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Robert Mulligan 監督作品、1962 年。邦題「アラバマ物語」。
弁護士の Atticus Finch (Gregory Peck)、その息子 Jem (Phillip Alford) と娘 Scout (Mary Badham) の三人家族のお話。夏休み、Jem と Scout は休暇で近所に来ていた Dill (John Megna) と一緒につるんで遊び、姿を見せない隣人宅に悪戯したり、裁判所を覗きに行ったりする。だが Scout が学校に行きだしてから、彼女は Atticus が黒人弁護をしていることで悪口を言われる……。
ぱっと見には少年少女の成長物語、しかし扱う theme は人種差別や偏見だったりで重め。派手さはないものの要所でしっかりした父親像を見せる Atticus は恰好ええですなぁ。隣人 Boo (Robert Duvall) の見せ方も見事。名画でありました。
早川文庫版で先日読了。
風の騎士だの光の騎士団だの出てきて村がアレなことになっとると聞いたグインは、様子見てくるべとマリウスやフロリー置いといて外出。村はもぬけの殻で、騎士団は村人連れてどっか行ってしまったらしい。騎士団に追いついたグインは彼らがマリウスらに一隊差し向けたと聞いて、一大事とばかりに元の道を戻るが、合流場所に彼らの姿はない。とはいえ、騎士団もマリウスらを見失っているようで、彼らはミロク教の村に火を放つことでマリウスらを釣り出そうとするが……。
前巻より謎だった仮面騎士の正体が明かされますが、はてそんな奴おったっけ、あーそういえばおったねぇ、という感じ。フロリーといい仮面騎士といい、忘れ去られたような人々の物語が今頃動き出すってのも大長編ならではの醍醐味、と言いたいところですがあまりに空白期間が長すぎて唐突な印象ですな。ナリス泣き後は抜け殻状態で放浪しておったリギア嬢もここにきて復活。こりゃまぁ捨てる手はないわな。
Ireland の soul singer、Van Morrison の 2008 年作。
ここ数年は自身の roots に回帰しての cover album が多かった Van ですが、今回は "Back on Top" 以来久々の全曲 original だそうな。まぁ、この人の場合は歌ってしまえば自分色、なところもあり、また近年でも継続的に新譜出してくれたりで、ご無沙汰感はないんですけどね。
全体的に blues 色強めですが、90 年代に突き詰めていた求道者的な宗教色は薄められており、relax した雰囲気で淡々と進んで行きます。自由に身軽に音と戯れそれを慈しむ。充実振りの窺える作品でありました。
Kerry Conran 監督作品、2004 年。
1939 年の New York。著名な科学者が連続で失踪するという事件を追っている記者 Polly Perkins (Gwyneth Paltrow) は、とある科学者から事件の手掛かりを得るが、その直後に New York は謎の巨大 robots の終劇を受け大混乱に陥る。Polly も危うく robot に踏まれそうになるが、戦闘機で救援に駆けつけた Sky Captain こと Joe Sullivan (Jude Law) の活躍で命拾いする。Joe と元恋仲だった Polly は再び Joe に接近し、二人は今回の robots 襲撃事件と科学者連続失踪事件との間に関連があることに気付く。だが敵は Sky Captain の隠れ基地にも robots を送り込んでくる……。
古い洋画を連想させる cepia 調の色彩と濃い顔立ちの俳優陣で贈る、steampunk な娯楽大作であります。つか Gwyneth Paltrow がかくも堂々たる銀幕熟女になっていることに驚きが。Jude Law については小生の中では際物俳優と認識されているので特に言うことはない。浮遊空母艦長 Franky の役で Angelina Jolie も出てきます。
冒頭の robots 大襲来の場面はなかなかの impact でありますが、その後は Joe と Polly が夫婦漫才しつつ謎の男を追って世界放浪、行く先々で Polly がドジっ娘振りを発揮しててんやわんや、というお話ですので、次第に尻すぼみになっておる印象。何より Sky Captain の目立たなさは異常。anti hero ものを狙っているわけでもないでしょうに……。古い洋画ぽさを意識させる見世方なのに、使う道具や世界観に古い時代への考慮が全くなされていない点も勿体ない。ということで残念な出来栄えでありました。
Garry Marshall 監督作品、2001 年。邦題「プリティ・プリンセス」。
San Francisco に住む 15 歳の Mia Thermopolis (Anne Hathaway) は、母の Helen (Caroline Goodall) と二人暮らしの生活をしている平凡な少女。学校では地味で目立たず、人前で speech しようとすると緊張でゲロりそうになるという小心者。そんな彼女に、父方の祖母 Clarisse (Julie Andrews) が Mia を訪ねてくる。Clarisse は Europe の小国 Genovia の女王で、Mia の父にあたる皇太子が亡くなったため、Mia が第一の王位継承者になったのだと告げる。そんな話は聞いてねーよと Mia は動転し、王位継承権を放棄しようとするが、Clarisse と Helen の説得で、3 週間後の舞踏会まで英才教育を受けた後に改めて決断するということで落ち着く。かくして Mia は、普段どおりの学校通いを続けつつ、学校が終われば Clarisse の元に通い princess としての勉強をすることになるが……。
こりゃ良くできとりますなぁ。地味娘のお姫様修行物語。つーても元々資質がないところから始まってますので、その前途多難振りは想像に余りある。ということで終始どたばたしつつ進んで行くのですが、その中に Clarisse との家族の対話や、親友や男友達との付き合いといった episode を交えて、Mia が princess としての自覚に目覚めていく様を丁寧に描いております。Mia のドジっぷりも随所で炸裂しており、それが貴人の対処で収まっていくのも面白い趣向。でも最後は心の勝負、ってところに落としていくあたり、上手く緩急付けつつ筋の通った一作となっております。良作。
めりけんの rock band、Pearl Jam の 2nd album。1993 年発表、SRCS6827。
Nirvana が punk 主体の解りやすい band だったのに対し、Pearl Jam は hard rock 調というのが当時の seattle grunge 世相でありましたが、今にして思えば hard rock なら Soundgarden や Alice in Chains の方が何枚も上手でありましたなぁ。強烈な pop さや押しの強さがあるでもなく、Eddie Vedder の歌唱もアクは強いが万人向けではない。なので、本国でバカ売れしたこの album に対しても、そんなに売れるもんなん? という懐疑は未だにあったりするのです。強いて言えば、彼らの個性は roots の見えなさ加減と、rock にあるまじき横ノリ感ではないかと。一曲聴いて、おおおとのめり込む type ではなくて、よく解らんがしばらく聴いておると腑に落ちてきてのめり込んじまう、みたいな。
ええそうですとも、かく言う小生も学生時代に引っ掛けられてこの album を聴きまくった前科持ちなのであります。久々に聴き直しても全く久々感はなくて、古い記憶を手繰り直しているような気分にさせられます。それだけ深く沁みた album だったんだなぁと感慨しきり。