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UR 一派の 2007 年作。SUBJPCD-013。
detroit techno は style ではなく attitude なのだ、と Mad Mike なら言うであろうか。でも表現である以上、それは style とも attitude とも受け取れるわけなんすよね。pistols はその点潔かったと言うべきか。
それはさておき今の UR 詰め込み pack であります。基本は dark electro ですが粘り気は控えめ、その分 aggressive な hardcore 魂で寡黙に暗黒街道をひた走るの図。目新しさはないもののむしろ本家はこれで磐石の趣き。follower のきらびやかさに骨抜きにされつつあるところをしっかり揺り戻す、これも先達の心得なのでしょう。ありがたい一枚。
大友良英 (g, etc) による歌もの project の album。カヒミ・カリィ (vo)、山本精一 (vo, etc)、Jim O'rourke (vo, g) 他多数参加。2007 年発表、EWCD0135。
歌ものつーたら ONJE の "Dreams" があったでないの。あれはあれで強烈な album でしたねぇ。それはさておき、大所帯 band だと爆裂に向かう大友良英も、solo works や映画ものではそこはかとない歌心を聴かせていたのは周知の通り。今回はその箱庭趣味の外部拡張版と言えるでしょうか。従来より歌が前に出てくる感じは致します。
とはいえやはり歌そのものを聴かせるというよりは、歌や言葉が塗り込められた音響建築のような佇まいであるのも確かで、普通の guitar pop のようには聴けないのですよ。それにしても Alfred Harth の tenor sax は言葉よりも雄弁であります。そういえば Coltrane も突き詰めた先に歌を見つけたのでありましたなぁ。
Warner Books 版の paperback で読了。
大手気象 think tank の Kingsley International Group に関係する科学者達が次々と謎の死を遂げる。その死んだ科学者たちの妻には、画家の Diane Stevens と、世界的な model の Kelly Harris も含まれていたが、彼女達は何者かに命を狙われる。夫も何者かに殺されたと感じた二人は、協力して犯人探しに乗り出す……。
学生時代に "Rage of Angels" を読んで以来の Sidney Sheldon であります。そうこうするうちにお亡くなりになってしまいましたね。で、図らずも Sheldon の遺作となったのがこの "Are You Afraid of the Dark?" でありますが、都合よすぎる展開、素人な殺し屋ども、半ば SF な大道具、とまぁ pulp fiction 感というかラノベ感というか、celeb なうら若き未亡人が大活躍する話にも関わらず B 級な乗りで突っ走っております。で、夫との蜜月な思い出に延々と浸ったり、二人で shopping してはしゃいだりと、話の進行にも切れがない。終盤で二人が逆襲に転じると面白くなりますがそれまでが結構だらだらしてましたな。まぁ、Sheldon らしく英語は読みやすいので勉強用には良い一冊ではないかと。
Ridley Scott 監督作品、2005 年。
中世の France。息子と妻を亡くした鍛冶屋の Balian (Orlando Bloom) の元に、十字軍の騎士 Godfrey de Ibelin (Liam Neeson) がやってくる。Godfrey は自分が Balian の父親であると告げ、自分に付いて十字軍に従軍することを薦める。Balian は Godfrey に従い Jerusalem にやってくる。そこは Christian と Muslim とが一時的な休戦下で共存する世界だった。Godfrey から騎士の誓いを受け継いだ Balian は、民を守るために尽力するが、やがて Christian と Muslim の戦争が避けられなくなり、Balian もその戦に巻き込まれることになる……。
またまた Liam Neeson が息子に後を託して死ぬ父親役をしております。最近はこんな役回りばかりのような気がしますね。
Ridley Scott 作品らしく映像は美麗。"Black Hawk Down" と同様に、現実より現実ぽく見える CG による新写実的な表現であります。で、story が頭に残らないのも従来通り。あまり歴史大作って感じもしませんし。むしろ Jerusalem が投石でずごばご爆撃される様には現代の中東危機への視点も入り込んでいるように思えます。とはいえ、それが Balian の言う民族融和の主張を強調する方向には向かわず、単に美味しい演出といった次元に留まっている所もまた、この監督らしい割り切りではあるのですが。
あまり期待せずに観るとそれなりに出来の良い映画に見えることでしょう。