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日本の電子音楽家、Susumu Yokota の 2006 年作。
title 通り全曲三拍子な album ですが bass drum 入るとやっぱ Yokota 印の house になりますなぁ。とはいえこの人は既に techno だの house だのといった categorize を超越した境地に達しておられますので、この album に収められている楽曲も Yokota な音としか形容できぬ自己完結型 elegant music になっております。Yokota の album に外れ無しとは Yokota 好きの常套句でありますが、それは結局のところ Yokota 的な美観を Yokota 以外では表現し得ぬ点に論拠があるからなのでしょう。生音と electronic sound と vocal の境界が限りなく融解し、美音の中で延々と酩酊させられる夢幻の音楽であります。色っぽい三拍子が好きな人向け。
"Police!" Hammond gasped. "I need the police."
"You're found them," Miller said crisply. "What's up?"
"Girl down there in the water," Hammond said. "Other side of the coal barges beneath the wharf."
"Dead?" Miller demanded.
Hammond nodded. "Gave me a hell of a turn, I can tell you." (page 13)
Berkley 版の paperback で読了。
通報があり、刑事 Nick Miller は川から女性の水死体を引き揚げる。死んだ女性 Joanna は薬物を過剰摂取しており、どうやら自殺のようだった。彼女とは薬と身体の関係があったと思しき男 Max Vernon は、表向きは堅気だが闇の世界にも顔の効く男で、裁判でも彼は白とされた。だが Joanna の父親 Duncan Craig は、彼なりの流儀で娘の復讐を果たそうと画策する。警官である Nick Miller は Duncan を止めようとするが、娘を殺された父親の気持ちも解らなくはなかった……。
『The Graveyard Shift』 に続く、Higgins の Nick Miller ものの 2 作目。
うーむ低調。いや話としては Higgins お得意の男節なんですが、1 作目のような筋の錯綜はなくて直球なんだよな。Duncan Craig の爆走が目立ってしまって Nick は添え物みたいな感じ。やっぱ警官が主役だとやりにくいんですかねぇ。
Richard Fleischer 監督作品、1973 年。
2022 年、人類は人口爆発と環境汚染による食糧難に喘いでいた。そんな中、New York の刑事 Robert Thorn (Charlton Heston) は富豪の William R. Simonson (Joseph Cotten) が殺された事件の調査にあたる。強盗に部屋に押し入られて殺されたように見せかけられているがこれは pro の仕業だと考えた Thorn は、助手の老人 Sol Roth (Edward G. Robinson) と共に事件の背景を探り、Simonson が市の食糧供給を一手に握る Soylent 社の幹部だったことを突き止める。さらに事件に深入りしようとする Thorn だったが、上からの圧力や尾行などもあり、捜査は難航する……。
社会派 SF 映画。落ち一発てところでしょうか。
綺麗なねーちゃんが部屋用家具扱いだったり、本物の野菜食って感動したりしているところが面白いのぅ。安楽死も合法化されとるようだし、お先真っ暗な未来観はよく伝わってきました。でも盛り上がらん映画だったなぁ。
あ、2022 年には space invaders ばりの retro game が最先端になっとるようです。次世代機も極まると原点回帰するってことかのぅ。
Joel Coen 監督作品、2000 年。邦題「オー、ブラザー!」。
1930 年代の米国 Mississipi 州。囚人の Ulysses Everett McGill (George Clooney)、Pete (John Turturro)、Delmar O'Donnell (Tim Blake Nelson) は脱走し、昔 Everett が強盗後に隠した金の在処へ向かう。金の隠し場所は dam 建設予定地で、数日後には水の底に沈んでしまうのだ。州警察から逃げている途中で、三人は guitar の名手 Tommy Johnson (Chris Thomas King) と連れ添うことになり、小銭稼ぎのために地元の radio に The Soggy Bottom Boys と称して出演する。その後も警察に追われて逃げることになるのだが、その曲は何時の間にか radio で大人気になっていた……。
まー音楽は素晴らしい。George Clooney は暑苦しい。
Siren に魅了されて蛙になったり、悪魔が黒い犬を連れてやってきたりと、神話なねたもちらほら。でもって悪魔に魂売った人も出てくるのでその方面好きな人はどうぞ。しかし中身は微妙に笑えない comedy touch の roadmovie なのでした。
米国の singer songwriter、Elliott Smith の 1998 年作。
聴けば聴くほど泣けてくる、melancholic な album です。まぁ、Nick Drake ほど深みにはまらず pop で派手なところが米国人なのかも知れませんが、後の "Figure 8" に比べると泣き度五割増しといったところです。この人ほど、自分の声と melody が上手く調和していた artist は珍しいです。それが本人にとって幸いだったかどうかはともかく。通して聴いても気持ち良い album ですが、tr.6 "Independence Day"、tr.12 "A Question Mark" 辺りは何時聴いても聴きほれますなぁ……。
Mark Herman 監督作品、1998 年。
LV (Jane Horrocks) は部屋に籠って古い LP ばかり聴いている少女。LV は即ち little voice、彼女の母親 Mari Hoff (Brenda Blethyn) が付けた仇名だった。その Mari Hoff は地元の興行主 Ray Say (Michael Caine) と良い仲になっている。電話工の Billy (Ewan McGregor) はそんな LV に好意を抱いているらしいが、LV も Billy も内気なのでなかなか思いを口に出せない。ある日、Mari は Ray を自分の家に連れ込んでよろしくやろうとする。自室に引き篭って LP を大音量で流し始めた LV だったが、配線の故障で停電に。LV は仕方なく自分で歌うことにしたのだが、その声に Ray は耳を奪われた。LV は、record の歌声をそのまま歌唱しているかの如き巧みさだったからだ。翌朝、Ray は LV に自分の名刺を渡す。彼女を桧舞台に上げて名を売ろうと Ray は画策したのだ……。
歌手版 "Good Will Hunting" ですな。あれ、違ったっけ。青い鳥な天才を大人がたぶらかそうとするが、最終的に鳥は自分で自分の居場所を見付ける……って構成は似ているんですが、"Little Voice" の方は大人の視線が主筋なところが違いますな。Mari Hoff の老醜顧みず美しい自分を信じようとする様や、Ray Say が LV の興行に成功すると途端に図に乗り出すところとか、そういう様は滑稽でありつつどこか物悲しい。LV が Mari に little とは言いがたい声で思いのたけをぶつける場面はなかなか壮観でありました。
しかし一篇の映画として観ると、LV の晴れ舞台での盛り上がり方に比べて終盤は痛い展開で後味の悪さが残ります。その落差も計算のうち、ってことですかね……。