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仏蘭西の techno 屋、Scan X の 1996 年作。済し崩し的に今週は 1996 年懐てく週間ということに相成りました。って、そんなに持ってないはずなんですけどねこの時期の techno な album なんて。ええと、Sauarepusher の "Feed Me Weird Things" が 1996 年だったっけ……といったところくらいしか思い出せんし。
それはさておき Scan X ですがこの album はあまり人には勧められませんなぁ。hard minimal あり、ambient あり、breakbeats ありという感じで引出しは多そうですが個々の track の印象は薄いのです。言うなれば駄目な頃の Laurent Garnier 先生のようです。ううむ、どうにも優等生な作りで毒がない。まぁ、そういうところも french techno っぽいと言えなくもないですが。
8 人の監督による short film compilation。2002 年。邦題「10ミニッツ・オールダー イデアの森」。
手短に review。ねたばれあり。って、いつものことですが。
"Histoire d'eaux" (Bernardo Bertolucci 監督作品)。
Bertolucci 版の胡蝶之夢みたいな話。新味はないですが真っ当な作りで良くも悪くも安心して見られる作品。
"About Time 2" (Mike Figgis 監督作品)。画面四分割による一代記。
一度に四つも観られません。TV の中の爺さん婆さんが不気味でよろしいです。
"One Moment" (Jiri Menzel 監督作品)。老優の若かりし頃から現在までの変遷を描く。
10 分で一生分ですがやっぱ物足りないですね。
"Ten Minutes After" (Istvan Szabo 監督作品)。とある夫婦が 10 分後に破局する。
まぁ、見るからに壊れてそうな嫁さんに旦那さんなので納得な落ちであります。
"Vers Nancy" (Claire Denis 監督作品)。列車に揺られつつ Jean-Luc Nancy による外国人や侵入者についての哲学的なお喋りが続く。
映画ではないですな。
"The Enlightenment" (Volker Schlondorff 監督作品)。過去・現在・未来の時間概念についての独白と、BBQ に勤しむ家族の姿を描く。
この落ちを見せるのに 10 分は長すぎでした。
"Addicted to the Stars" (Michael Radford 監督作品)。うらしま効果と 10 分後と親子の再会。
王道 SF な話ですが細かい作りこみが光る作品であります。地下鉄の修道女の姉ちゃんは robot 姉ちゃんより人間的だし、息子の部屋からの去り際に父親の務めを果たすところも美味しい。意外と楽しめました。
"Dans le noir du temps" (Jean-Luc Godard 監督作品)。10 の最後の瞬間を収めた超短篇集。
いや素晴らしい。愛も暴力も情念も悲哀も瞬間の中で等価に配置される。これぞ minimal 映画、でもって映画そのものにも終焉を突き付ける過激なお茶目さも披露。面白いね Godard、他のも TV でやってくれよ。
7 人の監督による short film compilation。2002 年。邦題「10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス」。
手短に review。ねたばれあり。って、いつものことですが。
"Dogs Have No Hell" (Aki Kaurismaki 監督作品)。男が人生をやり直すため知合いの女と結婚して siberia へ旅立つ。
相変わらず独特の空気感がある Kaurismaki 作品であります。言葉数少なくて登場人物もろくに感情表現しないにも関わらず、観ているこっちは一々身を捩らせてしまうのであります。
"Lifeline" (Victor Erice 監督作品)。赤ちゃんの臍の緒から血が洩れ出して村人がそれを治す話。
ひたすら地味ですが黒猫に惚れました。
"Ten Thousand Years Older" (Werner Herzog 監督作品)。密林に住む最後の原住民族に探険隊が接触した後、文明社会に慣れた原住民族の現在の姿を描く。
この人らしい documentary touch の作品。実話かどうかは解りませんが実際にあってもおかしくないような話でしたねぇ。時計を撫で回す姿が何ともいえん。
"Int. Trailer Night" (Jim Jarmusch 監督作品)。女優が 10 分間の休憩を得て trailer house で寛ぐ様を描く。いや実際には寛ぐ時間なんて無いんですが。
女優がだんだん苛ついていくのが観ていて面白いです。休憩時間まで entertainment にされてしまって御愁傷様な一作。
"Twelve Miles to Trona" (Wim Wenders 監督作品)。大人向けのお菓子をたらふく食ってしまったが故に病院求めて車を走らせる男を psychedelic な幻覚が襲う。
road movie ならぬ trip movie。Wenders もこういう作品が撮れるんですなぁ。
"We Wuz Robbed" (Spike Lee 監督作品)。Al Gore と George W. Bush による 2000 年の大統領選の舞台裏について関係者の証言を交えて展開。
大統領選自体には特に興味無かったのですが、各種の証言を細かく切り貼りして speedy な展開を持たせている点は面白かったですね。
"100 Flowers Hidden Deep" (Chen Kaige 監督作品)。再開発で更地になった場所に家があると主張する男から荷物の引越しを頼まれた引越屋が、見様見まねで荷物運びする話。
この作品集の中では一番どたばたしていて五月蝿い作品でしたなぁ。落ちも CG ぽい見せ方で安い。まぁ、話は解りやすくてよろしかったです。
という感じで "Ten Minutes Older: The Cello" に比べれば普通に楽しめる作品が多かったですな。
Jonathan Lynn 監督作品、2002 年。邦題「いとこのビニー」。
めりけん南部を車で旅していた二人の若者 Billy Gambini (Ralph Macchio) と Stan Rothenstein (Mitchell Whitfield) は、田舎町の convenience store で買い物したときに tuna can を一個ねこばばしたことに気付く。その後彼らを追いすがってきた警官は物々しい様子で彼ら二人を逮捕。二人は罪を認めたが、警官達は彼らをねこばば犯としてではなく、convenience store の店主殺害容疑でとっ捕まえていたのだ。町の住人達は二人が犯人だと証言し、二人はすっかり殺人犯として疑われる。弱った Billy は母親に電話し、母親からの伝手により弁護士である叔父の Vincent Gambini (Joe Pesci) が婚約相手の Mona Lisa Vito (Marisa Tomei) を連れて二人の弁護に駆けつける。だが Vinny は弁護士免許取り立てのど素人、しかも南部の形式ばった裁判に手を焼き、夜はいろいろと煩くて眠れない。前途多難な状況の中で、Vinny に勝機はあるのか……?
"Goodfellas" での Joe Pesci も饒舌でしたが、この映画でも喋り炸裂ですな。面白いんだけど油断できん、という役回りも似てるし。ちんぴらやくざ風の役がはまる人です。
内容は comedy touch の法廷もの。途中までは Vinny のやる気のなさに観ていて心配になりますが、だんだん調子に乗ってきて最後はめでたく終了、という安心の一作。一見笑いを取るために拵えたような場面も、後の法廷場面で有効に使われたりして、comedy とはいえ侮れないしっかりした作りが光ります。
気軽に観られる B 級映画の佳作でありました。
筆を擱いてから、孔明は、双眼を閉じた。「表に臨みて涕泣し」と記していたが、その閉じた双眼はかわいて、泪は流れていなかった。渠は、胸中で哭いたばかりであった。(page 595)
集英社文庫版で先日読了。全六巻の三冊め。
赤壁の合戦で魏は呉に大敗を喫し、曹操は逃げ帰る。劉備は蜀を得て天下三分が成るが、義兄弟の関羽、張飛を無くし、自らも志半ばで倒れる。栄華を究めた曹操もまた逝き、時代は変わっていく。南蛮を征して力を蓄えた蜀は、孔明の出師の表を以って遂に魏を討つべく出陣する……の巻。
流石に吉川版に比べると展開が早い早い。主要人物がぱたぱたあっさり退場していく中、自分の死期を感じながらも国に尽くそうと尽力する諸葛亮孔明の描き込みは力が籠っております。こうなると孔明も柴錬好みの死にかけ男にされてしまうのであります。