|
めりけんの hard rock band、Mr. Big の 6th album にして最終作。2001 年発表。WPCR-75206。
Mr. Big とは縁遠かった小生ですが、TV 版 Hellsing の ED で tr.3 "Shine" が使われていたことで久々に彼らの音を耳にして、おー頑張っとるんやねーでも Hellsing には合ってないよねー笑い、という感じでありましたが、既にあの頃から 10 年くらい経過しておるのですな。時の経つのは速いものよ。その割に自分の成長してなさに泣けてきますが。
Billy Sheehan 爪弾き事件により member の不仲が表面化し、結果として last album になってしまったわけですが、楽曲的には前作の blues 偏重から pop な方向に揺り戻して、hard 寄りの AOR という甘口 rock 路線になっております。band として活動しようとするから各 member の方向性がまとまらんで崩壊するのであって、各々が session musician として ego 収めて活動しておればこの程度の album は作れるのじゃよ、と言わんばかりのよくできた album と思います。特に前半の流れは見事で、この路線で続ければ Bon Jovi とまでは行かなくても Cinderella か Steelheart 辺りの後継の座を占めることができたかも知れぬ。って、誰もそんなのは望んでねーのか。かくいう小生も blues 度が薄まってる分だけ普通の hard rock だよなーという印象ばかり残ってしまうのでありますが、Mr. Big 即ち爽やか系 rock という図式には見事に回帰したということで、彼ららしい album ではあると思うのです。
昨年 original member で再結成したとのことですが、新しい album とか作らんのかねぇ。
めりけんの techno な人、Jeff Mills の 2009 年作。XECD-1122。
"Contact Special"、"One Man Spaceship" と続いた Jeff Mills の宇宙もの album 三作目にして最終作、らしい。いや貴方の album はどれも宇宙ものちゃうの、という突っ込みは無しでお願いします。
tr.1 "Eve / Crab Nebula" のぽよよーんとした drone を聴いて、あーやっぱ Jeff Mills だよなー金太郎飴だよなーと条件反射的に感動するというお約束な導入でありましたが、album 全体として聴いてみれば、暗くて怖くて気味悪いといういつもの Jeff Mills 流 minimalism は健在なものの、若干 percussive な方向に揺り戻っている印象もあり。とはいえ、"Waveform" series のような剛腕 minimal でもなく、Millsart の頃の romanticism とも異なる、今まで推し進めてきた脳内 massage 的な観念 minimal の延長線上での beat 強調となっており、孤独な宇宙生活で心音を延々と聞いてきた影響がそういうところに現れておるのではないかと推測。まぁ、例によって余人を寄せ付けぬ絶対的な孤独感、安易に人情にすり寄らない stoic な音像は Jeff Mills ならではなので、どう聞いても一般向けではありませんが。
tr.9 "From Beyond The Star" で strings がふわーっと入ってくるところが個人的にはツボでありました。
B'z の guitarist、松本孝弘が中心となって結成された洋楽 hard rock cover band の album。1996 年発表。BMCR-7007。
これは結構王道な cover album でして、通受け狙うような意外な選曲は殆どなくて、有名曲がずらずら並んでおるので hard rock 初心者はとりあえず聞いて損なしな album となっております。楽曲は 70 年代中心ですので若干古めですが、rock ぽい rock つーと heavy な blues が幅を利かせていたこの時代が一番かのぅと。Montrose の tr.1 "I Got The Fire" からして熱血男汁全開であります。Whitesnake の tr.2 "Fool For Your Loving" は、本家が "Slip Of The Tongue" で cover してたときには鈍くさい曲が一曲混じっとるという程度の印象しかありませんでしたが、この album ではすんなり馴染んでおります。tr.3 "Cause We've Ended As Lovers" は guitar 弾きなら一度は通る Jeff Beck の名曲。tr.4 "Into The Arena" も MSG の inst では外せない曲、tr.8 "Sunset" も Gary Moore の隠れた inst の名曲……ってことで、まぁこの辺は Tak の趣味全開といったところでしょうか。この人の guitar はあまり泥っぽくはないのですが、音の主張がはっきりしているので、結果的に heavy な耳障りになるのですよ。相変わらず上手い guitarist であります。vocal 曲でも、Janis Joplin の tr.6 "Move Over"、Free の tr.9 "Wishing Well"、Led Zeppelin の tr.10 "Communication Breakdown" と、hard rock 屋にはお馴染みの曲が揃っております。vocal は主に Twinzer の生沢佑一が担当、数曲で Vow Wow の人見元基が受け持っております。正直本家より上手いと思いますが上手いだけでは喰っていけないのが世の中の世知辛いところです。
数曲で故・樋口宗孝が drums を叩いております。こういう腑にズンドコ沁みる drums も最近ではあまり耳にしなくなって寂しい限りであります。
めりけんの techno で house な人、Warren Harris の Hanna 名義作。2004 年発表。DEDECD001。
昔 Sublime からも album 出してたよねこの人。ということで名前は以前から知ってましたがちゃんと album 聴いたのは今回が初めて。detroit techno にも通じるふわんふわんした synth にエロ声 voice が乗っかる deep house 作となっております。四つ打ちに 70's fusion な味付けすると総じて deep house と呼ばれたりする音像になりますが、個人的には deep つーより軽薄、な印象だったり。Ananda Project や Larry Heard も然り。jazzy は jazz より軽薄、というのに近いか。ちなみに軽薄だから駄目だというつもりはなくて、その軽さ故に部屋で流しても気持ち良く聴けるという利点もあり。この album も、押しの弱さが逆に album の良さに繋がっております。何だか ambient ものの逆説 review みたいになってしまった。
まぁそういう音ですので、突き抜けた個性は感じないものの、ほえほえと心地よく聴ける一枚ではあります。甘口 house が好きな方向け。