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めりけんの guitar rock band、The Goo Goo Dolls の 1998 年作。WPCR-2160。
これまたとある理由でこの前作にあたる "A Boy Named Goo" を聴く機会が多いのですが、この人たちの曲はどれもそれなりに聴けてしまうので、むしろ困ってしまうという類のものなのですよ。飛び抜けた名曲がなく、飛び抜けた駄作もなく、曲によって起伏はあれど泣き笑い系のトホホ punk 魂に貫かれているためにどの曲も似たり寄ったりに感じられると。めりけんで最も有名な無名 band と呼ばれていた時期もあったようですが、めりけんの teens に受けそうな pop な切り口が、隣の兄貴はええ曲書くなぁという level で終わってしまうところに彼らの悲しさがあるのです。
とはいえ "A Boy Named Goo" 以降は爆音とアコギの二刀流で泣き笑い新境地を開拓し、すっかり有名になってしまったわけで、長い下積みもようやく報われるようになったとです。いや良かったね兄貴。
それを受けての "Dizzy Up The Girl" でありますが、前作ではまだ一本調子な青臭さがあったものの、今作ではすっかり Goo な個性を確立し、泣き笑い guitar rock 界の重鎮らしい風格を醸しております。tr.11 "Iris" のような有名曲もありますが、しかしそこだけ浮いた印象はなく、やはり全体的に質が高くて解りやすい guitar rock な album に仕上がっております。この地力の強さが長生きの秘訣か。大物になっても貧乏臭が抜けないところがまた気安くて彼等らしい。愛すべき一枚であります。
Franco Zeffirelli 監督作品、1968 年。
Verona では Montague と Capulet という二つの名家がいがみ合っていた。ある日 Montague の跡取り息子 Romeo (Leonard Whiting) は Capulet の舞踏会に潜り込み、美しい少女 Juliet (Olivia Hussey) と出会う。二人は即座に激しい恋に落ちるが、Juliet は Capulet の一人娘だった。先行きの不安をよそに二人は密かに結婚するが、後に Romeo は Juliet の従兄 Tybalt (Michael York) を決闘で討ち果たし、その罪が元で Verona を追放される……。
台詞回しのくどさが Shakespeare 劇らしさを醸し出しておりますが、映画なのでわざとらしさがありますなぁ。まぁ、Olivia Hussey も Leonard Whiting も尋常でない美形ですので、これくらい造形感が出ている方がいいのかも知れません。衣装も凝っていて丁寧な作りになっております。Nino Rota の曲も素晴らしい。
学校でも安心して観られる良作でありましょう。あ、でも胸ぽろりんが若干ありますのでそこは要注意か。お気をつけくださいませ。
The USSR Symphony Orchestra 演奏、Evgeni Svetlanov 指揮による、Rimsky-Korsakov の交響曲 1 番と 2 番の演奏であります。Rozhdestvensky 指揮の交響曲 3 番との組み合わせによる 2CD もの。CDVE 04263。
思えば小生が Svetlanov 指揮のオケ物を聴き始めたのはこの CD からでした。1 番の導入から主題に入る際のぞわぞわ感、ここ一番での爆発力、しめやかな時の弦の艶やかさ等、オケってこんなにいいものなのねと認識を新たにさせられたものであります。
melody はどっかで聴いたことのあるような russian 民謡 motif が中心なので、あまり新鮮味はないのですが、こんだけ骨太に鳴らされれば名曲に聞こえますな。Rimsky-Korsakov というと Sheherazade ばかり取り上げられそうですが、交響曲もなかなか乙であります。
幻冬舎新書版で先日読了。第二次大戦前後の Berliner Philharmoniker 常任指揮者の座を巡る、Furtwaengler と Karajan、それに第三の男 Celibidache の闘争を描いた documentary であります。半ば小説仕立てなので読んでいて単純に面白い。
権力にもの言わせて Karajan の台頭を阻止すべく動く Furtwaengler、活動の場を record に求めて新たな勢力地図を描こうとする Karajan、戦争のどさくさに紛れて Furtwaengler の後釜に座らんとする Celibidache、三者三様の生き様は指揮者三国志か。Nazi の文化保護がかなり強力だったのも意外な発見。楽しめた一冊でありました。
Jun Yamabe との split album が近々出るらしい Enitokwa の 1999 年発表 album。
ひたすら trip 尽しの亜熱帯 chill out な album であります。Woodman や Why Sheep? もそうですが、どうにも日本人離れした音でありながら、他に類がないという点ではあまりに日本的な音でもあるというこの不思議。Jeff Mills が minimal 袋小路にはまり込んでいるうちに、極東の地下実験場では脳内揉み解し術がすごい勢いで進んでいたのであります。聴いていると自分が溶けてふやけてうにゃうにゃになるような音響世界。とろけたい人向けの一作であります。