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UK の singer songwriter、Imogen Heap の solo 名義 1st album。1998 年発表。
singer songwriter とはいえ electronic な音への指向性が異様に高く、また chorus arrange での polyphony へのこだわりも尋常でない、てのが Imogen Heap という人の個性であります。この 1st album は、後の album ほど全体の統一感は無いように思いますが、その分あれこれ試行錯誤を繰り返していた様が窺える作品になっております。曲調も electronica 系と言うよりは rock 系が多めで、tr.6 "Angry Angel" のように emo な guitar がのしかかる曲もあったりしますが、tr.2 "Sweet Religion" や tr.9 "Come Here Boy" といった一人多重 chorus な pop song はやはりこの人ならではの持ち味が出た track と思います。
裏声や呼気を露骨に使う歌い方も既にこの時期に確立してますね。小生はそういうのは苦手ですが。初期 Kate Bush や Tori Amos、Bjork に通じる歌唱ではあります。でも先人に比べれば downer 系ではないのでその手の音が苦手な人はご安心下さい。
tr.5 "Whatever" は攻殻 SAC 1st の ED "Lithium Flower" にそれとなーく似てます。むむ、また菅野ぱくり疑惑の種を見つけてしまったか。興味ある方はよーつべででも聞き比べてみて下さいませ。
UK の rock band、Free の 1st album。1968 年発表。
UK blues rock の優良種といえばこの Free なわけですが、それにしてもこの album での blues へのかぶれっぷりは相当なもんであります。tr.1 "Over The Green Hills (Pt.1)" での静かな導入、そして tr.2 "Worry" の重く狂おしい riff へ seamless に繋げるその展開を耳にしたとき、小生は彼らに対する認識を改めたのであります。うわこりゃやばい、blues 馬鹿一代な奴等の本気な album や、と。
60 年代末の rock 業界といえば、The Beatles もいれば Cream もいる、Zeppelin も出てくる間際、prog rock の潮流もひたひたと押し寄せる、そういう時代であります。blues rock なんてやっても余程飛び抜けた個性がないと売れなさそうな時代でありますが、そういう時代に自分たちの好きな音楽を突き詰めて活動した Free はある意味幸せな band だったのかも知れません。飛び抜けた曲もなければ捨て曲もないという、売る側にしてみれば扱いに困る類の album ですが、Paul Rodgers の漢節な歌いっぷりや Paul Kossoff の臨海突破な泣き guitar で濡れてしまう人にはこの 1st こそ至上でありましょう。生真面目もここまでやれば馬鹿とあまり変わりません。こういう album は小生大好きであります。
Finland の house producer、Jori Hulkkonen の 2009 年作。
近年では抽象度を高めた track 作りであまり house ぽくない世界に踏み込んでいた観のある Jori Hulkkonen ですが、今回は四つ打ちばしばし放り込み、analog synth も大量投入で retro な house 道に舞い戻っております。つか、こんなベタな house 作る人だったとは意外でしたねぇ。F-Com から離れたことで artist color も一新、といったところか。
寒風度合いが薄まったとはいえ、独特の美意識観と捻くれた pop sense は相変わらず。bottom の効いた body beat から Reich 風 minimal に展開し、しまいには双方入り乱れて世界をくにゃりと曲げる tr.3 "Danccerous" や、点描的な minimal phrase が位相を変えながら延々と紡がれる tr.11 "My Brother Went To Space And All I Got Was This Lousy Vacuum" 等は、北欧の音響魔術師らしい冷え冷えした味わいがあってよろしいです。地味ながら佳作と思いますな。
Timur Bekmambetov 監督作品、2008 年。
会社で地味に働く Wesley Gibson (James McAvoy) は、恋人を親友に寝取られたり上司に毎度小言を言われたりで、自分の人生と生活にうんざりしていた。そんなある日、彼の元に謎の美女 Fox (Angelina Jolie) が現れる。Fox の手引きで Wesley は Sloan (Morgan Freeman) と名乗る男に出会い、Sloan は Wesley の父親が The Fraternity と呼ばれる組織の凄腕暗殺者だったと伝える。その父親は組織の裏切り者によって殺された。Wesley にも父親と同じ特殊な能力があると見て取った Sloan は、Wesley に The Fraternity に入るよう勧める。初めはその言葉を疑っていた Wesley だったが、うんざりする日常に戻るよりはと思い、Sloan の元を再訪し、暗殺者としての道を歩み始める。やがて Wesley は、父を殺した Cross (Thomas Kretschmann) と対決することになるが……。
いやはや面白かった。漫画的な situation を映像化することに心血を注いでるっぽい近年の Hollywood 娯楽映画でありますが、ここまでやってくれりゃあ文句はありません。特にこの映画は車が飛んだり跳ねたりするところで唖然とするやら笑ってしまうやら。日本の映画ではこういう発想はないわー。
とはいえ Wesley が暗殺者として成長しても全然凄腕に見えないってのは問題か。お陰で終盤の大立ち回りは何だかお笑い芸人が CG 味方に銃振り回してアチョーしているようにしか見えない。まぁ、それはそれで笑いを誘うので良いのですが。まさか狙ってそう撮ってるんじゃあるまいな。