Noisy Days in January, 2004

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2004.01.11 (Sun)

[movie] Galaxy Express 999

 りんたろう監督作品、1979 年。邦題「銀河鉄道 999」。
 機械文明の栄えた未来が舞台。貧民層の中で育った少年、星野鉄郎。彼の夢は、永遠の命を約束される機械の身体を手に入れ、母を殺した機械伯爵に復讐を果たすことだった。銀河鉄道の定期券を盗んで警察に追われる鉄郎。そんな彼を助けたのは、彼の母の生き写しで、謎めいた美女、Maetel だった。彼女は鉄郎に、彼女と共に旅するならば、銀河鉄道 999 の定期券をただで鉄郎に渡すという。鉄郎はその条件を飲み、二人は 999 に乗って旅に出るのだった……。

 松本零士原作の anime というと、小生には「女性はひたすら美しく、男性はひたすら男らしく、説教臭くて青臭くてオチは丸投げ(笑)」という印象があるんですけど、この映画は良く出来てます。
 機械の身体を手に入れようと思っていた鉄郎が、様々な人間とふれ合うことで、人間の機械化を否定する考えに行き着く。その vector の正反対さと極端さには思わず笑ってしまうのだけれど、それもまた若さの特権というものなんでしょうな。解りやすい性格してるよ、まったく。
 そして鉄郎と Maetel との関係が微妙なところにも注目。鉄郎は思春期真っ盛りで、plot 見ただけでもマザコンなのは一目瞭然。そこに年上で母親似の女性が現れる……てんで、Maetel は鉄郎にとっての母であり恋人ともなるけれど、そのどちらにもなりきれない。決して辿り着けない存在だからこそ、彼女は鉄郎の「思い出の女性」としてのみ存在しなくてはならない。その構造に、Maetel が機械人間側から送り込まれた女性であるとか、彼女が鉄郎の母親に似せてあることにも意味があり、彼女の「仕事」は過去に幾度も成し遂げられている……といった悲劇的要素が幾重にも織り込まれているため、終盤に向かうにつれ悲壮感も増していきます。悠久の時を旅する存在だからこそ、motal な存在には手が届かない、という含みもあるでしょう。この絶対的な断絶を抱えながら、鉄郎と Maetel が心を通わせていく様が何とも青春映画してるわけです。まぁ、retro と言ってしまっちゃおしまいよ、という世界ではありますが。
 トチローのお袋さんが鉄郎に戦士の銃を渡す場面や、トチローが肉体を捨てて Harlock の船に dive する episode とかも描かれてたり。そーだったのか……。"The endless odyssey" は一応見ましたが、疑問に思いつつも放置してましたよ。
 機械対人間という構図は実はお話の表層でしかなくて、実は母を巡る相克のお話なのだなぁと思った次第。

 Narrator が城達也というところが泣けます。懐かしや Jet Stream。

[movie] Adieu, Galaxy Express 999: Last Stop Andromeda

 りんたろう監督作品、1981 年。邦題「さようなら銀河鉄道 999」。
 前作で機械女王 Promethium を倒し、地球に帰還した鉄郎。しかし機械化人間と人間の戦いは続いており、鉄郎も銃を取り戦うこととなっていた。そんな中、鉄郎の元に Maetel から 999 に乗るよう message が届く。再び鉄郎は 999 に乗り込む。車掌さん曰く、戦乱のおかげで今の 999 はどこに向かうのか解らない、とのこと。999 の最初の停車駅 La Metal に降りた鉄郎は、そこで機械化人間と戦う同士 Meowdar と出会い意気投合するが、Meowdar は Maetel が Promethium の跡を継ぎ機械化帝国の女王になると聞かされる。Maetel と再会した鉄郎はそれが本当かどうか問いただすが、Maetel は沈黙する。鉄郎は機械化帝国の騎士 Faust と戦ったり、何故か 999 と同じ方向に向かっているらしい幽霊列車と遭遇したりしながら、やがて終着駅に辿り着く……。

 前作が母を巡る話であれば、本作は父を巡る話……と、上手くは行かないのが世の定め。いやまぁ、のっけから鉄郎がおっさん達に「儂らの倅」扱いされてるところからも意識的に父を巡る話にしようとしてるってのは解るんですが、前作が鉄郎側と Maetel 側との両方に母という存在が重くのしかかっていたのに対し、本作ではどうしても鉄郎側からの語りが多くなってしまってます。まぁ、Maetel の親父さんは既に亡くなっているのでどうしようもない、ってことでもありますが、でもお袋さんはしっかり生き残ってるんだよな(笑)。
 にしても、鉄郎の父がいかなる経緯で鉄郎と戦うことになったかという詳細はほとんど語られることなく、ただ志の異なる親子が対決するという situation だけが一方的に用意されているため、いまいち盛り上がらんのですわ。その意味では"Return of the Jedi"の方が盛り上がりますわ。個人的には貶してますけどね。
 オルゴールの episode は秀逸でしたなぁ。999 が幽霊列車に追い抜かれて「悔しいっ」って言ってたのも、あの話に繋げるための複線だったわけだ。そういや、999 の航行中に「右に引っ張られている」ってのも後々に効いてくるし。こういう細部の周到さに、昔の映画の良心を感じます。でも Siren の魔女の場面、やたらとくどいし長いし使い回しだしで脱力。盛り上がる場面なのに冗長だと萎えますよ。まっ、そこもまた昔の映画ってことで。

[movie] Galaxy Express 999: Eternal Fantasy

 宇田鋼之介監督作品、1998 年。邦題「銀河鉄道 999 エターナル・ファンタジー」。
 再び地球に戻った鉄郎は、新たな支配者の Bolkazanda III に危険分子と見なされて幽閉されていた。そして今にも処刑されようとしていたその時、999 が鉄郎の窮地を救う。999 の中で Maetel と再会する鉄郎。Maetel は、闇の勢力が世界を脅かしていると鉄郎に告げ、世界を救うために鉄郎に助力してくれるよう頼む。鉄郎が旅の終着駅である人物と会うことで、何かが変わるらしい。旅の途中、Bright Ring Firefly 駅に立ち寄った 999。そこで鉄郎と Maetel は宿の娘 Iselle から暖かいもてなしを受けるが、闇の勢力は女騎士 Helmazaria をそこに送り込み、鉄郎たちを抹殺しようとしていた……。

 前作から 17 年後に作られた続編ということで、絵は綺麗になり CG も多用してますが途端に安っぽくなってしまうのは何故なぜ何故?
 鉄郎は前作よりも幼児退行してるし(爆)、Maetel は鉄郎に理想を押しつけるし、でもって話は続くときたもんだ。続編と言いながらも続編らしさの感じられない駄作。ちゃんと終わりまで作るのならまた評価を改めるかも知れませんが、この作品単体では作らなかった方が良かったんでないのと言いたくなる作品でありました。嗚呼。

log modified: 2004/01/14 02:47:19 JST

2004.01.12 (Mon)

get
  • Otomo Yoshhide's New Jazz Ensemble / Dreams
  • Ground Zero / Last Concert
  • Speedometer. / Thermo
  • Freeland / Now & Them
  • compilation / Famicom 20th Anniversary Original Sound Tracks vol.1
  • Gov't Mule / The Deep End vol.1 & vol.2, Hidden Treasures
[movie] Dead Or Alive 2 逃亡者

 三池崇史監督作品、2000 年。
 殺し屋のミズキ (哀川翔) は、ヤクザの依頼で別の組の組長暗殺を請け負う。だが、目標を射殺する寸前で、彼の獲物は別の男に殺されてしまう。その組長を殺したのは、ミズキが幼い頃、孤児院で一緒に育ったシュウ (竹内力) だった。手柄を自分のものと偽って金をせしめたミズキは、ほとぼりが冷めるまで故郷の離島に戻る。そこでシュウと再会するミズキ。二人は、地元で漁師をやっている幼なじみのコーヘー (遠藤憲一) とも再会し、平穏で楽しい日々を送る。しかしミズキには、稼いだ金を寄付して、世界中の貧しい子供達に vaccine を供給して命を救うという夢があった。ミズキとシュウは手を組み、二人で大阪に出向き暗殺稼業に精を出す。だが、二人の命もまた、別の殺し屋に狙われることとなる……。

 お話は前作と繋がってはいませんが DOA です。でも、前作ほどは燃えないな。まぁ、そう何度も地球を破壊されては困りますし。
 前作はどんどん殺伐とした世界に踏み込んでいきましたが、DOA2 は基本にミズキとシュウの友情物語を持ってきていて、その信頼関係は最後まで揺らぐことがありませんので、その意味では真っ当な映画です。で、DOA 的な悪趣味もそこここに。帰郷先の島でミズキとシュウが笑劇をやらかしている場面には、新宿での黒社会抗争が overlap し、大阪で二人が次々と殺しをこなしていく場面には、africa かどこかの難民の子供達の映像が overlap する。他にも、映像と助詞を繋げて語ろうとしたり、人違いで殺されたおっさんは、三方から等角度で頭を射抜かれたことを説明されてしまったり、ミズキとシュウの命を狙う三人の殺し屋が、一瞬子供の姿に見えたりします。あの子供って、ミズキやシュウの子供時代と同じなのかな。同じだったら何か意味が出てくるかと言われると出てこないような気もしますが、ミズキが心の中に抱えていたはずの偽善性に、自らの鏡像が裁きを下そうとしていた……と見えなくもないですな。まぁ、どこまで遊んでいてどこから真面目なのか解らなくなってしまうのが DOA の企てなので、見ている方もあまり考え込まない方が吉です。
 最後は romantic に流れすぎです。あれも幽霊オチと思わせておいて実は real という悪趣味のうちなんでしょうかね。む、あれを悪趣味と取るか美意識と取るかで三池作品への好感度が測れるかも。今度知り合いに聞いてみまふ。

diary

 Gov't Mule の album、2 枚組だと思ってて開けてみて吃驚、3 枚組だった……。これで 2600 円てのは輸入盤にしても安すぎやしませんかい。なんか得した気分。
 でもってタワレコでタオルも貰えて lucky な一日でした。

 今日のケツイ、1-5 道中まで。何と初の琥珀姫 no bomb、no miss 越え。単に bomb 切らしてただけという説もありますが否定はしません。でも少しずつ安定してきてる様子。の割には 1-5 がさっぱりなところは相変わらずですが。場数が足らんのでしょうな。

 実家から差し入れが届く。これで冬場の水分補給は万全なはず……。

芝村 庸吏 『式神の城 II 玖珂家の秘密』
 光太郎は十一歳の初め頃、突然アレルギー性の小児喘息に罹ったことがある。
 いつものように元気に遊び回った夜、就寝前に急に咳が出始め、その夜は一晩中、咳が止まらなかった。(page 99)

 読了。玖珂光太郎と月子を中心に、式神 II の世界を描いたお話。
 第 5 世界とか第 6 世界とか言われても小生にはよー解りませんよ。

log modified: 2004/03/29 01:06:40 JST

2004.01.13 (Tue)

Ground Zero / Last Concert

 別名「融解 GIG」。1998.03.08 の渋谷 On Air West での live 盤。
 Ground Zero 後追いな小生ですが、初期 GZ の Naked City 的な爆発力 & 節操のなさと、現在の ONJQ にも通じる音塊 & 音響のブ厚い壁みたいなものが、濃縮 soup をかき混ぜるように一体化しようとしているのは感じ取れます。ここに I.S.O. や Filament といった音響路線への回路も開けているそうですが、小生はその方面は未体験なので何とも言えませぬ。まぁ、冒頭の noise 〜 ambient な電子音の渦は、気持ちいいような悪いような、空間がねじ曲げられるような変な音響体験をもたらしてくれますが。
 音響から爆音、そして音響へ。円環を描くような構造。暴力的で肉体的な衝動表現と、その noisy な音圧の上っ面を掠める melody。音が音楽として成り立つ瞬間と、それが絶えず只の音に還元され続けるという、互いに反する力の相克がここでは描かれている。その断面のみ捕らえようとするならば ONJQ に耳を傾ける方が catharsis を得られるのだろうけれど、地を這うように通層低音を響かせる電子音の嵐は、その情景をも日常に還元しようとしているかのようだ。HDD の擦れる音の中にも、車の振動の中にも、Ground Zero は在る。知覚し、搾取し、体験する。ambient が「提示されることによって知覚しうる音」だったように、Ground Zero もまた、新しい世界の扉を開ける鍵となったのだろう。そんなこんなで、ONJQ を聴き、DCPRG を聴き、今堀恒雄を聴いてしまう小生なのでありました。

diary

 眠い一日でした。じゃ、とりあえず寝ますか。

log modified: 2010/11/08 13:40:49 JST

2004.01.14 (Wed)

Foetus / Gash

 大友良英の album 聴いてたら、Foetus が聴きたくなりまして。1995 年発表の album。つか、Foetus てこれしか持ってないんですけどね。
 機械的・金属的な noise に、強靱な beat と絶叫を塗した音楽のことを industrial rock と呼びますが、Foetus のこの album もそういった形容で呼ばれているようです。なので、世間的には NIN や PIG、Ministry 等と一緒くたに語られることが多い様子。されど、Foetus をそのように categorize することに違和感があるのもまた然り。
 いや、確かに tr.2 "Mighty Whity" を始めとする爆音 tune はこの album の基幹を成しているし、その massive な音塊の反復に身を委ねて安易に昂揚するってのは、この album の楽しみ方の一つではあるでしょう。
 しかし、多くの曲で feature される horn section と、そこから繋がる jazz 的手法の多用が、この album の特異な position を表現してるように思います。jazz と言っても全然 mild な方向には向かってなくて、ひたすらひたすら Foetus の雑食性と暴力衝動を増幅させる方向に向かってるところが何とも素晴らしい。映画の soundtrack 風の静かな曲もあれば、middle tempo の doomy な曲もあり。そしてそれらが悉く Foetus の狂気を体言している。まぁ tr.6 "Take It Outside, Godboy" でも聴いてください。最初は一見さんお断りって感じの印象ですが、今ではいきなりの爆音も、noise に交じる trumpet も、出鱈目なようでいて全て在るように在る、って思えるようになりましたよ。日本盤では 3 曲の bonus track が挿入されていますが、それらも album の color に馴染みまくってますので、はっきり言って bonus つーよりは在って当然な雰囲気であります。
 とかく industrial な album というと一本調子になりがちなもんですが、Foetus は胃袋の強靱さが尋常でなさすぎです。tr.10 "Slung" みたいな直球 swing でさえ、Foetus 色に染まると斯くも薄寒くなるとは。Foetus とは、世俗的な音でさえ悪趣味かつ humorous な noise に置き換えて output してしまう filter なのである。だから、貪欲に吸収し、苛烈に吐き出さざるを得ない。この志向性に限界はあるのかないのか。その後の Foetus を知らない小生には計り難いことです。
 あ、今年は(今年も?)新譜出すそうです。

diary

 今日のケツイ、1-5 道中まで。
 7200 万で自己ベ更新ですが、虎さんまで辿り着けない病にかかった様です。

 「なるたる」第 1 話 & 第 2 話。
 微妙に電波な感じ。小中脚本てことで。

log modified: 2004/01/15 02:41:32 JST

2004.01.15 (Thu)

Praxis / Sacrifist

 Foetus 聴いてたら Praxis のこの album 聴きたくなって。1993 年発表。
 Praxis は Bill Laswell が中心となって編成された noise industrial dub hip-hop funk jazz metal scream band です。何じゃそりゃ。まぁくつろぎながら tr.1 "Stronghold" から聴いてください。あ、夜中は volume 控えめに。とかく喧しいわ五月蠅いわ耳障りだわ気味悪いわでアレな感じに浸れます。そして次第に脳味噌がとろけて苦痛が快楽に転化されてお花畑が見えてきます。聴いているところを親に知られると正気を疑われたりするかも知れませんが気に病むことはありません。世界は広くて闇は深い。日常が平凡であればあるほど風景を裏切り日常を異化する音が望まれる。Bill Laswell は膨大な仕事に追われながらひたすら frustration を溜め込んでいる。その蓄積されまくった Methangas を一気に放出する場として選ばれるのが Painkiller だったり Praxis だったりするわけで。
 面子は Bill Laswell の他に、Painkiller 盟友の John Zorn と Mick Harris、funk 繋がりの Bootsy Collins と Bernie Worrell、絶叫芸術家 Yamatsuka EYE に超絶 guitar 仮面の男 Buckethead、でもって Blind Idiot God の面々。この顔ぶれだけで音は想像が付きますが想像が付いても嬉しくないってのは真っ当な感性だと思われます。
 commercialism に唾吐きかけるような grind core な音が強烈な印象を残しますが、album total で聴くと Bill Laswell らしい混交主義が透けて見える仕組み。tr.2 "Cold Rolled - Iron Dub" の緩急織り交ぜた楽曲構成と、そこから暗黒 dub に雪崩れ込むテキトー感というか脈絡のなさというか、よくもまぁこんな曲に仕立てたものよと座布団一枚献上したくもなる変容さがあって、そこが如何にも Bill Laswell なのですよ。EYE の「もしもし」や Buckethead のバカテクに笑ったり Zorn の絶叫紛いの sax で血が沸騰したりしながら、疲労困憊の体で最後の tr.8 "Crossing" に辿り着けば、そこにはドス黒くも荘厳な、極めつけの音響回廊が待ち受けています。Bernie Worrell と書いて神と読むのココロ。方向性は全く異なりますが、Foetus の "Slung" に匹敵する反則技と言えましょう。スバラシスギル。
 まぁ、比較的 metal で聴きやすい album ではありますので、耳痛音楽を愛する方には取っつきやすいかと。でも、もう 10 年以上前の album になるんですなぁ……。

ドストエフスキー 『地下室の手記』
 きのうの一部始終のなかで、とくに鮮やかにぼくの目に焼きついている一瞬があった。それは、ぼくがマッチをすって部屋を照らし、彼女のゆがんだ青白い顔と、苦しげな眼差しを目にしたときである。それに、あの瞬間の彼女の微笑は、なんと哀れっぽく、なんと不自然にゆがんでいたことか! だが、そのときのぼくは、十五年経っても、なおぼくが、あの瞬間に彼女の顔に浮かんだ哀れっぽい、ゆがんだ、無用の微笑とともにリーザを思い浮べるようになろうとは、まだ知るよしもなかった。(page 172)

 読了。Dostoevskii の作品読むのは初めてですが、はぁ、こんな感じですか。
 観念の牢獄に囚われた男の回想録。自らの感性を自ら疑い、世俗の悦びや立身出世を下等なものとして退ける彼は、自分の殻の中で世間を冷笑しつつも、自分がその外部に居ることに苦悩していた。そんな中、売春宿でのリーザとの出会いが彼を真に生きた生活へと引き戻す契機になりかけるが、その行き着く先もまた悲劇だった……。

 真面目な話かと思っていたのですが、実は笑える話だったという。筒井康隆的な抜け道無し饒舌地獄みたいなもんですか。この主人公みたいな奴が小生の隣に居たら蹴り飛ばしたくなること必至ですが、端から見ている分には愉快なものです。シーモノフくん、貧乏籤を引いたと思って諦めたまへ。
 しかし、こういう屈折した人物の心理を粘っこく表現する力量には感服しました。こういう話を長編でも延々と繰り広げるんでしょうか。来年の正月にでもまた読んでみるかな……。

diary

 今日も眠かった……。眠いくせに忙しいので、ついつい周囲に当たりがち。反省。

log modified: 2004/01/16 03:20:12 JST

2004.01.16 (Fri)

[movie] Crouching Tiger, Hidden Dragon

 Ang Lee 監督作品、2000 年。邦題「グリーン・デスティニー」。
 剣の達人 Li Mu Bai (Yun-Fat Chow) が、修行の旅を中断して弟子の Yu Shu Lien (Michelle Yeoh) の元へやってくる。Li は、長年愛用していた伝説の名剣、碧名剣を手放すつもりだった。Yu は Li の頼みを聞き入れ、北京の富豪の元へ剣を届ける。しかし碧名剣は何者かに奪われる。Yu は、結婚を目前に控えた貴族の娘 Jen Yu (Ziyi Zhang) が怪しいと睨む。Jen は、家庭教師として貴族の家に潜り込んでいた悪党 Jade Fox (Pei-pei Cheng) から武術を伝授されていた。Jade Fox は Li にとっては師匠の仇。北京にやってきた Li は Jade Fox と戦うが、碧名剣を手にした Jen に邪魔されて Jade Fox を取り逃がす。しかしそこで Li は、Jen の武人としての天性を知り、Jen を弟子にして育てたいと考え始める。一方、Jen の元にかつての恋人である盗賊の Lo (Chen Chang) が姿を現す。Jen は Lo を退けるが、かといって政略結婚で嫁ぐ自分の身の上にも満足していなかった。そして Jen の結婚の日、婚礼の列に Lo が乱入することで、Jen の人生も大きく乱れることとなる……。

 いやぁ、ダメ映画(爆)。早くも今年の個人的 worst 映画最前列に躍り出たという感じです。

 脚本、酷すぎです。Li と Yu、そして Jen と Lo の 2 組の男女が織りなす恋愛劇、ってのが main theme と思うんですが、Jade Fox がお話を散々引っかき回すわ、Li が Jen を弟子にしようと画策するくだりや、殆どチャンバラやっとるだけの Jen と Lo の回想も無闇に長かったりするわで、恋愛劇という側面は殆ど機能してません。邦題に使われている碧名剣にしても、4 人の男女を象徴的に結びつけるような役割はなくて、多くの災いを呼ぶ魔剣と言うよりは、Jen の人生を振り回すための小道具みたいな扱い。これじゃお話の焦点が定まらないのも納得です。そんなこんなで、last scene の寒さは半端じゃないです。Jen という娘、何がやりたいのかさっぱり解らん。
 2 時間の枠に収めずに、10 時間くらいの TV drama にでもすればもう少しマシになったような気がします。登場人物は愛憎を行動の基点にしているのに、その愛憎の描き込みは action scene に押されて全然足りてないという印象。まぁ、action scene が楽しめるものであればお話の方はうっちゃってもいいんでしょうが……。

 一部で好評だったらしい wire action、あれも小生には活劇の rhythm を乱しているだけにしか見えません。丁々発止と目にも留まらぬ組み手やってたかと思うと、いきなりぴょーんって……速度ガダ落ちなんですけど。おかげで、ぴょーんが出るたびに笑ってしまう病に取り憑かれ、真面目に見ることができませなんだ。お笑い映画じゃないよねこれ。ぴょーんしてる間だけ、世界に別の物理法則が働いてるんですか。
 一番よく出来てるように見えたのは、Yu と Jen の女二人が義姉妹の契りを破って対決する場面。Michelle Yeoh 出演映画の中では一番見入った場面かも知れませぬ。とはいえ、その後に Jen のぴょーんが入ってまた笑う羽目になるという罠。最初からその力を使っとけ!
 最後に一言。Chou Yun-Fat も真顔でぴょーんしないでくれ!

 そんなこんなで駄作認定。こういう日は早く寝るに限る……。

log modified: 2004/01/18 03:33:12 JST

2004.01.17 (Sat)

diary

 雪降ってますよ雪が。

 本日は会社の式典の日なので、背広着て行ってきました。
 式典の後で新年会(仮)。あっさり飲んで解散。

 で、ケツイ(爆)。1-5 まで。調子良いのか悪いのか。

[movie] Snake in the Eagle's Shadow

 Woo-ping Yuen 監督作品、1978 年。邦題「スネーキーモンキー / 蛇拳」。
 鷹拳の巧夫使い Sheng Kuan (Hwang Jang Lee) は、相容れぬ流派である蛇拳を撲滅すべく、蛇拳の名手達を葬ってきた。そして遂に始祖の Pai Cheng-Cheh (Yuen Siu Tien) を手に掛けるべく、その挙動を探っていた。その頃、街の道場で下働きをさせられていた Chien Fu (Jackie Chan) は、襲われていた老人を偶然助ける。老人は助けられたお礼に、Chien Fu に巧夫の基礎を教える。その老人こそ蛇拳の達人、Pai Cheng-Cheh だった。老人から蛇拳の手ほどきを受ける Chien Fu。しかし、Chien Fu に巧みに近付いた Sheng Kuan は、Pai Cheng-Cheh の息の根を止めるべく戦いを仕掛けてくる……。

 昨日観た映画がアレだったので、基本を見直すことにしましょう、ってことで。んむ、やはり王道。まぁ、蛇拳というより猫拳で勝った、って感じの映画ではありますが。
 宣教師がいきなり襲ってきて吃驚。あと、拳突き出すときのビシビシいう効果音、始めはうるさく感じてましたが、慣れてくると rhythmical に戦いの場面を盛り上げる効果が出てました。解り易く、かつ壮快な演出ですなぁ。
 全体的な cheap さも何のその、肉と肉のぶつかり合いだけでも面白い映画になるってことの見本のような映画でした。

log modified: 2004/04/20 00:57:44 JST

2004.01.18 (Sun)

diary

 「十兵衛ちゃん 2」のアフレコ日記第 1 話。この anime、第一声がいきなり竹内力なんだよな……。
 前の series 見てないので出来が良くなってるのかどうか解らんのですが、見てて楽しい作品ではあります。音楽はあまり燃えませんが。soundtrack CD は 2004.03.03 発売予定とのこと。

 「プラネテス」#14。
 とほふさんの評見るまでは、エロの視点は度外視してましたが、むー、なんか納得。
 新造船にハチマキが乗り込んで、喜び勇んで椅子の vinyl 剥がすってのも、今から思えば意味深かも。その直後にはリュシーがタナベにいきなり「彼と寝たのっ?」だし。
 ドルフ部長の冷静な対処がピリリと効いてました。

 で、今日のケツイは 1-4 boss まで。不調。

get
  • Miles Davis / Agharta
[movie] Final Fantasy: The Spirits Within

 坂口博信・榊原幹典監督作品、2001 年。
 未来の地球では、宇宙より襲来した謎の怪物 Phantom により人類が滅亡しかけていた。軍部は Phantom の巣を高出力 laser 砲で殲滅しようと画策するが、科学者の Sid とその助手である Aki は、融和波動により Phantom を無力化する方が効果的であるという説を推していた。だが、融和波動を発生させるためには 8 つの精神体を集める必要がある。Aki は、軍人で元恋人の Gray らに助けられながら、8 つの精神体を集めるために奔走する……。

 full CG で作られた映像は圧巻です。でもお話はヨレヨレですな。character の個性や背景も伝わってこないし。見終わった後も特に印象に残らない。
 FF ってこういう話なんですかね。まぁ、小生は RPG やらない人なので、深くは追求しませんが……。

log modified: 2004/01/19 03:21:31 JST

2004.01.19 (Mon)

Freeland / Now & Them

 なんかもう Rez も懐かしいって時期なんですがが、area 5 に入ったときのビリビリくる感覚は未だに忘れられない、つかそれまでの area が speed 感重視のtechno 〜 trance 調だったのにいきなり hip-hop か breakbeats かって乗りの middle tempo で dark な曲調に変わるので、恐怖と緊張で身が引き締まること甚だしかったわけで、こりゃあ印象にも残るのも頷けるってもんです、はい。映像と音楽の synchro もズバ抜けてて、大樹を越えて地球を越えて、広い世界に出ていくたびにタメの効いた break が新しい世界への扉を幾度も幾度も開いてくれる、って感じで。大物揃いの composer が揃っていた Rez の音楽の中でも、area 5 の曲は一際輝いておりました。
 その area 5 "Fear" は、Adam Freeland という人が曲書いてます。小生は全く知らない人で、その当時でも mix album は幾つか手がけてたようですが、original album は出してないっぽい。ふーん。ええと、new school breaks の旗手? 何ですかそれは? ……と、そうこうしているうちに時は流れ 2003 年。Adam Freeland は Freeland 名義でこの album を出してくれてたわけです。忘れた頃に何とやら。
 でもまぁ何というか独特の rhythm 感と雑煮な上物がとろけあってて、パキパキに logical な作りなのに人肌の温もりというか手作業で丹念にこさえましたって感じがひしひし伝わってくる好盤です。tr.1 "We Want Your Soul" で一気に躁状態にもってくかと思いきや、tr.2 "Mind Killer" はあの "Fear" の 2003 年版で、恍惚と混沌の狭間で世界の歯車が軋み声を上げてるような重厚さがひたすらひたすら心地良い track に仕上がってます。tr.3 "Burn The Clock" の acid な暗黒と天上の whisper が入り乱れる世界観にも、この人の極端な美観が滲み出てますなぁ。
 全体的に派手な音の使い方をしているのに、じっくり聴いても飽きずに楽しめるという珍しい album です。やんちゃで若々しい感性と、老成した編集感覚の hybrid。多彩な引き出しを持ちながらも、絶妙の匙加減で dance music としての筋を通している。breakbeats 界の Kevin Yost みたいな存在になってくんでしょうかね。
 直球 minimal house な tr.8 "Reality 3D" から、その dark な色彩のままで tr.9 "L.I.F.E." に繋げるってのも上手いよなぁ。tr.10 "Nowism" は静謐な down tempo 曲。終盤に音響 track をまとめてる album も珍しい。でも、ちょうど聴き疲れるころにこういう音が入ってくるとほっとします。
 まぁ何だ、傑作。

[misc]ケツイ2面デモの秘密

 謎 bomb にも歴史あり。Cave シューのデモは、稼ぎを意識し始めた頃に見ると勉強になります。

diary

 仕事場着いた頃には足に力が入らなくて。月曜は相変わらず弱い小生です。
 それでも何とか仕事をやっつけて帰宅。ケツイやってく力は残ってませんでした。

 「Mezzo」#3。
 1 曲まるまる歌わせたかっただけなんでしょう。脚本も相変わらず弱いし。むー。

log modified: 2004/01/20 03:18:47 JST

2004.01.20 (Tue)

Otomo Yoshihide's New Jazz Quintet / Tails Out

 ONJQ の 2003 年 studio 録音盤。大友良英 (g)、菊地成孔 (ts)、津上研太 (ss、as)、水谷浩章 (b)、芳垣安洋 (ds、tp) という regular member に加えて、高良久美子 (vib)、Sachiko M (sine waves)、近藤祥昭 (Binson echo machine) の三名が guest 参加。
 free jazz に向かいそうで向かわない、いや向かっているのかも知れないけれどそれっぽく感じさせない音です。芳垣安洋の drums が根っこでしっかりと rock な beat を弾き出しているので、free な演奏でも dynamic なうねりが常に保たれてます。なので、暗い怖い理解不能という感じの free jazz ではないと。
 tr.4 "Moons Shine" は James Blood Ulmer の曲。こんなに格好良い曲やったんかいな。Ulmer が Ornette Coleman の舎弟だったというのが良く解る曲です。Charlie Haden の tr.1 "Song for Che"、Beatles の tr.5 "Strawberry Fields Forever" と、今回も良い選曲です。一方、大友の手による tr.2 "Reducing Agent" や tr.3 "Solvent Waltz" では、guitarist 大友良英の音が前に出てきてて面白い。
 でも圧巻は終盤 2 曲、Charles Mingus の tr.6 "Orange Was the Color of Her Dress, Then Blue Silk" と、大友の original である tr.7 "Tails Out" でしょう。Sachiko M の控えめな sine waves が、しかし曲の tone を決定づけている感じ。本当の静寂は、人を緊張させる。

diary

 今日も相変わらず眠い眠い。

 ケツイ、1-5 道中まで。煮詰まってます。

log modified: 2004/01/21 03:20:50 JST

上旬 / 中旬 / 下旬