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Kelli Hand 姉さんの 1997 年作。
minimal で detroit な 90's techno。猫も杓子も minimal だったこの時代、まぁ d'n'b に浮気する人もいましたが、detroit な人なら白玉と四つ打ちでしょ、という主張が見え隠れする album です。この路線の白眉は Kenny Larkin の "Metaphor" やと思いますが、あれも思えば 1995 年作。techno も何やかやで時代の刻印押されてますね。
stoic な techno なのはいいにせよ、印象値ではいまひとつ、というのもこの頃の Hand 姉さんの特色で、何つーかしれっと聞き流して終了であれっこんな感じだっけ、という風情。無難にまとめすぎるのも困りものであります。tr.8 "Voyeur" みたいな雰囲気は嫌いではないのですが。
Jaume Collet-Serra 監督作品、2011 年。
めりけんの大学教授 Martin Harris (Liam Neeson) は学会出席の為に妻の Elizabeth Harris (January Jones) と共に Berlin に降り立つ。taxi で hotel に着いたはいいが荷物が一つ足りないことに気付いた Martin は別の taxi で空港に舞い戻ろうとするが、その taxi が事故に巻き込まれる。病院で目覚めた Martin は hotel に戻って Elizabeth に再会するが Elizabeth は Martin を赤の他人と言う。しかも Elizabeth の夫 Martin (Aidan Quinn) が彼女に寄り添っていた。自分が何者なのか解らなくなった Martin だったが、自分が何者かに命を狙われていることを察知し、私立探偵の Jurgen (Bruno Ganz) や事故に合ったときの taxi 運転手だった Gina (Diane Kruger) の協力を得つつ真相に迫ろうとする……。
自己喪失系 suspence movie であります。昔ながらの定番ではありますがやっぱこういう映画は面白いですね、先が読み憎いからかもしれませんが。この映画の場合は作った記憶と本当の記憶とが混濁することから生じる混乱が物語の suspence 性を高めており、喪失の回復の後にもう一捻りあるのが良いですね。まぁそれでも、多分に既視感のある映画ではありましたが。
Liam Neeson はおっさんになってもやっぱ格好良い。"Schindler's List" や "Michael Collins" の頃からおっさんでしたが年取ってから肉体派でやっていけるのは大物な証でしょう。でもって January Jones より Diane Kruger の方が年上と知った小生は自分の女性を見る目のなさに大いに意気消沈したものであります。
めりけんの slash metal band、Metallica の 2nd album。1984 年発表。
小生は black album が Metallica への入り口だったわけで、青春期の imprinting の影響もあって昔も今もあの album が Metallica の極北であるとの立場は未だに揺るいでおらんのですが、それ以前の Metallica の有り様を警視しておるとの批判は正にその通りであると言わざるをえません。まぁ誰にもそんなこと言われたことはないんですが。そもそも小生の周りの人間は小生を良い年してアニヲタで stg と 3d 格ゲしかやらん変人としか見ていないのでそれはそれで結構なことであります。
そんな小生ですが決して black album 以前の Metallica を軽視しているわけではなく、slash metal 四天王として名を馳せていた頃の Metallica は、slash と言うにはあまりに独特、その dramatic で演歌すれすれな曲調と、時に田舎者丸だしな 2 bass どこどこ metal やら prog rock ばりの曲調変化やらで、正直焦点が定まらんという印象はあったわけです。とはいえ、1st に比べればこの 2nd は Metallica らしい曲調が多いというか、slash 一辺倒ではなく後の Metallica 曲調に繋がる riff の組み立てや James Hetfield の歌い上げに合わせた組み方に腐心しているような楽曲が多いです。Metallica が自身の進む方向を見定めた、そういう album に位置付けられるんではないでしょうかね。全体の方向性は slash metal かも知れませんが、そうは言っても Metallica は Metallica、その個性を印象付けるには充分な 2nd album であります。
live の定番曲としても名高い tr.7 "Creeping Death"、冒頭の露払い的田舎 metal の tr.1 "Fight Fire With Fire"、Metallica 流 modern heaviness な tr.4 "Fade To Black"、prog rock な展開の tr.8 "The Call Of Ktulu" と、Metallica 汁が充分分泌されまくりな album になっており、LA Metal 全盛な時代には異端であったかも知れませんが、alternative rock な時代には充分通用する anti main stream な metal album であります。こういう音が main stream に躍り出るとは 80's には思いもよらなんだとは思いますが、世の中とは解らんもんですな。
Miles Davis の復活第一弾な album。1981 年発表。
引退前が "Agharta" やら "Pangaea" だったわけで、そりゃあんだけべとべとな fusion やったら活動休止もむべなるかなな Miles Davis さんだったわけですが、復帰第一弾となるこの album ではゆるふわ fusion な仕立てになっております。即ち square な 4 beat に jazzy な pet や guitar や fletless bass が絡んで fusion やっております。あっれー、Miles ってこんなにゆるふわだったっけ。とかなんとかいいつつ、小生の Miles 像に一番近いのはこの時代の Miles だったりもします。だって 50 年代とか小生生まれとらんし。real time で Miles 体験したのは 80 年代なわけですよ多分。でもって Miles ってば Kenny G みたいな音楽やっとるという認識されてもこれじゃー文句言えません。
とはいえ 70's fusion の chaos な状況から一歩身を引いて smooth 路線でイケてる中年親爺な jazz を展開せんとする Miles 叔父さんの心意気は充分伝わる仕立てであります。guitar の Mike Stern は若気の至りで弾きまくりすぎな印象もありますが、全体の color は bass の Marcus Miller と drums の Al Foster による square beats がしっかり支えておるという状態で、この布陣から導かれる結論は傑作ではないが質の高い fusion、ということで悪くはない fusion album であります。おされ系の bar で受ける type の音像でしょう。
佐々部清監督作品、2010 年。
第二次大戦末期、軍部は Douglas MacArthur (John Savage) が東 asia に溜め込んだ財宝を密かに横領し、敗戦後の日本の復興資金として役立てようと画策していた。士官の真柴司郎 (堺雅人)、財務官の小泉重雄 (福士誠治)、曹長の望月庄造 (中村獅童) の三人は極秘任務を与えられ、本州のとある場所に MacArthur の財宝を秘匿する任務を与えられる。森脇女学校の教師である野口孝吉 (ユースケ・サンタマリア) とその教え子の 20 人の少女達は、真柴の指揮の元で MacArthur の財宝を地下洞窟に移送する作業を請負わされるが……。
いやー結構頑張って泣かせにかかってますがそれほど泣ける映画でもありません。角川映画なのに地味やしね。現代と過去とで物語を入れ子にしているのも冗長な印象に繋がるし。いろいろと残念な出来栄え。