|
ガルーダ II、縦羽でくじゃく最終形態まで。もうちょっと音が恨めしいのぅ。
Ross の Scarlatti 集は昨年辺りから出回り始めた廉価盤なんですが、何に驚いたって、そりゃ箱の大きさですよ。以前の Erato 盤は流石は CD 34 枚組の大箱仕様で、一人で箱抱えて持って帰るのさえ難儀しそうだったのに、廉価盤は厚さ 10cm にも満たない箱に入っておるので。ほんとに 34 枚も入っとるんかいなと思いましたがちゃんと入ってました。plastic case でなくて紙の中ですが、そこはそれ廉価盤ですからねぇ。まーのんびり聴かせていただきますよ。
でも Ross の演奏聴くと早く起きなきゃと思う小生が居るのですよ。これを「朝のバロック症候群」と言います。言わないか。
Wayne Wang 監督作品、1995 年。
Brooklyn の煙草屋の親父 Auggie Wren (Harvey Keitel) は毎朝店前の風景を写真に収めるのを趣味にしていた。ある日 Auggie の元に、昔馴染みの女 Ruby (Stockard Channing) がやってくる。Ruby は Auggie に、自分達の娘のことで相談しに来たのだ。18 年振りに会っていきなり娘だのと言われても信じられない Auggie だったが……。
Auggie の店の常連客 Paul Benjamin (William Hurt) は作家だったが、妻に先立たれてからは仕事に身が入らない日々を送っていた。ある日 Paul は車にはねられかけたところを Rashid (Harold Perrineau) と名乗る若者に救われる。命を救われたお礼に Paul は Rashid を数日自分の部屋に泊める。Rashid が去った後、Paul は Rashid の叔母から若者が Thomas Cole という名であることを知る。
Rashid が寂れた gas station の前に腰かけて絵を書いていると、gas station の店員 (Forest Whitaker) が寄ってきて強盗ならよそでやれと言う。逆に Rashid は自分を Paul Benjamin と偽り、gas station で働かせて欲しいと頼む。gas station の店員は Cyrus Cole と名乗り、Rashid を雇うことにする……。
という感じでだらだら続いていく映画なのですがこれが良いのですな。さりげない描写の中にも詩情が感じられる作品。
言葉や行動の端々に、その生い立ちや生活が滲み出る。映画という嘘八百な世界でここまで自然に物語れるというのは驚嘆すべきことであります。作中の小話も他の展開に繋がったりして綺麗に収まっている印象。まぁ、姉妹篇 "Blue in the Face" でのどんちゃん騒ぎも楽しいんですけどね。
日常の中で煙のように消えていく話ですが、気持ちの良い思いが胸に残る佳作と言えるでしょう。
german metal band、Rage の 1986 年作。Rage 名義ではこれが 1st album だそうな。
80 年代の metal は良くも悪くも音が軽薄で、90 年代の耳痛時代を経過した今となってはその軽さが総じて物足りなさに繋がったりします。Rage のようにこの後に power metal の雄として名を成す band であれば、その軽薄さはなおさら致命的な弱さに結び付くわけで。middle tempo の tr.5 "Raw Energy" なんて実は Rage じゃなくて Ratt じゃねーのと突っ込んであげたくもなるのですよ。まぁ、こういう軽い mixing が pop な楽曲に合いやすいってのはよく解るんですが。白蛇も VH も 80 年代の pop album 量産期が全盛期でしたしね。おっと失言。
それにしてもこの頃の Peavey は hi-tone でうきゃーうきゃー叫びまくっておりますなぁ。speedy な曲調に melodic な展開を強引に捩じ込む Rage な音は窺えるものの、まだこの album では普通の 80's metal band ですな。
John Coltrane (ts)、McCoy Tyner (p)、Jimmy Garrison (b)、Elvin Jones (ds) による 1964 年録音の Impulse! 盤。
この後に "A Love Supreme"、"Ascension" と続いて free jazz 期に突入する John Coltrane 様でありますが、そうするとこの辺りが jazz に踏み止まっていた Coltrane の最後の面影ってことになりますかね。しかしそんな嵐の前触れを感じさせない spiritual で静かめの演奏です。tr.1 "Crescent" を始め、ballad な original 曲中心の得ん総集だから、ってこともあるんでしょうが。
お互い手のうち知りつくした面子による演奏で、ensemble も solo も熟練の域に達しているからか、驚きは少ない。しかしそれ故の自信と安定感が音の隅々まで行きわたっていて、全体の完成度は高い。安心して聴ける album であります。
Jeff Mills の 2005 年作。いわゆる未知との遭遇盤であります。
世に techno な album は数あれど、Jeff Mills の作る spiritual な track は年を追う毎に他の追随を許さぬ深遠へと突き進んでいるのです。まぁ言い替えれば例によって例の如くな Jeff Mills world なわけで、一聴してこの人の音と解るものの、あーまたこの路線なのねと納得したらば後はだらだら流し聴いても問題ないということでもあるわけで、深化してるのか停滞してるのかよく解らなかったりもするんですな。未知との遭遇を扱っても Mills な音では既知との遭遇になりかねん。微妙な作品であります。
Paul Auster 監督作品、1998 年。
jazz saxophonist の Izzy Maurer (Harvey Keitel) は演奏中に暴漢の流れ弾に当たり重傷を追う。一命は取り留めたものの片肺を失い、演奏家としてはやっていけなくなった。失意の中、Izzy は裏道で男の死体を発見し、ついその男の鞄を持ち逃げしてしまう。帰宅して鞄を改めた Izzy は、その中に紙片に書かれた電話番号と厳重に封のされた石を見付ける。その石は真夜中になると青く光り輝いた。石の出所を探ろうとして Izzy は紙片の番号に電話し、電話の相手 Celia Burns (Mira Sorvino) の自宅を訪問する。Celia は駆け出しの俳優で、その石のことは知らなかったが、青い光を放つ石に触れた Izzy と Celia は共に愛し合うようになる。やがて Celia は映画 "Pandora's Box" の Lulu 役を射止め、その撮影の為に Ireland に飛ぶ。身辺を片付けてから Celia の後を追おうとしていた Izzy だが、部屋で謎の男達に襲われ監禁される。そして Izzy の前に現れた Dr. Van Horn (Willem Dafoe) は、石の在処を Izzy に吐かせようとする……。
Paul Auster 版 "Mulholland Drive"、と言いたいところですが Lynch 先生には及びませんでしたの図。つか Lynch の方が後か。後出しじゃんけんなら勝敗は既に見えておるということですかな。
この映画観ていて駄目な頃の北野映画を思い出したあるよ。刈り上げでぼけっとしておる Harvey Keitel がビートな人に似ておるというのもありますが、話の展開がぎこちない所が似ている印象に繋がるんでしょう。視線への拘りは良く解るにせよ、それを素で晒してしまうのが映画なわけで、小説のようには上手く煙に巻けなかった様子。残念賞ですな。
あ、Lou Reed のそっくりさんには笑わせて頂きました。目が本気すぎですって。
Don Bluth & Gary Goldman 監督作品、2000 年。
西暦 3028 年、drej と呼ばれる energy 生命体により地球は破壊される。少年 Cale Tucker は脱出艇に乗り込んで一命を取り留めるが、父の Tucker 教授は巨大宇宙船 Titan に乗って地球を脱出、その消息は知れない。15 年後、廃品工場の下働きで命を繋いでいた Cale の元に Joseph Korso が現れる。Korso は人類復興の為に Titan を見つけ出そうとしており、その為には Cale の持つ地図が必要なのだった。だが人類抹殺の執念を燃やす drej もまた、Titan を見付けだすべく Cale を狙っていた。Korso の宇宙船に乗り込んだ Cale は、美人飛行士 Akima とよろしくやりつつ Titan を目指す……。
3D animation movie であります。道中で敵の襲来に会ったり捕虜になったり味方の裏切りに会ったり自前で宇宙船修理したりと波瀾万丈、でもって Titan は箱舟で energy が足りんでてんやわんや、というお話。話がばたばたしていて面白かったです。こういうノリ一発な映画は嫌いじゃないのです。最後のあまりに能天気な解決も大いに結構。
それにしてもめりけんの animation てのは動きが良いですなぁ。止まっている状態でも実写的な camera work で立体感を出していて思わず見入ってしまうのです。"The Iron Giant" とかこれとか観ると、日本の anime が如何に漫画的かってのが解るような気もします。って、総括して書ける程の量は観とらんのですが。
natural なのに超絶技巧な guitarist、Michael Hedges の 1984 年作。windham hill から。
american な開放感の漂う acoustic guitar album で、如何にも windham hill な音なんですが、minimal な phrase の間からゆらりと湧き起こる乾いた叙情が良いのです。こういう album は涼しい朝方に聴きたいですなぁ。
今やすっかり click house 職人として知られてしまった John Tejada さんです。長年の盟友 Arian Leviste との共同名義での 2005 年作。
上物少なめの minimal な house ですが、瑞々しい electro な音と侘寂 pop な装飾、そして安定第一な beat の相乗効果により、するりと耳に滑り込み快楽中枢を擽る音楽に仕立てられております。ますます職人化してますねぇ。
目新しくないといえばそうなんですが、多芸を極めた上で minimal に落ち着いた人の作る音ってのは、音に迷いがなくて良いですな。Herbert の新作は厚化粧になっていて失望した小生ですが、その点 John Tejada は信頼を裏切らぬ成長振りであります。
"Back for Basics" て title は即ち「Basic Channel に帰るべし」と読む……てことではないですよねぇ。
ほそ Q な人と Kt2 な人でそれぞれ CD 1 枚分の楽曲を持ち寄った、PC game "Lostchild" の soundtrack。2006 年発表の CD 2 枚組。
ほそ Q な人は目炉立ちした曲担当で vocal track も数曲収録。清涼系楽曲より下世話などらんべとかやった方がこの人の曲は面白いと思うんですけどね。耳を素通り。
Kt2 な人は down tempo な雰囲気もの楽曲中心の構成。相変わらずの wet な ambient sound であります。"History Repeats Itself" よりは焦点が拡散していて total の印象は薄めだったりしますが、にしても個々の quality は高いので充分楽しめる出来栄え。この調子で地道に活動していってほしいと思うのであります。