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石井妥師が劇伴担当した TV anime 「Darker Then Black -双星の双子-」の Original Soundtrack。2009 年発表。
石井妥師といえば TV 版 Hellsing の劇伴担当した人であります。anime 劇伴とは思えぬ歌モノと rock へのこだわりがかなり印象的でしたなぁ。さて、DTB 一期で菅野よう子が jazzy で大人な世界を見せつけたのを受けて、二期の音はどうなることやら……と思いつつ観ていたものの、effect かけまくった歌モノを中心に UK rock 暗黒部へ突進する石井妥師な世界は健在なのでありました。まぁ実際には歌モノだけではなくて inst もあれば rock 調のみならず techno や trance 寄りの曲も取り入れて、歪ながらもやっぱり大人な soundtrack に仕上げております。一期よりも尺が短く road movie 調な二期でしたので、歌モノ中心でもそんなに違和感なく観られましたなぁ。黒も二期では随分とやさぐれてしまってましたので、こういう荒涼感溢れる不良歌が似合うようになってましたし。blues 調の tr.17 "如幻ミッドナイトタウン" が渋くて良いですなぁ。
幻冬舎新書版で去年読了。『カラヤンとフルトヴェングラー』 の続編。
Furtwaengler 亡きあと、Berliner Philharmoniker の主席指揮者の座を得た Karajan は、従来の record 業界だけでなく、opera house や音楽祭との繋がりも強めて、帝王の座を堅固なものとしていく。その一方で rival 指揮者の台頭や、Karajan のやり方に反発する業界や orchestra も現れていき、Karajan の帝国は次第に疲弊していく……。
前書での Furtwaengler のような顔の目立つ対向者がいないだけに、読み物としては若干地味に見えるのは致し方なし。とはいえ、権力に固執する男の一代記としては充分楽しめる一冊でありました。綺麗な音を出すからといって心の中まで綺麗とは限りませんな。
Andy Wachowski & Lana Wachowski 監督作品、2008 年。
racing car designer の父と天才 driver の兄を持つ Speed Racer (Emile Hirsch) は、兄が事故で無くなってから数年後、地元の race で華々しく debut した。その才能に目を着けた大企業の社長 Royalton (Roger Allam) は、高額な契約金で Speed を雇おうとするが、Speed は家族の絆を守るため契約書への sign を断る。すると Royalton は Speed の走る race を様々な手で邪魔し、Racer 一家はすっかり悪者にされてしまう。途方に暮れる Speed 達だったが、謎の覆面男 Racer X (Matthew Fox) が彼らの前に現れ、Royalton の不正と戦うため手を貸すよう申し出られる……。
お話は勧善懲悪で家族の絆は良いよねという感じ。しかし CG 全開の race 描写は凄かった。普段通り 1.5 倍速で観てたら何が起こってるのか解らなくなるほど。psychedelic な色彩も相まって悪酔いしますな。従来の race ものとは一線を画する映画であることは間違いないでしょうが、F Zero や Burnout の speed 感を知る者には、映画も結構頑張ってるねという位の印象しか残らなかったりもする。
Paul W.S. Anderson 監督作品、2008 年。
2012 年、不況により刑務所が民営になり、刑務所での死の game が放送されて公衆の娯楽となる世界。妻殺しの濡れ衣を着せられ刑務所に送られた Jensen Ames (Jason Statham) は、刑務所の所長 Warden Hennessey (Joan Allen) から、生きて娘と再会したければ Death Race に出場しろと命令される。Death Race は特別に武装された車による刑務所内での race だった。やむなく出場を承諾した Jensen は、整備士の Coach (Ian McShane) らと共に車を整えて race に望むが、視聴率向上のために Warden は様々な罠を race に仕掛けていた……。
Paul W.S. Anderson 監督といえば B 級映画、ではありますが、この映画は B 級ながらも Mad Max 的な荒廃した世界観を抑えた色彩で描いていて、なかなか面白く仕上がっておりました。race ものと見せかけつつ race には殆ど興味なしで、とかく車が走りながらドンパチするという映画になっております。登場人物も信用できない連中ばかりなので温い話にはなりようがないし。
車ものに何だか馴染んでしまった感のある Jason Statham はさておき、Joan Allen の悪女っぷりが冴えている映画でもありました。
Frank Zappa & the Mothers of Invention の 1970 年作。
"Weasels Ripped My Flesh" 同様に、Mothers 解散後の落穂拾い的な位置付けの album であります。tr.1 "WPLI" と tr.9 "Valarie" は耳当たりの良い doo-wop な number、それに挟まれる形で Mothers の jazz rock というか室内楽というか現代音楽というか、まぁ Mothers らしい奇天烈脱力な instrumental track が並んでおります。鼬の album よりは jazz 色強めな印象ですが、tr.6 "Holiday in Berlin, Full-Blown" や tr.7 "Aybe Sea" のようにほのぼの和める曲もあったりで、脱力 Canterbury rock な香りも感じられます。rock なんて真面目にやるもんじゃねーよと舌出しつつ飄々と我が道突き進んだ Zappa らしい album ではないですかね。
tr.8 "The Little House I Used to Live In" は 19 分近くに及ぶ楽曲ですが、piano solo あり変拍子 ensemble あり blues ありのごった煮な曲で、使えそうな part を適当に組み合わせただけっぽいのが笑えますが、しかし乱れそうで乱れない Mothers の演奏は流石に上手い。何だかんだでやっぱ格好ええ band であります。