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寒くなると思い出す Jazzland 一派。Eivind Aarset (g) のこの album も 2004 年の夏場に release されていたんですが先日購入。いや単に気付かなかっただけなんですが。
音の方はますます寡黙に dark に突き進んでる感じ。一応 melody らしきものはありますが、むしろ ambient な音響の広がりを主に聴かせる作品になってます。でも Eno の ambient のように広がりながら纏まっていくという感触ではなく、音の密度を上げながらも chaotic に広がり続けるといった風情。なので、濃いのか薄いのかわからん。そこがまた暗黒音楽らしくて良いのですよ。
前作の "Light Extracts" と同じような路線なので目新しさはありませんが、jazz と electronica の間を埋めるようなこの音作り、やっぱ個性的です。
いやほんと買うつもりはなかったんですよ Riow Arai は胃に凭れるつか緻密な edit と音圧充分なドダダダに打たれるというよりボコられる感じで聴いてしまう否聴かざるを得ないので冬場はまったり系 ambient で暖まりたいと願う小生はひたすら逃げ腰だったんですな、でも店頭で試聴したらば見事にハメられて現在も聴き浸り中。って、この展開は "Device People" ん時と同じではないか。結局好きで聴いてるってことでしょう。決して学習能力が欠如している訳ではないと信じたい(爆)。
Riow Arai、2004 年の album。beat に魂売り渡した者の到達した、硬派な breakbeats です。硬くて重くて groovy。ハッタリ充分な一発 effect を万華鏡のように組み合わせ、場を掴んで離さない beat の楔で聴く者を思わず金縛りにさせてしまう track の数々。これまた音楽というより音響彫刻みたいな出来ですが、過去の作品群に漂っていた minor で underground な香りは微妙に払拭され、何処か堂々たる風格を備えつつあるような気がします。密度の高い強烈な beat 乱舞の後、tr.10 "Overtime" で緩やかな空間を呈示して締め括るという、なかなか美味しい構成も良好。
でもまだ余力ありそうな作りですねぇ。この人、まだまだ高みに登ってくんじゃないですかね。
俺は突然おかしくてたまらなくなる。笑い出すのをこらえられない。自分が発狂寸前なのが判る。笑い出すのはやばい。でも笑い出してしまう。こらえられないのだ。俺の上に馬乗りになった男が笑い出した俺を見て殴るのを中断して小首を傾げる。どうせ俺のことをマゾヒストか何かだと思ったんだろう。違うんだ。俺は本当はハンニバル・レクターなんだ。正確に言えば映画版『ボーン・コレクター』のデンゼル・ワシントンなんだ。(page 225)
講談社文庫版で読了。
米国で多忙な外科医として働いている奈津川四郎の元に、福井の実家で母が怪我して入院したとの連絡が入る。実家に戻ってきた四郎は、母が何者かに殴打されただけでなく、庭に生き埋めにされていたと知る。さらにこの件は一連の主婦殴打生き埋め事件に連なるものらしい。怒り狂った四郎は古い友人の人脈を利用して自ら犯人を突き止めるため動き始めるが……。
脳内妄想を撒き散らしながら高速でどかどか突き進む暴力ミステリ。しかし帰着するのは壊れた家族の修復だったりする。四郎が外科医なのも納得なまとめ方が見事。
語り口の tension の高さに疲れますが、個性的ではありますなぁ。
Steven Soderbergh 監督作品、2001 年。
窃盗が元で服役中だった Danny Ocean (George Clooney) は、仮釈放後、Frank (Bernie Mac) や Rusty (Brad Pitt) といった昔の知り合いを訪ね歩く。Danny は Las Vegas の casino から大金をせしめようと計画していたのだ。しかし警備厳重なその casino の金庫を破るには、優秀な人材と準備資金が必要。元 casino owner の Reuben (Elliott Gould) の協力を得た Danny は、爆破に詳しい Basher (Don Cheadle) やスリの Linus (Matt Damon) らを仲間に引き込み、また本物の金庫を真似た set で予行演習したり、casino owner の Terry Benedict (Andy Garcia) の行動を探らせたりして、着実に準備を進める。その Benedict の現在の恋人は、美術館館長の Tess (Julia Roberts) で、彼女は Danny の元妻だった。Danny と Tess が接触したのを目撃した Rusty は、Danny の目的は金庫破りではなく Tess の奪還であると思い、仕事に私情を挟む Danny は危険と判断して彼を計画から下ろす。Danny を蚊帳の外に置いたまま計画が幕を開けるが……。
1960 年版 "Ocean's Eleven" の remake 作品。でもこっちの方が面白い作品になってます。狙う金庫を 1 つにして、個々の member の役割分担を明確にした分だけ、professional な集団による金庫破りが映えて見える、ってことでしょうか。女絡みの話を Danny と Tess と Benedict の三角関係に絞ったのも無駄がなくなって良い。でもこれすら無駄だという指摘は hollywood 的には通らないんでしょうねぇ。
粋な泥棒さん映画としては楽しめます。でもやっぱ登場人物多すぎなので深みに欠ける。まぁ、お祭りノリな映画としては上出来の部類でしょう。George Clooney は真面目な堅物演じるより軽ノリな方が似合いますな。他の役者は略(爆)。あ、Andy Garcia 見たのは "The Untouchables" 以来だと思いますが、良い感じの中年おっさんになってました。でも大物って感じがしないので減点っす。
Tim Burton 監督作品、1996 年。
空飛ぶ円盤が火星から地球にやってきた。合衆国大統領 James Dale (Jack Nicholson) は、生物学者の Donald Kessler 教授 (Pierce Brosnan) の意見に従い、火星人との first contact を図る。しかし交渉は決裂し、火星人による地球侵略が始まる。火星人の圧倒的技術の前に地球人は成す術なく敗れ去って行くが、田舎の donuts 屋の従業員 Richie Norris (Lukas Haas) が火星人の意外な弱点に気付く……。
Tim Burton らしい SF panic 超大作。即ち cheap で black で B 級。裏 "Independence Day" て感じか。
Pierce Brosnan の壊れぶりや Michael J. Fox の愛に死ぬ様や Jack Nicholson の大統領演説の無意味さを笑いましょう。そしておばあちゃんを大事にしましょう。囮になって火星人と殴り合った Byron Williams (Jim Brown)、最後に良い背中を見せてくれます。Tom Jones の歌に舞い踊る動物たちも良い演技です。って演技か?
確信犯的馬鹿映画なので何も考えずに観るのが吉。
「ピコピコには funk が宿っておる」と喝破した detroit の人はやっぱり偉いと思うわけで、21 世紀にもなって相変わらずへっぽこ cheap な electro を量産する delsin もまた偉いと思ってます。この label のへっぽこさは歳月が経つほどに磨きが掛かっていて、delsin から新人が出てきても音は脱力系ピコピコでとても新人とは思えなかったりしますが、その懐古趣味に徹した color がまた愛らしくてたまらんのですよ。
で、Dynarec の 2004 年作。予想に違わぬへっぽこ funky electro で微妙に笑いを誘います。軽量級 Drexciya みたいな感じで開幕。でも聴き進めていくと、妙に upper になったり、清涼系 synth で detroitish な展開を見せたりして、なかなか巧妙な音作りを披露してます。もう何つかね、音は cheap でも heartworm な一枚です。昔の game music 聴き直したくなりますな。delsin この調子で頑張ってくれ。