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めりけんの southern rock band、The Black Crowes の 1st album。1990 年発表。
debut album にして地味渋。でもめりけんではバカ売れしたという黒鴉の 1st であります。かくいう小生は彼らの album には 2nd から入ったクチなのでこの 1st は後追いです。southern rock つーても胃もたれするんよ黒鴉は。そんなこんなであまり熱心には追っかけてなかったり。
しかしこの 1st、今にして聴けば彼らもまだ若かった青かった。loose さはあるものの音的には electric guitar が前面に出てくる、hard rock 屋の blues album な趣。piano や hammond が南部臭を振りまきますが、やはり guitar の切れのよさが耳に残ります。engineer は Brendan O'Brien で、loose な曲調に solid な音をぶつけるという趣向はこの頃の彼の意向かも知れませぬ。Pearl Jam の "Vs" もそんな感じだし。
聴きこむほどに味が出る、というのは黒鴉 album の特色ですが、この 1st ではその青さ故の瞬発力もあり。ということで幅広い層に受け入れられたってことじゃないですかね。そしてその approach は図らずも 90's の grunge / alternative rock の呼び水にもなった……と考えるのは穿ち過ぎか。まぁいずれにせよ、酒飲んでだらだらしながら聴くと良い album であります。
Ireland の soul singer、Van Morrison の 1982 年作。
Van Morrison の音の特徴というと、soul は勿論のこと、blues や country、jazz といっためりけん風味とか、celtic sound や irish trad といった地元 ireland の伝統とかに根ざした音がそれに当たるわけですが、しかし実のところどの曲を聴いてもそうした genre 意識が前に出てこなくて、Van の声が乗るとそれは既に Van の世界になってしまう、てところがこの人の凄いところではないかと思うのであります。自分の音を持っているというか、自分の音になっちゃうというか、とにかく凄い磁力のある人なのですな。
90's の spiritual な諸作はあまりにその磁力が強すぎて、うかつに聴けない level に達しておりましたが、80's の album はまだ relax しているというか、程よい具合に耳に馴染む作品が多いような印象。この "Beautiful Vision" もまた、良い感じに肩の力が抜けた AOR な一枚になっております。で、例によって飛び抜けた傑作ではないにせよ quality は高い album であります。疲れた時に聴くと良い湯加減で微睡めます。ちなみに Dire Straits の Mark Knopfler が guitar で 2 曲に参加しております。
detroit house な人、Moodymann の 2nd album。1998 年発表。小生の持っているのは 2009 年の再発盤 CD であります。
Theo Parrish にしろこの Moodymann にしろ、とかく detroit house 最深部の音というのはもこもこしてはっきりしない音ってのが特徴であります。音圧が上がったり下がったり、clear に聴かせるかと思いきや唐突にくぐもったり。焦点を絞ろうとしても絞りきれない、むしろ一つの場所に留まることを避けるかのように、絶えず何かが変化し続ける。まるで電波の安定しない radio のよう。そういやこの album の 1 曲目も、black music 系の radio 局をくるくる変えていく "Radio" という track であります。
しかし、そういった不安定で未完成な揺らぎが、逆に生々しい groove となって眼前に展開されるというのがこの人の凄いところ。一般的な音楽制作過程では noise として除去されるような市井の嬌声や voice も、Moodymann の音楽観では必要不可欠な音として取り込まれる。groove は minimal な次元での音からではなく、その音の響く空間やそれを聞き反応する聴衆をも含めて生み出されるものなのじゃ、と Moodymann が思っているかどうかは定かではありませんが、彼の作る track の生々しさには音の context も含めて groove を packaging しようという意図が伺えます。その approach は、あまりに洗練化され commercial な世界で扱われるようになった house music scene への寡黙な批判のようにも思われる。いやはや、そういうひねくれたことしてるから不機嫌な男なんて言われるんですよ多分。
まぁそういった小難しい話はさておき、jazzy な guitar が心地よい tr.3 "On The Run" や、エロい sax と voice で酩酊必至の tr.4 "M.E.A.N.D.N.J.B."、simple な構成ながら electric piano と bass が funky に跳ねる tr.5 "Mahogany Brown" 等、この人らしい渋みの効いた house track が並んでおりますので、普通に聴いて楽しめます。last track の "Black Sunday" も淡々とした bass drum の上で sampling の gospel が羽目外しまくるという無闇な暑さがたまらん。こういう下世話な house を聴くと何故かほっとしますなぁ。
AC 版初 all から幾星霜、ようやく箱版も越えました。all 時、life 枠 6 の残 1、score は 238563456。score attack の浅葱週間 chart で 10 位以内に入りました。ということで、運が良ければ小生のグダグダな replay が参照できます。ちなみに 2P 浅葱。
終盤はがーどばりあと覚聖でゴリ押し。6 面とかかなり酷い。最も all しやすい浅葱でこの体たらくとは。本命の縦羽では苦難の道のりになるでしょうなぁ……。ああ、BL とか Arrange なんてのもあるねぇ……。
とはいえ、第一目標は達成できたのでそろそろ鉄拳にも戻ろうかと思ったり思わなかったり。
Tim Burton 監督作品、2007 年。邦題「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」。
London の Fleet 街で理髪店を営んでいた Benjamin Barker (Johnny Depp) は、美しい妻と娘の三人で幸せに暮らしていたが、その妻を見初めた悪徳判事の Turpin (Alan Rickman) により Benjamin は濡れ衣を着せられ投獄される。15 年後、脱獄して Fleet 街に戻ってきた Benjamin は、妻が毒を呷り、娘は Turpin の養女になっていることを知る。Benjamin は Sweeney Todd という偽名を使い、さびれた pie 屋の女主人 Mrs. Lovett (Helena Bonham Carter) の助力を得て、Turpin に復讐する機を窺う……。
19 世紀 London の都市伝説、Sweeney Todd の逸話を元にした musical movie であります。って、小生は musical 嫌いなんじゃよ。しかし gothic で grotesque な Tim Burton 節に乗って展開されるこの映画、こんだけ dark な musical てのも珍しいかも知れません。こういう雰囲気は嫌いではないのですが、musical 特有のわざとらしさや妄想炸裂趣味がいちいち鼻につく。まぁ、Johnny Depp の歌唱を聴きたい人には良い作品なのではないですかね。