|
Move D と Jonah Sharp による unit、Reagenz の 2nd album、2009 年発表。
一見限りの unit と思ってましたがまさかの 2nd album であります。つーても 1st の頃の音像はどんなだったっけと既に忘却の彼方。いやこれはアレですよ、すぐ忘却してしまうような album は ambient なわけで、その没個性ぶりをむしろ堪能すべし、と。
約 15 年振りとなる今回の邂逅も、音は只管 stoic で自然な ambient track が多い。まぁ beat が無いわけでもないですが、狙いはあくまで農耕 beats に ambient な上もので、listening techno のお手本を示すようなゆるふわ techno を展開しております。こういう匿名性が如何にも Reagenz らしくもあり、彼らが匿名性の中で埋没してしまう要因でもあります。とはいえ小生、こういう音は嫌いではないのですよ。ひたすらぽやーんと聴いて楽しむ系の音楽であります。
めりけんの rock band、The Black Crowes の 1994 年作。
内容はともかく、ジャケの impact はこの作品が随一という方も多かろうと思われる一作であります。小生も当時は、めりけんは freedom な国やなーと思わされたものです。
前作 "The Southern Harmony And Musical Companion" でめりけん hard rock の枠組みを飛び越えてしまった黒鴉は、それ以降緩やかに南部 swamp rock の泥沼に飲み込まれていくわけですが、この album はまだ hard rock な意匠で、まだ明快といえば明快な出来栄えになっております。黒鴉にしか成しえぬずぶずぶした groove 感は既に確立しており、blues と funk の間を黒い音像で埋め尽くしていくその style に揺ぎはない。とはいえ、前作にくらべれば hook の効いた曲は少ないので上級者向けではあります。黒鴉に Bon Jovi ばりの party rock を期待するのは筋違いではありましょうが、その stoic な姿勢はめりけん hard の保守本流に乗れなかった要因にもなっていることでしょう。でも良いのです、黒鴉なら別にそれでも問題ない。
この album からは tr.2 "A Conspiracy" と tr.3 "High Head Blues"、tr.9 "Wise Time" が single cut されてますが、個人的には tr.7 "P. 25 London" が印象的。堂に入った blues harp がとにかくかっちょええ。
Kenneth Branagh 監督作品、2011 年。邦題「マイティ・ソー」。
かつて天上界にて氷の巨人を退けた Odin (Anthony Hopkins) は、二人の息子 Thor (Chris Hemsworth) と Loki (Tom Hiddleston) のいずれかに王位を譲りたいと思っていた。やがて勇猛な Thor が王座に登ろうとしかけたが、power の源たる箱を奪おうとした巨人族に単身戦いを挑んだ Thor を見て、Odin はその気性がやがて平和を乱すと考え、彼を地球に追放する。その地球で Thor は天文学者の Jane Foster (Natalie Portman) とに助けられるが、地球の生活に馴染めぬ Thor はいろいろと騒動をやらかす……。
Marvel movie なのに監督が Kenneth Branagh ってだけでも吃驚ですが、素材が北欧神話ってことで、古典に詳しかろう人を抜擢したってことですかね。でもそのせいか、Marvel 作品にしては地味な仕上がりになってますが。
地球に落とされて自分に足りないものを見つめなおす Thor の立ち直り視点、ずっと Thor の後塵を拝していた Loki の屈折心理、空から降ってきた Thor に引かれていく Jane の視点などが入り乱れつつお話が進んでいきます。Jane は結構いい鯵出してますね、Thor に急に自宅を訪れられてあたふたするところなんて、なかなか可愛げがあるじゃないですか。Natalie Portman ももう三十路のお姉さんなわけで、こういう平凡で日常的な佇まいにも魅力が出てくる年頃なのかも知れません。とはいってもお話は神話だか SF だかでべたべたなものなので、あちらの世界の CG ぶりばりな展開は action ものとして見ると若干興醒めな出来栄えです。まぁ、"The Avengers" への布石としては充分な出来ではないかと。
UK の blues rock band、Free の 1970 年作。
あの名盤 "Fire and Water" の後に出た album であります。前作より一層地味渋ですが、まぁこの人たちは blues やってりゃ満足な人種なわけで、音に仄かな strings が絡んでも全然豪華な印象には繋がらず、愚直なまでに鈍臭い blues rock しております。Free といえば未だに UK rock の superstar な扱いになってますが、何でそんなに人気あったのかねぇ、Paul Rodgers や Paul Kossoff に idol な looks があったとも思えんし。70 年代はまことに謎多き時代じゃよ。
いろいろ言ってますがこの album は決して悪い出来ではありません。とらっくの運ちゃんが深夜に流しながら聴くには全然おっけーな音になっております。特別 catcy な曲がない、けども聴いていてするっと流れてなおかつ気持ち良いという album は、得てしてするめいかな風情、即ち噛んで良し味わって良しの燻し銀な album になるという、そのお手本みたいな album です。Free 円熟期の一枚として充分な出来栄えではないかと。
UK の d'n'b な人、Squarepusher の 2nd album、1997 年発表。
どらんべに迷いなかった頃の Squarepusher の album であります。前作の "Feed Me Weird Things" は勿論傑作なわけですが、その延長線上の album であることは tr.1 "Coopers World" の spy 映画さんとらな構成からも明らか。この人の初期作は、d'n'b な意匠ながら旋律は涙腺決壊系 romantic phrase なものが多くて、油断して聴いてるとその磁力に飲まれます。cheap な音がまた 70's jazz funk な黄昏音像を連想させたりも。
この路線での最高傑作はやっぱ 1st album ってことになると思いますが、この 2nd も聴き直してみれば思ってたよりも良作でした。
Sweden の guitarist、Yngwie Malmsteen の solo 名義 1st album。1984 年発表。
北欧の暴言王、の異名を欲しいままにする男、Yngwie Malmsteen さんであります。wikipedia でこの人のことを調べる度に暴言が増えていて大いに楽しませて頂いております。まぁ暴言吐けるくらいでないと絶対王政は敷けんわな。
速弾きがウリの guitarist ではありますが、その圧倒的な技術力を classical music を下敷きにした西欧様式美 hard rock の昇華に注ぎ込み、その極北を示したという点はこの人の功績として後世まで語り継がれることでありましょう。classical music は古典再演で演奏より looks が売上高のタネなんて状況に対して、modern な視点からその復興を試みるその姿勢や良し。勿論 prog rock の側面からの classical music 擁護な方向性はあったにせよ、Yngwie はあくまで HR な形式の compact な楽曲に拘りつつ classical な路線を進んでいったわけで、その影響は後の HR/HM のみならず pops や game music にも及んでおります。小生も昔は blues 嫌いで、様式美な HR ばかり聴いてた時代がありましたので、まぁ影響受けなかったとは言いません。80 年代とか 90 年代初頭の F1 スキーな人とかぷろれすスキーな人は多かれ少なかれ Yinwie の影響を受けておるものと推察します。
この 1st album では tr.1 "Black Star" と tr.2 "Fr Beyond The Sun" が鉄板、ですが、個人的には tr.7 "Little Savage" の男気溢れる riff に心が震えますね。