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UK の metal band、Black Sabbath の 2013 年作。
Ozzy Osbourne (vo)、Tony Iommi (g)、Geezer Butler (b) の original member が久々に結集するも Bill word (ds) は不参加で Rage Against the Machine の Brad Wilk (ds) を session drummer に迎えての作品となっております。producer は Rick Rubin。Rick Rubin といえば音楽業界の Jerry Bruckheimer と言っても良い (注: 個人の主観です) hit 作請負人、今回の彼の注文は原点回帰だったそうで、Ozzy 期の Black Sabbath な墓場鬼太郎的なおどろおどろしい heavy で prog rock 的な世界観を志向したそうな。
その試みは半ば成功、半ば失敗といったところで、middle tempo で riff 押しズンドコ押し、そこに Ozzy のふやけた vocal が乗っかるという初期 Black Sabbath な特徴は充分押さえられております、がしかし、如何せん演奏が上手くなりすぎた (爆)、tight な rhythm 隊がビシバシと要所を締める音像は安定そのもの、楽曲も prog rock な大仰さは控え目でかつてのお笑いすれすれな揺らぎの陰は微塵もなく、strong style の鍛え上げた doom metal band な Black Sabbath の姿が浮かんでくる図になっております。世の風評で言われる「よく出来た Black Sabbath の copy band」然な赴きというのはこういうところから出てくるんでしょうなぁ。copy band ってある意味 original よりも出来すぎてるところがありますし。本家にしてこのパチモン臭は如何なものかと思わなくもないですが、逆に言えばそれだけ 70's の Black Sabbath が異常だったわけで、Ozzy 期の Rhino 版黒箱 set はやっぱお買い得やったなぁと思わざるを得ません。
全曲悪くはないんですが last track の tr.8 "Dear Father" は締めが雨の effect 音になっていて、これは first album の "Black Sabbath" に繋がる意味合いもありそうなので、Black Sabbath 年代史としては円環の理を閉じる意味合いもあったりするんですかね。そういう意味で今作を Black Sabbath の最終章と位置づける論評もあるようですが、original member がピンピンしとる状況ではそういう theatrical な装飾など無意味、と思いたいところです。にしても名刺代わりの一曲は欲しかったところ。tr.1 "End of The Beginning" も tr.2 "God Is Dead?" も往年の "Iron Man" や "The Wizard" には及びませんよ。まぁ、次の展開に期待しましょうか。Black Sabbath にはもっとダサかっこええ路線を望むものであります。
孤高の beat master、Riow Arai の 2013 年作。rar-02。
beat oriented な楽曲で占められた全 11 曲。そうだよなー Riow Arai といえばこれだよなーという、listener の欲望にそのまんま応じたかのような stoic な beat 乱舞の album であります。beat で歌わせられる Riow Arai の真骨頂、4 小節ないし 8 小節毎に展開があり story があり高揚があり酩酊があるという面妖な beat album。拒食を配した先に何があるのか、を自ら突き詰めた album と思います。
こういう album を世に問うにはそれなりの覚悟があるでしょう。一般受けするような仕立てでもありますまい。しかしこういう album に出会えることは僥倖でもあります。小生は metal な album での drum solo といえばおしっこ time と思ってしまう人でありますが、beat に憑かれその有用性を只管突き詰めんとする Riow Arai の姿勢には敬意を払わずにはおれませぬ。いやほんと面白いんすよこの人の beat は。正に職人の芸。一人 beat 踏み絵な様相もありますが、minimal techno の現代風展開という解釈も可能なこの意欲作、minimal おたくな人は体験して損はなかろうと。歌う beat の可能性を御大自ら示すの一枚であります。