Noisy Days in August, 2004

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2004.08.21 (Sat)

diary

 ちょっと趣向を変えて普段とは別のゲセンに行ってみる。歩いて 15 分なら近い方だろ多分。
 で、GW2 など。全然やってないから解らん……。Espgaluda も置いてたので久々に遊んでみたところ、5-2 のジャコウポッドで撃沈。まぁ、こんなもんか。
 VF4FT は勝率 1.5 割くらいには持ち直しましたが、どうにも伸びそうにないな……。

[movie] Starship Troopers

 Paul Verhoeven 監督作品、1997 年。
 人類は bug と呼ばれる巨大虫型生命体と交戦状態にあり、軍隊は優秀な兵士を常に求めていた。そして兵士となった場合は市民としての権利を与えられる。学生の Johnny Rico (Casper Van Dien) は恋人の Carmen (Denise Richards) や親友の Carl (Neil Patrick Harris) と一緒に軍隊に入るが、学校の成績が悪かった Rico は歩兵部隊に配属される。厳しい訓練を耐え分隊長となった Rico だが、恋人に去られ、また訓練中の過失で懲罰を受け、失意を抱えて除隊しようとしていたその時、彼の故郷は bug による隕石落下で消し飛んでしまった。bug に復讐するべく再び Rico は軍に戻り、遂に bug の拠点へと攻め入るが……。

 民放でやっていたのを録画して鑑賞。そうそうこれ観たことなかったんだよなぁやっと観られるよ……って、あれれ、何か豪快に編集されまくってるような気がしないでもないがそれって民放的に問題ありな描写があったりなかったりするわけですかそうですか。
 まーしかし虫ですよ虫。巨大蟻だの巨大蠅だの巨大甲虫だの巨大芋虫だのがうじゃうじゃわらわら。兵隊も果敢に戦いますが逆に次々とやられます。それこそ虫ケラの如く潰されてます。わお。人類と bug の戦いに共存共栄なんて概念は入り込む余地がない。どちらか一方が死に絶えるまで戦い続けるのじゃ! ……とまぁ、殺伐とした戦いが延々と続くわけです。
 で、戦争 & 青春映画らしくも新兵が苦難を乗り越えて勝利を掴むという爽やかな映画になっているはずが見終わっても全然爽やかにならないところが如何にも Verhoeven 監督作品。敵に同情の余地無し、かつ話し合いの余地無し、右の頬を叩かれたら左の頬を 100 倍返しでぶん殴れ、と、全編この調子。bug という、見た目も醜悪な敵を相手取ることで camouflage されてはいますが、この映画の作りは大昔の戦争映画や西部劇と同様ですねぇ。敵に顔など不要なのですよ多分。で、それを SF という衣装で覆い隠す / デフォルメすることで、今の時代で露骨に表現することの出来ない軍国礼賛な映画を仕立てた、と。そして、過剰に演出される news 番組や CM。この news や CM の内容も、「bug による被害は甚大」「bug は敵」「軍隊に入って戦おう」と、軍国一辺倒で思考停止な agitation に満ちている。これもまた Verhoeven 流の media 批判なのかも知れないなぁ。
 まぁとにかく凄かった。笑うも怒るも感動するも観る人次第、という現代の踏み絵的映画と言えるでしょう。

 余談。
 作中で「bug どもは人間を研究している、奴らは人間の copy を作って云々」て台詞があったように思うんですが、あれって脳みそチューの布石なだけなんだろうか……。bug 以上に bug 的な人間が右翼化を促進させ、他の惑星を次々侵略していく、これ即ち bug = 人間の構図にして、bug の目的は別の形で達成されつつある……てな話だとより一層グロですなぁ。ということで Tobe Hooper の "スペースインベーダー" に続く。嘘。

log modified: 2004/08/23 03:01:08 JST

2004.08.22 (Sun)

diary

 散髪に行こうと思っていたのに結局ゲセンで遊んで時間切れ。何やってんだか……。

[movie] Spy Game

 去年のお蔵入り review を発掘したので乗っけときます。第一弾。

 Tony Scott 監督作品、2001 年。
 CIA で長年諜報活動に従事していた Nathan D. Muir (Robert Redford)。引退まであと一日となった Muir を待ち受けていたのは、かつての部下 Tom Bishop (Brad Pitt) が中国で単独行動した挙句、中国当局にとっ捕まってしまったという知らせだった。CIA 上層部は、中国と USA の外交関係に罅が入ることを恐れて、Biship を見殺しにしようとする。Muir は、Bishop が単独行動して救おうとしたのが、Bishop と昔恋人同士だった Elizabeth (Catherine McCormack) だと知る。かつて Muir は、その道ならぬ恋を諜報活動の厳しさゆえに阻んだことがあり、それで Bishop に見限られたという負い目があった。Muir は、自分の資金や CIA の情報網を逆に利用して、Bishop を救おうと奔走する……。

 Tony Scott らしい speedy な展開と stylish な映像で、何度も挿入される回想 scene もあまり気になりません。けど、薄味です。Muir が私財を投じてまで Bishop を救おうとする根拠が弱すぎるんだよな。それに、捕らえられてからの Bishop は成すすべもなく処刑の時間を待ってるだけだし。まぁ、その分だけ回想の場面で動いてるんですが、終盤まで盛り上がらないままという印象は拭えませんでした。
 サングラス掛けた Robert Redford は格好ええなぁ。それに引き換え、Brad Pitt は目立たないこと甚だしい。脚本はもう少し何とかした方がよかったと思われまする。

log modified: 2004/08/23 02:59:34 JST

2004.08.23 (Mon)

Tangerine Dream / Exit

 帰省したときに昔通った CD 屋も覗いてみたんですが、そこで Tangerine Dream の初期作品が紙ジャケ仕様で売られていたのに吃驚仰天、値段も法外で二度吃驚したのでありました。俺は紙ジャケ嫌いなんじゃあ! と CD 世代の小生は思うのですけどねぇ。size が微妙で収納しにくいし。でもまぁ、今時 Tangerine Dream で売ろうって心意気には少し胸打たれるものがあったり。油断してると買ってしまいそうで怖い。
 閑話休題。"Exit" は Tangerine Dream の 1981 年作。Tangerine Dream と言うと "Phaedra" や "Rubycon" といった初期 Virgin ものが素晴らしいわけですが、その後は rock 色を強くしながら実は new age に堕ちていく一方だったりします。この album も、大体において大袈裟な synth 使って大袈裟なメロを展開していて、聴いてると早く寝なきゃと思うこと必至なのです。いやーん、もうやめようよこういう音はさ。
 とはいえ、Tangerine Dream と言えば german rock な人達の中でも強烈に minimal loop を押し進めた存在、この album でも tr.3 "Choronzon" 辺りで彼ららしい minimal かつ大仰な世界を展開してます。いやこういうのは面白いんだけどなぁ、大作主義だからなぁ、あんまり大仰だとかえって笑いを誘うんだよなぁ。
 そんなこんなであまり人に勧められる album ではありませんが、new age 好きな人には受けるかも知れません。

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 休み明けで仕事。早速予定外の仕事が降りかかる。ふにゃ。

[movie] The Dead Zone

 去年のお蔵入り review 発掘、第二弾。

 David Cronenberg 監督作品、1983 年。
 結婚を間近に控えた高校教師の Johnny Smith (Christopher Walken) は、婚約者の Sarah (Brooke Adams) との date を終えてからの帰宅途中で交通事故に遭う。Johnny の意識が戻ったとき、既に外界では 5 年の歳月が流れていた。だが Johnny には、他人と接触することでその人の未来を予知したり、その人に関わりのある事柄を知覚するという能力が備わっていた。マスコミにうるさく付き纏われるようになった Johnny は、半隠居生活を送ることになる。しかし、上院議員候補の Greg Stillson (Martin Sheen) が後々に全面核戦争の引き金を引くことを予知してしまった Johnny は、未来を変えるための戦いを始める……。

 Cronenberg にしては真っ当な映画のうちじゃないですかね。血みどろ描写も連続殺人魔の自害場面だけという感じだし。原作が Stephen King の心理小説なので、Cronenberg としても遠慮しながら作ったのかも。まぁその分、強烈に印象に残る場面はあまりないんですが。
 Christopher Walken、映画冒頭の普通の高校教師ではのぺーっとした只の人という感じですが、死線を潜って特殊能力を身に着けてからは妙に枯れてしまっていい感じになります。この人の変貌振りが微妙に面白かったなぁ。
 さてこの映画、Johnny は結局ただの terrorist として歴史に名を残すことになるわけですが、彼は実は世界を救った張本人で、その事実は当人以外には知られないまま闇に葬られます。これを英雄的行為と考えて涙に暮れるか、それとも JFK を始めとする権力者の暗殺夜話と解釈するかによって、この映画の意図も評価も 180 度変わってしまうんですな。その意味では非常にモノが言い難い映画です。映画は Johnny に同情的な視点で描かれてるし。まぁ、Johnny は自分の良心に従って行動したのだからあの結末は happy end、と素直に解釈するのが良いんでしょう。
 未来を予見する能力があってもロクな目にあわない、という映画ではありますが、Johnny ほどではないにせよ我々もまた未来を予見する能力は持ち合わせているわけです。9.11 以後、「あの事件を私は予言していた」とか「9.11 の vision は既にあの映画で提示されていた」といった言説を幾度目にしたことか。まぁ、予見と言わなくても推論だけで未来をある程度予測する、てことは可能でしょう。問題は、仮に 9.11 を予見したとして、それを止める為に行動できるかってことです。或いは、未来を予見することによって「自分の未来まで変えてしまえるか」ということ。と考えてみると、この映画の climax は Johnny が医者に「もし第二次大戦前のヒトラーに会ったら彼を殺せるか?」と尋ねる場面なんじゃないかと思えてきた。いや、怖いね。

log modified: 2004/08/24 02:31:04 JST

2004.08.24 (Tue)

Konami / Speed King & Taisen Puzzle-Dama Original Game Soundtrack

 game music 界の Tangerine Dream 好きと言えば松前公高氏の名前が真っ先に浮かんできますが、"Speed King" の composer、泉陸奥彦氏もかなーり好きそうです。liner notes にもわざわざ Tangerine Dream 風に……とか書いてますしねぇ。というわけで 1996 年発表の "Speed King" と "対戦ぱずるだま" の coupling album をば。
 tr.3 "Flying Red Car" の minimal な synth riff、tr.4 "Mr. Machine" や tr.5 "Speed Star" の metal な guitar も面白いですが、一曲推すとしたら tr. 6 "Highway" ですかね。minimal な synth phrase と guitar の速弾きとが相互に絡み合い、危うい緊張感を孕みながら dynamic に展開していく speed tune。この思い切りの良さ、本家 Tangerine Dream も見習ってほしいものです。って、もう無理か。
 techno 4 に metal 6 くらいの合わせ技で、なかなか美味しい曲揃いの掘り出し物なのでありました。泉氏はこの後、"Guitar Freaks" で一躍時の人に。
 その興奮も冷めやらぬうちに "対戦ぱずるだま" を聴くと笑うに笑えない……。

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 湯煙ミステリーツアーみたいな夢に身悶えしながら目覚める。おいおい何だよいいとこだったのに旅籠の女将さんは何見て驚いてたんだよ続き見せろよ駄目なら金返せコラと毒づきながら今日も仕事仕事。

 側音って何だ? 側面の音か? side speaker? surround のこと? 全然違うって?
 つまりはこういう事らしい。なる。

[movie] Bringing Out the Dead

 去年のお蔵入り review 発掘、最後のネタです。

 Martin Scorsese 監督作品、1999 年。邦題「救命士」。
 現場に駆けつけても誰も救えなくない、という不幸な救命士 Frank (Nicolas Cage)。彼はかつて、Rose (Cynthia Roman) という少女をむざむざ死なせてしまったことから、勤務中に彼女の霊を見るほどに憔悴していた。ある日、Frank は心拍停止した老人を助け、病院に送り込む。その老人の娘 Mary (Patricia Arquette) の健気な様子に Frank は心打たれ、彼女の力になろうとあれこれ面倒を見る。その一方で救命士としての仕事も山積みで、Frank は安心して眠ることもできない。Frank は Mary に慰めを見出そうとするが……。

 うーん、何だろうなこのテキトー感は。都会の音を聞き、それを film に封じ込めるってのが Scorsese の姿勢なんだとは思うんですが、お話は細かい episode の積み重ねで、個々の episode も密接に結びついてるわけではないので、見終わっても終わったって感じがしないんですわ。詳しくは知らないが米国の TV drama みたいなもんか。複数の筋が入っていてそれぞれどんどん進んでいく、って感じの。疲れ顔の悩める救命士を演じた Frank 役の Nicolas Cage は、そこそこのはまり役ではありました。元が疲れてますな顔だしな。で、Frank と combi を組む同僚たちが変人揃いで笑える。神父さん最高です。世界は gospel で満ちてます。
 結論。まぁ悪くはないですが "Taxi Driver" の監督さんの映画としては凡庸、ということで。

log modified: 2004/08/25 02:43:09 JST

2004.08.25 (Wed)

Yes / Tales From Topographic Oceans

 1973 年発表、Yes 大作主義時代の作品です。邦題は「海洋地形学の物語」。
 まーとにかく曲が長い。曲が長い割には構成も荒い。幾つかの phrase を行き当たりばったりに remix して冗長な曲に仕上げたような感触で、"Close To The Edge" のような隙のない album に比べるとどうにもテキトー感が漂っているように聞こえてしまうなぁ。progressive rock の progress が行き着いた先には飽和が待っていた、みたいな。
 とはいえ、disc 2 tr.1 "Ritual" は今聴いても新鮮。特に途中でいきなり mood が変わってスチャラカスチャラカと drum が鳴り出す箇所は印象的。percussive に展開するところが Yes らしくない、ってところが印象に残る所以だったりもしますが、そこから従来の Yes な音に回帰していく様も非常に美しい。

梅原 克文 『二重螺旋の悪魔 (上)』
『今よ!』と理奈の声。『今なら仕留められるわ!』
『そうだ!』本多二佐の声。
『行け!』永海まで興奮している。
『やっつけろ!』御藤も、ついに黙っていられなくなったらしい。(page 456)

 角川ホラー文庫版で読了。
 21 世紀初頭、遺伝子操作監視委員会の調査員である深尾直樹は、新興バイオ企業のライフテック社を調査中に、遺伝子操作によって生み出された化け物と戦う羽目になる。そこでかつての恋人、梶知美を救出した深尾だったが、それは知美であって知美でない何者かだった。その戦いを何とか凌いだ深尾だったが、後に負傷し戦線離脱を余儀なくされる。だが、研究用の化け物が逃走したことを契機に、深尾は危険な人体改造に志願して化け物と再戦しようとする……。

 Cthulhu 神話な世界では人間はひたすら恐れ戦き平伏して許しを請うのが定石なんですが、深尾君は超越進化で超人化して化け物と戦うわけです。つか、銃弾喰らっても瞬く間に再生し、数 ms で状況判断し狙撃するなんて、あんたは生体 zombie 化したサイヤ人か。
 こうなると後は風呂敷広げて big ban で締め括るという少年ジャンプ的展開にするしかないんではなかろうか。まぁ、下巻も楽しみに読むことにしましょう。

diary

 地道に 100 敗目前。勝率 1 割。最近、浮いてる時間の方が長いような気がする……。

log modified: 2004/08/26 02:44:41 JST

2004.08.26 (Thu)

Steve Reich / Reich Remixed

 Coldcut や Howie B や Ken Ishii ら、club music 界の大御所が Steve Reich の楽曲を各々 remix した album。1999 年発表。
 Reich 直々に監修しただけあって、どれもこれも解りやすく丁寧な作りでつまらんのじゃあ! と一人で憤ってみたものの、やはりこの端正な美しさには抗えぬ。小生にとっては Reich への入り口になった album だし、あまり悪口は言いたくないのじゃよ。
 Steve Reich は minimal music の大家として知られてますが、その音の特徴として minimal な phrase を延々と繰り返す、と言うだけでは充分ではない。minimal な phrase が延々と繰り返されるうちに、次第にズレが生じたり、別の phrase の混入で突発的な和音が弾かれたりする、そうして元の風景が次第に移ろい変わっていく過程に、Reich の視点は注がれている。Reich の minimal music は、その言葉とは裏腹に、とても dynamic で dramatic な世界を孕んでいる。
 となると、規則的な反復が力となり時間を牽引する techno と Reich の音楽とは、一見似ているようだが実は vector の向きが異なっていると言うことができる。監修者もこの志向性の違いには自覚的だったのか、remixer の中に Jeff Mills や Robert Hood のような真性 minimalist を含めず、少し癖のある音を作る artist を選んでいる……ように思える。まぁ、単に name value の問題なのかも知れないが(爆)。
 そういうわけで原曲に忠実かつ beat とハッタリを効かせた track が並ぶことに相成った、と。ただ、その approach だと remixer の顔が見えにくくなってしまうのはやむを得ない。Coldcut による tr.1 "Music for 18 Musicians"、Howie B による tr.2 "Eight Lines" 辺りは Reich の厳しい視線が常に背後に注がれているような track で、原曲の良さも相まって remix してる意味が無いような出来映え。翻って竹村延和による tr.6 "Proverb" や、DJ Spooky による tr.8 "City Life" は良い意味で各人の味が出ている remix です。如何にもこの二人が選びそうな曲ではありますが、それを差し引いても個性的な音に仕上がってます。とはいえ、自由な音の中に不自由な閉塞感も内包している Ken Ishii の tr.9 "Come Out" remix が、album 通しての印象を代弁しているように思いますなぁ。
 欲を言えば "Tehillim" の remix も入れて欲しかった……。

diary

 仕事場に病原菌が入り込んだらしく現場は大混乱に。あ、小生も保菌者だったか。ごめん。切腹するわ。ぷち。痛い。この辺で勘弁して。

 仕事後に上司な人たちと飲み。
 ええと、カラオケにプリキュアの曲が入ってなかったからといって小生に八つ当たりしないでください。それから、週末に御殿場行った後で台風に襲われても月曜にはちゃんと仕事場に来ましょう。間違っても強風吹き荒ぶ中で頭文字 D ごっこなどなさらぬように。

 明日の mission の為に洗濯しとかなきゃ。

log modified: 2004/08/27 02:35:54 JST

2004.08.27 (Fri)

diary

 今日も仕事。どうにも先行き不安ですよ。
 例の mission は見かけ倒しでした。とりあえず何事もなくて何より。

[movie] 海のトリトン オリジナル劇場版

 西崎義展総指揮の作品、1979年。
 とある島で漁師の爺さんに育てられた少年トリトンは、ある日、喋る白イルカのルカーに出会う。ルカーは、かつてアトランティス人トリトン族がポセイドン族に滅ぼされた際に、赤子のトリトンを連れて落ち延びたのだとトリトンに告げる。その話を信じられないトリトンだったが、家の物置からトリトン族の衣装とオリハルコンの剣を見つけ、また島がポセイドン族の追っ手に襲われたことから、ポセイドン族と戦うためルカーと共に旅に出るのだった……。

 実質的には富野由悠季の監督作品だそうな。まぁ、終盤の展開は確かに富野節ですな。
 子供向けとはいえ暴力描写は多いし登場人物(*1)はぽんぽん死ぬし。それで最後は勧善懲悪を目的として震われた暴力の正当性を問いかける。Gundam な世界では詳細な世界観により善悪の価値観を持ち込みにくくしてあったのだけれど、トリトンは character の描き方からして善悪はっきりしてるし。その分、最後の衝撃も大きいのでしょう。
 しかし今の眼で見て一番厳しいと思うのは、ポセイドン族の司令官や参謀が、目的を達せられないとなると次々に粛清されるところかのぅ。第二次大戦や全共闘の影響もあるのか。悪の組織も昔は severe だったんだなぁ。

*1: 人物というより動物だが……。
log modified: 2004/08/30 02:45:42 JST

2004.08.28 (Sat)

get
  • Chick Corea & Return to Forever / Light as a Feather
  • Charles Mingus / Charles Mingus presents Charles Mingus
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 『蛍』を見かけたが買わずに帰る。読む時間がないからねぇ。

[movie] The Piano

 Jane Campion 監督作品、1993 年。邦題「ピアノ・レッスン」。
 19 世紀半ばが舞台。6 歳で自ら話すことを止めた Ada (Holly Hunter) は、言葉の代わりに piano の演奏に習熟していた。Ada の父親は彼女の再婚話をまとめたため、Ada は幼い娘の Flora (Anna Paquin) と使い慣れた piano と共に、遥々 New Zealand へと渡る。そこで出会った夫の Alisdair Stewart (Sam Neill) は、海辺に上げられた piano を自宅に持って行くには人手が足りないと言い、piano を置いたまま Ada と Flora を連れ帰る。大事な piano に触れられない苛立ちから Ada は Stewart に心を開こうとせず、夫婦生活はぎこちないまま平行線を辿る。Ada は Stewart の仕事仲間で原住民の通訳も兼ねる George Baines (Harvey Keitel) に、自分を piano のところに連れていってくれるよう懇願する。渋々それを承諾した Baines だったが、海辺で一心不乱に piano を弾く Ada、それを見るとはなしに見る Baines。Baines は Stewart に、自分の持っている土地と piano とを交換しようと申し出て、piano を自宅に持ち帰る。そして Ada に piano を教えてくれるよう頼むのだが、彼は Ada 本人に下心を持っていた……。

 と、こんな感じで melodrama が続いていくわけですが、なかなか馬鹿にはできない映画でした。依存と communication を theme にした文芸作品なのですよ。
 Ada は言葉の代わりに piano を選び、その奏でる音色に自らの思念を代弁させる。Bains は Ada の piano 依存を逆手に取り、自らの性欲を満足させるために Ada と取り引きする。piano を弾くために Ada が来るたびに piano の鍵盤が 1 つずつ Ada のものになる、全ての鍵盤を取り戻せば piano は Ada のものになる、と。しかし Baines は piano を弾く Ada の艶めかしさに抗しきれず、Ada への要求を escalate させていく。始めは嫌々ながらも piano を取り戻すために Baines の要求を呑んでいた Ada。しかし Ada と Baines が一線を越えた後、罪の意識に苛まれた Baines は無償で piano を Ada に返す。しかしそれでも Ada は単身 Baines の家にやってくる……。piano への執着より、Baines と共に居ることに Ada は生き甲斐を見いだす。
 その Ada の娘 Flora は、始めのうちは母親にべったり。Stewart を「絶対パパと呼んでやらない」とまで言っていたこの少女は、Ada が Baines の家に入り浸って、家の中にも入れてくれないことに苛立ち始める。母と娘の不和は次第に大きくなり、それは母の敵と見えていた Stewart と Flora を近付ける結果となる。
 Stewart は暮らしに不自由していないが、Ada と上手い関係が作れないことに焦燥している。Ada の piano への執着心を全く理解しないところに、彼の鈍感さが透けて見えるのだけれど、その鈍感な彼も Flora の不審な様子に導かれるようにして Ada と Baines の姦通を覗き見てしまい、事の次第を知る。力ずくでも Ada を引き留めておきたい Stewart は、Ada を監禁状態に置く。Baines を殺しかねない Stewart の荒れ様に怖れを成した Ada は、Stewart に優しく当たろうとするが、Stewart は Ada の瞳の奥に Baines が居ることを察している。やがて Stewart は Ada を「信頼する」と言い放ち、彼女の監禁を解いて仕事に出かけるが、その措置が更なる悲劇を招き寄せる。Ada の Flora への信頼、Flora の Stewart への信頼、Stewart の Ada への信頼、そこに Ada と piano の関係性も絡み合い、歯車は一心に回り続ける。
 海を渡って Ada と共に運ばれてきた piano は、従来のように Ada の声としての役割だけを負うわけではなかった。Ada と Baines の間に育まれる愛を見続けたその piano は、Ada の心情が piano から Baines に移っていくにつれ、Ada に触られる機会が少なくなっていく。piano が Stewart の自宅に戻ってきても、始めに弾いたのは Flora の方。やがて Ada はその piano の鍵盤を一本抜き取り、そこに恋文を認めて Baines に贈ろうとする。その裏切りにも似た行為に対して、piano は運命の導きを利用して Ada の身体の一部を自らの身体と同様に奪い取るのである。piano はその後、葬られるその時にも Ada を道連れにしようとするのだから、全くもって業が深い。

 pianist を主役にした映画というと "海の上のピアニスト" や "Shine" 等の佳作が連想されますが、楽器そのものが story と関わっているという点では "The Red Violin" と似た味わいも感じられる映画です。自ら情緒溢れる演奏を披露した Holly Hunter の力演や、しれっとした顔で変人の pureness を表現した Harvey Keitel も見事。音楽担当の Michael Nyman は現代音楽にも精通した作曲家ですが、この作品では情感豊かな曲を揃えていて、作品世界とも上手く合ってました。

log modified: 2004/08/31 01:01:05 JST

2004.08.29 (Sun)

diary

 ようやく散髪。うわ、短かすぎ。

[movie] クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦

 原恵一監督作品、1998 年。
 野原しんのすけを始めとする幼稚園児一行が屋形船で豪遊しているところに、突然赤毛の女スパイ、code name オイロケが逃げ込んでくる。オイロケは世界秩序を守る組織 SML の一員で、悪の組織ブタのヒヅメが開発した極悪 virus を奪取して逃走中だった。しかし一息ついたのも束の間、ブタのヒヅメは巨大飛行船で屋形船もろとも一行を拉致、逃げ遅れたオイロケと春日部防衛隊の面々はあえなくとっつかまってしまう。一方、TV の報道でしんのすけが死んだと思い込んだひろしとみさえの元を、SML の一員、code name キンニクと名乗る筋肉質の男が訪れる。キンニクはしんのすけを救うため、彼の写真を所望しに来たのだった。しんのすけ救出に自分たちも連れていってほしいと食い下がるひろしとみさえだが、キンニクは一般人を危険な目に遭わせるまいとしてその申し出を断る。だが、隙を付いてキンニクの持参した資料を盗み見たみさえとひろしは、passport を持ち出して自らしんのすけ救出に向かう……。

 007 や Mission Impossible を連想させる spy action な世界と、クレヨンしんちゃんの世界の blend 仕立て。原作者はカラオケで絶唱し、キンニクはトイレへの長い道のりに悶え苦しみ、ひろしはボロ飛行機でブタのヒヅメの巨大飛行船と一戦交え、春日部防衛隊は荒野で survival し、みさえは相撲の着ぐるみで敵を張り倒し、しんのすけはぶりぶりざえもんに説教し、オイロケは tonfa の代わりに主婦の神器で戦う……とまぁ、slap stick 冒険活劇な展開なのですよ。無茶無謀な野原一家の家族愛はしっかと強調、背面はオイロケとキンニクのバツイチ男女交錯で補強、そして意識を持つ唯我独尊 computer virus であるぶりぶりざえもんが、自らの使命に目覚めながらも消滅していく様に思わず涙であります。馬鹿みたいに笑わせながらもしっかり泣かせて締め括るという、劇場版クレしんの王道路線。
 素直に楽しめる良作ですが、難を言えば悪役が平凡なのと、spy action 仕立てなので劇場版くれしんのもう一つの特徴である非日常性が薄味な点は物足りないなぁ。とはいえ、最近のルパンと比べても気合いの入り方は桁違い。なんだかんだ言って劇場版クレしんは侮れんわい。

log modified: 2004/09/07 01:17:16 JST

2004.08.30 (Mon)

Susumu Yokota / Baroque

 Reich と言えば Susumu Yokota ……と言ってしまって良いのかどうかは解りませんが、Reich ネタへの飽くなき拘りを抱く house producer であることは間違いないでしょう。Susumu Yokota、2004 年発表の album。
 今作ではその Reich 好き路線がかなり露骨に発現してますなぁ。"The Cave" や "Music for 18 Musicians" の影もちらほら。tr.8 "Royal Flush" で弦を多重に噛ませるところとかも、揺らぎのある polyphony で楽しめます。それでいて Susumu Yokota らしい侘び寂び minimal house らしさは健在。Frogman Records 産ということでいつもより派手目に行ってます。Ian O'brien に喧嘩売ってるような tr.9 "Spinner" の tribal house 振りも面白い。
 "1998" の緻密さと "Will" の開放感を mix して、Reich 振り掛けで仕上げたような感触。集大成と言われるのも納得の力作であります。あ、tr.4 "Keel" の 12/8 の組立も気持ち悪くて気持ちいいっす。

 む、official 見たらば今年の Skintone 盤に "Symbol" なる作品が catalog されてる様子。相変わらず多作ですな……。

diary

 台風だ強風だ大荒れだ。割れんでくれよ窓ガラス。

 雨が降ると靴に浸水するのじゃよ。それも何故か左足だけ。靴の裏見たら靴底のゴムが割れてやがる。そういうことは先に言ってほしい。無理か。
 新しい靴を買ったから多分問題解決なのだ。

 小生の睡眠時間を日々削っている TVO の「ハンター x ハンター」再放送ですが、今日の放送分でとりあえずおしまい。満腹満腹。ありゃ明日もあるの? OVA 版? あうあう見ます寝ます明日も仕事だし。

log modified: 2004/08/31 02:24:11 JST

2004.08.31 (Tue)

Akira Senju / 鉄人 28 号 音楽集

 「Monster」と「鉄人 28 号」は今季の泣きアニメ二大巨頭と思い込んでる小生ですが、音から受ける印象もそれなりに大きいんでしょうな。千住明による音楽集、第一弾。2004 年発表。
 弦楽器を大きく feature した、王道劇伴路線。近年のアニメはオケ使っても beat が効いてたりしますが、この album ではその手の騙しを殆ど使ってません。戦後日本という舞台に合わせた retro さを狙ったんですかね。牧歌的で懐かしい melody から、suspenseful な staccato を打つ曲、そして重厚な低音で迫る鉄人向けの曲など、variation も豊かで楽しめます。
 ただ、あまりに王道なので classic や jazz の美味しい所取りしている以上のものはないわけで、その意味では目新しさのない album とも言えます。その姿勢が逆に今時珍しいとも言えますが。作品に準じた音楽、という点では潔い出来。でもって泣かせる point で泣かせる曲をばしっと作れる作曲家は優秀なのですよ多分。

diary

 FT の card 無くしたっぽい。ありゃりゃ。

 仕事後に同僚の歓迎 & 送別会。
 職場結婚が多いという話から、「協力会社が客先に美人ばかり投入してたのは、客先との pipe を太くするための経営戦略だったのだ!」みたいは話を聞かされる。今の企業も平安時代の公家と変わらんということかのぅ。

梅原 克文 『二重螺旋の悪魔 (下)』
 おれは約一分間かけて説明した。
 理奈は「バカげてるわ」と言った。永海大佐は「危険すぎる」と言った。本多大佐は「不確定要素が多すぎる」と言った。河田だけは「シビれるぜ、大尉」と言った。(page 456)

 角川ホラー文庫版で読了。上巻の続き。
 GOO は東京で増殖し、世界は核の冬に見舞われた。人類は最終軍を組織し、UB 兵士と GOO の死闘が繰り広げられる。深尾直樹は最前線で GOO と戦い、やがて GOO たちが、かつて自分たちを封じ込めたとされる EGOD の復活を目論んでいることを知り訝しく思う。やがて特効 virus により戦況は最終軍に大きく有利となるが、かつて知美を殺したダゴン 102 の暴走により、人類は神と戦う羽目になる……。

 上巻からいきなり遠いところに来てしまったなぁ。というわけで下巻は銃弾ばらまき突撃突撃な展開。RPG 的な進行で、quest こなして仲間死んで rival 倒してラスボスと一騎打ち、とか何とか。最後の贅沢な悩みには笑うべきか泣くべきか。深尾くん、君は罪深い男だよ……。
 とはいえ、透明衣装の科学考察とか恐竜絶滅の謎とか、細かい point でもっともらしい説明を積み重ねていくのは如何にも SF な感じで良好。神との戦いを thrilling な展開で描いた力量も大した物で、昔の SF なら観念の戦いに落とし込むところを、あくまで銃弾と肉体で戦っていくところが良い感じです。
 まーとにかく、読むとすっきりする小説でした。

log modified: 2004/09/26 03:12:48 JST

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