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Martin Scorsese 監督作品、2006 年。
Massachusetts の警察学校を卒業した Colin Sullivan (Matt Damon) は、その経歴には傷一つないものの、街の irish mafia の首領 Frank Costello (Jack Nicholson) に育てられた過去を持っていた。Colin は署内で mafia 撲滅の最前線に立ちつつ、Costello に情報を流していた。一方、Colin と同じ時に警察学校を卒業した Billy Costigan (Leonardo DiCaprio) は、犯罪者の一族に生まれた過去を持っていた。その経歴に目を付けた警察上層部は、彼に mafia の潜入捜査を命じる。Costello の尻尾を掴み、また署内で Costello に内通する鼠をあぶり出すという孤独な任務を背負った Billy は、その重圧に耐えつつ Costello の腹心に収まっていく……。
寒国映画の remake らしいのですが元の映画は見たことなし。
正義を信奉する男が悪に身をやつし、栄達の道を行く男が裏世界と深く通じている、という設定は面白いのですが、Scorsese の映画らしい tempo の悪さでいろいろ台無しに。得に Colin と Billy の両人に挟まれて右往左往する精神科医の姉さんがかなり邪魔。落ちの鼠もわざとらしいし。
とはいえ、喰えない親父振りを見せつける Jack Nicholson には素直に敬服。
J. Lee Thompson 監督作品、1962 年。邦題「恐怖の岬」。
敏腕弁護士 Sam Bowden (Gregory Peck) は、美人妻 Peggy (Polly Bergen)、一人娘 Nancy (Lori Martin) と共に幸せな家庭を築いていた。そんなある日、Sam の前に Max Cady (Robert Mitchum) が現れる。Max はかつて Sam の証言により刑務所に送られたのだが、刑期を務め終えて怨敵 Sam の前に現れたのだった。直接手出しはしないものの、Sam やその家族の行く先々に Max は現れ、無言の圧力をかけてくる。Sam は Max を警戒し、警察署長の Mark Dutton (Martin Balsam) に助力を申し出て Max を街から追い出そうとするが、Max は容易に尻尾を掴ませない……。
後に Robert De Niro と Nick Nolte の組み合わせで remake された映画の original であります。remake 晩も怖かったものですがこの original もなかなか。
この映画の怖さはもちろん Max の復讐欲にあるわけですが、一方の Sam も真っ当な弁護士だったのが金で暴漢雇って Max を襲わせたり、Max が仕掛けてくるのを待ち構えて返り討ちにしようとしたりと、話が進むにつれて狂気に犯されていく様が描かれていて、これもまた怖いのですよ。探偵が言った台詞、獣と戦うには獣になるしかない、てのはこの映画の一面を上手く現しておりますな。
最後がばたばたしているのは玉に瑕。
Andrew Niccol 監督作品、2005 年。
幼い頃に Ukraina から America に移民してきた Yuri Orlov (Nicolas Cage) は、目の前で銃撃を見たことから銃器に興味を持ち、やがて武器商人に成り上がる。弟の Vitaly (Jared Leto) にも仕事を手伝わせていたが、Vitaly は麻薬に溺れてしまい施設送りになる。憧れの女優 Ava Fontaine (Bridget Moynahan) を妻にした Yuri は多額の金が必要になったが、ちょうど冷戦が終焉し、Russia の武器を Africa の紛争地域に卸すことで Yuri は大儲けする。だが、国際警察の Jack Valentine (Ethan Hawke) は Yuri に厳しい監視を付け始め、また Liberia の独裁者 Andre Baptiste (Eamonn Walker) が Yuri との関係を強めようと強引な手を使ってくることから、Yuri は度々難しい立ち回りを強いられることになる……。
いわゆる死の商人を扱った映画であります。倫理と商売の狭間で苦しむという映画的な theme は当然のように出てきますが、当の Yuri はあくまで business like な姿勢を堅持、むしろ妻の Ava や弟の Vitaly がその軋轢に潰されていきます。そして Yuri と Jack Valentine を coin の裏と表に配し、正義も悪も政治に利用される存在であると言外に語る映画でもありました。
現実そのものを観せられて嫌になる系の映画。とはいえ商売は商売、と割り切る Yuri の生き方もまた男の道ではあります。この dry な商人気質を是とするか、人道を貫き天賦の才を封じるのを是とするか。どちらにしても、作中で Yuri が言うように「自分がやめても代わりが出てくる」。重い映画でありました。
劇中では Portishead や Jeff Buckley の歌も聴けます。