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Andrzej Bartkowiak 監督作品、2009 年。
富豪一家の娘として英才教育を受け、pianist として有名になった Chun-Li (Kristin Kreuk) だが、彼女の父親 Xiang (Edmund Chen) は悪の組織 Shadaloo に拉致されたまま行方不明になっており、彼女はそれを気にかけていた。やがて Chun-Li の母親が死に、何者かから送られてきた巻物に心を惹きつけられた Chun-Li は、家財を処分して単身 Bangkok に向かう。巻物を手がかりに道を求める Chun-Li は、武術の達人にして弱者の味方 Gen (Robin Shou) の元で修行を積むことになる。やがて父親が Shadaloo の総帥 Vega (Neal McDonough) の下で無理やり働かされていると知った Chun-Li は、Shadaloo の目論見を打ち砕くべく行動しはじめる。Shadaloo を追っていた組織犯罪課の Charlie Nash (Chris Klein) は、Shadaloo をかき乱す Chun-Li に注目するようになる……。
馬鹿になりきれない馬鹿映画でしたなぁ。serious な drama としても弱いし character ものとしても弱い。action は普通に上手いんですが見せ方が地味。下手に真面目につくろうとして失敗したの図か。
続編は "The Legend of Captain Sawada" でお願いします。
めりけんの stoner rock band、Clutch の 1998 年作。
今では結構あからさまな blues 愛な横ノリで独自性を見せる Clutch ですが、昔は Black Sabbath 的な地べた這いずり riff 押しの band であったのですな。しかし既にこの頃から出涸らし老成の加齢臭 rock になっておる点はやはり Clutch、例えば同時期の Soundgarden や Melvins 辺りと link しそうな heavy rock ではあるものの、どうにも serious になりきれないというか、微妙に funky で泣き笑いな脱力感に味が在って良いのですよ。tr.2 "Ship of Gold" は今聴いても名曲ですなぁ。
UK のとろにか職人、Max Tundra の 2008 年作。DNO213。
今年即ち 2010 の初頭に何と japan tour をやらかしたらしい Max Tundra ですが一般的な認知度は如何ほどなりやと思わなくもない。かつて彼の album に昇天させられた小生ですらこの新譜が出ていることに気付かなかった程の情報過疎な極東島国 digital divide ですからねぇ。
少なからず小生も心配だったのですよ。この album、歌モノ開眼で大半本人が歌っておるらしいとの風評でしたので。しかしそこは Max Tundra、blank を感じさせぬ変態 electronica が全開なのでありました。昔の人なら psychedelic rock なピコピコ万華鏡の影響に垂涎し、最近の人ならボカロ系のピコピコ万華鏡との類似性を見出してアヘアヘするであろうという新旧音楽ふぇち両対応の hybrid 仕様。かくいう小生はやはりこの人の異様な pop sense と叙情性に思わず涙してしまうのでありました。Aphex Twin も Squarepusher も変態通り越して侘び寂びに至っておるように見える世紀末ぷらす 10 年の今日この頃ですが、Max Tundra は今なお脳内 happiness 症候群に犯されたままの様子。tr.2 "Will Get Fooled Again" から tr.3 "Which Song" への流れや、11 分に及ぶ大曲ながら全然大げさでない tr.11 "Until We Die" は特に印象的でした。良作。
孤高の breakbeats 大将、Riow Arai による 2003 年作。中身は 1999 年発表の full album "Mind Edit" 全 11 曲に、同じく 1999 年に発表された 12 inch の "Mind Syndicate" 全 16 曲中 13 曲を加えた編集盤。soup-disk の soup020CD。
"Mind Edit" の楽曲は、edge 立ちまくりでやたら音量デカい beats に、acid 臭漂う SE やら funky で粘っこい bass やら minimal なメロやらが乗ったり消えたりするという趣向で、今に至る Riow Arai 節がここでも堪能できます。最近の作品に比べれば simple な作り込みとは思いますが、それが返って break と beat の織り成すつんのめり型の groove を際立たせるという結果に繋がっておるかと。ここで beat の語り口に自信を得たことを踏まえての傑作 "Beat Bracelet" に繋がるか。感情ではなく感覚に訴える beat ですので、延々聴いてると胃にもたれるのも Riow Arai らしいですな。この人の音は本当に毒素が強すぎますわ。tr.11 "Daybreak(i dine at)" は例外的に closing 用の端正な chill out 曲になってます。
一方の "Mind Syndicate" からの楽曲は、"Mind Edit" に比べればいろいろとっちらかってる印象ですが、これはこれで肩の力が抜けていてよろしいかと。
独逸の rock band、Faust の 1st album。1971 年作。
この 1st も、2nd の "So Far" も、既に何度も聴いている筈なのですが、未だに jacket を見ても音が思い出せないのであります。何だかんだで個性の強い 70's german rock 勢の中でも最も印象の薄い band、それ即ち Faust。しかしその印象の薄さが何度も CD を手に取る契機になっているとしたら相当な確信犯ですな。
tape collage の手法を大きく取り入れることによって曲の中心点を見失ったままふらふら迷走しくさる、というのがこの 1st album の狙いか。とはいえそうした手法では結果的に曲そのものの希求力は減衰し、印象薄になってしまうのも解らなくはない。実験的な approach は良いものの、どうも曲の弱さを collage や noise で埋めようとして失敗しているような気がしますなぁ。あ、ちなみに band ensemble で演奏している part では結構上手い演奏を聞かせてくれたりもします。tr.2 "Meadow Meal" の中間部とかでは絶妙の prog rock 振りを見せてくれます。そんだけの skill を持ちながらそれを前に押し出さないとは、勿体無いことよのぅ。
そんなこんなでどうにも不完全燃焼、しかしその煮えきらない態度が Faust らしさでもあるという困ったちゃんな album であります。drums の弱い This Heat みたい。そういやこの人達は german よりも UK での評価が高かったそうですが、確かに UK の方が輪郭のぼやけた rock に理解があるような気がしますね。