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Rob Cohen 監督作品、1996 年。
10 世紀の西欧。暴君 Freyne (Peter Hric) は農民暴動の鎮圧に動いた際に殺され、王の息子 Einon (David Thewlis) も深手を負う。王妃 Aislinn (Julie Christie) は Einon の命を救うため竜の元に出向く。竜は Einon が善良な王となることを条件に自分の心臓の半分を与え、Einon は一命を取り留める。しかし王となった Einon はさらなる暴政を敷く。Einon に騎士道を教えていた剣術指南役の Bowen (Dennis Quaid) は、Einon が暴君と化したのは竜の心臓に毒されたためだと考え、王の元を去り竜を根絶やしにするため旅立つ。数年後、最後の竜と相対した Bowen だったが、竜を殺すと竜退治の賞金も貰えなくなり生計が建てられなくなるという点を竜に指摘される。竜と Bowen は結託し、方々で竜退治の芝居を打つことでお互い得しようとする。その道中で、王への復讐に燃える Kara (Dina Meyer) や、芸術家肌の修道士 Gilbert (Pete Postlethwaite) と出会った Bowen は、やがて弱き者を助けるという騎士道の精神を取り戻し、Einon を打ち倒す決心をする……。
王道 fantasy 映画。CG 良く出来てんなー、Dennis Quaid 頑張っとるなーとか言ってるうちに終了。
心臓を分け与えたことで竜と Einon とで痛みを共有してしまうってえ趣向が入っていて、これが映画終盤の肝にもなってますが、それにしてもどうして痛みだけなんじゃい。その辺も含めてかなり御都合主義な作りであります。軽ノリなのか真面目なのか微妙な作りにしてあるのも何だか中途半端な印象。肩凝らずに観られる一作ではありました。
大林宣彦監督作品、1983 年。
高校生の芳山和子 (原田知世) は、理科実験室で Lavender の香りと白い霧に包まれて気を失う。保健室で気を取り戻した和子は、友人の堀川吾朗 (尾美としのり) や深町一夫 (高柳良一) と過ごす日常生活に戻るが、事件の翌日、登校中の吾朗の頭上に屋根瓦が落ちてこようとしたところを和子が救おうとしたとき、和子の身は一日前の朝に戻ってしまう。混乱した和子は一夫に相談するが……。
主題歌は有名ですが映画はどうもよろしくないですなぁ。内容の割に長い、time leap の素材を上手く生かせてない、一夫君の顔が真面目過ぎる (笑)、等々。和子の造型も変な能力持ってしまって気持ち悪いってえ感じだし、時間素行時の演出も retro 感丸出し。止めに end roll では撮影現場での原田知世歌唱 PV と、こりゃ idol 持ち上げ映画としか思えませんな。残念でしたということで。
細田守監督作品、2006 年。
高校生の紺野真琴は理科実験室で転倒した拍子に何かに触れる。しかし特に変わったことはないため、真琴は友人の間宮千昭や津田功介と catch ball したり、叔母の芳山和子の元に行ったりする。家に帰る途中、真琴の自転車は走行中に brake が壊れてしまい、そのまま線路に飛び出して電車に轢かれる。しかし気が付くと真琴は事故以前の時間に戻っていた。やがてその能力を意識的に利用できるようになった真琴は、自分の利得のためにその能力を使うようになるが……。
ううむ素晴らしい。やはり時間跳躍ものはこうでなくては。過去をやり直せるという能力を得ながらも、妹より先にプリンを食うだの、からおけを延々やり直すだの、告白されたことを無かったことにするだの、功介の彼女作りのために使うだのといった、あまりに scale の小さい……もとい、女子高生的な近視眼発想で能力を浪費するってえ趣向に笑わせられます。真琴の造型も活発で直情的でそそっかしい少女という役回りなのでよく動いていて良好。まぁ、こういう小娘が動きまわれるのは anime の中だけな気もしますが。終盤には痛みとその克服そして愛と青春の旅立ちであります。爽やか清涼飲料水。後味悪くないもののすぐ忘れてしまいそうな雰囲気な点も含めて爽やか系。ええもん観させて頂きました。
Ornette Coleman (as)、Don Cherry (cornet)、Charlie Haden (b)、Billy Higgins (ds) の四人による 1959 年録音作。
Ornette Coleman の leader 作の中でも初期の傑作と言われ、free jazz 時代の幕開けを告げた album としても名高い作品であります。って、もう半世紀近くも昔の album なんですな。しかし今の耳で聴くと free jazz というより、ちょっと外した hard bop な耳障り。Ornette の曲は昔からメロ立ちしとりますから聴きやすいのですよ。
定型と不定型の狭間でうにゃうにゃやって面白がるのが jazz てもんですが、定型であるところの theme に不定型ぽい怪しさをぶちこんで両者の垣根をぐずぐずにしてしまったのが Ornette の偉いところであります。この album 聴いて悩んだ Coltrane は爆走して命を縮め、Robert Fripp は pops の牙城を切り崩すための reference としたに違いない、と妄想することも可能でしょう。tr.1 "Lonely Woman" は何度聴いても名曲ですが、tr.2 "Eventually" や tr.5 "Congeniality" の疾走もまた面白い。
Chick Corea (p) と Gary Burton (vib) の二重奏 jazz album。1972 年録音の ECM 1024 ですが、小生保有の CD は国内盤 POCJ 2705。
ちろちろりんはちろちろりんを知るの格言通り、Chick Corea も Gary Burton も手数の多い jazz 印象派な人なので、この手の duet ならお手のものという風情であります。この二人の共演作では後に "Duet" や "Native Sense" といった傑作も出てきますので、よほど相性良いのでしょう。
tr.1 "Senor Mouse" での躍動感溢れる unizon は楽しいし、RTF の持ち曲として有名な tr.5 "Crystal Silence" も透明感ある arrange で良好。締めの tr.9 "What Game Shall We Play Today" も RTF の曲ですが、ちと短めながらも melody の良さを再認識させてくれる演奏となっております。ほのぼの聴ける好盤。
UK の drum 'n' basser、Goldie の Rufige Kru 名義作。2007 年 release の METH008CD。
かの名作 "Timeless" から早 12 年、"Saturnz Return" から 9 年を経ての新作でありますが、全然話題になってない気がしますなぁ。どらんべも目新しい音楽とは言えなくなってますし、異種配合のしにくさもあって電気音楽の本流には乗れずじまいだったて事情はあるにせよ、もう少し持ち上げてもいいんじゃないですか広報さん。って誰に向かって言っとるのやら。
さて音の方ですが、"Timeless" のような artcore 的壮大絵物語とは正反対の、歌心皆無の solid で strong style な d'n'b になっております。即ち Metalheadz 印な floor use 仕様。不思議の国の小娘ならぬ不思議の国の悪意という原題そのまんまなやさぐれ音楽。闇の帝王 Goldie は 10 年経ってもとんがった B-Boy のまんまなのでした。うっわー、こいつはおっかさんには聞かせられねえや。
最近のどらんべはさっぱり疎いのですが、Nookie の新譜といいこの Goldie の新譜といい、結局 10 年前から d'n'b は変わっとらんというか変わりようがないってことですかね。部屋で聴いておると疲れる類の音ですが、とりあえず元気そうで何よりであります。
Liu Chia-Liang 監督作品、1980 年。邦題「続・少林寺三十六房」。
染物工場で親方が腕っ節の強い満州人を雇ったため、兄者達の給料が減らされてしまった。いんちき僧侶の Chao Yen-Cheh (Liu Chia Hui) は一度は少林寺の僧と偽って給料を元に戻す約束を取り付けたものの、結局は偽物であることが露見し、それが元で兄者達はタコ殴りにされる。いたたまれなくなった Yen-Cheh は本物の少林寺の僧になって親方を見返してやろうと街を飛び出し、あの手この手を使って少林寺に潜り込もうとするが……。
前作に比べるとぐぐっとおちゃらけた雰囲気になっとりますなぁ。とはいえ、少林寺の足場作りをやってたらば自然と功夫の達人になっておったというお話なので意外性はありましたが。
Yen-Cheh が寺での修行を断られたのは、Yen-Cheh が復讐の為に拳を振るおうとしているのをお師匠が見抜いたからですかね。それでも足場組みさせながら修行内容は存分に見物させておるのだからお師匠も人が悪い。まぁ、偉い人は偉い人なりに苦労してるんでしょう。
前作とは異なる趣向ながら、これはこれで楽しめる作品でありました。
german techno な人、Johannes Heil の 1999 年作。Kanzleramt の KA33CD。
硬派で minimal で dark、という初期 Kanzleramt の雰囲気がひしひし伝わる一作であります。とはいえ器用貧乏な Johannes Heil さんの音なので、純粋四つ打ち道という分けでもなく、dub ぽいのや hip-hop ぽいのや electronica ぽいのも間に挟んで緩急付けながらずんぱこ進んで行きます。
白玉駆使して大きな世界を描きつつ細部は minimal な上物と fat な kick できっちり固める、という Johannes Heil 流 techno 観はこの時期にもその萌芽が伺えます。やっぱ気持ちいいですな、この人の音は。
うちの近くの本屋で聞き覚えのある音が流れとると思ったら、映画の promotion video だったのね。ということで、Rei Harakami が音楽を担当した、映画「天然コケッコー」の OST であります。2007 年発表、IDCS-1023。
今やぽやぽや系 electronica の第一人者として有名な Rei Harakami でありますが、映像や radio drama に音付ける仕事も昔からやってた人なのです。某 FM の「南極横断鉄道404号」を on air 時に耳にしながら録音しなかったのは一生の不覚でありました……というのはさておき、最近では "Colors of the Dark" がその系統のお仕事でしたな。星々の物語と Rei Harakami の組合せとなると best match な気がしますが、「天然コケッコー」は田舎の少年少女物語らしいのでどういう音になるのかと思いきや、いつも通りの Harakami な electro でありました。おおお、わんあんどおんりー。
しかしそれでもべたべたに絵と合ってしまうことでしょう。切なくもあり懐かしくもある nostalgic な心象をかきたてるのがこの人の音なのです。これもまた日本人の soul music。ゆるゆる聴いて和みましょう。