Noisy Days in April, 2011

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2011.04.12 (Tue)

Soundgarden / Live On I-5

 Seattle の重低音系 rock band、Soundgarden の live 盤。収録は 1996 年、release は 2011 年。
 90 年初頭の Seattle alternative rock 開花時代からもう 20 年以上が経過してしまったわけですが、その割には未だに評価低いよなぁ Seattle 勢って、等と思っている小生は単なる情弱なのであろうか。20 年もあればそれなりに scene の変遷や新たな movement の勃興もあって然るべきと思うのですが、alternative rock って昔も今も大して変わっとらんよなぁと net radio のおるたな channel を聴きながら思ったりもするのです。guitar の音がある意味完成されてしまったことと CD の存在が大きいのかも知れませんが、音質面での展開はもう滞ってしまってる印象。となると楽曲面で個性を出せる band が強みを出せるわけで、その点、変態 groove の引き出しが豊富だった Soundgarden は今の耳で聴いてもやっぱり面白い band でありました。もっとも、小生がこの band を評価しはじめたのは 00 年代以降で、丁度個人的な Zepp 再評価時期と重なってたりもするので、おっさんにならんと解らんツボもあるのかも知れない。
 さてこの live 盤ですが、彼らの解散年である 1996 年の live tour からの収録ということで、録音良好、演奏もこなれた調子になっております。アコギを抜いた Zepp とダサさを抜いた Black Sabbath を足して闇鍋で煮込みました系の音。それでいて doom 系の暗黒殺伐にはまりこまない絶妙の距離感覚が Soundgarden の持ち味で、heavy で groovy だが後味が重すぎないという何とも american な rock band なのであります。その辺の持ち味が存分に発揮された "Badmotorfinger" や "Superunknown" からの楽曲はやっぱり live でも盛り上がりますなぁ。tr.8 では The Beatles の "Helter Skelter" を、tr.14 では The Stoogess の Search and Destroy" を cover してます。前者は Soundgarden らしい粘っこい bass line での暗黒 pysche 調、後者は本家ばりに punk な演奏になっております。
 2010 年に再結成した Soundgarden は現在新作準備中とのこと。Matt Cameron (ds) は Pearl Jam との二足の草鞋で大丈夫なのであろうか。

log modified: 2011/04/12 14:35:39 JST

2011.04.13 (Wed)

Pearl Jam / Live On Ten Legs

 めりけんの alternative rock band、Pearl Jam の 2011 年発表 live album。2003 年から 2010 年の live take から pickup したものだそうな。
 best take 集と思っていいんだよな? と身構えて聴いてみたらば、やっぱり PJ、ヨレる ensemble に音程不安定な Eddy Vedder の vocal で、演奏が上手いとは未だに思えなかったりする。でもってそういう佇まいに安心したりもする。突き抜けすぎず真面目すぎず、が Pearl Jam 的養命術。とはいえ 09 年作 "Backspacer" では活きの良い hard rock をぶっ放した PJ、この live 盤でも Joe Strummer の tr.1 "Arms Aloft" で景気良く始まり、tr.4 "Got Some" や tr.9 "The Fixer" といった "Backspacer" での speed number を随所に挟んで勢いを持たせてます。とはいえやっぱり観客の反応が良いのは 1st と 2nd からの曲で、tr.13 "Jeremy" や tr.17 "Alive" でならまだしも、tr.3 "Animal" で客席合唱してるのには正直吃驚でありました。個人的には tr.8 "Reaview Mirror" の live 版聴けたのが有難や有難やであります。
 結成して 20 年以上を経過し、live 盤で一区切りという気持ちはあるでしょうが、長年続いている band が否応なしに背負ってしまう終わりの無さというか加齢臭というか、どう作っても band の定型みたいなものに吸い寄せられてしまうという通過儀礼に PJ も立ち会っている状況とは思います。そんな中で rock し続けることの意味と重さを、PJ が次にどう表現するのか、小生も心して待つことにしましょう。

log modified: 2011/04/13 13:07:52 JST

2011.04.14 (Thu)

Moritz von Oswald Trio / Horizontal Structures

 minimal dub 仙人の Moritz von Oswald と、Max Loderbauer、Sasu Ripatti の三人で trio してる band の 2nd album。今回は Marc Muellbauer (double bass) と Paul St. Hilaire (g) も参加。もう MoO & Friends でいいんじゃね?
 人力 minimal dub なのは前作 "Vertical Ascent" と同様ですが、bass がおるというだけで随分と dub 寄りな音に聴こえるようになった、というのが第一印象ですが、だからといって派手な展開や即興の偶発的な高揚なんてものとは相変わらず無縁で、禅寺の修行僧が結跏趺坐して無心にぽくぽくやっておるような雰囲気であります。更に恐ろしいことに bass の存在感に比して percussion の後退振りが甚だしく、予定調和な高揚を理詰めでひたすら否定するという Moritz 流禁欲のススメが一層徹底された観があります。どんだけ訓練されとるんやこの戦士供わ。
 こういう album を楽しめるような人は連日 minimal やら ambient やらに in しては、端から見れば空調の noise にしか聞こえないような緩やかな音響を浴びて思わずちきん肌になったり濡れてしまったりしてしまう剛の者であることは明白でありますので、そういう人達からの 1 曲長いけど我慢して聴いてると終盤に高揚するよとか微細な変化を注意して聞き取っていくと面白いよとかいう提言は全て初心者を minimal 無限回廊に誘い込むための罠であり、どうどう巡りの中で変化する/しないに関わらず脳汁どばどば放出してしまうような minimal 廃人の送出、ひいては地下世界における minimal の復権こそが彼らの目的なのでありますので、minimal dub 初心者の方は是非ともこの album を手に取って新しい世界に目覚めて頂きたいと思うのであります。まぁそうは言っても、この路線で突き進んでいくと果ては池田亮二か filament か、と思わなくもなかったり。

log modified: 2011/04/14 13:11:53 JST

2011.04.15 (Fri)

Beth Gibbons & Rustin Man / Out of Season

 Portishead の vocalist である Beth Gibbons と、元 Talk Talk の bassist である Paul Webb による unit の 2002 年作。
 薄暗く霧深く一度踏み入れば安易に抜け出せぬ UK folk rock の樹海と言えば Nick Drake の一連の作品が筆頭に挙げられるでしょうが、Beth Gibbons が持つ森の妖精さん実は魔女のお婆さんな声もまた、listener の気分を滅入らせずには居られない底なし沼の磁力を持つ危険な代物であります。そういや tr.8 は title からして "Drake" だものね。意識せざるを得ないってもんです。
 Portishead では trip hop で electro な意匠が如何にも 90 年代以降の音楽であることを印象付けていましたが、それでも Beth Gibbons の downer な声が引き寄せる圧倒的な存在感が Portishead の核になっているのは間違いないところでありました。で、Paul Webb との共同名義で作られた本作では、acoustic guitar や室内楽の simple な伴奏に乗せて Beth が物憂げな歌を聴かせるという仕立てになっており、2002 年の作品ながら気分は 70 年代 UK folk rock という趣向であります。でもって例によって暗い怖い鬱い。tr.2 "Tom the Model" のようにサビで horn 隊が盛り上げる曲でさえ Beth の恨み節が救い無き終局を呼び込むようでただただ恐ろしい。そして聴く度に気分を滅入らせる Beth の wisper voice での tremolo は、恐ろしくもありまた美しくもあるという、まるで淫靡な匂いで獲物を誘う食虫花のようであります。全く、こういう未開の感覚も刺激してしまうから音楽ってのは面白いね。
 個人的には piano の伴奏が美しい tr.3 "Show" から似非妖精 voice で幻惑する tr.4 "Romance" への流れが素晴らしいと思っております。

log modified: 2011/04/15 12:45:54 JST

2011.04.19 (Tue)

Imogen Heap / Ellipse

 英国の singer songwriter、Imogen Heap の 3rd album。2009 年発表。
 何の因果かこの人の solo album は全て邦盤が release されておるわけですが、その割には知名度が今一つだったり Jeff Beck 絡みで取り上げられたりで、この極東の島国では何とも薄幸の歌姫な雰囲気を醸し出している Imogen Heap さんでありますが、そんな世情なぞ何処吹く風なこの姉御の 3rd album はやっぱり傑作なのでありました。
 基本路線は従来通りのとろにか系 vocalization ですが、この album ではとろにか成分は若干抑え目で一聴したところの impact という点では従来の作品より地味、ですがその分歌そのものの比重が増しており、一人多声録音の arrangement は大半の track で半端ない level で積み上がっております。まぁ中には tr.11 "The Fire" のような inst. や tr.13 "Half Life" のようなメロ聴かせる弾き語りもありますが、この姉御が今時珍しいくらいの変質的な polyphony 狂であることは今更隠し様もない事実でありますので、それらの track が前作の "Hide And Seek" に相当する rip service なのは自明の理でありましょう。
 ほぼ vocalization だけで組み上げている tr.3 "Earth" の世界観とか tr.6 "Tidal" や tr.10 "Aha!" での strings との絡みとか、まぁ聴き所はいろいろありますが album total での整合性も見事なものです。自分の本文の生かし方を知っている artist の作品、て感じがひしひしと伝わってくる労作ですので、とろにか好きな方にはお勧めな item であります。

log modified: 2011/04/19 13:48:35 JST

2011.04.20 (Wed)

The Nova Dream Sequence / Interpretations

 Philadelphia 出身の house producer、King Britt による The Nova Dream Sequence 名義作。2006 年発表。Compost Records からの release。
 Compost つーと未だに jazzy な breakbeats だったり tek house だったりな label という印象がある小生ですが、久しく追っかけてないので現状どうなっておるのかは殆ど知る由もないわけですが、にしてもその Compost から King Britt の、しかもやたらと地味渋な detroit techno 風味の album が release されたという話には結構驚いたものであります。まぁ何度聴いても地味渋という形容ぐらいしか出てこない訳ではありますが。ほんと Compost ぽくないよなぁ。
 King Britt と言えば個人的には優等生 house の最右翼、音圧薄めの綺麗系 house で毎度手堅く作りこむという印象ですが、その志向が detroit techno に向いて作られた本作はと言えば、やっぱり毒にも薬にもなりそうにない electro な house になっており、emothonal な pad は使わずにむしろ minimal で acid な音響に終始した今作は、detroit 禁欲主義というかべーちゃん的方向性に向かおうとしてやっぱり理性が踏みとどまってしまったという観あり。この辺の突き抜けないもどかしさは、方向性は違いますが Adam Bayer の "Ignition Key" に似た微妙な違和感が漂っております。まぁアレですね、detroit techno も今や様式美の範疇で語られる昨今ですが、実際のところ様式だけでは様式美には昇華できないということか。音楽てのは難しいもんです。

log modified: 2011/04/20 13:54:30 JST

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