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めりけんの stoner rock band、Clutch の 2009 年作。WM009。
album は Billboard chart で初登場 38 位だったそうで。髭面のおっさん band にしては idol 並みの売り上げではないですか。メタボスキーと加齢臭ふぇちが大挙して持ち上げているに違いない。海の向こうは凄い国みたいですよ姉さん。
とはいえ基本路線は従来と変わらぬ重低音 blues rock。粘っこい riff を執拗に繰り出してじわじわ効かせる件の Clutch 節であります。今回は organ も blues harp も抜きで stoic な仕立てにしてますが、小細工しない分だけ rhythm 隊の頑張りが目立ちます。派手さは全然ないものの、やっぱこういう腰に来る rock は聞いてて気持ちが良いです。
Doug Liman 監督作品、2008 年。
平凡な高校生 David Rice (Hayden Christensen) はある日、自分に空間を瞬時に移動できる能力があることに気付く。その能力を使って David は銀行から大金を盗み、NY を拠点にしつつ世界中を jump で飛び回り優雅な生活を送っていた。だが、そんな Jumper 達を歴史上から排除してきた組織 Paladins が David に目を付け、Paradins の leader である Roland (Samuel L. Jackson) が David の身辺を洗い始める。David は幼馴染の Millie (Rachel Bilson) と Roma に旅行に行くが、その先で自分と同じ能力を持つ Griffin (Jamie Bell) と出会い、Griffin から David は自分の身に危険が迫っていることを教えられる……。
言うなれば超空間鬼ごっこ。scale は大きくともやってることは鬼ごっこなので正直つまらない。Paradins 側が明らかに不利な戦いを強いられるわけですが、でも悪役な描かれ方。David は能力使って遊び放題、良心に目覚めるでもなく自分を呪うでもなく、特別な自分をただ受け入れております。何というか、ふーんで片付けて問題ない映画でありました。
Italy の techno 屋、Mario Pierro の project である Raiders Of The Lost ARP の 2008 年作。小生保有は 2009 年に出た CD 盤、MFYL-001。
UR 一派も激賞、な音とのこと。とはいえ本家ほど壮大雄大どらまちぃっっくに白玉連発ではなく、どちらかといえば detroit techno を disco house 観点で解釈した音を目指しているような印象。この路線は半歩ずれるとださださに聞こえるので苦手であります。そういや Metro Area もそろそろ 2 枚目まとめてくれへんかな。
個人的には tr.8 "Fastfunk" や tr.11 "Space Garbage Collector" で伺える、ぷりんぷりんした synth 音が飛び回る funky な音作りが好きですな。この synth 音はどことなく Zero Divide の音を連想させます。って、古いネタでごめんなさい。
吉田達也率いる日本の rock band、高円寺百景の 1st album。元は 1994 年発表作ですが、小生保有は 2008 年に発売された、drums 再録 & remix 版。GMCD045。
和製 Magma と称される band ですが、Magma とか聴いたことないし。ついでに高円寺にも行ったことないし。吉田達也と言えば Ruins ですがあれはあれで怖い世界ですのであまりお近づきにはなりとうないし。等と思っておりましたが食わず嫌いはいけません。というか vocal が入っただけで何でこんなに聞きやすくなってしまうのか。嗚呼もっと早く聴いておくべきだった。
hardcore と prog rock を下敷きにしつつ、unizon な変拍子 chorus を refrain させて次元を捻じ曲げていく、というのが基本的な style。なので、ensemble 重視 & 楽曲優先の作りになっており、バカテク駆使した変拍子奇天烈音楽による強烈な音塊に始終晒されるにもかかわらず、全体の整合性が半端なく高く、故にやたらと groovy で聴きやすいという不思議。聴いているとなんだか神々しさまで感じてしまいます。多くの曲が 4 分から 5 分程度の長さに収まっているのも pop なまとまりを感じさせて良い具合であります。
pop とはいえ地下音楽ならではの bizarre な匂いも充分な作品なので、地下音楽初心者の方にも安心してお勧めできる album であります。
「なんと、いう、汚らわしい、話だ！」
ハゾスは激昂して怒鳴った。だが、怒鳴ってすむ場合ではない、と考えてかろうじておのれをおさえた。(page 245)
いやいや、いくら厄介者認定されておるとはいえ、自国の王女を何ヶ月もほったらかしにしておった宰相殿も大いに問題あると思いますよ。早川文庫版で先日読了。
グインはパロを出立して久方ぶりに自国ケイロニアに戻る。グイン不在で気落ちのあまりボケ老人化していたアキレウス皇帝、グインの顔を見たらば元気百倍で快活になる。グインは嫁のシルヴィアに会いに行くが、かつて夢の中でグインにぶった斬られたシルヴィアは、その後自暴自棄になって夜な夜な下町に繰り出して乱交三昧、グインが部屋に押し入ったときには彼女は腹ぼてになっていた。凹んだグインは宰相ハゾスに事の次第を打ち明け、かくしてハゾスは事態を収めるため長い夜を東奔西走する、の巻。
ここでグインが「俺の嫁に手ぇ出したやつは全員ぶった斬る！」とか言って下町で暴れたりすれば、いよう大将、漢はそうでなくっちゃと発破かけて差し上げるところでありましたが、肝心なところで泣き寝入りしちまうのは如何ともしがたい。豹頭よりも玉の小ささをグインは恥じるべきであります。
豹頭一人いなくなっただけでよれよれになる皇帝も阿呆、その有様を把握しつつ何ら手を打たぬ宰相殿も螺旋がゆるんでおる。ケイロニアが磐石、なんてどっからどう見ても言えぬ状況ではない。もう朴訥なんて level じゃねーぞ。
という感じで今回も楽しませて頂きました。120 巻を経てもまだまだ厨二な展開が続きそうです。
Andrew Hill (p)、Richard Davis (b)、Roy Haynes (ds)、Joe Henderson (ts) といった面子による 1963 年録音。Blue Note より。
60 年代の jazz は多かれ少なかれひねくれてる盤が多いわけですが、この Andrew Hill という人もかなりなひねくれ者な感じです。全曲 Hill の original で構成されており、冒頭に theme を配してから jazz 発現するという点では普通の jazz ですが、聴いていると沼地でずぶずぶ沈み込んでいくような妙な崩壊感に陥ります。Joe Henderson が前に出ている時には percussive な弾き方ですが、solo 取ると途端に自分の地場に持ち込んできますねこの人は。
Thelonious Monk の作品よりはまだ聴きやすさがあるものの、変な音であることには違いなし。jazz で変というのはむしろ褒め言葉であります。