Noisy Days in July, 2012

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2012.07.22 (Sun)

[movie] Battle Los Angeles

 Jonathan Liebesman 監督作品、2011 年。邦題「世界侵略: ロサンゼルス決戦」。
 2011 年、地球の主要都市近辺の海洋に多数の隕石が落下する。だがそれはただの隕石ではなく、地球の資源を狙って侵略を企てる宇宙人の乗り物だった。直ちに地球の主要都市を襲う宇宙人達に、対応の遅れた各都市は壊滅状態に陥る。Los Angeles 近郊のめりけん海兵隊基地に所属する Michael Nantz 二等軍曹 (Aaron Eckhart) は年齢的にキツくなってきたこともあり海兵隊からの引退を考えていたが、今回の騒動で L.A. 住民の避難活動に借り出され、生存者がいるらしい Santa Monica の警察署に一個小隊を引き連れて向かうが、そこは宇宙人の占領区だった……。

 世界的には各地で交戦が起こってえらいこっちゃな状況ですが映画の視点としてはあくまで Nantz 二等軍曹の視点で展開されており、序盤は"Black Hawk Down" の宇宙人侵略版みたいな展開になっております。つか印象としては FPS げーむの real 版みたいな感じになっており、Submachine gun の近接射撃とか見て失禁しちゃうような人にはたまらん映像なのでしょう。とはいえこの序盤で Nantz 二等軍曹が部隊指揮官でキャリア組の若造 William Martinez 少尉 (Ramon Rodriguez) に指揮官の心構えを説く降りなんかも描かれていて、海兵隊どらまな側面もちらほら。中盤以降は海兵隊員の英雄的行動や絶望的な戦況などが描かれ、Nantz が一席ぶって小隊が団結、最後の大逆転に至るという王道 hollywood 映画な展開。いやはや今時こんなに海兵隊万歳な映画も貴重でしょう。Nantz も途中から John Wayne な行動原則に乗っとられたみたいな動き方になっておるし。それでいて John Wayne の時代ほど楽天的な展開でないことは、臨時の最前線基地に戻ってきてから急速も取らずに Nantz が弾倉に玉込めだす場面からも窺える。まぁ小生には単に Nantz が自分の死に場所求めて戦場に戻りたがっているようにしか見えんのですが、こういう leader をほっとけない部下ってのもいるもんなんですなぁ。これも人徳か。
 ばたばたして観ていて疲れる映画ではありますが面白い映画でした。

log modified: 2012/07/23 01:59:29 JST

2012.07.23 (Mon)

The Thing with Otomo Yoshihide / Shinjuku Crawl

 Mats Gustafsson (sax)、Ingebright Haker-Flaten (b)、Paal Nilssen-Love (ds) からなる The Thing と、大友良英の競演作。2007 年新宿 Pit-Inn での録音。
 The Thing といえば現代に後期 John Coltrane 的な濃厚な壁状音楽伽藍を顕現せしめんとする北欧 free jazz 集団なわけで、小生は何かの net radio で彼らの音を耳にして興味を持ったわけですが、大友良秀との競演も果たしていたとは驚きでありました。まぁ、Mats Gustafsson は ONJO の member でもありますし、流れとしてありっちゃありなんですが。
 音の方は大流に身を任せる系の free jazz。こういう編成だとどうしても単音で音圧高めの sax が突出しがちですが、白玉も単音もイケる guitar が美味しく裏を支えていて、意外とまとまっている風。定型にはまらない、を是として個々の瞬間から improvise していく展開が 1 時間以上に渡って繰り広げられます。こういう緊張感のある交感は聴いていて気持ち良いですね。

log modified: 2012/07/24 03:15:33 JST

2012.07.30 (Mon)

Takkyu Ishino / Wire Trax 1999-2012

 石野卓球が毎年の Wire Compilation 用に作った曲をまとめたもの、と CM 用小曲とか未発表曲とかの寄せ集めからなる CD 2 枚組み。2012 年発表。
 そりゃ 10 年以上も昔の track と今とで比べりゃ大違いやろ、といった常套句はこと techno 界隈では寡聞にして聞かず、というか rock でも jazz でも 20 世紀になってからというもの変革の時は訪れず、時代は緩やかな停滞期に入っているような気がしないでもないですが、いやだからこその 13 年間の寄せ集めにして現役感ありありの卓球 techno 節であります。初期は主催者らしくガツンと行ったらんとーな BPM 早めのイケイケ調、中期は自分が頭張らんでも皆あんじょうやってくれっからという風情でのゆるゆる調、そして近年の track では何と言うかその時々の気が向くまま、まいぶーむ主導な freedom 路線。それでいて妙に統一感があるのは、bass drum をがっつり聴かせるのがこの人の信条だからですかね。変拍子な曲でも横田さんなら elegant な soundscape をまぶせるところを卓球氏はがっつんがっつん前のめりです。まぁこういう minimal hard さいきょーってノリが如何にもこの人らしくて良い感じなのですが。
 original album では山とかオチとか趣向を凝らさずにはおれない卓球氏ですが、本作では図らずも真っ当な techno 路線で album 1 枚分できちゃったな感じで、聴いた感触は意外にも 1998 年のド直球盤 "Berlin Trax" に近かったり。不惑過ぎても techno 最前線な卓球氏の顕在振りが窺える album でありました。

log modified: 2012/07/31 03:02:52 JST

2012.07.31 (Tue)

皆川 博子 『聖女の島』

 講談社電子文庫版で先日読了。
 とある孤島に犯罪を犯した少女たち 31 人の更生施設があったが、何らかの事件により 3 人が死亡し、home は火に包まれた。施設の再建が進む中、少女たちの監督者である矢野藍子の元を修道女マ・スールが訪れる。藍子はマ・スールに自身の過去や施設の状況を語り、自分はまたやり直せると言う。やがて home の再建が終わり、藍子は少女たちと施設の職員を集めて改めて更生活動を再開するが、少女たちは何故か 31 人居た……。

 あぁこれはあれやね死者を死に還すとか何とか。って綾辻さんもかつて絶賛した小説だそうで、そういうのも何だか頷ける展開ではあります。
 体裁は mystery ぽいですがどちらかというと幻想小説の類。序盤から矢野藍子は怪しさ満点で、島を訪れたマ・スールを見るなり足蹴にして逃走したり、と思えば自室に歓待して自分のことを喋くりまくり、マ・スールに姉の面影を見て過去の自分の凶行を思い出して恐れおののき、やがて自分の力で事態を control できることを発見して浮かれたり、その一方で既視感のある少女の死を感じてビビリまくったりと、色々な意味で尋常でない御婦人であります。マ・スールもまた謎に包まれた存在で、矢野藍子の舵取りに口を挟むでもなく、少女たちとも監督者たちとも一定の距離を保ちながら接し、事象の推移をただ見つめる存在。まぁこういう構成だとマ・スールと矢野藍子の関係てのも何となく読めてきますし、引いてはこの作品世界の構造もそれっぽく読めてきますが、まぁあれだ、Lars von Trier の好きそうな素材というのが小生の印象であります。
 犯罪者の少女たちが揃ってるわりには顔の見える女子は 3 名だけで、その悪行も性的紊乱の節が垣間見える程度ですので、そっち方面を期待された方は肩透かしを食らうことでしょう。物語の基底は矢野藍子の自分語りで、出来の良い姉と常に比較されて生きてきた彼女の業の深さを噛み噛みしながら読むお話となっております。女性作家らしい、どろりとした情念が横溢する話ではありますが、小説として面白いかと言われると結構微妙。読者を選ぶ作品とは思います。小生はこういうの好きなんですけどね。

log modified: 2012/08/01 02:14:19 JST

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