Noisy Days in November, 2006

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2006.11.21 (Tue)

Grigory Sokolov / Bach: Die Kunst der Fuge

 Russia の pianist、Grigory Sokolov による、J.S. Bach "フーガの技法" (BWV1080) の CD。1982 年録音ですが小生保有は 2004 年の naive 版、2 枚組。なお CD2 には "Partita Nr.2" (BWV826) も収録されてます。
 "フーガの技法" というと Bach 晩年の大作ですが、ものの本では「聴いただけでは凄味が解らない、自ら弾いてこそその価値を実感できる」と称されることが多い曲であります。小生は楽器演奏できませんのでそう言われても「ほへぇ」の一言なのですが、平均律や Goldberg に比べれば一聴取っ付きにくいのは解りますな。まぁ、そういう解りにくさが面白いところで、一枚聴き捨て派の小生にしては珍しく、Tachezi 版 (org)、Gould 版 (org)、Koopman 版 (cemb)、それに Sokolov 版 (piano) と計 4 作持ってたりします。
 さてこの Sokolov 版ですが、"フーガの技法" が抽象的だとか演奏者にならんと解らないと思い込んでいる方の意識が 180 度変わること必至の演奏であります。この曲がかくも情緒的な響きを持ち得るとは。弱音の慈しみ方は尋常でなく、主題は各々ひそやかに主張しながらも和を乱すことはない。piano の表現力を熟知した奏者による芸術品。いやはや素晴らしいの一言であります。

log modified: 2006/11/22 02:57:08 JST

2006.11.22 (Wed)

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  • 森 博嗣 『ダウン・ツ・ヘヴン』
diary

 仕事行って本社戻って終業。

 vf5、昇段戦になると弱さが露見するのぅ。

log modified: 2006/11/24 01:16:02 JST

2006.11.23 (Thu)

[movie] Alexander

 Oliver Stone 監督作品、2004 年。
 紀元前の Greek。Macedonia の王 Philip (Val Kilmer) と妖女の噂がある Olympias (Angelina Jolie) との間に生まれた Alexander (Colin Farrell) だが、Olympias は息子に王位を継がせようとし、Philip は息子を Olympias の手先と見て遠ざけていた。両親から愛を得られない Alexander は共に学んだ友人たちとの間に慰めを見出す。やがて王 Philip が暗殺され、王位を継いだ Alexander は頭角を現し領土を拡張、遂には宿敵 Persia 帝国との決戦にも勝利を収める。休まず Alexander は東征を敢行し戦いの日々を送るが、次第に王の軍は疲弊し、故郷への帰還を望む声が高まっていく……。

 何やっとんじゃい Oliver Stone、という感じの映画。Alexander を愛に飢え故郷を失った流離人として描いており、戦闘場面は話の都合上置いているという位置付けなので大勢でわーきゃーしとるだけ。話の大半は Alexander とその周囲との口喧嘩。なので、Alexander てばこんなに凄い人やったのやよといった感想は持ち様がないのです。いやいやそこは孤独な一人の人間としての Alexander を描きたかったのじゃろうと解釈してみてもその孤独は自分で招いておるのだから同情もできん。ただ長いだけの映画になってしまってます。まぁ小生は早送りで観ましたけどね。この内容で 3 時間は流石に耐えられませんわ。
 Val Kilmer がええ感じのやさぐれおっさんに仕上っていて何だか悲しいのぅ。

log modified: 2006/11/27 01:17:19 JST

2006.11.24 (Fri)

島田 荘司 『魔神の遊戯』
「バーニー、突っ立っていないですわれ。コーヒーが欲しければそこにある。勝手に飲めよ。ああそうか、お前胃を壊しているんだったな」
 バグリーが言う。
「医者はミルクを飲めと言っている」
 私は言った。
「残念だが、ミルクはないな」
 信じられないことに、バグリーがそう言った。私は頬っぺたをつねりたくなった。
「気にしないでくれ。ヘイ、なんだい今日は。えらくまた丁重だな。気味が悪いぜ」(page 265)

 島田荘司描くところの西欧人は「ヘイ」とか「……だぜ」とか、ちょっと時代がかった西洋人な口調なんだぜ。ヘイ、こいつはちょっとしたさぷらいずだと思わないかい石岡君。思わねえよ。文春文庫版で先日読了。
 英国の寒村でお婆さんのばらばら死体が発見される。しかも連続殺人で、狙われるのはお婆さんばかり、ばらばら死体の切断面は強引に引き千切られたかのような有り様で、身体の各部所が村のあちこちから発見されるという状況。たまたまその村を訪れていたミタライ教授は、現地警察に協力して捜査にあたる……というお話。

 一連の事件を jewish の神 Yahweh の所業と見立てたり、精神疾患の天才画家が未来の殺人を現在の記憶として持っていたりと、この作家らしい奇想で掴みは充分なんですが、途中の展開はかなり作業ちっくで、お婆さんが一人ずつ順繰りに死んでいって残った者があーだこーだと喋り倒すという塩梅。何度もやられると飽きてくるし、名前も覚えないうちに次の死体が出てくるので終盤になるとどの婆さんの話しとるのか解らなくなってきます。真面目に読んでない小生も悪いとは思うが、もうちょい slim にまとめられんものかのぅ。character 的な引きも弱いので何だか冗長。まぁ、終盤は流石に読ませますけどね。
 この人の本としては普通な出来栄えかと。

log modified: 2006/11/25 02:25:18 JST

2006.11.25 (Sat)

diary

 vf5、珍しく連勝して二段に昇段。

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  • John Ogdon / Scriabin: Piano Music
  • Alexander Paley / Balakirev: Piano Music
[movie] Dead Man

 Jim Jarmusch 監督作品、1995 年。
 西部開拓時代の米国。僻地の工場で雇われた会計士の William Blake (Johnny Depp) が、長旅の末にようやく工場に着いてみると、既にそこでは別の会計士が雇われていた。William は社長の John Dickinson (Robert Mitchum) に直談判するが、社長に rifle で脅されて逃げ出す。肩を落として酒を煽っていた William は花売りの女 Thel (Mili Avital) と知合いになり、Thel の家で一夜を共にする。二人が寝ていると部屋に Charlie (Gabriel Byrne) が押し入ってくる。Charlie は Thel と寄りを戻そうとしていたが、William を見て発砲。William を庇った Thel は被弾して死に、William は Thel の隠し持っていた銃で Charlie を返り討ちにする。Charlie の馬を奪って逃亡した William は、彼もまた心臓付近に弾を食らっており途中で行き倒れるものの、流れ者の先住民 Nobody (Gary Farmer) に救われ、二人で流浪の旅を続けることになる。一方、息子の Charlie を殺された John Dickinson は、伝説の殺し屋 Cole Wilson (Lance Henriksen) を含む 3 人の殺し屋に William Blake の殺しを依頼する……。

 久々に観直しましたが、monochrome の映像に Neil Young の音楽にトホホ調 story で、Jim Jarmusch 印全開な映画でしたなぁ。一風変わった western road movie という位置付けか。
 煙草吸わない William が行く先々で煙草をねだられたり、詩も絵も心当たりはないが William Blake だったり、Nobody は水先案内人だし Cole は魂食らいの死神だし、殺された保安官には後光が差してたり……と、意味ありげな符丁があちこちにばらまかれているようで実は大して意味はないのかも知れず、観終わってもああそうかい心安らかに眠るがよいてな感じなんですが、この意味不明な語り口が癖になるのですよ。

log modified: 2006/11/26 03:54:49 JST

2006.11.26 (Sun)

[movie] 魔界転生

 深作欣二監督作品、1981 年。
 島原の乱が鎮圧された夜、雷鳴が轟き、乱の首謀者で既に討ち果たされていた天草四郎時貞 (沢田研二) が甦る。救いを求める声に答えなかった神に絶望した天草四郎は魔界の力を借りて、憎き徳川幕府に復讐するべく、現世に未練のある細川ガラシャ (佳那晃子)、宮本武蔵 (緒形拳)、宝蔵院胤舜 (室田日出男)、伊賀の霧丸 (真田広之) を次々と転生させ己の配下とする。流浪の剣士である柳生十兵衛光巌 (千葉真一) は宮本武蔵の庵を訪れたことで天草四郎の邪気を察知し急ぎ江戸へ戻るが、既に江戸では将軍家綱 (松橋登) がガラシャに籠絡され、十兵衛の父である柳生但馬守宗矩 (若山富三郎) もまた魔界転生により十兵衛の敵に回っていた。一旦退いた十兵衛は、当代随一の刀匠村正 (丹波哲郎) に、魔性の者を斬れる刀を打ってほしいと頼む……。

 いやーん面白いよこれ。どらいあいす大量奮発でガラシャ夫人はえろえろ妖怪で天草四郎が霧丸に接吻して「お前は俺のものだ!」とか言ってますよ。
 この映画も久々に観直したんですが、原作よりも先にこっちを観ていたせいか、観ていて何だか腑に落ちる部分が多かったですな。天草四郎が中心人物で一揆が勃発して江戸城炎上、んで十兵衛は終始厳しい表情で村正手にして武蔵らと戦い、業火の中で天草四郎が高笑いする……という、原作を踏み越えた大掛かりな絵と仕掛けが何とも強烈。江戸城炎上で十兵衛と宗矩の親子が対峙する場面では、周囲で業火が渦巻き梁が音たてて落ちてくる中、水鏡のように同じ構えから死闘が始まります。もうね、こういう intro から背筋が震えるのですよ。
 妖異な雰囲気と剣劇という日本映画らしい特徴を上手く混ぜ合わせつつ、優れた entertainment に仕上げた良作でありました。

diary

 vf5、入力失敗多発でげんなり。

 J99 氏が店じまいだそうな。次世代機で 5.1ch 対応が壁になるとのこと。
 携帯向けとかぱちすろとかならまだ個人事業でも入っていけるようにも思いますが、先を考えるとそれだけでは難しいんでしょうなぁ。

log modified: 2006/11/27 03:10:07 JST

2006.11.27 (Mon)

Ken Ishii / Sunriser

 techno な人であるところの Ken Ishii による 2006 年作。
 jacket がたこです、たこの足。吸盤は連綿と続く speaker set であり、そこに瑞々しい光沢が刷かれているという見立ては即ち潤いと輝きと vivid で soulful な響きを連想させる……と上手くまとまれば良いんですが所詮たこにしか見えぬ。どんどん jacket の sense が落ちてるような気がするのは小生だけかのぅ。勿体ない。
 2002 年の前作 "Future In Light" にて長年の迷いを捨てて pure techno でアハ快感な領域に突入した Ken Ishii でありますが、この "Sunriser" も前作の路線を踏襲、脳天直撃めんそーるなぴかぴか pure techno に仕上げてまいりました。Mind Design 亡き今、日本の pure techno 界を背負うは俺っきゃねーと奮発したかどうかは解りませんが、"Jelly Tones" の頃のように無限の音ねた引出しから前人未踏の techno 音楽を作り上げるといった気負いは全く無くなり、快楽直結なきらりん synth と躊躇いなく打ち出される四つ打ちで突撃突進全力疾走であります。いやよくよく聴けば ambient ぽいのやべた funky な track も入ってますが、そんな accent の印象よりもやはり positive 120% な pure techno にこそ今の Ken Ishii の立ち位置があるのでしょう。
 detroit techno 回帰との声も聞こえてきますが、小生には original detroit 派よりも、Technasia や Soma 一派や detroit 方面の f-com が開拓した西欧 pure techno の潮流に乗ってるような音に聴こえます。そして西欧 pure techno がどうしても elegant な形でまとめてしまいがちなところを、べたな melody sense で踏み込んで一線越えちゃったといった風情。
 聴き込む程に新たな発見があるような album ではないですが、ただただ光に飲まれて脳味噌すっからかんになるまで蕩けて呆けて思考停止させられるような album であります。いやはや素晴らしい。

log modified: 2006/11/28 02:55:49 JST

2006.11.28 (Tue)

Yoshihiro Hanno / Unknown Millennium Mambo & All Tomorrow's Parties

 半野喜弘が映画向けに作った曲の compilation。2006 年発表。
 過去に "Flowers of Shang-hi" や "永遠の仔"、"Platform" といった soundtrack 仕事をこなしてきた半野喜弘でありますゆえ、この手の仕事はお手のものといった風情か。全 12 曲、ambient 風味の緩やかな soundscape が大半を占めており、電子音や noise も入ってはいますが、主に弦や piano を使った室内楽風の楽曲で編成されています。
 club music を経て Arvo Part や Morton Feldman の境地に達したような佇い。この人らしい哀愁めろも時折覗かせますが、不協和音をも透徹した美意識の元に組み入れるという姿勢は変わらず。危うくもあり儚くもある、緊張感溢れる美しさに酔える一枚。
 そういや小生は soundtrack は持っていても肝心の映画の方はさっぱり観てないのですよ。興味はあるんですけどねぇ。あ、"Millennium Mambo" は半野さんの曲は使われなかったとか。世界を作りすぎちゃってるんでしょうかね……。

diary

 虫歯が痛いっす。医者に見せねば。

log modified: 2006/11/29 02:58:34 JST

2006.11.29 (Wed)

Glenn Gould / Glenn Gould plays Mozart

 そういえば今年は Mozart 生誕 250 年なのでした。Mozart は性に合わない小生ですが性に合わないことを折にふれ確認するのも一興なのです。ということで Mozart にゃ好意的でなかったことで有名な Gould による Mozart の piano sonata 全集を聴いております。
 録音時期は 1965 年から 1974 年までと長期に渡ってますが、演奏のばらつきは殆ど気になりません。score の指定に捕われない演奏らしいですが小生は基準が無いので良く解りません。ただただ軽やか。Mozart も軽いが Gould も軽くて、この二人、実は相性良いんじゃないかのぅ。

diary

 仕事を早めに済ませて歯医者に行ったある。歯医者なんて小学生以来であります。
 れんとげん撮って、虫歯なところに詰物して本日は終了。歯槽膿漏気味と脅される。来週も招聘されました。そのうちどりるでがりがりやられたりするんかのぅ。

log modified: 2006/11/30 02:51:27 JST

2006.11.30 (Thu)

Warren Haynes / Tales of Ordinary Madness

 Gov't Mule や Allmans の guitarist として有名な Warren Haynes の solo album、1993 年発表。
 90 年代の復活版 Allmans や、初期 Gov't Mule の heaviness に比べれば、拍子抜けするほどに mild で大人向けな blues rock を展開しております。southern rock な泥臭さもあまり感じられず、どっちかつーと Paul Rogers や Robert Plant が 80-90 年代にやっておった radio 向け blues rock に通じる雰囲気であります。勿論 Warren の経穴を心得た bluesy な guitar も楽しめますが、むしろ vocalist としての Warren を強く印象付けるような album に仕立ててます。ざらざらした男の声で soulful に歌いあげる Warren Haynes、いやーんかっちょえええ。
 まぁ Warren にしては大人しすぎとの印象もありますが、Gov't Mule は濃すぎて腹一杯という人にはこちらの album の方がお勧めであります。

diary

 やっぱ駄目かなと思ってたらやっぱ駄目だった。相手の弱いところを狙うのは兵法の常道ですな。

森 博嗣 『ZOKU』
「ちくしょう!」上下に揺れながら、ロミが叫んでいる。「今度会ったらなぁ、袋叩きにしてやるからよぅ!」
「年増ぁ! 厚化粧ぅ!」両手をメガフォンにして野乃は大声で怒鳴った。「腕の肉、落としてこいよなぁ!」
「きぃ! 畜生ぉ!」ロミはヘリを見上げている。「おいこら、ケン、もう一回、降ろせ! あいつ、叩きのめしてやる」
「この安物のコートどうすんの?」野乃は叫ぶ。「たく、こんな流行遅れ、恥ずかしくないのかよぉ!」
「馬鹿者! そのブランドがわからんのかぁ。裏地を見ろぉ、裏地をぉ! お前にくれてやるわぁ! 洗濯に気をつけろぉ!」
「ばーか、いらねぇよ、こんなもん」(page 59)

 森博嗣にしてこのびっくりまーくの多さには吃驚ですな。光文社文庫版で読了。
 悪の悪戯集団 ZOKU と、彼らの企みを阻止しようとする TAI との戦いの記録であります。何せ悪戯なもので scale は小さくて地味なんですが、そのトホホな味わいがまた面白い。森博嗣版たいむぼかんな印象。
 無駄なことに手間暇かけまくるという実に人間味溢れる一作で、V series に輪をかけて強烈な登場人物群の漫才も楽しい。のりのり (死語) な森博嗣を堪能できる一冊でした。

log modified: 2006/12/27 21:50:51 JST

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