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今日は台風が来て、あっという間に去っていきましたな。ちょうど夕方頃に雨も風も収まって、厚い雲の谷間から射し込む鮮やかな夕映えを拝むことができました。まぁ、仕事場の休憩室からだったので存分に見物するというわけにも行かなかったんですが。
そんな前振りとは全く関係なく The Black Crowes の 2001 年作を聴いてます。現在活動休止中だとか。こんな十年一日な音鳴らしてる band でも、いやんなっちゃうことがあるのかね。Allman's は偉大だのぅ。
しかし今作はなかなか痛快な出来。いくら南部寄りでも rock band なんだから尖ってないとイカン、と延々背伸びして半端な album を作り続けた The Black Crowes ですが、ようやくここに来て肩の力が抜けた感じ。そのおかげで loose な南部臭さがより一層香り立つ作品になってしまうとはこれ運命の皮肉。緩く構えることで腰に力が入るという、清く正しい southern rock の在り方に収まってます。まぁ、こういう音作ってしまうと先に進めなくなるのも解りますけどね。
tr.9 "Miracle to Me" の slide は渋いのぅ。曲間なしで繋いでいく構成も live ぽい rough な展開で良好だし。あと 10 年もやってれば殿堂入りしてたかも知れんなぁ。
こういう album 聴くと、jazz は貧乏人の音楽やなぁと思いますな。jazz 評論家の Nat Hentoff の著書 "The Jazz Life!" に collaborate して、60 年代初頭の jazz な空気を詰め込んだ album。Charles Mingus (b)、Eric Dolphy (as, b-cl)、Tommy Flanagan (p)、Jimmy Garrison (b)、Kenny Dorham (tp)、Max Roach (ds) 等々、大御所が多数参加。でも曲によって面子はバラバラです。
で、こんだけの面々が揃っているにも関わらず、出てくる音がもうひたすら渋くて地味で blue なのですよ。tr.2 "Black Cat" なんて Lightnin' Hopkins の弾き語りな blues だし。他の曲も人生の悲哀を感じさせる乾いた味わいで。一人で呆けながら聴いているとしみじみしてしまう。
まぁ確かに jazz は大所帯もありだし dance もありだし一大娯楽 entertainment だったりもするんですが、roots は blues なわけで、働いて疲れたときにひょろっと聴いて一時の癒しを得られればその音楽にも価値はある。世界を変える音を浴びて新鮮な気分になるのも良いけれど、人生の大半は平凡な日常の連続で、そんな毎日を倦み疲れずに送っていくための楽しみは実は些細なところで得られるものなのである。そのささやかな楽しみを、構えずに packaging したのがこの album と言ってもいいでしょう。その何気なさの中に、Nat Hentoff も宝石の輝きを見出していたのかも知れないなぁ。
tr.5 "Vassarlean" で泣きを極めた後、tr.6 "Oh Year, Oh Year" でふわりと浮かせてから締める展開が心憎い。Kenny Dorham の脱力気味な trumpet solo が格好良いです。
関東時代に一緒に働いていた後輩が昇格したそうで、めでたいことであります。散々苛めた甲斐があったということか(爆)。
これからが大変だとは思いますが、持ち前の何でも屋気質で頑張っていただきたいです。
Chaos Field、サントラ出してくれないかな……って、気が早すぎですかな。
買った当初は house つーより soul な album という印象があったんですが、聴き直してみると house でもあり soul でもあるというか genre で言うなら Blaze としか言いようのない作品であります。1990 年発表、Motown から。
Blaze と言えば骨太 vocal house、てんで前半の展開は colorful で upper な house track が中心。もうこの頃から完成された style を身につけてます。近作よりも音の装飾が少ない分、波動が direct に伝わってくる。濃厚でありながら聞き易くもある、これぞ entertainment。
後半は house の枠に捕らわれない自由な発想で聴かせてます。tr.7 "Gonna Make It Work" の粘液系 soul のエロさとか、tr.8 "All That I Should Know" のブラコンな展開とか、黒人音楽の甘い部分を凝縮して披露。10 年以上前の album ですが、古さを感じさせない強靱さに心打たれる傑作。いやはや、強いわ。
SFC で発表された SRPG のサントラ。1995 年発表。composer は榎本英彦。
小生は指一本触れたことのない game なんですが何故か CD は持ってるのぅ。音の方は昔ながらの game music です。昔ながらの game music て何だよと言われても説明に困るがつまりは主旋律はダサ格好ええベタメロ、副旋律はばたばた五月蠅い scale 連弾、bass と drums は延々 loop、とまぁそんな感じで。RPG ですが rock 調で暑苦しいのが FEDA の特徴か。とはいえ melody に惹かれないので今ひとつな印象。
こういう album を聴くと、10 年程前の game ってこんなん多かったのぅと懐かしくなります。って、ほんとに 10 年前の game だし。
lap top で hip hop な electronica。DJ Klock、2002 年発表の 1st album。
一つ一つの音に心血を注ぎ込むあまり、曲としては脱線しまくっているような感じです。音の細部から作り込み、できあがった極上の素材を patch work で継ぎ足していって、まとまらないままころりと世に出てきたような印象。ここには dynamic な展開も静謐な chill out もない。斑色の音響原石が 12 個転がっているだけだ。
そんなわけでどうにも燃えない album なんですが、それでも tr.3 "Lotus" の歪んだ ambient や、tr.10 "I Know You Are Warm" や tr.11 "Harmony" で垣間見える僅かな叙情性にはしんみりと聴き入ってしまったり。hip hop から electronica へ向かう方向性は、かつての半野喜弘を連想させますが、DJ Klock もまた同じ轍を踏むのだろうか。まぁ、この 1 作目はまだまだ肩に力入りすぎな音なので、あまり聞き込めないなぁ。
Ron Howard 監督作品、2000 年。邦題「グリンチ」。
雪山の小村 Whoville の住人は、世界で最も Christmas を愛していた。しかし、村外れのゴミ収集所に住む Grinch (Jim Carrey) だけは Christmas を憎んでいた。Christmas が近付くにつれ、Grinch は村に繰り出し悪戯に精を出す。Grinch の悪戯の犠牲になった Cindy (Taylor Momsen) は、Grinch が実は良い人であると主張し、村が定める Christmas の王様として Grinch を推挙する。Christmas Eve に村へやってきた Grinch は、やはり宴をぶち壊しにしてしまい、更に村から Christmas を奪いとろうと思い立ち、愛犬 Max と共に santa claus の配った presents を根こそぎ奪い取ろうとする……。
Jim Carrey の over action はハマってますが、悪人が改心してめでたしめでたしという文字通り子供騙しな作品なので、どうにも誉め言葉が見つからんのですが一点だけ。Max 氏には小生から助演動物賞を授与致します。トナカイの鼻が最高。
無意味に挿入された "炎のランナー" パロも寒いのぅ。笑わせようと努力してるのは解りますが空回りするばかりで楽しくない。Ron Howard の遊びは真面目すぎるということか。
ぴゃ〜〜ぁぁぁっ、ぱぱらぱっぱ。でっででんでん。何ですかこれは Us3 ですか違いますこっちが本家。
tr.1 "Watermelon Man" で有名な、Herbie Hancock の 1st で、1962 年録音。Blue Note から。
Hancock、録音当時は 22 歳らしいですが、ボケボケ脱力 melody は既にこの時点で満開であります。ぱっとしない曲なのに粘りけ充分で、気が付けばうひょひょと呆けながら踊ってしまう tr.1 "Watermelon Man" は勿論のこと、怪しげな theme と何気に手数多い drums に惑わされることなくやっぱりへろへろな素っ惚けな展開の tr.2 "Three Bags Full"、じわりと正当派 funky 路線で格好良く進む tr.3 "Empty Pockets" など、お気楽ご気楽な音でのほほんと進んでいきますが、最後の tr.6 "Alone and I" は真顔で ballad してるところが微妙に半端。まぁ、これも若さか。
Dexter Gordon (ts)、Freddie Hubbard (tp) といった名手も、緩急付けた味わいを見せてて良好。でもって主役の Herbie Hancock (p) は、例によって背景にすぽっと収まってるような演奏。この人は目立たないところが特徴ですな(笑)。
「どうもちょっとわからないんだけど」ビーンはいった。「ぼくの理解するところでは、結婚して子供をつくったことで、あなたが得たものは悲しみだけだ。あなたはエンダーを失い、ヴァレンタインを失い、いつもピーターにいやな思いをさせられたり、気をもまされたりしてきた」
「そうよ。やっとわかってきたみたいね」
「喜びは、どこへ行っちゃったんです? そこがわからないんだけど」
「悲しみこそが喜びなの」ミセズ・ヴィッギンはいった。「わたしには、悲しんであげられる人がいる。あなたはどう?」(page 286)
早川文庫版で読了。田中一江訳。
バガー戦役の後、それぞれの故郷へ帰ったバトル・スクールの子供達。しかし彼らは何者かに拉致される。ビーンは一人だけ魔の手を逃れ、旧友を救おうと動き始める。この事件の裏にアシルの影を見出したビーンは、敵に対抗すべく、未来の覇者ピーター・ヴィッギンと接触する。ビーンの策略で旧友達は無事救助されるが、ペトラだけはアシル自ら乗り出して再度誘拐、アシルは別の国に逃れて力を蓄えようとする……。
話はのろのろ進み、シスター・カーロッタとビーンは漫才を繰り返し、ピーターは呆れる。ペトラは自己嫌悪に悶々とし、アシルは嘘か誠かペトラの気を引こうとする。傷を負い苦しむ子供を描かせたら、この人は上手いですね。
上記の引用箇所付近では、エンダーのお袋さんがビーン相手に子作り最高てな話をしてるんですが、ふと『エンダーの子供たち』の中でエンダーが、自分は子供作らなかったから人生の敗北者だと語っていたのを思い出しました。やはり親子ですなこの人たち。
TV animation "Monster" の soundtrack 第一弾、2004 年。作曲は配島邦明。Calm の chart にもこっそり入ってた作品であります。
一時期オケヒ使いすぎでもぉええわ状態になっていた配島音楽ですが、この soundtrack ではオケヒは出番なしで、静けさと奇妙さを併せ持つ暗がりの ambient 路線です。うひゃあ。こういう音は大好き。
tr.1 "For The Love of Life" では David Sylvian が歌ってます。遂に Sylvian もアニソン歌手かぁ、時代は変わったのぅ。というかこの曲での配島音楽と Sylvian の相性は最高です。二人でコラボして ambient な album 作ってくれないかな。