時の Seattle underground rock を支えていた Mother Love Bone の vocalist、Andrew Wood が 1990 年に薬キメすぎて夭折。その死を悼んで、Soundgarden の Chris Cornell (vo)、Matt Cameron (ds)、Mother Love Bone の Stone Gossard (g) と Jeff Ament (b) が即席の追悼 band を結成する。それがこの Temple Of The Dog であります。当時は新人の Mike McCready (g)、tr.3 "Hunger Strike" にのみ、Eddie Vedder (vo) も参加。ということで、今の目で見れば Soundgarden と Pearl Jam の合体 band とも言えます。
まぁ小生は Mother Love Bone 聴いたことがないのでその影響力について解ってないのですが、それでもこの album がかなり力入れて作られていることは窺い知れます。曲の多くは middle tempo の ballad で、bluesy な哀愁 guitar と Chris の伸びやかな歌い上げが全編に横溢しております。また、初期 Pearl Jam の特色の一つだった、緩さの中にやたら scale の広い世界を展開する音像 (1st での "Ocean" みたいな) が、この album でも tr.6 "Times Of Trouble" 等の楽曲から感じ取ることができます。Soundgarden 的でもあり、Pearl Jam 的でもあり、尚且つその双方の美味しい部分が自然に混交しているという奇跡のような音。当然ながらこの 1 作のみで Temple Of The Dog としての活動は終わっていますが、即席 band らしからぬ腰の座った風格が感じられるこの album を聴いていると、つくづく 1 作で終わるのは勿体ないなぁと思います。とはいえ、今この面子で集まってもこういう音は出ないでしょうね。90 年代初期の Seattle には何かが憑いていたんじゃないか、という小生の疑念はこの album を聴く度に深まるのであります。